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ある日のひな祭り日記 番外編
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ある日
『しまった⋯乗り遅れたわ』ずーん
『レ、レイどうしたのじゃ?そんなところで沈み込んで』ひくっ
天界樹様が自分の庭の一角で、レイさんが地面に手をついて沈み込んでいるのを発見してしまった。
『天界樹様⋯私としたことが、つい魔法の練習にのめり込んで忘れてしまったの』しくしく
『だから何をじゃ?』
レイさんがこんなに狼狽する事態とは何なのか?
『この花を見て思い出してしまったの』わなわな
『んん?この花とは、菜の花のことかえ?』
そう。レイさんが沈み込んでいたのは菜の花畑の前。
『そうよ。この黄色い菜の花を見て思い出してしまったの⋯ひな祭り』
『ひな祭り?』
とはなんじゃ?
『そう。ひな祭り。桃の節句。女の子のためのお祭り⋯そう、かわいい孫のお祭りだったのにっ』うううっ
『なんとっ!?』ががーんっ
『そ、それは、今からでもやらねばっ』
愛し子のための祭りじゃと?それは一大事ではないかっ
『でも、ひな祭りに欠かせない雛人形はお節句のあと、早く片さないと行き遅れになっちゃう⋯』しくしく
『い、行き遅れっ』ががーんっ
それは、嫁に行くのが遅れるということかの?
『⋯ん?別に構わぬのではないかの?』
『え?』きょと
『じゃからの?構わぬのではないかの?その方がいつまでも可愛い愛し子はどこにも行かぬし、それに』
『それに?』
『寿命長くなっておるんじゃよ?行き遅れも何もないんじゃないかの?』
ただでさえ、こちらの体に作り替えられておるし、神の加護があって、しかも、神界の食材を使ったレイの料理で更に寿命は伸びとるしのぉ。
『そ、そうだったわ⋯』
『それに気になるのなら、こちらで日を決めてしまえば良いでは無いか?こちらの世界にはない習慣じゃしのぉ』
ひな祭りなど初めて聞いたしの?
『て、天界樹様⋯天才』キラキラ
『そ、そうかの?』
天才かの?悪い気はせぬのぉ
『そういうことなら、料理だけでも!人形は時間をかけて来年に⋯あ、折り紙ならすぐに⋯あ、折り紙がないわ』
〖折り紙?愛し子のお道具箱にあった四角い綺麗な紙なら出せるわよ?前に複製したことがあるもの〗
『え?』
『おや、魔神様、良いところにおいで下さったの』
そろそろ妾だけでは心もとなかったからのぉ
〖妖精たちが知らせてきたのよ。レイがおかしいって。何事かと思って来てみたのよ〗
『そうじゃったか』
妖精たち、よくやったのじゃ。
『お姫様、困るダメ』
『私たち、お姫様、役に立った?』
『ああ。実に役に立ってくれたぞよ。ありがとの』にっこり
『『やった~♪』』くるくる
ふふ。愛いのぉ。して、今度はなんじゃ?
『料理も作らなきゃ。ちらし寿司?手毬寿司?海の魚、手に入るかしら?ハマグリのお吸い物、桜餅、三色団子、いちご大福、ひなあられ⋯最近はケーキもあるみたいだけど、あとおにぎりでお雛様作ったり⋯桜でんぶにしろピンクにするには食紅に変わるものあるかしら?あとは、白酒⋯より甘酒?あっ目の前の菜の花もおひたし、胡麻和え⋯』ぶつぶつ
『な、何やらブツブツ言うておるが、大丈夫かえ?』
〖大丈夫でしょ。いつものことだし。ところで、女の子のお祭りならエルフの子たちもいいのよね?〗
『ふむ。そうなるかの?』
〖じゃあ、獣人の子らも一緒に楽しんでもらったらいいんじゃない?〗
『それは良いのぉ。となると、肉料理も欲しいところじゃの』
〖そうね。食べ盛りの子達が揃ってるものね〗
『お肉?あまり、ひな祭りにお肉は聞かないけど、手毬寿司に⋯ん~生ハムは無理ねぇ。ローストビーフならいけるかしら?』ぶつぶつ
『なんと、聞こえておったのかの?』
〖そうみたいね⋯〗
レイさん、地獄耳
そんなこんなで
『レイ姉様、ここはどう折ったらいいですか?』
『レイ姉様、ここ変になっちゃった』
『ここはね、こうして。こっちも大丈夫よ。一度戻って、こうすれば』
『あ、なるほどです』
『すごい!お顔になった!』
『ふふ。お顔は後で描きましょうね』
『『はい!』』
『ふふ。全部私が折ろうと思っていたけど、こうして一緒に折るのも楽しいわね』
『『同感です』』もくもく
レイさんはエルフさんたちと折り紙でお雛様作り。しっかりエルフ夫妻も参加。誰よりも真剣にひたすら折ってます。
〖レーイ!餅はこんな感じでいいのか?〗
『『レイお姉ちゃーんっ』』
『『たくさんつけたよーっ』』
『あらあらまあまあ。さすが速いわね。ちょっとあちらに行ってきますね』
『『はい!』』
『『行ってらっしゃいませ』』
力仕事の餅つきは武神様と獣人の子たちに任せたのよね。
『レイ、緑はヨモギ、ピンクは苺を潰して色付けしたぞよ。また妾の庭が活躍じゃの』
『ふふ。ありがとうございます。やっぱり天然の物が良いわよね。色も綺麗だわ』
『レイお姉ちゃんっ次は?』ぱたぱた
『何したらいい?』ぱたぱた
『うふふ。そしたら、次は、のし餅を作って菱餅と、あとは三色団子、それから大福を作りましょうか』
うふふ。しっぽや耳が嬉しそうにぱたぱたして、とても可愛いわ。
『レイ、これも美味しいと思うんじゃ。妾の橘じゃ。いちご大福を味見させてもらっての?これも絶対に美味しいと思うんじゃよ。どうかの?』ぱたぱた
『あらあらまあまあ』
天界樹様にまで無いはずのしっぽと耳が見えるわ。期待に満ちた目が眩しいわね。
いちご大福、試しに作ったら一番気に入ってらしたものね。きっとそれからずっと考えてらしたのね。
『もちろん大丈夫ですよ!蜜柑大福もおいしいのよ。他にもぶどうやキウイ⋯そう言えばここの庭にもありましたね。キウイというよりサルナシに近かったような。中が綺麗な緑の』
『あるぞよ!ぶどうもサルナシもあるのじゃ!とってくるのじゃ!』しゅんっ
『あらあらまあまあ⋯』
色とりどりのフルーツ大福が出来そうだわ。
『『レイお姉ちゃんっ』』
『あらあらまあまあ、ごめんなさい。そうしたらお餅をこうして、そこに餡子といちごを乗せて⋯はい!こんな感じよ。できるかしら?』
『『『『『やる!』』』』』
『うふふ。それじゃあお願いね』
やる気満々で可愛いわ。それに、楽しそうで良かったわ。
『レイ!こっちも出来たぞ!』
『料理長、さすがね。説明しただけで完璧だわ』
ちらし寿司に、色とりどりの手毬寿司。天界にもマグロいるのね。それからハマグリのお吸物に、菜の花の胡麻和え。それにこれ、
『甘酒どうしたの?』
『源が聖域から酒粕と米麹とレシピ送ってくれたんだよ』ニカッ
『なるほど』
甘酒プリンも作ろうかしら?
『あとは、ローストビーフも出来たな』
『今回はグレイビーソースより、さっぱりとポン酢醤油とか、わさびがいいと思うのよ。ポン酢というか、橘酢かしら』
『そうだな。美味そうだ。分厚く切りてえな。手毬寿司に薄く乗せるんじゃ物足りん』
『そうね、いいんじゃないかしら』
獣人さんたちも、何より神様たちも足りないでしょうしね。
『あとよ、こっちに材料分けといたぞ。愛し子につくるんだろ?』
『ありがとう。お雛様のおにぎり作ろうと思ってね。うふふ』
喜んでくれるかしら
『喜ぶに決まってんだろ』
『ありがとう』
そうね。喜んでもらえるわね。きっと。あとは
〖レイ。出来ましたよ。まさか食べ物のためにこんな機械を作ることになるとは、実に⋯楽しいですね〗にっこり
『うふふ。じゃあ、みんなを驚かせにいきましょうか』
〖そうですね〗
『お?それか!俺も行くぜ!どんな反応するか楽しみだな!』
工芸神様に頼んでいた機械を押して、みんなのいる場所に向かうと、案の定
『『『『うわあっ』』』』
『それ何?』
『何するの?』
獣人たちや、騒ぎに気づいたエルフさん達もやってきた。
『うふふ。これでね、美味しいお菓子を作るのよ』
『お菓子?』
『ええ~?こんな大っきいので』
『『『うっそだ~』』』
うふふ。そう思うわよね。しかも
『材料は、これよ』
『『『え?そんな小さいの?』』』
『『こんな大っきい機械で?』』
『そうよ。信じられないかしら?それならやってみましょうか。工芸神様、料理長』
〖畏まりました〗にこ
『おう!』にや
うふふ。どんな反応するかしら?
料理長と工芸神様が機械にサラサラと材料を入れ、起動させ、待つことしばし。いよいよいつの間にか防具をつけた料理長がレバーを引くと
ボンッ!!
『『『『『ギャーッ!!』』』』』
何かが爆発して飛び出した!
獣人の子たちは蜘蛛の子散らすように散り散りに逃げてしまった。
エルフさんたちは、あら、固まっちゃったわ。
〖〖〖ななな、なにごと?〗〗〗
爆音を聞きつけて主神様親子もやってきた。
『あらあらまあまあ、ちょっと驚かせ過ぎちゃったかしら?』
〖ふふふ。大成功ですね〗
『だな。おお、ほんとだ。米がでかくなってるぞ。へえ、こんな感じになるんだな。おもしれぇな』
そう。これは
『ポン菓子って言ってね、これを甘くコーティングすると雛あられになるのよ』にこ
『え?これさっきのお米なの?』
『そうよ。このままでもほんのり甘くて美味しいわよ。食べてみて』
『『『う、うん』』』
子供たちが恐る恐る近寄ってきて、私の手のひらにあるポン菓子を恐る恐るとって、お口に⋯
『『『⋯っ』』』ぱあああっ
『おいしいっ』
『おもしろいっ』
『もうちょっとちょうだい!』
うふふ。気に入ってくれたみたいね。
『これはこれから変身するのよ。まだまだ足りないから、誰か手伝ってくれるかしら?』にっこり
『『『『『はいはいはいはいはいっ!やるーっ!』』』』』
うふふ。やっぱり怖いものじゃないと分かれば、子供はこういうの好きよね。
『うふふ。ありがとう』
〖よし!じゃあ手伝え!〗
『気をつけないとダメだぞ』
『『『『はーいッ!』』』』
『よぉし、やるぞー!えいっ!』
ボンッ!
『『『きゃーっ♪』』』
うんうん。楽しそうで何よりだわ。
楽しく手作りで準備した結果
『『可愛く出来ました!』』
『『力作です』』
エルフさんたちによって、折り紙で作ったとは思えない立派な七段飾りが完成した。
『素敵だわ。本当に器用ね』
すごいわ。ちょっと教えただけなのに。
『料理もバッチリだぞ!』
〖それは俺達もだな!〗
『『『『『がんばったよ!』』』』』
『うんうん。色とりどりの大福や団子が美しいのぉ』うっとり
天界樹様、ハマっちゃってものすごい種類になったものね。
お料理も海の幸から、結局厚切りローストビーフや唐揚げまであるしね。食べ盛りが沢山いるから大丈夫でしょう。
〖お花の絵になったフルーツサンドも美味しそうです〗
〖お願いして正解だったわね〗
『あ、あはは』
お願いと言うより、脅迫に近かったような。
〖雛あられだって可愛らしいですよ〗
〖ねぇ~。あんな大爆音からこんな可愛いお菓子になるなんてびっくりだよ〗
あのあとちゃんとピンクや緑、黄色に白とお砂糖でコーティングしたものね。
あの機械、ポップコーンも作れないかしら?今度試してみようかしら。とにかく
『みんな一生懸命作ったんだもの。頂きましょう』
『『『『はい♪』』』』
『『『『『わ~い♪』』』』』
『『『『『いただきます!』』』』』
〖〖〖〖〖いただきます!〗〗〗〗〗
このあとしっかりケーキまで、きれいさっぱり食べ尽くされました。そして
『おーい!天界のおばあちゃんから色々届いたぞー!』
「ふおおおっおいちいやちゅ!」じゅるり
『みんなで食べような。あと、お前には着物もあったぞ。あとで着ような』
「あい!うりぇちい!」
そう。和裁も得意なレイさん。
『孫の分しか間に合わないけど、お正月やお月見にも着れるように、羽織とショールもつけて。喜んでくれるかしら』
しっかり、お着物一式プレゼントしていたのでした。
「おりがみみょ!ありがちょ!」
お雛様とお内裏様を貼ったカードを添えて。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございます。遅くなりましたがひな祭り番外編です。
寒いですね。今、外は雪です。皆様ご自愛ください。
『しまった⋯乗り遅れたわ』ずーん
『レ、レイどうしたのじゃ?そんなところで沈み込んで』ひくっ
天界樹様が自分の庭の一角で、レイさんが地面に手をついて沈み込んでいるのを発見してしまった。
『天界樹様⋯私としたことが、つい魔法の練習にのめり込んで忘れてしまったの』しくしく
『だから何をじゃ?』
レイさんがこんなに狼狽する事態とは何なのか?
『この花を見て思い出してしまったの』わなわな
『んん?この花とは、菜の花のことかえ?』
そう。レイさんが沈み込んでいたのは菜の花畑の前。
『そうよ。この黄色い菜の花を見て思い出してしまったの⋯ひな祭り』
『ひな祭り?』
とはなんじゃ?
『そう。ひな祭り。桃の節句。女の子のためのお祭り⋯そう、かわいい孫のお祭りだったのにっ』うううっ
『なんとっ!?』ががーんっ
『そ、それは、今からでもやらねばっ』
愛し子のための祭りじゃと?それは一大事ではないかっ
『でも、ひな祭りに欠かせない雛人形はお節句のあと、早く片さないと行き遅れになっちゃう⋯』しくしく
『い、行き遅れっ』ががーんっ
それは、嫁に行くのが遅れるということかの?
『⋯ん?別に構わぬのではないかの?』
『え?』きょと
『じゃからの?構わぬのではないかの?その方がいつまでも可愛い愛し子はどこにも行かぬし、それに』
『それに?』
『寿命長くなっておるんじゃよ?行き遅れも何もないんじゃないかの?』
ただでさえ、こちらの体に作り替えられておるし、神の加護があって、しかも、神界の食材を使ったレイの料理で更に寿命は伸びとるしのぉ。
『そ、そうだったわ⋯』
『それに気になるのなら、こちらで日を決めてしまえば良いでは無いか?こちらの世界にはない習慣じゃしのぉ』
ひな祭りなど初めて聞いたしの?
『て、天界樹様⋯天才』キラキラ
『そ、そうかの?』
天才かの?悪い気はせぬのぉ
『そういうことなら、料理だけでも!人形は時間をかけて来年に⋯あ、折り紙ならすぐに⋯あ、折り紙がないわ』
〖折り紙?愛し子のお道具箱にあった四角い綺麗な紙なら出せるわよ?前に複製したことがあるもの〗
『え?』
『おや、魔神様、良いところにおいで下さったの』
そろそろ妾だけでは心もとなかったからのぉ
〖妖精たちが知らせてきたのよ。レイがおかしいって。何事かと思って来てみたのよ〗
『そうじゃったか』
妖精たち、よくやったのじゃ。
『お姫様、困るダメ』
『私たち、お姫様、役に立った?』
『ああ。実に役に立ってくれたぞよ。ありがとの』にっこり
『『やった~♪』』くるくる
ふふ。愛いのぉ。して、今度はなんじゃ?
『料理も作らなきゃ。ちらし寿司?手毬寿司?海の魚、手に入るかしら?ハマグリのお吸い物、桜餅、三色団子、いちご大福、ひなあられ⋯最近はケーキもあるみたいだけど、あとおにぎりでお雛様作ったり⋯桜でんぶにしろピンクにするには食紅に変わるものあるかしら?あとは、白酒⋯より甘酒?あっ目の前の菜の花もおひたし、胡麻和え⋯』ぶつぶつ
『な、何やらブツブツ言うておるが、大丈夫かえ?』
〖大丈夫でしょ。いつものことだし。ところで、女の子のお祭りならエルフの子たちもいいのよね?〗
『ふむ。そうなるかの?』
〖じゃあ、獣人の子らも一緒に楽しんでもらったらいいんじゃない?〗
『それは良いのぉ。となると、肉料理も欲しいところじゃの』
〖そうね。食べ盛りの子達が揃ってるものね〗
『お肉?あまり、ひな祭りにお肉は聞かないけど、手毬寿司に⋯ん~生ハムは無理ねぇ。ローストビーフならいけるかしら?』ぶつぶつ
『なんと、聞こえておったのかの?』
〖そうみたいね⋯〗
レイさん、地獄耳
そんなこんなで
『レイ姉様、ここはどう折ったらいいですか?』
『レイ姉様、ここ変になっちゃった』
『ここはね、こうして。こっちも大丈夫よ。一度戻って、こうすれば』
『あ、なるほどです』
『すごい!お顔になった!』
『ふふ。お顔は後で描きましょうね』
『『はい!』』
『ふふ。全部私が折ろうと思っていたけど、こうして一緒に折るのも楽しいわね』
『『同感です』』もくもく
レイさんはエルフさんたちと折り紙でお雛様作り。しっかりエルフ夫妻も参加。誰よりも真剣にひたすら折ってます。
〖レーイ!餅はこんな感じでいいのか?〗
『『レイお姉ちゃーんっ』』
『『たくさんつけたよーっ』』
『あらあらまあまあ。さすが速いわね。ちょっとあちらに行ってきますね』
『『はい!』』
『『行ってらっしゃいませ』』
力仕事の餅つきは武神様と獣人の子たちに任せたのよね。
『レイ、緑はヨモギ、ピンクは苺を潰して色付けしたぞよ。また妾の庭が活躍じゃの』
『ふふ。ありがとうございます。やっぱり天然の物が良いわよね。色も綺麗だわ』
『レイお姉ちゃんっ次は?』ぱたぱた
『何したらいい?』ぱたぱた
『うふふ。そしたら、次は、のし餅を作って菱餅と、あとは三色団子、それから大福を作りましょうか』
うふふ。しっぽや耳が嬉しそうにぱたぱたして、とても可愛いわ。
『レイ、これも美味しいと思うんじゃ。妾の橘じゃ。いちご大福を味見させてもらっての?これも絶対に美味しいと思うんじゃよ。どうかの?』ぱたぱた
『あらあらまあまあ』
天界樹様にまで無いはずのしっぽと耳が見えるわ。期待に満ちた目が眩しいわね。
いちご大福、試しに作ったら一番気に入ってらしたものね。きっとそれからずっと考えてらしたのね。
『もちろん大丈夫ですよ!蜜柑大福もおいしいのよ。他にもぶどうやキウイ⋯そう言えばここの庭にもありましたね。キウイというよりサルナシに近かったような。中が綺麗な緑の』
『あるぞよ!ぶどうもサルナシもあるのじゃ!とってくるのじゃ!』しゅんっ
『あらあらまあまあ⋯』
色とりどりのフルーツ大福が出来そうだわ。
『『レイお姉ちゃんっ』』
『あらあらまあまあ、ごめんなさい。そうしたらお餅をこうして、そこに餡子といちごを乗せて⋯はい!こんな感じよ。できるかしら?』
『『『『『やる!』』』』』
『うふふ。それじゃあお願いね』
やる気満々で可愛いわ。それに、楽しそうで良かったわ。
『レイ!こっちも出来たぞ!』
『料理長、さすがね。説明しただけで完璧だわ』
ちらし寿司に、色とりどりの手毬寿司。天界にもマグロいるのね。それからハマグリのお吸物に、菜の花の胡麻和え。それにこれ、
『甘酒どうしたの?』
『源が聖域から酒粕と米麹とレシピ送ってくれたんだよ』ニカッ
『なるほど』
甘酒プリンも作ろうかしら?
『あとは、ローストビーフも出来たな』
『今回はグレイビーソースより、さっぱりとポン酢醤油とか、わさびがいいと思うのよ。ポン酢というか、橘酢かしら』
『そうだな。美味そうだ。分厚く切りてえな。手毬寿司に薄く乗せるんじゃ物足りん』
『そうね、いいんじゃないかしら』
獣人さんたちも、何より神様たちも足りないでしょうしね。
『あとよ、こっちに材料分けといたぞ。愛し子につくるんだろ?』
『ありがとう。お雛様のおにぎり作ろうと思ってね。うふふ』
喜んでくれるかしら
『喜ぶに決まってんだろ』
『ありがとう』
そうね。喜んでもらえるわね。きっと。あとは
〖レイ。出来ましたよ。まさか食べ物のためにこんな機械を作ることになるとは、実に⋯楽しいですね〗にっこり
『うふふ。じゃあ、みんなを驚かせにいきましょうか』
〖そうですね〗
『お?それか!俺も行くぜ!どんな反応するか楽しみだな!』
工芸神様に頼んでいた機械を押して、みんなのいる場所に向かうと、案の定
『『『『うわあっ』』』』
『それ何?』
『何するの?』
獣人たちや、騒ぎに気づいたエルフさん達もやってきた。
『うふふ。これでね、美味しいお菓子を作るのよ』
『お菓子?』
『ええ~?こんな大っきいので』
『『『うっそだ~』』』
うふふ。そう思うわよね。しかも
『材料は、これよ』
『『『え?そんな小さいの?』』』
『『こんな大っきい機械で?』』
『そうよ。信じられないかしら?それならやってみましょうか。工芸神様、料理長』
〖畏まりました〗にこ
『おう!』にや
うふふ。どんな反応するかしら?
料理長と工芸神様が機械にサラサラと材料を入れ、起動させ、待つことしばし。いよいよいつの間にか防具をつけた料理長がレバーを引くと
ボンッ!!
『『『『『ギャーッ!!』』』』』
何かが爆発して飛び出した!
獣人の子たちは蜘蛛の子散らすように散り散りに逃げてしまった。
エルフさんたちは、あら、固まっちゃったわ。
〖〖〖ななな、なにごと?〗〗〗
爆音を聞きつけて主神様親子もやってきた。
『あらあらまあまあ、ちょっと驚かせ過ぎちゃったかしら?』
〖ふふふ。大成功ですね〗
『だな。おお、ほんとだ。米がでかくなってるぞ。へえ、こんな感じになるんだな。おもしれぇな』
そう。これは
『ポン菓子って言ってね、これを甘くコーティングすると雛あられになるのよ』にこ
『え?これさっきのお米なの?』
『そうよ。このままでもほんのり甘くて美味しいわよ。食べてみて』
『『『う、うん』』』
子供たちが恐る恐る近寄ってきて、私の手のひらにあるポン菓子を恐る恐るとって、お口に⋯
『『『⋯っ』』』ぱあああっ
『おいしいっ』
『おもしろいっ』
『もうちょっとちょうだい!』
うふふ。気に入ってくれたみたいね。
『これはこれから変身するのよ。まだまだ足りないから、誰か手伝ってくれるかしら?』にっこり
『『『『『はいはいはいはいはいっ!やるーっ!』』』』』
うふふ。やっぱり怖いものじゃないと分かれば、子供はこういうの好きよね。
『うふふ。ありがとう』
〖よし!じゃあ手伝え!〗
『気をつけないとダメだぞ』
『『『『はーいッ!』』』』
『よぉし、やるぞー!えいっ!』
ボンッ!
『『『きゃーっ♪』』』
うんうん。楽しそうで何よりだわ。
楽しく手作りで準備した結果
『『可愛く出来ました!』』
『『力作です』』
エルフさんたちによって、折り紙で作ったとは思えない立派な七段飾りが完成した。
『素敵だわ。本当に器用ね』
すごいわ。ちょっと教えただけなのに。
『料理もバッチリだぞ!』
〖それは俺達もだな!〗
『『『『『がんばったよ!』』』』』
『うんうん。色とりどりの大福や団子が美しいのぉ』うっとり
天界樹様、ハマっちゃってものすごい種類になったものね。
お料理も海の幸から、結局厚切りローストビーフや唐揚げまであるしね。食べ盛りが沢山いるから大丈夫でしょう。
〖お花の絵になったフルーツサンドも美味しそうです〗
〖お願いして正解だったわね〗
『あ、あはは』
お願いと言うより、脅迫に近かったような。
〖雛あられだって可愛らしいですよ〗
〖ねぇ~。あんな大爆音からこんな可愛いお菓子になるなんてびっくりだよ〗
あのあとちゃんとピンクや緑、黄色に白とお砂糖でコーティングしたものね。
あの機械、ポップコーンも作れないかしら?今度試してみようかしら。とにかく
『みんな一生懸命作ったんだもの。頂きましょう』
『『『『はい♪』』』』
『『『『『わ~い♪』』』』』
『『『『『いただきます!』』』』』
〖〖〖〖〖いただきます!〗〗〗〗〗
このあとしっかりケーキまで、きれいさっぱり食べ尽くされました。そして
『おーい!天界のおばあちゃんから色々届いたぞー!』
「ふおおおっおいちいやちゅ!」じゅるり
『みんなで食べような。あと、お前には着物もあったぞ。あとで着ような』
「あい!うりぇちい!」
そう。和裁も得意なレイさん。
『孫の分しか間に合わないけど、お正月やお月見にも着れるように、羽織とショールもつけて。喜んでくれるかしら』
しっかり、お着物一式プレゼントしていたのでした。
「おりがみみょ!ありがちょ!」
お雛様とお内裏様を貼ったカードを添えて。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございます。遅くなりましたがひな祭り番外編です。
寒いですね。今、外は雪です。皆様ご自愛ください。
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