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早くしてくれ
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せめてゲームセンターで別れてしまえば良かった。食べ放題のみせ。目の前で立花さんは皿に取り分けている。姿勢だって、何かを刺ししているように背筋が真っ直ぐだ。
皿もテーブルいっぱいになり、食べようとしたところで目の前にグラスが置かれた。前を見ると渚の前にも水が。
「ありがとう」
俺は目を下に向けて目を合わせないようにして言った。口元に手を当てて立花さんはいった。
「陽乃ちゃんていつもこんな感じなんですか? 」
渚は目を細くして、しばらく立花さんを見ていた。だが、水を少しだけ飲んだ。「こんな感じですよ」渚は水しか口にししなかった。言葉を水と共に飲み尽くすような、そのような勢いさえも感じた。
俺は目の前のたこ焼きを、ホコリ玉のような物を飲み込むように苦しさを感じさせながら食べて飲みこんだ。
「俺、トイレ行ってくる」
「・・・おお、行ってら」
渚を視線で見送って、目の前のオレンジジュースを吸う。グラスが音を立てたので前を見てみると、彼女の口元は笑っていた。
「朝比奈さんって、なんか、男の子っぽいよね」
俺は反吐が出る思いで、言葉を呑み、頷いた。目は、合わせられなかった。果汁100%のオレンジジュースの減りはいつもより早かった。
「第三者である私が言うんだけど、もう少し女の子らしくした方がいいと思うよ? 」
どこまでも優しい言い方だった。けれど、その言葉の澱には冷たい沈下物が眠っているように感じた。
立花さんは続ける。
「渚くんも、なんかちょっと可哀想な気がして・・・」
俺の胸に刺さった棘を、引き抜こうとされている気分だった。
『でも、渚は。渚は、そんな俺が好きって言ってくれた』口から、出そうとしたものは、魚の骨のようにつっかえて取れなかった
。
「正直。 」と語彙がちょっと鋭いものになって、続く。
「侑希、くんにも迷惑だと思うの」
侑希、なぜ今その名前が挙げられるのだろうか。
「正直、侑希くんに近寄らないで欲しいの」
支離滅裂な言葉は、理不尽という言葉を連想された。
皿もテーブルいっぱいになり、食べようとしたところで目の前にグラスが置かれた。前を見ると渚の前にも水が。
「ありがとう」
俺は目を下に向けて目を合わせないようにして言った。口元に手を当てて立花さんはいった。
「陽乃ちゃんていつもこんな感じなんですか? 」
渚は目を細くして、しばらく立花さんを見ていた。だが、水を少しだけ飲んだ。「こんな感じですよ」渚は水しか口にししなかった。言葉を水と共に飲み尽くすような、そのような勢いさえも感じた。
俺は目の前のたこ焼きを、ホコリ玉のような物を飲み込むように苦しさを感じさせながら食べて飲みこんだ。
「俺、トイレ行ってくる」
「・・・おお、行ってら」
渚を視線で見送って、目の前のオレンジジュースを吸う。グラスが音を立てたので前を見てみると、彼女の口元は笑っていた。
「朝比奈さんって、なんか、男の子っぽいよね」
俺は反吐が出る思いで、言葉を呑み、頷いた。目は、合わせられなかった。果汁100%のオレンジジュースの減りはいつもより早かった。
「第三者である私が言うんだけど、もう少し女の子らしくした方がいいと思うよ? 」
どこまでも優しい言い方だった。けれど、その言葉の澱には冷たい沈下物が眠っているように感じた。
立花さんは続ける。
「渚くんも、なんかちょっと可哀想な気がして・・・」
俺の胸に刺さった棘を、引き抜こうとされている気分だった。
『でも、渚は。渚は、そんな俺が好きって言ってくれた』口から、出そうとしたものは、魚の骨のようにつっかえて取れなかった
。
「正直。 」と語彙がちょっと鋭いものになって、続く。
「侑希、くんにも迷惑だと思うの」
侑希、なぜ今その名前が挙げられるのだろうか。
「正直、侑希くんに近寄らないで欲しいの」
支離滅裂な言葉は、理不尽という言葉を連想された。
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