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第35話 僕は冒険者だ!!
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「そういう事なら、構わぬぞ。これで助かる命があるのなら、ぜひ使ってくれ」
「でも、とても価値のある貴重なものなんですよね……本当に、いいんでしょうか?」
ハーブレット学長は二つ返事で了承してくれた。それを受けて、僕は逆に困惑してしまっている。学術的な価値も高く貴重な『エリクスの薬』を、こんな簡単に使わせてもらって良いのだろうか。ラディアさんを助けたいのは心からの願いなんだけれど、僕は逆に心配になってしまった。
「うむ。『エリクスの薬』が貴重とはいえ、所詮は使い捨ての道具にすぎぬ。こんなものはまた掘り出せばよい。そんなことよりも、ラディアの命の方が大切であろう。違うかの?」
ハーブレット学長は事もなげに言ってのける。僕はハーブレット学長の言葉に感動して、深々と頭を下げた。
「あ、ありがとうございます!」
良かった。これで、ラディアさんを助けることができる。僕は、重荷が一つ下りた気持ちだった。
僕はラディアさんの方を向いて、『エリクスの薬』と拾った『金包蘭の根』を両手に持って、【創薬】を発動した。
両手に持ったふたつの素材が、淡い光に包まれる。僕は両手の平を上に向けたまま、光を重ねるように手をあわせた。
僕の手には、一本の赤金色の薬品が現れた。
「ラディアさん、これを飲んで」
僕は、出来上がった『ライフシール』をラディアさんに手渡した。ラディアさんが上目遣いで僕の方を見る。
「ハルガード君……いいんでしょうか」
ラディアさんは僕を見ながら呟いた。僕は何も言わずに、うなづいて答える。ラディアさんはそっと薬を受け取ると、薬瓶の蓋をあける。そして、『ライフシール』をゆっくりと飲み始めた。
「んくっ……んくっ……」
ラディアさんが『ライフシール』を飲みこんでいく。無事に『ライフシール』を飲み干したラディアさんは、ぷはーっと息を吐いて胸をさすった。
「ハルガード君……これあんまり美味しくなかったです。なんだか、不自然なとろみと妙な酸味と薬っぽい甘さがあって……とても飲みづらかったです」
苦々しく顔をしかめて話すラディアさんを見て、僕も頬をひきつらせてしまった。そう言えば、味見してないからな。また、不味い薬を飲ませてしまったようだ。ほんとに、ラディアさんには貧乏くじばかり引かせてしまってるようで申し訳ない。
「でも、おかげさまで安心しました。実は私も、ちょっと……いえ、かなり不安だったんです。もしかしたら、明日には目を覚まさないかもしれないって思ったら、夜も眠れなくって……」
そう言って、ラディアさんは僕に抱きついた。僕の胸の中で、ラディアさんは目に涙を浮かべていた。
「私、もう皆に会えなくなったらどうしようって。ハルガード君に会えなくなったらどうしようって。とても不安でした。でも、心配かけちゃダメかなって思ってずっと顔に出さないようにしてました。けど……ダメですね。安心したら、なんだか涙が止まらなくなっちゃいました」
僕の胸に顔を埋めて泣きじゃくるラディアさん。そっか……そうだよね。一番怖かったのは、ラディアさんなんだ。エインガナに変身したアナグニエ副学長に対抗するためとはいえ、やっぱり相当な負担をかけてしまってたんだ。本当に、ラディアさんには悪いことをした。
「僕の方こそ、ごめん……ラディアさんには本当に助けられたんだ。ラディアさんがいなかったら、僕はここまで来れなかったと思う。色んなことがあったけど、全部ラディアさんの支えと力添えがあったおかげなんだ。ありがとう、ラディアさん」
「ハルガード君!」
ラディアさんが僕を抱きしめる力を強めてきた。僕も、ラディアさんの小柄な体を抱きしめた。僕らは、お互いにそのまま抱き合った。
しばらくそのままだったんだけれど、ハーブレット学長がこほんと咳払いをした。そこで、僕らはハッと我にかえり、パッと離れた。しまった、人前だった! あーもう、僕はまたなんて事をしてるんだ……。
「すす、すみません、ハーブレット学長!」
「よい。これで、憂いは晴れたかの」
「はい! ありがとうございました!」
僕とラディアさんは、揃ってハーブレット学長に頭を下げた。本当に、ハーブレット学長には頭が上がらない。僕は心からハーブレット学長に感謝した。
「では、ワシは見回りを続けるからの。そなたらも、あまり、あちこちを荒らさぬように。ワシも現状を報告しなければならぬのでな」
そう言って、ハーブレット学長は隣のアナグニエ副学長の部屋へ入っていった。僕とラディアさんは、互いに顔を見合わせた。
「それじゃあ、僕らは外に出ようか」
「はい。それで、ハルガード君はこれから、どうするんですか?」
「そうだな……ナクトル達に『エリクシール』の使用を止めさなきゃいけないし、まずはそれからだよな。それに、ハーブレット学長には『エリクスの薬』を弁償しなきゃいけないし。他の『エリクシール』の被害者達にも、『ライフシール』を配りたいと思ってる。そうすると『エリクスの薬』が大量に必要になるから、材料のフレングラスを探さなきゃいけない……うわぁ、やる事が山積みだ」
「ふふ、そうですね。これから大変でしょうし、私もここまで来たんです。私も、ハルガード君の力になりたいです」
そう言ってラディアさんは、僕の手を取った。
「これからも、ずっとパートナーとして一緒に居ても良いですか、ハルガード君?」
青い瞳を真っ直ぐ向けて、ラディアさんは僕に言った。僕は、迷うことなくうなづいた。
「うん、僕の方こそ。ラディアさん、これからもよろしくお願いします」
僕らは互いに手を取り合って、パーティー結成の誓いを立てた。
僕らが資材置き場を出ると、ハーブレット学長もアナグニエ副学長の部屋から出てきた。
「おお、そうじゃ。ハルガードよ。『エリクシール』の件じゃが、こちらの方で報告書をまとめ次第、生産中止を指示しようと思っておる。この薬の危険性を認識した以上、放っておく訳にはいかないからの」
ハーブレット学長が言った。これは、願ってもない申し出だった。
「何から何まで、すみません。本当に助かります!」
「うむ。では、気を付けて行くがよい。じゃが、今後『エリクシール』は使えなくなることになるじゃろう。冒険に行くなら、十分に準備していくのじゃよ」
「はい!」
僕らは、ハーブレット学長に再び頭を下げた。これで、ナクトル達が『エリクシール』を乱用して倒れてしまうという危険性は低くなった。同時に、『エリクシール』が販売中止になることで、ナクトル達も進行のペースを緩めざるを得なくなるはずだ。僕らはそれ以上に頑張らなきゃいけないけれど、もしかしたら、そのうち彼らに追いつく事も出来るかもしれない。
僕には、まだまだやる事がたくさんある。けれど、もう迷わない。僕は『ライフシール』を皆に届けるために、冒険に出るんだ。
今思うと、あの『金包蘭の根』はアナグニエ副学長が僕らに託してくれた最後のメッセージだったのかも。アナグニエ副学長の行方は結局分からないけれど、あそこで『金包蘭の根』を拾えたことで、『ライフシール』を作ることが出来た。アナグニエ副学長は、『エリクシール』を作りながら、『エリクシール』の副作用に対処出来る可能性のある薬品に気付いていたのかもしれない。
僕は、最初【薬識】なんて使えないと思っていた。けれど、これからの問題を解決していくのに、きっと【薬識】は必要不可欠だと思う。
【薬識】はとてもレアな固有スキルだ。そして、そんな【薬識】を持っている僕にしか出来ないことが、たくさんある。
僕は、冒険者になって世界中の人々を助けるんだ。いままでも、冒険者になりたいという気持ちはあった。けれど、ようやく、僕が冒険者になってやるべき事が見えた気がする。
危険を冒しても、やりたい事がある。手に入れたいものがある。そうして、あえて危険に臨む者たちを、人々は冒険者というんだ。
だから、僕はもう冒険者なんだ!
Fin.
「でも、とても価値のある貴重なものなんですよね……本当に、いいんでしょうか?」
ハーブレット学長は二つ返事で了承してくれた。それを受けて、僕は逆に困惑してしまっている。学術的な価値も高く貴重な『エリクスの薬』を、こんな簡単に使わせてもらって良いのだろうか。ラディアさんを助けたいのは心からの願いなんだけれど、僕は逆に心配になってしまった。
「うむ。『エリクスの薬』が貴重とはいえ、所詮は使い捨ての道具にすぎぬ。こんなものはまた掘り出せばよい。そんなことよりも、ラディアの命の方が大切であろう。違うかの?」
ハーブレット学長は事もなげに言ってのける。僕はハーブレット学長の言葉に感動して、深々と頭を下げた。
「あ、ありがとうございます!」
良かった。これで、ラディアさんを助けることができる。僕は、重荷が一つ下りた気持ちだった。
僕はラディアさんの方を向いて、『エリクスの薬』と拾った『金包蘭の根』を両手に持って、【創薬】を発動した。
両手に持ったふたつの素材が、淡い光に包まれる。僕は両手の平を上に向けたまま、光を重ねるように手をあわせた。
僕の手には、一本の赤金色の薬品が現れた。
「ラディアさん、これを飲んで」
僕は、出来上がった『ライフシール』をラディアさんに手渡した。ラディアさんが上目遣いで僕の方を見る。
「ハルガード君……いいんでしょうか」
ラディアさんは僕を見ながら呟いた。僕は何も言わずに、うなづいて答える。ラディアさんはそっと薬を受け取ると、薬瓶の蓋をあける。そして、『ライフシール』をゆっくりと飲み始めた。
「んくっ……んくっ……」
ラディアさんが『ライフシール』を飲みこんでいく。無事に『ライフシール』を飲み干したラディアさんは、ぷはーっと息を吐いて胸をさすった。
「ハルガード君……これあんまり美味しくなかったです。なんだか、不自然なとろみと妙な酸味と薬っぽい甘さがあって……とても飲みづらかったです」
苦々しく顔をしかめて話すラディアさんを見て、僕も頬をひきつらせてしまった。そう言えば、味見してないからな。また、不味い薬を飲ませてしまったようだ。ほんとに、ラディアさんには貧乏くじばかり引かせてしまってるようで申し訳ない。
「でも、おかげさまで安心しました。実は私も、ちょっと……いえ、かなり不安だったんです。もしかしたら、明日には目を覚まさないかもしれないって思ったら、夜も眠れなくって……」
そう言って、ラディアさんは僕に抱きついた。僕の胸の中で、ラディアさんは目に涙を浮かべていた。
「私、もう皆に会えなくなったらどうしようって。ハルガード君に会えなくなったらどうしようって。とても不安でした。でも、心配かけちゃダメかなって思ってずっと顔に出さないようにしてました。けど……ダメですね。安心したら、なんだか涙が止まらなくなっちゃいました」
僕の胸に顔を埋めて泣きじゃくるラディアさん。そっか……そうだよね。一番怖かったのは、ラディアさんなんだ。エインガナに変身したアナグニエ副学長に対抗するためとはいえ、やっぱり相当な負担をかけてしまってたんだ。本当に、ラディアさんには悪いことをした。
「僕の方こそ、ごめん……ラディアさんには本当に助けられたんだ。ラディアさんがいなかったら、僕はここまで来れなかったと思う。色んなことがあったけど、全部ラディアさんの支えと力添えがあったおかげなんだ。ありがとう、ラディアさん」
「ハルガード君!」
ラディアさんが僕を抱きしめる力を強めてきた。僕も、ラディアさんの小柄な体を抱きしめた。僕らは、お互いにそのまま抱き合った。
しばらくそのままだったんだけれど、ハーブレット学長がこほんと咳払いをした。そこで、僕らはハッと我にかえり、パッと離れた。しまった、人前だった! あーもう、僕はまたなんて事をしてるんだ……。
「すす、すみません、ハーブレット学長!」
「よい。これで、憂いは晴れたかの」
「はい! ありがとうございました!」
僕とラディアさんは、揃ってハーブレット学長に頭を下げた。本当に、ハーブレット学長には頭が上がらない。僕は心からハーブレット学長に感謝した。
「では、ワシは見回りを続けるからの。そなたらも、あまり、あちこちを荒らさぬように。ワシも現状を報告しなければならぬのでな」
そう言って、ハーブレット学長は隣のアナグニエ副学長の部屋へ入っていった。僕とラディアさんは、互いに顔を見合わせた。
「それじゃあ、僕らは外に出ようか」
「はい。それで、ハルガード君はこれから、どうするんですか?」
「そうだな……ナクトル達に『エリクシール』の使用を止めさなきゃいけないし、まずはそれからだよな。それに、ハーブレット学長には『エリクスの薬』を弁償しなきゃいけないし。他の『エリクシール』の被害者達にも、『ライフシール』を配りたいと思ってる。そうすると『エリクスの薬』が大量に必要になるから、材料のフレングラスを探さなきゃいけない……うわぁ、やる事が山積みだ」
「ふふ、そうですね。これから大変でしょうし、私もここまで来たんです。私も、ハルガード君の力になりたいです」
そう言ってラディアさんは、僕の手を取った。
「これからも、ずっとパートナーとして一緒に居ても良いですか、ハルガード君?」
青い瞳を真っ直ぐ向けて、ラディアさんは僕に言った。僕は、迷うことなくうなづいた。
「うん、僕の方こそ。ラディアさん、これからもよろしくお願いします」
僕らは互いに手を取り合って、パーティー結成の誓いを立てた。
僕らが資材置き場を出ると、ハーブレット学長もアナグニエ副学長の部屋から出てきた。
「おお、そうじゃ。ハルガードよ。『エリクシール』の件じゃが、こちらの方で報告書をまとめ次第、生産中止を指示しようと思っておる。この薬の危険性を認識した以上、放っておく訳にはいかないからの」
ハーブレット学長が言った。これは、願ってもない申し出だった。
「何から何まで、すみません。本当に助かります!」
「うむ。では、気を付けて行くがよい。じゃが、今後『エリクシール』は使えなくなることになるじゃろう。冒険に行くなら、十分に準備していくのじゃよ」
「はい!」
僕らは、ハーブレット学長に再び頭を下げた。これで、ナクトル達が『エリクシール』を乱用して倒れてしまうという危険性は低くなった。同時に、『エリクシール』が販売中止になることで、ナクトル達も進行のペースを緩めざるを得なくなるはずだ。僕らはそれ以上に頑張らなきゃいけないけれど、もしかしたら、そのうち彼らに追いつく事も出来るかもしれない。
僕には、まだまだやる事がたくさんある。けれど、もう迷わない。僕は『ライフシール』を皆に届けるために、冒険に出るんだ。
今思うと、あの『金包蘭の根』はアナグニエ副学長が僕らに託してくれた最後のメッセージだったのかも。アナグニエ副学長の行方は結局分からないけれど、あそこで『金包蘭の根』を拾えたことで、『ライフシール』を作ることが出来た。アナグニエ副学長は、『エリクシール』を作りながら、『エリクシール』の副作用に対処出来る可能性のある薬品に気付いていたのかもしれない。
僕は、最初【薬識】なんて使えないと思っていた。けれど、これからの問題を解決していくのに、きっと【薬識】は必要不可欠だと思う。
【薬識】はとてもレアな固有スキルだ。そして、そんな【薬識】を持っている僕にしか出来ないことが、たくさんある。
僕は、冒険者になって世界中の人々を助けるんだ。いままでも、冒険者になりたいという気持ちはあった。けれど、ようやく、僕が冒険者になってやるべき事が見えた気がする。
危険を冒しても、やりたい事がある。手に入れたいものがある。そうして、あえて危険に臨む者たちを、人々は冒険者というんだ。
だから、僕はもう冒険者なんだ!
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