20 / 90
20 神罰
しおりを挟む
ある日、夜だと言うのに何やら宮の中が慌ただしかった。いや、殺気立ってると言っても過言ではなかった。
『天界樹様?どうかなさったの?』
『ああ、起こしてしまったかえ?すまぬな』
どうも例のエルフの馬鹿王が何かをやらかしたらしく、鍛治神様が直々に粛清に向かうというのだ。
戦いに行くなら武神様の方が?と思ったのだが
『もちろん、武神もそう申し出たのじゃがの。今回はの、かつて鍛治神が携わった鎧が関わっておるようなのじゃ』
『え?』
それはかつて、何代か前のまともであったエルフの王と共に作った特別な鎧なのだという。
『彼の王は聡明で出来た男だったのえ。容姿も中々に美しかったしの。まさか、子孫があのように愚かになるとは思いもしなかったであろうに⋯』
それは、お気の毒に⋯
『それで鍛治神は絶対に自分が行くと言うてのぉ』
『なるほど。そういうことなのですね』
鍛治神様も責任感がお強い方だものね。
『二人とも脳筋なだけじゃよ』ふぅ
『あ、あはは』
決してそんなことはないと思いますよ。
加えて、
〖主神、今回ばかりはもう駄目だ〗
〖奴らは禁忌を犯した。もう救う余地はねぇよ〗
〖⋯そうだね。どれ程のエルフが残るかな〗
〖そうだな。何せ、王族から腐ってるしな〗
〖絶滅に近い状態になるかもな〗
〖それでも仕方ないね。神罰はやむを得ない⋯このままでは守らなければならない者たちが、死んでしまう。精霊と共にある真のエルフを守らないとね〗
どうやら今回ばかりは見逃すことは出来ないらしい。ただでさえ、今までの積み重ねもあるから、主神様が神託を下ろし、犯罪を犯しているエルフたちに一斉に神罰を下すことになったそうだ。主神様はお優しいから、そのお顔は決意を固めてはいらしても、とても悲しい⋯
ぽんっぽんっ
〖主神、背負い込むな〗
〖主神は優しすぎるからな〗
〖俺たちも一緒に背負ってやるよ〗ニカッ
〖だな。んじゃまあ、行ってくるわ〗ニカッ
〖うん。鍛治神、お願いね〗
主神様、鍛治神、武神様の男の友情、美しいわ。
でも、この事件、エルフだけでは済まなかったのよね。
裏でヤツが手引きをしていたのよ。
その為、急遽、主神様も現場に出向き、鍛治神様曰く
〖まったく、後先考えずに無茶しやがって。まあ、あいつじゃなきゃ出来なかったがな〗
そうおっしゃる通り、かなり無理をされたらしい。結果、ヤツに痛手を負わせられたものの、一番ダメージを負ったのが主神様だった。
〖まったく、何してるのよ!こんな無茶してっ〗
〖まあまあ、お母様、そのお陰で捉えられていたエルフの巫女たちを救えたのですから〗
『しっかり神罰も下したしの。まったく、その状態でよくぞあんな各地に神罰を落とせたものじゃのぉ』
〖あははは〗
神罰、凄かったわ。そこら中に雷が落ちて、火柱が上がって⋯主神様、普段はぽやぽやしてるのに、やはりこの世界で一番の神なのね。
『何を今更?一番怒らせたらいけないのは普段大人しい主神のような者え?』
た、たしかに⋯
〖当たり前よ。主神はやる時はやるのよ!〗ふふんっ
〖ま、魔神ちゃんってば〗
〖くすくす。お母様が自慢しても仕方ないでしょうに〗
当然、しばらく安静を言い渡された主神様。急遽、看病のため聖域にいた魔神様と娘の女神様が呼び戻された。代わりに鍛治神様が下に降りたわけなのだけど⋯
今、皆さん、私のために天界に帰ってきて下さっているのよね。申し訳ないわ。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございますm(_ _)m
お気に入り登録、感想、エールなど、ありがとうございます。特に、エール、感想はお時間も頂くので感謝しております。
『転生初日に~』『小さな小さな花うさぎ~』もよろしくお願いします。
『天界樹様?どうかなさったの?』
『ああ、起こしてしまったかえ?すまぬな』
どうも例のエルフの馬鹿王が何かをやらかしたらしく、鍛治神様が直々に粛清に向かうというのだ。
戦いに行くなら武神様の方が?と思ったのだが
『もちろん、武神もそう申し出たのじゃがの。今回はの、かつて鍛治神が携わった鎧が関わっておるようなのじゃ』
『え?』
それはかつて、何代か前のまともであったエルフの王と共に作った特別な鎧なのだという。
『彼の王は聡明で出来た男だったのえ。容姿も中々に美しかったしの。まさか、子孫があのように愚かになるとは思いもしなかったであろうに⋯』
それは、お気の毒に⋯
『それで鍛治神は絶対に自分が行くと言うてのぉ』
『なるほど。そういうことなのですね』
鍛治神様も責任感がお強い方だものね。
『二人とも脳筋なだけじゃよ』ふぅ
『あ、あはは』
決してそんなことはないと思いますよ。
加えて、
〖主神、今回ばかりはもう駄目だ〗
〖奴らは禁忌を犯した。もう救う余地はねぇよ〗
〖⋯そうだね。どれ程のエルフが残るかな〗
〖そうだな。何せ、王族から腐ってるしな〗
〖絶滅に近い状態になるかもな〗
〖それでも仕方ないね。神罰はやむを得ない⋯このままでは守らなければならない者たちが、死んでしまう。精霊と共にある真のエルフを守らないとね〗
どうやら今回ばかりは見逃すことは出来ないらしい。ただでさえ、今までの積み重ねもあるから、主神様が神託を下ろし、犯罪を犯しているエルフたちに一斉に神罰を下すことになったそうだ。主神様はお優しいから、そのお顔は決意を固めてはいらしても、とても悲しい⋯
ぽんっぽんっ
〖主神、背負い込むな〗
〖主神は優しすぎるからな〗
〖俺たちも一緒に背負ってやるよ〗ニカッ
〖だな。んじゃまあ、行ってくるわ〗ニカッ
〖うん。鍛治神、お願いね〗
主神様、鍛治神、武神様の男の友情、美しいわ。
でも、この事件、エルフだけでは済まなかったのよね。
裏でヤツが手引きをしていたのよ。
その為、急遽、主神様も現場に出向き、鍛治神様曰く
〖まったく、後先考えずに無茶しやがって。まあ、あいつじゃなきゃ出来なかったがな〗
そうおっしゃる通り、かなり無理をされたらしい。結果、ヤツに痛手を負わせられたものの、一番ダメージを負ったのが主神様だった。
〖まったく、何してるのよ!こんな無茶してっ〗
〖まあまあ、お母様、そのお陰で捉えられていたエルフの巫女たちを救えたのですから〗
『しっかり神罰も下したしの。まったく、その状態でよくぞあんな各地に神罰を落とせたものじゃのぉ』
〖あははは〗
神罰、凄かったわ。そこら中に雷が落ちて、火柱が上がって⋯主神様、普段はぽやぽやしてるのに、やはりこの世界で一番の神なのね。
『何を今更?一番怒らせたらいけないのは普段大人しい主神のような者え?』
た、たしかに⋯
〖当たり前よ。主神はやる時はやるのよ!〗ふふんっ
〖ま、魔神ちゃんってば〗
〖くすくす。お母様が自慢しても仕方ないでしょうに〗
当然、しばらく安静を言い渡された主神様。急遽、看病のため聖域にいた魔神様と娘の女神様が呼び戻された。代わりに鍛治神様が下に降りたわけなのだけど⋯
今、皆さん、私のために天界に帰ってきて下さっているのよね。申し訳ないわ。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございますm(_ _)m
お気に入り登録、感想、エールなど、ありがとうございます。特に、エール、感想はお時間も頂くので感謝しております。
『転生初日に~』『小さな小さな花うさぎ~』もよろしくお願いします。
25
お気に入りに追加
389
あなたにおすすめの小説
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
異世界で『魔法使い』になった私は一人自由気ままに生きていきたい
哀村圭一
ファンタジー
人や社会のしがらみが嫌になって命を絶ったOL、天音美亜(25歳)。薄れゆく意識の中で、謎の声の問いかけに答える。
「魔法使いになりたい」と。
そして目を覚ますと、そこは異世界。美亜は、13歳くらいの少女になっていた。
魔法があれば、なんでもできる! だから、今度の人生は誰にもかかわらず一人で生きていく!!
異世界で一人自由気ままに生きていくことを決意する美亜。だけど、そんな美亜をこの世界はなかなか一人にしてくれない。そして、美亜の魔法はこの世界にあるまじき、とんでもなく無茶苦茶なものであった。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話。
田舎の雑貨店~姪っ子とのスローライフ~
なつめ猫
ファンタジー
唯一の血縁者である姪っ子を引き取った月山(つきやま) 五郎(ごろう) 41歳は、住む場所を求めて空き家となっていた田舎の実家に引っ越すことになる。
そこで生活の糧を得るために父親が経営していた雑貨店を再開することになるが、その店はバックヤード側から店を開けると異世界に繋がるという謎多き店舗であった。
少ない資金で仕入れた日本製品を、異世界で販売して得た金貨・銀貨・銅貨を売り資金を増やして設備を購入し雑貨店を成長させていくために奮闘する。
この物語は、日本製品を異世界の冒険者に販売し、引き取った姪っ子と田舎で暮らすほのぼのスローライフである。
小説家になろう 日間ジャンル別 1位獲得!
小説家になろう 週間ジャンル別 1位獲得!
小説家になろう 月間ジャンル別 1位獲得!
小説家になろう 四半期ジャンル別 1位獲得!
小説家になろう 年間ジャンル別 1位獲得!
小説家になろう 総合日間 6位獲得!
小説家になろう 総合週間 7位獲得!
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
【完結】知らない間に《女神様のお気に入り》だったようです
Debby
ファンタジー
この世界に『魔法』そのものはない。《ギフト》と呼ばれる力が存在するのみだ。しかし人々は《ギフト》を知る術を持っていない。
《ギフト》とはその名の通り女神から与えられる「贈り物」。それは生まれながらのものであったり、後天的に授かったりもし、貴族平民なども関係がない。もちろん《ギフト》持ちから《ギフト》持ちが生まれる訳でもない。それこそ神のみぞ知る、というヤツである。
何故そんなことをクレア・オリーブ伯爵令嬢が知っているのかというと、彼女が《他人のギフトが何か分かる》という一見使えそうで全く使えないギフトの持ち主だからである。
そんな彼女の通う学園で、前代未聞の大問題が起こってしまった。
その中心人物が、アリス・キャロットという美しい男爵令嬢らしいのだが、話してみると意外と良い子で──
★予約投稿済みで、全13話11/28に完結します
★12/12におまけを追加しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる