宝石兄弟の日々

田中げむ

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カップラーメン

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 真夜中なのに腹が減った。
俺は自室で持ち帰りの仕事をしていて、……珊瑚はいつも俺に付き合って起きてるからこっそりと、……ようやく一区切り付いた所。
 珊瑚はとっくに寝ているだろう。
珊瑚を起こしてご飯を作らせる訳にもいかない。
かと言って冷蔵庫を漁ろうにも、珊瑚が計算して食材を買っているかも知れないし。
「……コンビニに行くか」
 そう決めた俺は、手早く用意し家を出た。
 深夜のコンビニのワクワク感は異常だ。
客は俺一人。
弁当のコーナーは品出しがまだなのか、品薄。
俺はカップラーメンの棚へと移動し、物色を開始した。
……こんなに種類が有るのか。
二つばかり気になったカップラーメンをカゴに入れ、ついでに他の棚も見て回る。
……結局、今食べないだろうアイスやチョコ菓子も買ってしまった、……季節限定だったから。
 家に帰った俺は、早速カップラーメンの用意をする。
……後乗せかやく?知るか、今入れる。
次はお湯だ。
ポットからお湯を注ぐ。
「熱っ」
ポットのお湯が麺に跳ね返り、手に飛び散る。
「金剛兄さん、なにしてるの」
「さ、珊瑚」
「……カップラーメン?ああ、お湯が手に?早く冷やそう」
 いつの間にか起きて来た珊瑚からお湯で濡れた手を掴まれ、すぐに蛇口の水で冷やされる。
……、俺はカップラーメンすらまともに作れないのか。
「うん、火傷はしてないね。良かった」
「すまん……」
「お腹が減ったなら、オレを起こせばいいのに」
「すまん……」
 俺はカップラーメンすら作れないと、意気消沈中だ。
そんな俺へ、珊瑚が「どうしたの」と心配顔をする。
俺は素直に心中を吐露。
 それを聞いた珊瑚は、「それでいいのに」とうっとり笑う。
「兄さんのお世話は全部オレがしてあげる。オレ無しじゃ兄さんが生きて行けない様にしてあげる。兄さんはオレだけを頼って、オレだけに甘えて、オレだけを必要とすればいいんだよ。他は何も要らない、他なんて欲しくない様にしてあげる。ね、兄さん」
「……過激だな」
「オレの心からの本音だよ」
そう言う珊瑚は俺のお湯が跳ねた場所に何度も口付ける。
珊瑚の赤い瞳が俺を見上げる。
ソレは俺が愛おしいと潤んで細められている。
 珊瑚からの愛され具合にムズムズする。
そんなやり取りをしていたら、カップラーメンの麺が伸びてしまった。
それでも、そのカップラーメンは美味かった。



おわり
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