上 下
51 / 93

51 お目覚め

しおりを挟む
白騎士さんたちの絶叫で

「ふわあぁ~」くしくし

眠ってた女の子が起きてしまいました。

『起きちゃったんだね。まだ早いからもう少し寝ていても大丈夫だよ』
セイジュウロウ様が女の子の頭を優しく撫でると
「ふぎゅ~おきゆぅ」くしくし
女の子は起きると言います。
『そう?無理しないでね。じゃあ、みんなのとこ行こうか?』
「あい。だっこ~」んん~
女の子は、目はまだ半分閉じて頭をふらふら揺らしながら、抱っこをねだって両手を伸ばしてきます。
『ふふ。いいよ。おいで』
「あい」
ふわり
『おはよう。どこか痛かったりしないかい?』
「おあよーごじゃいましゅ。らいじょーぶれしゅ」こて。すりすり⋯
『そう。良かった』
 起きるといいながら、抱っこされた温もりにほっとしたのか、セイジュウロウ様の肩に顔を擦り付けている。ちょうどいい場所を探してるようだ。
『ふふ⋯』
 セイジュウロウ様が女の子と元の部屋に異動すると、一緒にいたピヨ助と花うさぎと妖精達もついてきた。

『おやおや、まだ半分寝てるねぇ。おはようさん、気分はどうだい?』
「おあよーごじゃいましゅ。ん~?ぼー?」
『ぼー?』
『ぼーっとしてるって言いたいのかな?』
「あい。ぼー」
『そうかい。じゃあ、顔洗いに行くかい?お水も飲もうかね』
「あい⋯」んん~
『ふふ。抱っこかい?いいよ。おいで』
「あい⋯」
セイジュウロウ様の腕からママへバトンタッチ
『おやおや、もう行っちゃうのかい?浮気者だね』くすくす
「あい⋯まま、やらかい。ぱぱ、あちょでね」ばいばい

『『え?』』
『パパ?』
ママは分かるけど、今、パパって?

〖ふふ。行っておいで。でも、早く帰ってきてね〗
「あい。ぱぁぱ」ばいばい

『『『ぱぁぱ!?』』』

〖ママ、よろしくね〗にこっ
『あ、ああ。そうだね。行こうかね』
『あ、待って!私も一緒に行くわ!』
「あい。まぁま、いっちょ」
『まぁまっ!?そ、そうね、行きましょうね』どきっ

みんな、驚きながらそれぞれ何とか動き出した。神様だけは何か知っているようだ。というより⋯

『神様、貴方、何かしましたね?』じとぉ
セイジュウロウ様が神様に詰め寄る

〖ふふ。やだなぁ。だってみんなであの子のお父さんお母さんになるって言ったじゃないか。忘れちゃったのかな?〗くすくす
神様は楽しそうに返します。そりゃ言ったけども

『あの子は私たちと血が繋がってると思っているのですか?』
〖いや、それはないよ。ここに来てからの記憶はあるからね。無くなったのは前の世界の記憶だけさ〗
『そうですか。でも、なんですか、あの、ぱ、ぱぁぱと、まぁまって言うのはっ』
〖ふふ。かぁわいいでしょ?だって、みんなしてパパとママじゃ紛らわしいでしょ?〗
『お父さんお母さんでもいいじゃないですか』ぶすっ
〖えええ?だって、ぼくだってパパって呼んで欲しかったんだもん♪いいでしょ?ぱぁぱって♪〗ふふふ
『うぐぐ』 
〖ふふ、ぱぁぱって呼ばれたかった?〗にやにや
『ちがっ!⋯はぁぁ、わかりましたよ。そういう方ですよね。貴方は⋯』
〖うふふ〗
セイジュウロウ様は諦めた⋯

ぱたぱたぱたぱたっ

『ん?』
〖おや、戻って来たかな?〗

『これ、廊下は走るんじゃないよ』
『待って待って、えっと、早くお名前つけなきゃ』
『そうだねぇ』
「きゃはは♪ぱぱーっ!ぱぁぱーっ!」
どうやら顔を洗って目を覚ました女の子が戻ってきたようだが、さっそくママたちを困らせてるようだ

ばたばたばたばたっ

『おや?』
〖あれ?〗
障子に映った小さい影が通り過ぎた?セイジュウロウ様と神様は顔を見合せてから、障子を開けて覗くと

『嬢ちゃんっお待ちよ』
『お部屋通り過ぎちゃったわよ~』
ぱたぱた
ママたちが走らないけど急ぎ足で追いかけてきた

「う?」
きゅきゅきゅーっ  つるんっ
「うきゅ?」ふっ

『『あっ』』
〖『うわっ』〗
しゅぱっ

「ふお?」
『『危ないっ』』
〖『あ?』〗

もっふ~んっもふんっ

「ふおぉ~?」
ぽよんぽよんのもふんっ
「ふあああっもふもふっ」むきゅ
『ぴゅい~ぴよぴよ(間に合った~だめでしょ、気をつけなきゃ)』
「あい。ごめんなちゃい」ぺこ
ピヨ助すごい!瞬時に飛び出して、女の子の下に入って助けた!

『『はぁぁ~』』
〖ピヨ助偉いね〗
『助かったよ』

『ぴよっ(まかせて~)』えっへん!

急ブレーキ、家妖精たちがピッカピカツルツルに磨き上げられた廊下でそんなことしたら、滑って宙に浮くよね?ピヨ助のもふもふクッションのおかげで怪我もなくて良かった。

〖さぁさ、お部屋はこっちだよ〗ひょい
「や~んっぴよちゃんっもふもふ~」ぱたぱたっ
『ぴゅい~(あ~神様また取ったぁ)』
神様がひょいっと女の子を抱き上げると、もふもふを堪能してた女の子と、もふもふで虜にしていたピヨ助からクレームがっ

〖ええ~ピヨ助はずっと一緒にいられるけど、僕はいられないんだから許してよ~。ね?〗
「ふにゅう~ちかたにゃい」
『ぴよ~(じゃあ、こうしよう!)』
しゅるしゅるしゅる
『ぴよ~(この大きさならだっこしてもらえるよね)』ぴょんっ
「ふお~もふもふっ」すりすり
〖そう来たか~〗
ピヨ助が女の子が抱っこできるくらいちっちゃくなりました。抱きしめ放題、頬ずりし放題!

そして、皆さんお忘れのようですが⋯
『あ、あの、皆様、いつの間にお子様が?』
『どなたのお子様ですか?』
『それに、その鳥も?』
目をこれでもかと見開いて聞く白騎士さんたちが。

〖あ、忘れてた〗
『『『うん』』』

『『『ひどいですっ』』』

やっぱり忘れ去られてました。

☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございます。2日も空けてすみませんでした。お待ちいただきありがとうございます。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スキルポイントが無限で全振りしても余るため、他に使ってみます

銀狐
ファンタジー
病気で17歳という若さで亡くなってしまった橘 勇輝。 死んだ際に3つの能力を手に入れ、別の世界に行けることになった。 そこで手に入れた能力でスキルポイントを無限にできる。 そのため、いろいろなスキルをカンストさせてみようと思いました。 ※10万文字が超えそうなので、長編にしました。

転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました

ひより のどか
ファンタジー
ただいま女神様に『行ってらっしゃ~い』と、突き落とされ空を落下中の幼女(2歳)です。お腹には可愛いピンクと水色の双子の赤ちゃんドラゴン抱えてます。どうしようと思っていたら妖精さんたちに助けてあげるから契約しようと誘われました。転生初日に一気に妖精さんと赤ちゃんドラゴンと家族になりました。これからまだまだ仲間を増やしてスローライフするぞー!もふもふとも仲良くなるぞー! 初めて小説書いてます。完全な見切り発進です。基本ほのぼのを目指してます。生暖かい目で見て貰えらると嬉しいです。 ※主人公、赤ちゃん言葉強めです。通訳役が少ない初めの数話ですが、少しルビを振りました。 ※なろう様と、ツギクル様でも投稿始めました。よろしくお願い致します。 ※カクヨム様と、ノベルアップ様とでも、投稿始めました。よろしくお願いしますm(_ _)m

異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!

マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です 病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。 ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。 「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」 異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。 「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」 ―――異世界と健康への不安が募りつつ 憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか? 魔法に魔物、お貴族様。 夢と現実の狭間のような日々の中で、 転生者サラが自身の夢を叶えるために 新ニコルとして我が道をつきすすむ! 『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』 ※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。 ※非現実色強めな内容です。 ※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

小さいぼくは最強魔術師一族!目指せ!もふもふスローライフ!

ひより のどか
ファンタジー
ねぇたまと、妹と、もふもふな家族と幸せに暮らしていたフィリー。そんな日常が崩れ去った。 一見、まだ小さな子どもたち。実は国が支配したがる程の大きな力を持っていて? 主人公フィリーは、実は違う世界で生きた記憶を持っていて?前世の記憶を活かして魔法の世界で代活躍? 「ねぇたまたちは、ぼくがまもりゅのら!」 『わふっ』 もふもふな家族も一緒にたくましく楽しく生きてくぞ!

めんどくさがり屋の異世界転生〜自由に生きる〜

ゆずゆ
ファンタジー
※ 話の前半を間違えて消してしまいました 誠に申し訳ございません。 —————————————————   前世100歳にして幸せに生涯を遂げた女性がいた。 名前は山梨 花。 他人に話したことはなかったが、もし亡くなったら剣と魔法の世界に転生したいなと夢見ていた。もちろん前世の記憶持ちのままで。 動くがめんどくさい時は、魔法で移動したいなとか、 転移魔法とか使えたらもっと寝れるのに、 休みの前の日に時間止めたいなと考えていた。 それは物心ついた時から生涯を終えるまで。 このお話はめんどくさがり屋で夢見がちな女性が夢の異世界転生をして生きていくお話。 ————————————————— 最後まで読んでくださりありがとうございました!!  

転生少女の異世界のんびり生活 ~飯屋の娘は、おいしいごはんを食べてほしい~

明里 和樹
ファンタジー
日本人として生きた記憶を持つ、とあるご飯屋さんの娘デリシャ。この中世ヨーロッパ風ファンタジーな異世界で、なんとかおいしいごはんを作ろうとがんばる、そんな彼女のほのぼのとした日常のお話。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

処理中です...