89 / 90
82 緊急会議?
しおりを挟む
〖ええ~お集まりの皆様、只今より緊急会議を開催致しま~す。あ、料理長、僕には甘いお茶お願~い。ほら、フルーツ入ってる冷たいやつね~〗
『料理長、妾も同じものをお願いするのじゃ』
〖私のケーキ大きくね♪〗
〖お母様、意地汚いですよ。あ、私は桃が載ってるのお願いします〗
『へいへい』とぽぽぽかちゃかちゃ
〖なあなあ、この茶に入ってる果物は食っちゃダメなのか?〗
〖食べていいと思いますよ?〗
緊急会議?会議ってこんなに緩いものなのだろうか?しかも緊急なのでは?と、この場に同席しているエルフ夫妻は首を傾げている。
『考えたら負けだぜ。まあ、食え!美味いぞ!』ニカッ
『『あ、ありがとうございます』』
『『はい!いただきます!⋯⋯おいし~い♪』』
『そうだろそうだろ。美味そうに食うな!おかわりもあるから遠慮なく食うんだぞ!』
『『はい!』』
そんなエルフさんたちに、いつもの事だと慣れっこの料理長がエルフたちにも同じものを給仕している。
そして、エルフ姉妹はおいしそうだと思っていたものが目の前に出されて飛びついている。そんな娘たちを見て自分たちもようやく食べ始めると、途端に美味しいと顔を綻ばせていた。
〖それでね~今日の議題なんだけどね~?あ、料理長~おかわりお願~い。僕、さっきは橘のチーズケーキだったから、今度は仙桃のタルトがいいな~。料理長も食べてね~。それで今日の議題だったね~〗
『主神様、話すか食うかどっちかにしろよ』カチャカチャ
〖まあまあ、だってさ、すっごくおいしいんだから仕方ないよね?〗
『なら仕方ないな』
仕方ないんだ⋯⋯
〖それでね~。エルフさんたちをとりあえず早く聖域に送って、名前をつけてもらおうと思ってね~。明日にでもどうかな~?〗
『『『『明日!?』』』』
〖そうだよ~早い方がいいでしょ~?〗ぱくぱくごくごく
『『『『ええぇ~?』』』』
展開が早すぎてついていけないエルフさんたち。聖域にいつか行くことは分かっていた。でもいきなり明日!?確かにこれはある意味緊急だ!
〖そうだな。武神としての意見としても、はやいとこ名前効果で強くなってくれりゃ、鍛えがいがあるってなもんだしな〗
『怪我のリスクも減るもんな。っていうか、この主はきっと手加減がめんどくせぇんだぜ』
〖龍、いい度胸だな?あとで揉んでやる〗
『おう!返り討ちにしてやるぜ』
〖はいはい。誰かさんたちのお陰でまだ修理中だから却下ね~〗にこにこ
〖主神、正確には修理中ではなく、建て直し中ですよ〗にこにこ
〖あ、そうだったね~。ごめ~ん〗にこにこ
〖うぐっ〗
『お前のせいだぞ武神!』ぺしぺし
武神様、この間盛大に鍛錬場を破壊したものだから、直しまくってる主神様と工芸神様がとっても黒い笑顔で釘を刺してます。
『⋯⋯』もくもく
あれは私の関係ない⋯⋯はずよね
〖レイさん?〗にこにこ
〖自重なさってくださいね?〗にこにこ
『⋯⋯はい』
関係ないわけないよね~
『こほん。まあ、レイも武神様も自重と反省を覚えて頂くとしてじゃ。衣装や防具を担当する妾としても、やはりぴったりと合うものを作りたいからの。賛成じゃ』
〖そうですね。サイズに関しては自動調整を付けますが、デザインや色味はやはり最高に美しくしたいですからね。名前をつけてもらって変化してからの方が良いでしょうね〗
『⋯⋯』ピクっ
ぴったり、美しく⋯⋯
『ヒイッ』びくうっ
『レイ、自重⋯⋯であろ?』にっこり
『はい⋯⋯』
『ううっ』びくびく
天界樹様と工芸神様の言葉に反応したレイさんに、エルフの奥様が震え上がってます。かわいそうに⋯⋯。
天界樹様がこちらも釘を刺してくれたからね。
〖じゃあ決まりだね~。明日出発ね。あ、でも~明日は何だか聖域の体力測定?とかいうのやるんだって~。それが終わってからがいいかな?バートと医神ちゃんが妙に張り切ってたから~、もしかしたら愛し子たち疲れきってるかも~。ちびっこたちが眠ってからがいいかな~〗
〖よりによってその二人なの!?〗ヒクヒク
〖そうなんだよ。不安だよね~〗
〖不安しかないわよ!〗
〖だよね~あはは~〗
主神様、魔神様、当たりだよ。
『ふむ。なれば妾の果樹や作物が役立ちそうじゃのぉ』
『それを使って俺が料理すれば更に最強じゃねぇか?』
『ほほ。そうじゃな』
『はいはい!私も手伝うわ!疲れてるなら薬膳!薬膳はお料理だけじゃないのよ!デザートも作るわ!』
『レイ、じゃから自重⋯⋯ん?』
『これに関しちゃしなくていいんじゃねぇか?』
『そうじゃのぉ』
『やった!』
え?大丈夫?天界樹様と料理長、レイさんと関わりすぎて感覚麻痺してたりしない?
『もうすでにやらかしてるからの』
『今更だよな』
たしかに⋯⋯
〖それじゃあ、誰が連れていくかだけど~僕でいいよね〗
〖〖〖〖『『却下!』』〗〗〗〗ビシィッ!
〖なんで!?〗がーんっ
〖仕事たまってるでしょ!〗
〖後でやるから~〗
〖ダメよ!〗
〖そんな~じゃあ、魔神ちゃんもいかないよね?僕が逃げ出さないように見はらなきゃなんでしょ?〗
〖汚いわよ、主神〗ぐぎぎ
〖じゃあ、一緒に行く?〗
〖それはいいわね〗ころっ
〖お父様、宮殿の修繕が待ってますよ。あ、これは工芸神もですね。お母様も手伝われたらいかがですか?〗にんまり
〖うぐっ〗
〖娘に裏切られた!?〗
〖なっ!?私まで巻き込むとは⋯⋯〗ぐぬぬ
〖なんのことかしら?うふふ〗
今度は女神様が黒い⋯⋯
〖主神も魔神も何度も行ってるだろ!次は俺だ!〗
〖〖〖〖『『却下!』』〗〗〗〗
〖なんでだよ!?〗
〖行くのは夜だって僕、言ったでしょ~?〗
〖あんた絶対!愛し子に突進するでしょ!〗
〖かわいい愛し子を叩き起こすつもりですか?〗
〖他の子たちも起きてしまいますよ〗
『それでなくとも騒がしいのじゃ。夜になど考えられぬのじゃ』
『歩く騒音だもんな』
〖言いたい放題だな!龍!お前俺様の相棒だろ!何とか言ってやれよ!〗
『いや、全部真実だし?』
〖うおおおっ酷すぎる!敵ばっかりかよ!〗ぐおおおっ
それが既にうるさいんだよ。と、みんなが思っている。
『じゃあ、俺だよな!』ニカッ
〖〖〖〖〖『却下!!』〗〗〗〗〗
『なんでだよ?俺は静かにできるぞ!この筋肉は料理のためであって決して脳筋ではない!』
美味しい肉のためなら自分で肉を狩りに行く料理長。その腕は丸太のよう⋯⋯
〖料理長が行っちゃったら僕たちのご飯誰が作るのさ~?〗
〖そうよ!私たちのご飯大事よ!〗
〖俺たちの胃袋はお前さんの料理じゃなきゃ満足出来んからな〗
〖行くなら大量に食事をストックしてくれませんとね〗
『料理長、明日ではとてもじゃが間に合わぬじゃろうの』
〖何しろ皆さんよく食べますからね。お弟子さんだけではきっと大変ですよね〗
『うぐぐっ』
料理長、かわいそう⋯⋯
『それでは残るは妾だの。喜んで行かせてもらうのじゃ』ふふ
〖あら、天界樹、私もいるわよ〗
『む、そうであったな』
こうなると残りは天界樹様と女神様の一騎打ち!でもそこに
『ちょっと待ったぁ!』バン!
ここに来て横やりが
『な、なんじゃ、レイ』
〖もう、びっくりするじゃないですか〗
『茶をこぼすところじゃったぞ』
〖お茶が宙で止まってますね。グッジョブです。お母様〗グッ!
〖まっかせなさい!〗パチンっ
おお、逆再生のようにこぼれたお茶がグラスの中に戻っていきます。そう。テーブルにバンっと手をついて意義を唱えたのは愛し子のおばあちゃんであるレイさん。
『あらあらまあまあ、私としたことがごめんなさい。魔神様ありがとうございます』
〖いいのよ~〗ひらひら
手を振ってこれくらい宮を直すことに比べたらなんでもないわ~と、魔神様。そりゃそうだ。
〖それで、何がちょっと待ってなのかしら?エルフたちだけ聖域に送る訳にはいかないわよ〗
〖そうだね~。この二人だったら夜にお伺いしてもうるさくしないと思うよ~〗
〖そうですね。この二人なら例えうるさくなるような状況になっても魔法で対処するくらいの配慮はすると思いますよ〗
主神様、魔神様、工芸神様の比較的常識のある神様たちもこの二人なら止める理由はないよね?と思っている。
『分かってます。分かってますけど、そうじゃないの』ぷるぷる
〖〖〖そうじゃない?〗〗〗はて?
この場にいる皆んながナゼ?と首を傾げていると
『だってだって、天界樹様、私が孫に会えるまで一緒に我慢してくれるって約束したじゃないの~っ』
『あ』
〖〖〖〖〖『あ』〗〗〗〗〗
『そ、そういえば、そんなこともあったやもしれぬの?』たら~
嫌な汗が天界樹様の背中を伝う
〖言ってたかも~〗
〖言ってたわねぇ〗
〖で、でも、レイさん、今回の場合適任者がね?〗
〖そうだよな〗
〖ええ。仕方ないと思いますよ〗
『レイだって、疲れた孫が叩き起こされたら嫌だろ?』
自分が行きたがってた神様たちもレイさんの剣幕に、思わずみんなで天界樹様の擁護に⋯⋯
『そうだけど、そうだけど、天界樹様は私を裏切らないと思ってたのに~』うわぁんっ
レイさん、年甲斐もなく大泣き
『若返ったんだからいいのよ!』
いや、こんな時だけ⋯⋯
『わ、悪いとは思っているのじゃ。すまぬ、レイ。じゃがの⋯⋯』
『い~や~』えぐえぐ。がしぃっ
『ひいっ』
〖わあっレイさんが天界樹ちゃんにくっついちゃったよ!〗
『く、苦し⋯』ぎゅぎゅぎゅ~
腰が~
『ずるいわ~』ギリギリ
〖レイ!天界樹を離しなさい!〗ぎぎぎぎ
〖剥がれないわっ〗ぎぎぎぎ
〖おい!レイ!天界樹の中身が出ちまうぞ!〗
〖武神ちゃん怖いこと言わないで~〗
〖その前に骨が折れるのでは?粉々に〗
〖ひいっ工芸神ちゃんもやめて~〗
『おいレイっ、マジで天界樹死ぬぞ』
天界樹様、危ない!
『うぐぐっ、レ、レイ、聞いて欲しいのじゃ、悪いとは思うのじゃが、妾には行かねばならぬ理由がもうひとつあるのじゃっ』
なんとか話を聞いてもらおうと必死に声を出す天界樹様
『えぐえぐ、他の理由?』
『そ、そうじゃ、とにかく、一度⋯はな』がくうっ
もうダメじゃ⋯⋯無念
〖わああっ天界樹ちゃんが死んじゃったぁぁぁ~っ〗
〖死んでないわよ!まだ!〗
〖レイっとにかく離してくださいっ〗
〖神殺しは重罪だぞ!〗
〖拘束しますか?〗ピンッ
『工芸神様、そんな縄こいつなら引きちぎりますよっ』
『あ、あらあらまあまあ?ごめんなさい?』ぱっ
どさぁっ
〖天界樹ちゃ~んっしっかり~っ〗ゆさゆさっ
〖主神、落ち着きなさい!ヒール!〗
『ううっ⋯⋯』
〖良かった、顔色が戻りました〗ほっ
レイさん、どんだけ⋯⋯
『ごめんなさい。天界樹様』
とにかく、土下座で謝ろう
『いや、大丈夫じゃ。じゃが、次はないことを祈るのじゃ』
『すみません⋯⋯』
『こほん。と、とにかくじゃ、妾が聖域に行かねばならぬもうひとつの理由はの?』
『理由は?』
『精霊樹の精じゃ』
『へ?精霊樹の精様?』
〖〖〖〖『ああ~⋯⋯』〗〗〗〗
レイさんはポカンとしてるけど、神様たちは何だか分かったみたいです。
『彼奴は少々聖域でやりたい放題のようだしの?それに普段はふざけまくっておるくせに、肝心なことは言わぬようじゃからのぉ。少しばかり灸を据えてやらねばならぬ。そして、この役目は妾がせねばならぬのじゃ』ゆらゆら
『なぜ、天界樹様が?』
何だか天界樹様の後ろに黒いオーラが?
〖不思議ですか?精霊樹の精はね、天界樹が落とした種から生まれたのですよ〗
〖まあ、娘みたいなものよね〗
『妾は姉じゃ』
〖お姉様って呼ばせてるもんね〗
『当たり前じゃ』
うん。話を聞く限り母親よね?
『姉じゃ!さもなくばあの失礼極まりない精霊王ども、妾を『ばばあ』などと呼ぶのじゃぞ。そんなこと許すものか』ふるふる
『そ、そうよね。それはいけないわ』
女はいくつになっても女。ばばあなどと呼ばせてはいけないわ。それにしても、このお若く美しく見える天界樹様をよくそんな風に呼べるわね?
『とにかくじゃ、そういう訳で妾は彼奴の性根を叩き直さねばわならぬのじゃ!』めらめらめら
『あ、あらあらまあまあ』
天界樹様が燃えてるわ⋯⋯
〖ふふ。そんなわけだからさ、レイさん、他に適任者もいないわけだし、許してあげてよ〗
〖そうねぇ。そうだ、あなたも一緒に行きなさい。大丈夫だと思うけど、天界樹がやりすぎないように一応お目付け役としてね〗
〖はい。分かりましたわ、お母様。ふふ、役得ですね〗
『分かったわよぉ⋯⋯その代わり、孫がどんなだったかちゃんと教えてね』
『もちろんじゃ』
そんなわけで、誰が聖域に行くかようやく決定。
『ねえ、父様、母様、会議ってこんな感じなの?』もぐもぐ
『随分激しいんだね』ぱくぱく
『いや、そんなことは』
『ないはずよね?』
すっかり忘れられた存在のエルフさんたちは、この状況を眺めながらお茶を堪能していました。
そして⋯⋯
『やっぱりずるいわ~』うわぁんっ
『ええいっ離すのじゃレイっ』ずるずるずる
〖レイ⋯往生際が悪いわよ〗
出発する天界樹様にしがみついてズルズルと引きずられるレイさんがいたのでした。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読み頂きありがとうございます。先日更新したレイさんの孫が主役の『転生初日に~』の前日のお話になります。良かったらそちらもお読みいただけたら嬉しいです。
お気に入り登録、いいねや、エール、感想などもありがとうございます。
『料理長、妾も同じものをお願いするのじゃ』
〖私のケーキ大きくね♪〗
〖お母様、意地汚いですよ。あ、私は桃が載ってるのお願いします〗
『へいへい』とぽぽぽかちゃかちゃ
〖なあなあ、この茶に入ってる果物は食っちゃダメなのか?〗
〖食べていいと思いますよ?〗
緊急会議?会議ってこんなに緩いものなのだろうか?しかも緊急なのでは?と、この場に同席しているエルフ夫妻は首を傾げている。
『考えたら負けだぜ。まあ、食え!美味いぞ!』ニカッ
『『あ、ありがとうございます』』
『『はい!いただきます!⋯⋯おいし~い♪』』
『そうだろそうだろ。美味そうに食うな!おかわりもあるから遠慮なく食うんだぞ!』
『『はい!』』
そんなエルフさんたちに、いつもの事だと慣れっこの料理長がエルフたちにも同じものを給仕している。
そして、エルフ姉妹はおいしそうだと思っていたものが目の前に出されて飛びついている。そんな娘たちを見て自分たちもようやく食べ始めると、途端に美味しいと顔を綻ばせていた。
〖それでね~今日の議題なんだけどね~?あ、料理長~おかわりお願~い。僕、さっきは橘のチーズケーキだったから、今度は仙桃のタルトがいいな~。料理長も食べてね~。それで今日の議題だったね~〗
『主神様、話すか食うかどっちかにしろよ』カチャカチャ
〖まあまあ、だってさ、すっごくおいしいんだから仕方ないよね?〗
『なら仕方ないな』
仕方ないんだ⋯⋯
〖それでね~。エルフさんたちをとりあえず早く聖域に送って、名前をつけてもらおうと思ってね~。明日にでもどうかな~?〗
『『『『明日!?』』』』
〖そうだよ~早い方がいいでしょ~?〗ぱくぱくごくごく
『『『『ええぇ~?』』』』
展開が早すぎてついていけないエルフさんたち。聖域にいつか行くことは分かっていた。でもいきなり明日!?確かにこれはある意味緊急だ!
〖そうだな。武神としての意見としても、はやいとこ名前効果で強くなってくれりゃ、鍛えがいがあるってなもんだしな〗
『怪我のリスクも減るもんな。っていうか、この主はきっと手加減がめんどくせぇんだぜ』
〖龍、いい度胸だな?あとで揉んでやる〗
『おう!返り討ちにしてやるぜ』
〖はいはい。誰かさんたちのお陰でまだ修理中だから却下ね~〗にこにこ
〖主神、正確には修理中ではなく、建て直し中ですよ〗にこにこ
〖あ、そうだったね~。ごめ~ん〗にこにこ
〖うぐっ〗
『お前のせいだぞ武神!』ぺしぺし
武神様、この間盛大に鍛錬場を破壊したものだから、直しまくってる主神様と工芸神様がとっても黒い笑顔で釘を刺してます。
『⋯⋯』もくもく
あれは私の関係ない⋯⋯はずよね
〖レイさん?〗にこにこ
〖自重なさってくださいね?〗にこにこ
『⋯⋯はい』
関係ないわけないよね~
『こほん。まあ、レイも武神様も自重と反省を覚えて頂くとしてじゃ。衣装や防具を担当する妾としても、やはりぴったりと合うものを作りたいからの。賛成じゃ』
〖そうですね。サイズに関しては自動調整を付けますが、デザインや色味はやはり最高に美しくしたいですからね。名前をつけてもらって変化してからの方が良いでしょうね〗
『⋯⋯』ピクっ
ぴったり、美しく⋯⋯
『ヒイッ』びくうっ
『レイ、自重⋯⋯であろ?』にっこり
『はい⋯⋯』
『ううっ』びくびく
天界樹様と工芸神様の言葉に反応したレイさんに、エルフの奥様が震え上がってます。かわいそうに⋯⋯。
天界樹様がこちらも釘を刺してくれたからね。
〖じゃあ決まりだね~。明日出発ね。あ、でも~明日は何だか聖域の体力測定?とかいうのやるんだって~。それが終わってからがいいかな?バートと医神ちゃんが妙に張り切ってたから~、もしかしたら愛し子たち疲れきってるかも~。ちびっこたちが眠ってからがいいかな~〗
〖よりによってその二人なの!?〗ヒクヒク
〖そうなんだよ。不安だよね~〗
〖不安しかないわよ!〗
〖だよね~あはは~〗
主神様、魔神様、当たりだよ。
『ふむ。なれば妾の果樹や作物が役立ちそうじゃのぉ』
『それを使って俺が料理すれば更に最強じゃねぇか?』
『ほほ。そうじゃな』
『はいはい!私も手伝うわ!疲れてるなら薬膳!薬膳はお料理だけじゃないのよ!デザートも作るわ!』
『レイ、じゃから自重⋯⋯ん?』
『これに関しちゃしなくていいんじゃねぇか?』
『そうじゃのぉ』
『やった!』
え?大丈夫?天界樹様と料理長、レイさんと関わりすぎて感覚麻痺してたりしない?
『もうすでにやらかしてるからの』
『今更だよな』
たしかに⋯⋯
〖それじゃあ、誰が連れていくかだけど~僕でいいよね〗
〖〖〖〖『『却下!』』〗〗〗〗ビシィッ!
〖なんで!?〗がーんっ
〖仕事たまってるでしょ!〗
〖後でやるから~〗
〖ダメよ!〗
〖そんな~じゃあ、魔神ちゃんもいかないよね?僕が逃げ出さないように見はらなきゃなんでしょ?〗
〖汚いわよ、主神〗ぐぎぎ
〖じゃあ、一緒に行く?〗
〖それはいいわね〗ころっ
〖お父様、宮殿の修繕が待ってますよ。あ、これは工芸神もですね。お母様も手伝われたらいかがですか?〗にんまり
〖うぐっ〗
〖娘に裏切られた!?〗
〖なっ!?私まで巻き込むとは⋯⋯〗ぐぬぬ
〖なんのことかしら?うふふ〗
今度は女神様が黒い⋯⋯
〖主神も魔神も何度も行ってるだろ!次は俺だ!〗
〖〖〖〖『『却下!』』〗〗〗〗
〖なんでだよ!?〗
〖行くのは夜だって僕、言ったでしょ~?〗
〖あんた絶対!愛し子に突進するでしょ!〗
〖かわいい愛し子を叩き起こすつもりですか?〗
〖他の子たちも起きてしまいますよ〗
『それでなくとも騒がしいのじゃ。夜になど考えられぬのじゃ』
『歩く騒音だもんな』
〖言いたい放題だな!龍!お前俺様の相棒だろ!何とか言ってやれよ!〗
『いや、全部真実だし?』
〖うおおおっ酷すぎる!敵ばっかりかよ!〗ぐおおおっ
それが既にうるさいんだよ。と、みんなが思っている。
『じゃあ、俺だよな!』ニカッ
〖〖〖〖〖『却下!!』〗〗〗〗〗
『なんでだよ?俺は静かにできるぞ!この筋肉は料理のためであって決して脳筋ではない!』
美味しい肉のためなら自分で肉を狩りに行く料理長。その腕は丸太のよう⋯⋯
〖料理長が行っちゃったら僕たちのご飯誰が作るのさ~?〗
〖そうよ!私たちのご飯大事よ!〗
〖俺たちの胃袋はお前さんの料理じゃなきゃ満足出来んからな〗
〖行くなら大量に食事をストックしてくれませんとね〗
『料理長、明日ではとてもじゃが間に合わぬじゃろうの』
〖何しろ皆さんよく食べますからね。お弟子さんだけではきっと大変ですよね〗
『うぐぐっ』
料理長、かわいそう⋯⋯
『それでは残るは妾だの。喜んで行かせてもらうのじゃ』ふふ
〖あら、天界樹、私もいるわよ〗
『む、そうであったな』
こうなると残りは天界樹様と女神様の一騎打ち!でもそこに
『ちょっと待ったぁ!』バン!
ここに来て横やりが
『な、なんじゃ、レイ』
〖もう、びっくりするじゃないですか〗
『茶をこぼすところじゃったぞ』
〖お茶が宙で止まってますね。グッジョブです。お母様〗グッ!
〖まっかせなさい!〗パチンっ
おお、逆再生のようにこぼれたお茶がグラスの中に戻っていきます。そう。テーブルにバンっと手をついて意義を唱えたのは愛し子のおばあちゃんであるレイさん。
『あらあらまあまあ、私としたことがごめんなさい。魔神様ありがとうございます』
〖いいのよ~〗ひらひら
手を振ってこれくらい宮を直すことに比べたらなんでもないわ~と、魔神様。そりゃそうだ。
〖それで、何がちょっと待ってなのかしら?エルフたちだけ聖域に送る訳にはいかないわよ〗
〖そうだね~。この二人だったら夜にお伺いしてもうるさくしないと思うよ~〗
〖そうですね。この二人なら例えうるさくなるような状況になっても魔法で対処するくらいの配慮はすると思いますよ〗
主神様、魔神様、工芸神様の比較的常識のある神様たちもこの二人なら止める理由はないよね?と思っている。
『分かってます。分かってますけど、そうじゃないの』ぷるぷる
〖〖〖そうじゃない?〗〗〗はて?
この場にいる皆んながナゼ?と首を傾げていると
『だってだって、天界樹様、私が孫に会えるまで一緒に我慢してくれるって約束したじゃないの~っ』
『あ』
〖〖〖〖〖『あ』〗〗〗〗〗
『そ、そういえば、そんなこともあったやもしれぬの?』たら~
嫌な汗が天界樹様の背中を伝う
〖言ってたかも~〗
〖言ってたわねぇ〗
〖で、でも、レイさん、今回の場合適任者がね?〗
〖そうだよな〗
〖ええ。仕方ないと思いますよ〗
『レイだって、疲れた孫が叩き起こされたら嫌だろ?』
自分が行きたがってた神様たちもレイさんの剣幕に、思わずみんなで天界樹様の擁護に⋯⋯
『そうだけど、そうだけど、天界樹様は私を裏切らないと思ってたのに~』うわぁんっ
レイさん、年甲斐もなく大泣き
『若返ったんだからいいのよ!』
いや、こんな時だけ⋯⋯
『わ、悪いとは思っているのじゃ。すまぬ、レイ。じゃがの⋯⋯』
『い~や~』えぐえぐ。がしぃっ
『ひいっ』
〖わあっレイさんが天界樹ちゃんにくっついちゃったよ!〗
『く、苦し⋯』ぎゅぎゅぎゅ~
腰が~
『ずるいわ~』ギリギリ
〖レイ!天界樹を離しなさい!〗ぎぎぎぎ
〖剥がれないわっ〗ぎぎぎぎ
〖おい!レイ!天界樹の中身が出ちまうぞ!〗
〖武神ちゃん怖いこと言わないで~〗
〖その前に骨が折れるのでは?粉々に〗
〖ひいっ工芸神ちゃんもやめて~〗
『おいレイっ、マジで天界樹死ぬぞ』
天界樹様、危ない!
『うぐぐっ、レ、レイ、聞いて欲しいのじゃ、悪いとは思うのじゃが、妾には行かねばならぬ理由がもうひとつあるのじゃっ』
なんとか話を聞いてもらおうと必死に声を出す天界樹様
『えぐえぐ、他の理由?』
『そ、そうじゃ、とにかく、一度⋯はな』がくうっ
もうダメじゃ⋯⋯無念
〖わああっ天界樹ちゃんが死んじゃったぁぁぁ~っ〗
〖死んでないわよ!まだ!〗
〖レイっとにかく離してくださいっ〗
〖神殺しは重罪だぞ!〗
〖拘束しますか?〗ピンッ
『工芸神様、そんな縄こいつなら引きちぎりますよっ』
『あ、あらあらまあまあ?ごめんなさい?』ぱっ
どさぁっ
〖天界樹ちゃ~んっしっかり~っ〗ゆさゆさっ
〖主神、落ち着きなさい!ヒール!〗
『ううっ⋯⋯』
〖良かった、顔色が戻りました〗ほっ
レイさん、どんだけ⋯⋯
『ごめんなさい。天界樹様』
とにかく、土下座で謝ろう
『いや、大丈夫じゃ。じゃが、次はないことを祈るのじゃ』
『すみません⋯⋯』
『こほん。と、とにかくじゃ、妾が聖域に行かねばならぬもうひとつの理由はの?』
『理由は?』
『精霊樹の精じゃ』
『へ?精霊樹の精様?』
〖〖〖〖『ああ~⋯⋯』〗〗〗〗
レイさんはポカンとしてるけど、神様たちは何だか分かったみたいです。
『彼奴は少々聖域でやりたい放題のようだしの?それに普段はふざけまくっておるくせに、肝心なことは言わぬようじゃからのぉ。少しばかり灸を据えてやらねばならぬ。そして、この役目は妾がせねばならぬのじゃ』ゆらゆら
『なぜ、天界樹様が?』
何だか天界樹様の後ろに黒いオーラが?
〖不思議ですか?精霊樹の精はね、天界樹が落とした種から生まれたのですよ〗
〖まあ、娘みたいなものよね〗
『妾は姉じゃ』
〖お姉様って呼ばせてるもんね〗
『当たり前じゃ』
うん。話を聞く限り母親よね?
『姉じゃ!さもなくばあの失礼極まりない精霊王ども、妾を『ばばあ』などと呼ぶのじゃぞ。そんなこと許すものか』ふるふる
『そ、そうよね。それはいけないわ』
女はいくつになっても女。ばばあなどと呼ばせてはいけないわ。それにしても、このお若く美しく見える天界樹様をよくそんな風に呼べるわね?
『とにかくじゃ、そういう訳で妾は彼奴の性根を叩き直さねばわならぬのじゃ!』めらめらめら
『あ、あらあらまあまあ』
天界樹様が燃えてるわ⋯⋯
〖ふふ。そんなわけだからさ、レイさん、他に適任者もいないわけだし、許してあげてよ〗
〖そうねぇ。そうだ、あなたも一緒に行きなさい。大丈夫だと思うけど、天界樹がやりすぎないように一応お目付け役としてね〗
〖はい。分かりましたわ、お母様。ふふ、役得ですね〗
『分かったわよぉ⋯⋯その代わり、孫がどんなだったかちゃんと教えてね』
『もちろんじゃ』
そんなわけで、誰が聖域に行くかようやく決定。
『ねえ、父様、母様、会議ってこんな感じなの?』もぐもぐ
『随分激しいんだね』ぱくぱく
『いや、そんなことは』
『ないはずよね?』
すっかり忘れられた存在のエルフさんたちは、この状況を眺めながらお茶を堪能していました。
そして⋯⋯
『やっぱりずるいわ~』うわぁんっ
『ええいっ離すのじゃレイっ』ずるずるずる
〖レイ⋯往生際が悪いわよ〗
出発する天界樹様にしがみついてズルズルと引きずられるレイさんがいたのでした。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読み頂きありがとうございます。先日更新したレイさんの孫が主役の『転生初日に~』の前日のお話になります。良かったらそちらもお読みいただけたら嬉しいです。
お気に入り登録、いいねや、エール、感想などもありがとうございます。
101
お気に入りに追加
412
あなたにおすすめの小説

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

小さな小さな花うさぎさん達に誘われて、異世界で今度こそ楽しく生きます!もふもふも来た!
ひより のどか
ファンタジー
気がついたら何かに追いかけられていた。必死に逃げる私を助けてくれたのは、お花?違う⋯小さな小さなうさぎさんたち?
突然森の中に放り出された女の子が、かわいいうさぎさん達や、妖精さんたちに助けられて成長していくお話。どんな出会いが待っているのか⋯?
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
『転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました。もふもふとも家族になります!』の、のどかです。初めて全く違うお話を書いてみることにしました。もう一作、『転生初日に~』の、おばあちゃんこと、凛さん(人間バージョン)を主役にしたお話『転生したおばあちゃん。同じ世界にいる孫のため、若返って冒険者になります!』も始めました。
よろしければ、そちらもよろしくお願いいたします。
*8/11より、なろう様、カクヨム様、ノベルアップ、ツギクルさんでも投稿始めました。アルファポリスさんが先行です。
没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。
亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。
さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。
南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。
ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。
異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。
長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。
女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。
お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。
のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。
ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。
拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。
中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。
旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」

農民の少年は混沌竜と契約しました
アルセクト
ファンタジー
極々普通で特にこれといった長所もない少年は、魔法の存在する世界に住む小さな国の小さな村の小さな家の農家の跡取りとして過ごしていた
少年は15の者が皆行う『従魔召喚の儀』で生活に便利な虹亀を願ったはずがなんの間違えか世界最強の生物『竜』、更にその頂点である『混沌竜』が召喚された
これはそんな極々普通の少年と最強の生物である混沌竜が送るノンビリハチャメチャな物語

転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる