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12 自由になっていいんだよ
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本日2話目です。明日からしばらく夕方のみ更新です。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
日本の神様のキャンペーンに、私は少し貢献出来たらしい。
私が死んだのも多少は意味があったようで良かった。のかな?
まあ、あの世界にいても、家族はあんなだし、友達はいないし、なんの救いも楽しみもなかったから、正直、あんなところに戻れなくてほっとしている。
あれ?さっき神様が、私は死んでないって言ってたよね?そうだよ、私、これからどうなるんだろ?
この世界のこと何も知らないし、お金もないし、どうやって暮らせと?
いきなりやって来た現実感に一気に青ざめる。
〖あ、それは大丈夫。私の信頼出来る者たちに頼むから。そもそも謝らないといけないことの一つがそれでね?本当はその人物の元に転移させるはずだったのに、色々とハプニングが重なって焦っちゃってね?少~し失敗して座標がズレちゃったんだよ〗
え?まさか、そのせいで
『なんだか分からない動物に追いかけられて、初めての森をたくさん歩かされたと?』じと~
〖ごめんなさいっ〗ごっ!
そのまさかだった⋯
『ええ~』
じゃあ、私は本来味あわなくていい恐怖を味わった、と?
〖うぅ⋯その通りです。あれは森ウルフ、動物ではなく、魔物ですね〗
『魔物⋯』
動物とは違う?
〖そう。この世界のものたちはね、みんな魔力を持ってるんだよ。魔物と呼ばれるものは魔法を使ってきたりするから気をつけてね。解体すれば素材や魔石を売ることもできるし、自分たちで魔道具にして使ったりもできるよ〗
『へ~流石異世界。ファンタジーですね~もしかして薬草とかも?』
薬草採取とか、ポーションとか、ファンタジーの定番だよね!
〖うん。あるよ。実は君の保護をお願いした人物はね、薬師なんだ。だから興味があるなら教えてもらうといいよ〗にこ
『本当ですか?わあっ私、土いじり大好きなんです!でも、家じゃ出来なくて、近所の優しいおじいさんがお庭の一角でお野菜を育てさせてくれてたんですけど』
向こうの世界でただ一人、優しかったおじいさんも、先日亡くなってしまった。だから、本当に私には向こうの世界に未練はないんだよね。
〖お野菜か~家庭菜園もやってたはずだから、手伝わせてもらったらいいよ〗
『はい!嬉しい!お願いしてみますね!あ、でも、まだご挨拶だってしてないのに図々しいですよね』
私みたいなダメな子、いらないって言われるかもしれないし⋯そうしたらどうしようかな。
月野雫⋯私は名前通り、月の明かりから雫のようにこぼれ落ちた、落ちこぼれ。月の明かりは、名前の通り、姉の明にだけ当たっていた。
〖大丈夫。君を頼んだのはとっても頼りになる人物だよ。きっと君を大事にしてくれるよ。それからね?〗
すっ
『え?』
よしよし
頭、撫でられてる?
〖君は全然ダメなんかじゃないよ。言ったでしょう?君の魂はとても美しいよ。日本の神様も綺麗な魂だって仰っていたのを伝えたでしょう?〗
『あ⋯』
でも⋯
〖あのね?君はいい子だよ。君は周りの者たちにダメな子だと思い込まされていただけなんだよ。今なら君が耐えてきた環境がどれだけ歪なものだったか分かるでしょう?君を殺すような家族が正しいわけが無いよね?〗
なでなで
『⋯っ』
確かにそうだ。私はいつの間にかそれが当然だと受け入れて⋯ううん。諦めてしまっていたんだ⋯
ボロっ
あれ?水?
〖⋯泣いていいんだよ。今までよく耐えてきたね。この世界ではもう何も我慢しなくていいんだよ。自由になっていいんだよ〗よしよし
『⋯っ』
私、泣いてる?今までどんなに酷い目にあっても、辛くても泣かずに来たのに⋯
〖大丈夫。思い切り泣きなさい〗ぽんぽん
『⋯⋯ふぅぅっ』
ぼろぼろぼろ
〖⋯大丈夫、大丈夫〗ぽんぽん
『⋯うわあああんっ』
〖⋯〗ぽんぽん
私はいつの間にか神様の胸にすがりついて泣いていた。まるで赤ちゃんみたいに⋯
どれだけの時間、泣いていたのか⋯赤ちゃんの様に泣いていた私は⋯
『⋯ほえ?』
本当に小さくなっていた⋯
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございます。
お気に入り登録、感想、エールもありがとうございます。励みになります。
『転生初日に~』『転生したおばあちゃん~』もよろしくお願いします。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
日本の神様のキャンペーンに、私は少し貢献出来たらしい。
私が死んだのも多少は意味があったようで良かった。のかな?
まあ、あの世界にいても、家族はあんなだし、友達はいないし、なんの救いも楽しみもなかったから、正直、あんなところに戻れなくてほっとしている。
あれ?さっき神様が、私は死んでないって言ってたよね?そうだよ、私、これからどうなるんだろ?
この世界のこと何も知らないし、お金もないし、どうやって暮らせと?
いきなりやって来た現実感に一気に青ざめる。
〖あ、それは大丈夫。私の信頼出来る者たちに頼むから。そもそも謝らないといけないことの一つがそれでね?本当はその人物の元に転移させるはずだったのに、色々とハプニングが重なって焦っちゃってね?少~し失敗して座標がズレちゃったんだよ〗
え?まさか、そのせいで
『なんだか分からない動物に追いかけられて、初めての森をたくさん歩かされたと?』じと~
〖ごめんなさいっ〗ごっ!
そのまさかだった⋯
『ええ~』
じゃあ、私は本来味あわなくていい恐怖を味わった、と?
〖うぅ⋯その通りです。あれは森ウルフ、動物ではなく、魔物ですね〗
『魔物⋯』
動物とは違う?
〖そう。この世界のものたちはね、みんな魔力を持ってるんだよ。魔物と呼ばれるものは魔法を使ってきたりするから気をつけてね。解体すれば素材や魔石を売ることもできるし、自分たちで魔道具にして使ったりもできるよ〗
『へ~流石異世界。ファンタジーですね~もしかして薬草とかも?』
薬草採取とか、ポーションとか、ファンタジーの定番だよね!
〖うん。あるよ。実は君の保護をお願いした人物はね、薬師なんだ。だから興味があるなら教えてもらうといいよ〗にこ
『本当ですか?わあっ私、土いじり大好きなんです!でも、家じゃ出来なくて、近所の優しいおじいさんがお庭の一角でお野菜を育てさせてくれてたんですけど』
向こうの世界でただ一人、優しかったおじいさんも、先日亡くなってしまった。だから、本当に私には向こうの世界に未練はないんだよね。
〖お野菜か~家庭菜園もやってたはずだから、手伝わせてもらったらいいよ〗
『はい!嬉しい!お願いしてみますね!あ、でも、まだご挨拶だってしてないのに図々しいですよね』
私みたいなダメな子、いらないって言われるかもしれないし⋯そうしたらどうしようかな。
月野雫⋯私は名前通り、月の明かりから雫のようにこぼれ落ちた、落ちこぼれ。月の明かりは、名前の通り、姉の明にだけ当たっていた。
〖大丈夫。君を頼んだのはとっても頼りになる人物だよ。きっと君を大事にしてくれるよ。それからね?〗
すっ
『え?』
よしよし
頭、撫でられてる?
〖君は全然ダメなんかじゃないよ。言ったでしょう?君の魂はとても美しいよ。日本の神様も綺麗な魂だって仰っていたのを伝えたでしょう?〗
『あ⋯』
でも⋯
〖あのね?君はいい子だよ。君は周りの者たちにダメな子だと思い込まされていただけなんだよ。今なら君が耐えてきた環境がどれだけ歪なものだったか分かるでしょう?君を殺すような家族が正しいわけが無いよね?〗
なでなで
『⋯っ』
確かにそうだ。私はいつの間にかそれが当然だと受け入れて⋯ううん。諦めてしまっていたんだ⋯
ボロっ
あれ?水?
〖⋯泣いていいんだよ。今までよく耐えてきたね。この世界ではもう何も我慢しなくていいんだよ。自由になっていいんだよ〗よしよし
『⋯っ』
私、泣いてる?今までどんなに酷い目にあっても、辛くても泣かずに来たのに⋯
〖大丈夫。思い切り泣きなさい〗ぽんぽん
『⋯⋯ふぅぅっ』
ぼろぼろぼろ
〖⋯大丈夫、大丈夫〗ぽんぽん
『⋯うわあああんっ』
〖⋯〗ぽんぽん
私はいつの間にか神様の胸にすがりついて泣いていた。まるで赤ちゃんみたいに⋯
どれだけの時間、泣いていたのか⋯赤ちゃんの様に泣いていた私は⋯
『⋯ほえ?』
本当に小さくなっていた⋯
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