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第2章
2,「知ることから始めましょう」
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俺は寝っ転がって、大の字になり天井を見つめていた。黒の質感の良い毛布に包まれて全身の力を抜く。でも、リラックスしてモヤモヤが晴れるわけ、ないよなぁ。
俺は、スウェットのポッケからスマホを取り出した。黒いシンプルなデザインのスマホ。連絡先から選んでタッチすると、まもなくしてコール音が鳴る。
ジーッと無機質な音がして、だるそうな声が聞こえた。
「……なに? 」
「ああ、西村?」
「……要件」
今日も親友は冷ややかだ。
「あのさぁ? 俺、謎なわけ」
俺は天井の半球状の照明をぼんやり見ながら、言う。
「……は? 何が」
「先輩だよ。センパイ!」
「うるさい」
あ、切れた。俺はもう一度コールをする。ブチッと何か切れる音がした。
「なに、要件」
「だから、先輩のことわかんねー」
スマホの向こうで、深いため息が聞こえた。おいおい、親友がこんなに悩んでるってのに。
「……まあ、知ろうとすることから始めれば」
「知ろうとすることか……」
「そういうことで、じゃあ」
いいことを言い残して、早々に切ろうとする所を俺は割り込んだ。「まって」
「……さんきゅー」
「……」
また、切れた。返事もなし。俺、寂しいんだが。
スマホをベットに投げて、深く息を吸った。そして、「知ろうとすることから」を始めることにした。
ベッドから下りてなんとなく部屋を見渡した。そこが散らかっていることに始めて気付き、服、漫画本、どうでもいいゲームをかたす。俺は、部屋を出た。
リビングの黒いソファに深く座って、シルバーの時計の秒針の音に耳を澄ます。
ダメだ。思い出が何一つない。今まで積み重なった過去の恋愛が、思い出せない。
代わりに思い出したのは、夕陽に照らされた、先輩の横顔。あの時の景色をよく俺は憶えていた。
俺は、スウェットのポッケからスマホを取り出した。黒いシンプルなデザインのスマホ。連絡先から選んでタッチすると、まもなくしてコール音が鳴る。
ジーッと無機質な音がして、だるそうな声が聞こえた。
「……なに? 」
「ああ、西村?」
「……要件」
今日も親友は冷ややかだ。
「あのさぁ? 俺、謎なわけ」
俺は天井の半球状の照明をぼんやり見ながら、言う。
「……は? 何が」
「先輩だよ。センパイ!」
「うるさい」
あ、切れた。俺はもう一度コールをする。ブチッと何か切れる音がした。
「なに、要件」
「だから、先輩のことわかんねー」
スマホの向こうで、深いため息が聞こえた。おいおい、親友がこんなに悩んでるってのに。
「……まあ、知ろうとすることから始めれば」
「知ろうとすることか……」
「そういうことで、じゃあ」
いいことを言い残して、早々に切ろうとする所を俺は割り込んだ。「まって」
「……さんきゅー」
「……」
また、切れた。返事もなし。俺、寂しいんだが。
スマホをベットに投げて、深く息を吸った。そして、「知ろうとすることから」を始めることにした。
ベッドから下りてなんとなく部屋を見渡した。そこが散らかっていることに始めて気付き、服、漫画本、どうでもいいゲームをかたす。俺は、部屋を出た。
リビングの黒いソファに深く座って、シルバーの時計の秒針の音に耳を澄ます。
ダメだ。思い出が何一つない。今まで積み重なった過去の恋愛が、思い出せない。
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