小さな小さな花うさぎさん達に誘われて、異世界で今度こそ楽しく生きます!もふもふも来た!

ひより のどか

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ある日の中秋の名月日記 番外編

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聖一朗様をご先祖に持つ、神代家。コテコテの日本家屋にお着物で暮らすこの家に、日本にある行事をしないわけがない。
そして、今宵は中秋の名月!お月見です!

朝からママと家妖精さん達が
『ススキ持ってきたですーっ』
『その花瓶にいけるです~』
『三方持ってきたですーっ』
『そこ置いてですーっ』
『お月見団子いまつくってるですー』

とっても忙しそうです。

「あう~」
お手伝いしたいけど、みんな凄い速さで動いてるから邪魔になりそうです。

『ふふ。驚いてるね。すごいだろ?こちらにおいで』
『ぱぱ、まぁまっ』
『一緒にお団子丸めましょ』
いいの?
「あい!」
やりたいやりたい!

『この床の間に供えるお団子だけはね、毎年私たちが丸めるんだよ』
『あんこは好きかしら?』
「あい。だいしゅき!」

『初代様が餡子入りがお好きだったみたいでね、色々作るのだけど、ここのは餡子を入れるんだよ』
『他の味のお団子は、今、家妖精たちが作ってるはずよ』
「ほぉ~しょっか~」
色んなのがあるの?嬉しいな

『夜になったら縁側でお月見だよ』
『お団子だけ食べちゃダメよ。ママが張り切って美味しいご飯作ってくれてるはずだからね』
「あ~い!」
おててあげてお返事です!

『いい返事だな』なでなで
『いい子ね~』なでなで
「えへへ~」
やった~
『じゃあ、丸めましょ~』
「あい!」
『じゃあ、この生地にあんこ乗せてな』
「あい!」ぼん!
『ふふ。それは欲張りすぎね。この位よ』
「あう~」
半分なっちゃった
『いや、三分の一だな』くくっ
『そう。まあるくね』
『はは、なんかはみ出てるな』
「ぷー」
手が小さいから上手くいかないんだよ~
『いいじゃない。このくらい。ね?』
『ふ、味は変わらないしな』
「あい」
そんな感じで丸めて丸めて

『ええと、一番下が三×三で九個、二段目が二×二で四個、一番上は一個だっけ?二個だっけ?』
『あら?どっちだったかしら』
「うう?」
知らな~い

すーっ
『二個だよ』
「あ、ままっ」
『あ、そうだった。こうだな』
『じゃあ、床の間に、ええと』
『縦に見えるように置くんだよ』
『ありがとう』
「ほえ~」
色々あるんだね

『ふふ。嬢ちゃんも手伝ってくれたんだね。楽しかったかい?』
「あい!たのちかっちゃ!」
『そうかい。良かったねぇ。それじゃ、手を洗って着替えようかね』
「う?」
『せっかくのお月見だからね。みんなで着物をお揃いにしようと思ってさ。神樹の精様も着るだろ?お揃い』ニッ
『お揃い?私も?仕立ててくれたの?』
『ああ。この子と初めてのお月見だからね』
『ん?皆とは私もかい?』
『そうだよ。大丈夫さ。みんなで赤い着物だよ』にっ
「わ~い!」
『赤!?それは私には⋯』ごにょごにょ
『なんだい?お揃いは嫌なのかい?』にやにや
「ぱぱ、おしょろい、や?」うるうる
『そ、そんなことないさ!嬉しいな、お揃い!』あせあせっ
「ほんちょ?」ぐしっ
『ああ、ほんとだよ』必死!
「やっちゃあ」にぱあ
『あはは』
良かった、泣かないでくれて

『ぷっ』
『もう、ママってば、赤じゃないんでしょ、本当は』
『いや?赤は赤だよ。本当はもっとこの子に合わせた牡丹の花みたいな赤にしたかったんだけどね』
『あら、そうなの?』
『ああ、でも流石に主が可哀想だから、少し大人っぽいが臙脂にしたんだよ』
『なるほどね』

『ママ、そうならそうと言ってくれよ』
『やだよ。つまらないじゃないか』ふふんっ
「にゅかよちっ」にぱあ

そんな訳で
〖いや~僕まで呼んでくれてありがとう。この着物も嬉しいな〗
「おしょろい♪」
〖だね~♪嬉しいな♪〗
クルクル回って見せっこ!

『さあさ、みんな揃ったところで、乾杯といこうか。もちろんちびっこは麦茶だよ!』
「あい!」
『ぴよ~(ぼくもちびっこ?)』
『なかまですーっ』
『花うさぎさんと妖精さんもですーっ』
『『『⋯ありがとう』』』
『『『⋯』』』ぱたぱた♪

『では、乾杯!』
「かんぱーい」
〖『『乾杯!』』〗チンっ

『お団子おいしいかい?』
「あい!」
『そうかい。たくさんお食べ』
「あい!」
今度はゴマあんにしようかな?これだっけかな?
あ~んっ

『ん?わあっダメだよ!』
「うに?」
『『『あーっ』』』
『『『花うさぎさんですーっ』』』

「ふえ?」
花うさぎさん?
持ってたお団子よく見ると
『⋯いやん』ぽっ
「うきゃーっ」ぽいっ
『⋯あ~れ~』ぽーんっ
「ふあっ」
『『ああっ』』
『ありゃ~』
投げた!飛んだ!

〖よっと〗ぽすっ
『⋯ナイスキャッチ』
〖ふふ。それはどうも〗
ポイッとされた花うさぎさん、神様にキャッチされました!

「ふえ~」
良かった
『『ほんとに(食べられなくて)』』
『ぴよ~(でもなんで~?)』
たしかに

『あっ!あんたたち、何してんだい!食べられても仕方ないよ!』
ん?ママの声がして三方を見ると

「ありゃ?」
『ぴよ~?(あれ~?)』
『お団子増えてるです?』
『お団子食べたはずです?』
『あれ?お団子なんだかふわふわです?』
『あっ花うさぎさんです!』

「ほえ?」
『『あっ!』』
〖あはははは〗

花うさぎさんがきちんとお団子みたいに重なってます。
『何やってんだい?あんたら』はあっ
くるーっとママが三方を半周させると、可愛い花うさぎさんの、お花のしっぽが並んでます。

『⋯食べちゃって』
『⋯寂しかったから』
『⋯代わりに乗ってみた』
『⋯なかなかの出来』
わあ、満足気だ~

『はあ、紛らわしいからやめとくれ。今度はほんとに食べちまうよ』
『⋯残念』
『⋯ここから月見る』
『⋯おつだったのに』

そういう問題じゃないけど、たしかに

〖絵になってるね~〗
「あい」
お月様に、ススキに、お団子もどきの花うさぎさん
「おにあい♪」
『たしかに』くすくす
『あんまり、びっくりさせないでよ』
『まったく、みんな甘いねぇ』

異世界に来て初めてのお月見は、びっくりしたこともあったけど、とっても楽しかったです。

☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございます。初の番外編です。あ名前もまだなのに、アハハ
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