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銀色のアスファルト
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アスファルトの上はまだ湿気を帯びている。さっき上がった雨がまだ留まっているのだろう。今出てきたアパートの階段も、蛍光灯を反射させて俺の影にまで落ちていた。人気の少なくなってきた十字路も、信号機の緑や赤の光で濡れている。
息を吸うと、なんだか今日の風はひんやりとしている。胸の奥にまで入って、口から出ていった。歩道橋から下を見てしばらく車が走るのを見ていた。
慌ててズボンのポケットからスマホを取り出した。
「・・・・・・渚?」
「そうだよ。当たり前じゃん?」
喉の奥で渚は笑った。落ち着いたように、息をして。
「月が、綺麗ですねっ」
渚の声は少し上ずっていて、きっと違う言葉を呑み込んだに違いない。
「・・・・・・俺にはお前しか見えないけどね」
空を見上げた。月は少しも欠けてなどいなかった。
息を吸うと、なんだか今日の風はひんやりとしている。胸の奥にまで入って、口から出ていった。歩道橋から下を見てしばらく車が走るのを見ていた。
慌ててズボンのポケットからスマホを取り出した。
「・・・・・・渚?」
「そうだよ。当たり前じゃん?」
喉の奥で渚は笑った。落ち着いたように、息をして。
「月が、綺麗ですねっ」
渚の声は少し上ずっていて、きっと違う言葉を呑み込んだに違いない。
「・・・・・・俺にはお前しか見えないけどね」
空を見上げた。月は少しも欠けてなどいなかった。
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