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80 主神様からの手紙と⋯
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大人たちがサーヤの話を聞き、これからどうするかを話していると
「ふわ~ぁ」
サーヤが欠伸をしだした。
『あらぁ大変。そろそろお眠ねぇ』
精霊樹の精様が眠そうにしてるサーヤの頬を優しく撫でると、「むふ~」と変な声を出すサーヤ。
〖いや~ん♪かわ…じゃなくて、それじゃあ、今日はこれくらいにして寝ましょう〗
『明日は忙しくなるしねぇ。うふふ』
「うにゅ~?」
サーヤは一瞬、ゾクッとした。
サーヤは忘れてるようだけど、明日は…ふふふ
そんな話をしながら小屋のドアを開けると、リビングのテーブルの上にサーッと光が差した。
すると、手紙と一緒に何かが置かれていた。
『何かしらぁ?』
〖主神が何か送ってきたみたいね〗
送られてきたのは手紙とバッグ?ジーニ様が中身を確かめようと手を伸ばす。まず、手紙から。
『主神様が?ジーニ様、何が書かれているのですか?』
ギン様が尋ねるとジーニ様は手紙の封を切る
〖待って。今見るから〗
みんながジーニ様に注目する。
ジーニ様はざっと目を通すと、ほっと安堵のため息をついた。
「じーにしゃま?」
さっきまで欠伸をしていたサーヤも、心配そうにジーニ様の服を握っていた。
ジーニ様は、ふわっと笑ってサーヤの頭を撫でる。
〖大丈夫よ。みんなが頑張って作ってくれた花冠。それにサーヤのおまじないのおかげで、シアが起きたそうよ。サーヤもみんなもありがとう〗
「ほんちょ?」
サーヤの目がまん丸に
〖ええ。本当よ〗
ジーニ様がにっこりと笑った。
「やっちゃ~♪」
サーヤもにこにこ。バンザ~イ!
ぴゅいきゅい『『やった~!』』
『よかったな』
『がんばったもんね』
双子もバンザイ。フゥとクゥもほっとしてます。
『『おいわいだね~』』
『『『おめでとう~』』』
フルーとフライも妖精トリオも、みんなの周りをクルクルしてます。
『水の妖精さんにもお礼しなきゃね~』
「あい!」
またハクの背中に乗せてもらって泉の中に行かなきゃ!
『それで、そっちはなんですか?』
〖これはね、主神とシアからの贈り物みたいね〗
ジーニ様が手紙の続きを見て苦笑している。
〖サーヤ、主神とシアから伝言よ。まずはシアからね。「花冠ありがとう。お陰様で起きれるようになりました。近い内に会いに行きます。それまで待っていてね」ですって〗
「あい!ちゃのちみ!」
シア様おっきして良かったね!はやく会いたいな~。
〖次は主神ね「サーヤ、みんな、お陰様でシアが目覚めたよ。ありがとう。それでね、シアと一緒に最初に渡すはずだったものを送るね。遅くなってごめんよ。まず今夜はこのふたつを先に。残りは明日の楽しみに取っておいて。僕もまた会いに行くからね。今日は疲れただろうから、もうお休み。では、またね」ですって〗
「あい!あいがちょ!いりゅしゃまも、あいちゃい!」
いつ会えるかな~?
〖じゃあ、先に渡す二つを出すわね〗そう言って手紙と一緒に送られてきたバッグから出したのは…
「ふあっ?」
柔らかそうな素材でできた白いパジャマと、毛糸で編まれたくまのぬいぐるみだった。
それを見たサーヤが
「さーにゃにょくましゃん!!」
と叫んだ。
『ええ?サーヤの?』
『サーヤ?それ、サーヤのくまさんなの?』
自分のだ!と、自信たっぷりに言うサーヤ。クゥとフゥが本当に?と聞くと
「あい!おばあちゃんがちゅくってくりぇちゃ、さーにゃにょくましゃん!」
びっくりな答えが返ってきた。
ぴゅきゅ?『『え~?』』
『どういうこと~?』
ちびっ子たちもびっくり!
〖どうやら主神とシアが頑張ってくれたみたいね。サーヤ、主神とシアがね、サーヤとおばあちゃんとの思い出の品が残ってないか探してくれたみたい。少ないけどごめんねって〗
ジーニ様も驚いた。主神とシアが、少しでもサーヤを喜ばせたくて努力してくれたのだと理解しているが、それがどんなに大変か理解しているからだ。
「ありがちょう!くましゃん、しゅごくうれちい!」
サーヤはくまさんをギュッと抱きしめている。
主神、シア、サーヤはとても喜んでるわよ。良かったわね。
〖そう。良かった。今日からその子と一緒に寝られるわね〗
「あい!」にこにこ
〖じゃあ、このパジャマに着替えて寝ましょうね〗
「あい!いっちょにねんねね~」
と、ぬいぐるみに話かけている。
『じゃあ、私が着替えさせてベッドに寝かせてきますね』
〖お願いね、フゥ。サーヤ、お休みなさい〗
「あい!おやしゅみなしゃい!!」
『お休み』
『またあしたね~』
ぴゅきゅ『おやしゅみ~』
みんなで手を振って送ります。ドアが締まりサーヤが見えなくなると、みんながジーニ様を見ます。
『それで、ジーニ様。手紙には他に何が?』
アルコン様が切り出した。
そして、みんながジーニ様を注目する中、ジーニ様は弱々しく笑顔を見せる。
〖このバッグに入っているのは主神とシアが用意した最低限の衣服よ。それから、ある人のお陰でサーヤとおばあちゃんの思い出の品をいくつか回収できたらしいの。それをこのバッグにまとめて入れてくれたみたいなんだけど〗
そう言ってバッグを見せる。
『それはマジックバッグですね』
ギン様がバッグから魔力を感じて尋ねる。
〖ええ。そしてもうひとつ。まだこちらには何も入ってないわ。これもサーヤが使っていたものだそうよ。マジックバッグに変えてあるけどね〗
そう言って、もうひとつのちいさなバッグを見せる。
『それで?』
ジーニ様のなんとも言えない表情を見て、先を促すアルコン様。きっと、誰かがそうしなければジーニ様は中々話出せなかっただろう。
〖…こちらのバッグの中にはね、おばあちゃんが残した写真や日記、サーヤに当てた手紙なんかもあるみたいなの。それ以外も愛用してたものとかね〗
ジーニ様の思いがけない言葉に、みんなが息を飲む。
『手紙ですか?サーヤの祖母の?』
ギン様がなんとか声に出すと…
〖そうよ。どうしたって自分の方が先に逝くんだからと、サーヤが誕生日に読めるように二十歳までの手紙を書いていたみたい。あと日記はけっこう色々書いてあるみたいでね。主神とシアがサーヤに見せられるもの、そうでないものを見極めてほしいと言ってるわ〗
ジーニ様はバッグを撫でながら切なそうに言う。覚悟はしていてもまだまだその時は先だと思っていたろうに。さぞ無念だっただろうと…
『それは、サーヤに見せたら苦しむかもしれない物も入っているってことぉ?』
精霊樹の精様が、そんなジーニ様の肩にそっと手を置く。
〖ええ。少なくとも今はまだ見せない方がいい物があるようね。見せられそうな物でもどういう反応をするか分からないから、まずはさっきのくまのぬいぐるみと、パジャマを渡したみたい〗
ジーニ様が少し悲しげに微笑む。
『え?でもパジャマには反応しなかったですよ?』
クゥが先程のサーヤを思い出して言う。サーヤはぬいぐるみにだけ反応していた。
〖まだ存在を知らなかったのよ。おばあちゃんが新しく縫っていたのね。それに主神が自動サイズ調整と自動修復を付与したみたい。いつか教えてあげましょう〗
『サーヤのおばあちゃんの手縫い…』
クゥも何とも言えない顔をしている。きっとおばあちゃんはサーヤが喜ぶ顔を自分で見たかったはず。見られると思っていたはず。
『それじゃ、私がフゥと交代してくるわぁ。中身の選別、私よりフゥの方がいいでしょ?最初からずっと一緒にいたのはフゥとクゥだものぉ』
ぽんぽんとジーニ様の肩を優しく叩いて精霊樹の精様が言うと
ぴゅい『わたちも!』
きゅい『ぼくも!』
双子が自分たちだってサーヤと最初から一緒だったと訴えてきた。
『ごめんなさい。そうだったわねぇ。モモ、スイ、私の分もお願いねぇ』
きゅいぴゅい『『わかったー』』
精霊樹の精様がそう頼むと双子がまかせて!と胸を張って応える。
『それじゃ、行ってくるわぁ』
〖悪いわね。お願い〗
『まかせてぇ~』
そう言って、精霊樹の精様はドアの向こうに消えていった。
コンコンコン
『フゥ?』
ドアの隙間から精霊樹の精様が寝室を覗くと
『どうぞ』
フゥの少し沈んだ声が聞こえ、中に入る。
『サーヤの様子はどう?』
フゥのこの沈みようだと何かあったのは確実だと思うけど
『それが、パジャマに着替えさせるまで上機嫌だったんですけど、着替えた途端に泣き出してしまって…』
フゥまで泣きそうになっている。いえ、もしかしたら泣いていたのかもしれないわね。
『…そう。理由を言っていたかしらぁ?』
『おばあちゃんの匂いがするって…』
サーヤの髪を撫でながらフゥが話す。
『そう。今は眠っているのねぇ』
良かった。確かに目尻に涙が光っているけど、ぬいぐるみを抱きしめて寝ている。
『はい。最後は「おばあちゃんと一緒」って泣きながら笑ってましたけど、くまさんも抱きしめて寝ちゃいました』
クスッと笑いながらフゥが言う。
『そう…分かったわぁ。フゥ、ここは私が交代するからみんなのところに行って、今の話をしてくれる?みんな待ってるわ』
『え?』
フゥがびっくりしている。
『理由は向こうで教えてくれるわ。さあ、行ってぇ』
戸惑うフゥを急かせる。
『は、はい。分かりました。では、サーヤをよろしくお願いします』
『ええ。まかせてぇ』
フゥは戸惑いながらも精霊樹の精様に一礼してみんなの元へ向かった。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読み頂きありがとうございます。お気に入り登録、感想など励みになっております。ありがとうございます。
ここから数話、少々シリアスが続きます。お付き合い下さい。
「ふわ~ぁ」
サーヤが欠伸をしだした。
『あらぁ大変。そろそろお眠ねぇ』
精霊樹の精様が眠そうにしてるサーヤの頬を優しく撫でると、「むふ~」と変な声を出すサーヤ。
〖いや~ん♪かわ…じゃなくて、それじゃあ、今日はこれくらいにして寝ましょう〗
『明日は忙しくなるしねぇ。うふふ』
「うにゅ~?」
サーヤは一瞬、ゾクッとした。
サーヤは忘れてるようだけど、明日は…ふふふ
そんな話をしながら小屋のドアを開けると、リビングのテーブルの上にサーッと光が差した。
すると、手紙と一緒に何かが置かれていた。
『何かしらぁ?』
〖主神が何か送ってきたみたいね〗
送られてきたのは手紙とバッグ?ジーニ様が中身を確かめようと手を伸ばす。まず、手紙から。
『主神様が?ジーニ様、何が書かれているのですか?』
ギン様が尋ねるとジーニ様は手紙の封を切る
〖待って。今見るから〗
みんながジーニ様に注目する。
ジーニ様はざっと目を通すと、ほっと安堵のため息をついた。
「じーにしゃま?」
さっきまで欠伸をしていたサーヤも、心配そうにジーニ様の服を握っていた。
ジーニ様は、ふわっと笑ってサーヤの頭を撫でる。
〖大丈夫よ。みんなが頑張って作ってくれた花冠。それにサーヤのおまじないのおかげで、シアが起きたそうよ。サーヤもみんなもありがとう〗
「ほんちょ?」
サーヤの目がまん丸に
〖ええ。本当よ〗
ジーニ様がにっこりと笑った。
「やっちゃ~♪」
サーヤもにこにこ。バンザ~イ!
ぴゅいきゅい『『やった~!』』
『よかったな』
『がんばったもんね』
双子もバンザイ。フゥとクゥもほっとしてます。
『『おいわいだね~』』
『『『おめでとう~』』』
フルーとフライも妖精トリオも、みんなの周りをクルクルしてます。
『水の妖精さんにもお礼しなきゃね~』
「あい!」
またハクの背中に乗せてもらって泉の中に行かなきゃ!
『それで、そっちはなんですか?』
〖これはね、主神とシアからの贈り物みたいね〗
ジーニ様が手紙の続きを見て苦笑している。
〖サーヤ、主神とシアから伝言よ。まずはシアからね。「花冠ありがとう。お陰様で起きれるようになりました。近い内に会いに行きます。それまで待っていてね」ですって〗
「あい!ちゃのちみ!」
シア様おっきして良かったね!はやく会いたいな~。
〖次は主神ね「サーヤ、みんな、お陰様でシアが目覚めたよ。ありがとう。それでね、シアと一緒に最初に渡すはずだったものを送るね。遅くなってごめんよ。まず今夜はこのふたつを先に。残りは明日の楽しみに取っておいて。僕もまた会いに行くからね。今日は疲れただろうから、もうお休み。では、またね」ですって〗
「あい!あいがちょ!いりゅしゃまも、あいちゃい!」
いつ会えるかな~?
〖じゃあ、先に渡す二つを出すわね〗そう言って手紙と一緒に送られてきたバッグから出したのは…
「ふあっ?」
柔らかそうな素材でできた白いパジャマと、毛糸で編まれたくまのぬいぐるみだった。
それを見たサーヤが
「さーにゃにょくましゃん!!」
と叫んだ。
『ええ?サーヤの?』
『サーヤ?それ、サーヤのくまさんなの?』
自分のだ!と、自信たっぷりに言うサーヤ。クゥとフゥが本当に?と聞くと
「あい!おばあちゃんがちゅくってくりぇちゃ、さーにゃにょくましゃん!」
びっくりな答えが返ってきた。
ぴゅきゅ?『『え~?』』
『どういうこと~?』
ちびっ子たちもびっくり!
〖どうやら主神とシアが頑張ってくれたみたいね。サーヤ、主神とシアがね、サーヤとおばあちゃんとの思い出の品が残ってないか探してくれたみたい。少ないけどごめんねって〗
ジーニ様も驚いた。主神とシアが、少しでもサーヤを喜ばせたくて努力してくれたのだと理解しているが、それがどんなに大変か理解しているからだ。
「ありがちょう!くましゃん、しゅごくうれちい!」
サーヤはくまさんをギュッと抱きしめている。
主神、シア、サーヤはとても喜んでるわよ。良かったわね。
〖そう。良かった。今日からその子と一緒に寝られるわね〗
「あい!」にこにこ
〖じゃあ、このパジャマに着替えて寝ましょうね〗
「あい!いっちょにねんねね~」
と、ぬいぐるみに話かけている。
『じゃあ、私が着替えさせてベッドに寝かせてきますね』
〖お願いね、フゥ。サーヤ、お休みなさい〗
「あい!おやしゅみなしゃい!!」
『お休み』
『またあしたね~』
ぴゅきゅ『おやしゅみ~』
みんなで手を振って送ります。ドアが締まりサーヤが見えなくなると、みんながジーニ様を見ます。
『それで、ジーニ様。手紙には他に何が?』
アルコン様が切り出した。
そして、みんながジーニ様を注目する中、ジーニ様は弱々しく笑顔を見せる。
〖このバッグに入っているのは主神とシアが用意した最低限の衣服よ。それから、ある人のお陰でサーヤとおばあちゃんの思い出の品をいくつか回収できたらしいの。それをこのバッグにまとめて入れてくれたみたいなんだけど〗
そう言ってバッグを見せる。
『それはマジックバッグですね』
ギン様がバッグから魔力を感じて尋ねる。
〖ええ。そしてもうひとつ。まだこちらには何も入ってないわ。これもサーヤが使っていたものだそうよ。マジックバッグに変えてあるけどね〗
そう言って、もうひとつのちいさなバッグを見せる。
『それで?』
ジーニ様のなんとも言えない表情を見て、先を促すアルコン様。きっと、誰かがそうしなければジーニ様は中々話出せなかっただろう。
〖…こちらのバッグの中にはね、おばあちゃんが残した写真や日記、サーヤに当てた手紙なんかもあるみたいなの。それ以外も愛用してたものとかね〗
ジーニ様の思いがけない言葉に、みんなが息を飲む。
『手紙ですか?サーヤの祖母の?』
ギン様がなんとか声に出すと…
〖そうよ。どうしたって自分の方が先に逝くんだからと、サーヤが誕生日に読めるように二十歳までの手紙を書いていたみたい。あと日記はけっこう色々書いてあるみたいでね。主神とシアがサーヤに見せられるもの、そうでないものを見極めてほしいと言ってるわ〗
ジーニ様はバッグを撫でながら切なそうに言う。覚悟はしていてもまだまだその時は先だと思っていたろうに。さぞ無念だっただろうと…
『それは、サーヤに見せたら苦しむかもしれない物も入っているってことぉ?』
精霊樹の精様が、そんなジーニ様の肩にそっと手を置く。
〖ええ。少なくとも今はまだ見せない方がいい物があるようね。見せられそうな物でもどういう反応をするか分からないから、まずはさっきのくまのぬいぐるみと、パジャマを渡したみたい〗
ジーニ様が少し悲しげに微笑む。
『え?でもパジャマには反応しなかったですよ?』
クゥが先程のサーヤを思い出して言う。サーヤはぬいぐるみにだけ反応していた。
〖まだ存在を知らなかったのよ。おばあちゃんが新しく縫っていたのね。それに主神が自動サイズ調整と自動修復を付与したみたい。いつか教えてあげましょう〗
『サーヤのおばあちゃんの手縫い…』
クゥも何とも言えない顔をしている。きっとおばあちゃんはサーヤが喜ぶ顔を自分で見たかったはず。見られると思っていたはず。
『それじゃ、私がフゥと交代してくるわぁ。中身の選別、私よりフゥの方がいいでしょ?最初からずっと一緒にいたのはフゥとクゥだものぉ』
ぽんぽんとジーニ様の肩を優しく叩いて精霊樹の精様が言うと
ぴゅい『わたちも!』
きゅい『ぼくも!』
双子が自分たちだってサーヤと最初から一緒だったと訴えてきた。
『ごめんなさい。そうだったわねぇ。モモ、スイ、私の分もお願いねぇ』
きゅいぴゅい『『わかったー』』
精霊樹の精様がそう頼むと双子がまかせて!と胸を張って応える。
『それじゃ、行ってくるわぁ』
〖悪いわね。お願い〗
『まかせてぇ~』
そう言って、精霊樹の精様はドアの向こうに消えていった。
コンコンコン
『フゥ?』
ドアの隙間から精霊樹の精様が寝室を覗くと
『どうぞ』
フゥの少し沈んだ声が聞こえ、中に入る。
『サーヤの様子はどう?』
フゥのこの沈みようだと何かあったのは確実だと思うけど
『それが、パジャマに着替えさせるまで上機嫌だったんですけど、着替えた途端に泣き出してしまって…』
フゥまで泣きそうになっている。いえ、もしかしたら泣いていたのかもしれないわね。
『…そう。理由を言っていたかしらぁ?』
『おばあちゃんの匂いがするって…』
サーヤの髪を撫でながらフゥが話す。
『そう。今は眠っているのねぇ』
良かった。確かに目尻に涙が光っているけど、ぬいぐるみを抱きしめて寝ている。
『はい。最後は「おばあちゃんと一緒」って泣きながら笑ってましたけど、くまさんも抱きしめて寝ちゃいました』
クスッと笑いながらフゥが言う。
『そう…分かったわぁ。フゥ、ここは私が交代するからみんなのところに行って、今の話をしてくれる?みんな待ってるわ』
『え?』
フゥがびっくりしている。
『理由は向こうで教えてくれるわ。さあ、行ってぇ』
戸惑うフゥを急かせる。
『は、はい。分かりました。では、サーヤをよろしくお願いします』
『ええ。まかせてぇ』
フゥは戸惑いながらも精霊樹の精様に一礼してみんなの元へ向かった。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読み頂きありがとうございます。お気に入り登録、感想など励みになっております。ありがとうございます。
ここから数話、少々シリアスが続きます。お付き合い下さい。
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