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1滴の泥を落とされた楽園であっても

現実と謔ェ夢と現実と謔ェ…

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 ――だが君は見なければならない。例え見たくなかろうとも。


「今日の依頼は『力源《りょくげん》の窟《いわや》からチャネライトの調達をしてほしい』…かぁ、配達所の爆音は無響石むきょうせきで、それから洞窟のマナ濃度の高い所はオビセプライトを使えば安全に探索できるね」

 マイカ・トゥスニンケは冒険をして主人公になることが夢だった。
 物語が好きで、いつか自分の旅を題材とした物語を描くことが目標。けれど冒険が思いの外楽しく、ついつい面白いことが続くとネタのメモ内容がいくつか抜けてしまうことがあった。それでも続けていくうちに話のネタは集まるもので、王都での冒険活動が一段落したら、執筆中の物語に一区切りつけようと思っていた。

 マイカは一応は魔女であったが、自分の魔法があんまり凄くないことがコンプレックス。
 しかし今では色んな応用で、出来ることがどんどん増えることで、少しずつコンプレックスを克服しつつあった。

 彼女が扱う『始栗鼠不思議の魔法』は、物体を元の状態からいくらでも小さくできる。
 元の状態より大きくは出来ないが、一度小さくしたものを元の大きさに戻すことならできるので、購入した魔道具や採取した素材が嵩張ったりせず、冒険の助けになっていた。

 魔術が得意ではない代わりに、素材や魔道具で臨機応変に依頼をこなして資金集めをし、冒険を繰り返す。そしてその内容をもとにして物語を書くことをメインの活動としている。いわばそれが彼女のライフワークであった。

 今日は資金調達のため、魔女協会《グリッデムド》の掲示依頼を受け、ミタル・ウィフオンス山に来ていた。

「おー…おわっとー、王都に来る前から気になってたけど、やっぱ結構おっきいなぁ」

 眼の前にそびえる山を見上げると、身の丈ほどもあるリュックいっぱいの重みで、一瞬後ろへよろけ倒れそうになるが、すぐに堪えて体勢を整えた。

 そしてトラブルもなく、難なく三合目へ登ると関所に辿り着いた。

「こんにちは兵士さん」
「こんにちは、三合目より上に行きますか?でしたらカードの提示をお願いします」
「あ、はいこれですよね」

 マイカは両端から、真ん中にかけて下がる「青」「黄」「金」3色の三本線の意匠が描かれたカードを兵士へ見せた。

「はい、確認しました、どうぞお通りください」
「ありがとうございます」

 関所をパスしてさらに登り、六合地点へと向かう。爆音が近づき、だんだんとエルフの配達所が見えてきた。ここで無響石むきょうせき拡釈かくしゃくの種を撒いて足元に投げ割る。それから建物の横を通り抜けようとした。

「どいてー!」
 息を切らせてエルフが猛スピードで後ろから来る。

「ちょ、ちょっとどいてー!!うわぁあああ!!」
 吹っ飛んできたエルフにぶつかり、マイカは配達所に吹き飛ばされ激突した。

「う、う…っ」
「ごっめんね……大丈夫?一応治療魔術かけるね…」

 エルフは壁に埋まっているマイカに治療ちりょう魔術をかける。しかしそれよりも早く壁から抜いてほしいマイカは、壁をバンバン叩いてヘルプを求めた。

 その後エルフは穴からマイカを引き抜き、壁を修復の魔術で元に戻す。

「ほんとにごめんね、今度何かお詫びするから…」

「それはいいんだけれど、あなた何してたの?なんで吹っ飛んできたの?」

「あぁ、あたしポーシェ。ちょっとここで会う人がいてさ、登る体力があまり無いから射出しゃしゅつ魔術で飛んでいこうと思ってぇ…」

「じゃあ、今度からは他のやりかたを考えるか、うまいこと調整して人のいないところに着地すること!それで許してあげる」

 ちょっとした説教をして、ポーシェはマイカの言ったことを守ることを誓って、いつかお詫びすることを約束すると、配達所に入っていった。


「さてと、効果が切れる前にこの爆音の配達所から離れちゃお」
 本来、無響石むきょうせきを砕くだけでは何の効果もないが、拡釈かくしゃくの種を使用し砕くことで、使用者に衝撃への耐性を付与することができる。
 衝撃とはすなわちエネルギーの波で、音もそれに含まれるため、拡釈の種で効果の幅を広げてあげることで防音機能をもった『衝撃を軽減する障壁』を展開することができる。

耳が敏感なマイカは心底嫌そうにしながら、効果の残っている間に配達所の横を速やかに通っていった。

「ここが6合16番坑道、力源《りょくげん》の窟《いわや》ね、んじゃさくっと採ってきちゃお~っと」

 洞窟に入り、広めの空間を抜け、細い坑道を歩いていく――

 あたりを見渡しながら、目的のチャネライトを探す。なかなかみつからず、このままではどんどん深層に行くことになってしまう。
 帰りのことも考え、あまり深いところまで進みたくはなかったので、(そろそろ見つかってほしいな)と、マイカは思った。

 冒険をしたいマイカではあるが、依頼を頭の片隅においたままはあまりしたくない、絶対に全力で楽しめない。そんな悔恨を残すような冒険はもったいない。だから早いところみつかって欲しかった。

「確か黄色くて、音を発しているとか何とか…フォンフォン言ってればそれがチャネライト…らしい。うーん、ほんとにそんな鉱物あるのかなぁ…本で見たことないけどなぁ」


 濃度の高いマナが満ちる坑道内は、淡く、それでいて煌々こうこうと照らす鉱石によって、まるで夜空のように美しい。ところどころ暗いところがあるのがまた深みを与えていて、夢の中にいるかのような、微睡んでいると錯覚するような心地にさせる。

「あーあ、見つけちゃったぁ…君一人だけしかいない…はぁーあー」

 知らない声が暗闇の向こうから聞こえ、姿を現す。

「こんにちは、どうかしたんですか?」
 マイカは赤い髪の女性に声をかける。

「君に合う前に誰かいないかと思ったんだけど~、だーれもいなくてぇ…せっかく外に遊びに出るのに誰とも遊べないからすっご~く残ね~んなんだよ~」

 ゆらゆらと体を揺らし、ゆっくり体を回転させながら近づいてきて、マイカの顔を覗き込んできた。

「じゃあ王都に行くといいですよ?たくさん人がいますし、わたしは遊んであげられないですけど、そこなら遊んでくれる人もいるかもしれないし」

「でもねぇ~…ウチがここにいるのは仕事だからなんだよねぇ、それに仕事を終わらせたらかえって報告しなきゃだし~。君がウチを楽しませくれないと」

「そんなこと言われても…わたしも仕事だから遊んであげられないよ」

「大丈夫だよ~、君が何かしなくても~。それにもう時間なんて考えなくていいし~」

「それってどういう…?」

 ――瞬間、「ばくん!」と大口で何かを食べたような音が聞こえた。

「…右腕」

「…え?」

 彼女が言った『右腕』、そしてその視線の先、マイカは自分の右腕を見て、青ざめていく。

「な、んで…?わ、わたしのみぎうで…」

 マイカの右腕、正確に言えば肘から先が消失していた。あるはずのものが体から一瞬にして消えていた。出血はないが、痛みを感じる。

「ふふ…あはは!タノシイ…たのしいなぁ…その顔。あぁ幸せ…」
 マイカの疑問に答えることはなく、彼女は楽し気に笑っていた。

「い、いや…やめて…」

「大丈夫だよ、いつかは終わるから」

 「ばくん!」と再び音が聞こえ、今度は左腕が消失する。マイカは酷く動揺して、叫ぶのすら忘れて、嗚咽おえつを漏らすことしかできなかった。


「に、逃げなきゃ…怖い…この人は、危険だ…!」

 きびすを返して、急いで逃げようとした瞬間、また「ばくん!」と音が鳴る。途端にマイカは地面を踏みしめられなくなり、倒れ込んだ。

「こ、今度は…左足…!」
「あぁ、かわいい…かわいい…!ひひひっ!逃げたいねぇ、逃げようねぇ!大変なことになっちゃうかもしれないからねぇ!」

 女はなおも楽し気に笑う。怖気おぞけが段々とマイカに湧き上がってくる。(この女は魔獣なんかよりも恐ろしい存在だ!)悪を知らないマイカは、だがそのことを直感的に理解した。
 なんとしてでも逃げなければ殺されてしまうかもしれない。いや、『かもしれない』ではなく、これは確信せざるを得なかった。このまま何もしなければ自分は『殺されてしまう』と。
 一瞬のうちにさとり、左足を失ったマイカは(今ある手と足を使って、走るしかない!)と、必死で不均衡ふきんこうとなった四肢ししをバタバタさせ、なんとか逃げようとする。

 だが――

 『ばくん!』と音が聞こえ、気が付くと胴体を失って、マイカはパーツごとに別れてしまった。

 しかし、それでもマイカは生きている。何故かは全く分からない。理由もなく、胴体を失っても生き続けている。そして、失った箇所かしょから痛みを感じる。無いはずのところから傷みの信号が送られ続ける。

「あ…ぁ…なん、で…」

 目に映るのは、本来生きている筈のない自身の身体。意識があるのに、マイカはもう何もできない。何もできないのに、生き続けている。悔しくて、情けなくて、涙が頬を何度も伝う。

「あぁぁぁあああ!かわいいいいい!ふふひひひひ!かわいいなぁ、かわいいいなぁぁぁ!やるせない?悲しい?死ぬのが怖い?大丈夫だよ~いつかは終わるからね」
 悦楽えつらくに浸り、その髪と同じ色に顔を上気させ、マイカの表情、一挙一動をつぶさに一瞬たりとも見逃すまいとその瞳は深く、全てを観察するように息を荒げながら見つめていた。

「はあぁでもかわいそうだから、死ぬ前に教えてあげるね。これね、この子がやったんだよ、『レグンガヌーゴ』覚えてあげてね?この子の力知りたい?知りたいでしょ?いいよ教えてあげる!どうせ死んじゃうんだし!」

「この子ねぇ、相手の認識を食べちゃうんだ、だから君は体を失ったように、その部分が動かせない、それでいて痛みは感じるようになってる。だからね?」

 ザクリと感触を感じる。無いはずのところから痛みと血液が湧き出てくる。死の電流が全身を駆け巡り、叫声きょうせいが飛び出た。

「君は無いところから痛みを感じて、もだえ苦しんじゃう!ふふふ!おかしいねぇ!もう君はその腕のことも、胴体も忘れちゃったのに!痛いし、苦しいんだねぇ!」

 女はひとしきりマイカで楽しんだ後。ふと、楽しみすぎたことに気が付いた。

「あぁ、早く片付けないといけないんだった…邪魔されるとも限らないし、名残惜しいけど、もう死ぬ時間だね」

「い、いや、いやだ…!!」

 『レグンガヌーゴ』――どろどろとしていて、硬く鋭い刃物が飛び出している胴体が、四足歩行で歩いてくる。その腕がマイカを抱きしめると、どろどろの胴体にマイカは飲み込まれながら、刃物に串刺しにされていく。

「いっギッ…ああ!…いやっ…いやいやいやいやいやいや…いや…いやいや……ぁ、が…あ…ああ………!!!!」
(やめてーーーーッッ!!!!!)

 ――――――――――――――――――――――――――――


「はぁ、はぁ…」
たっぷりと運動したような量でありながら、その実、不健康を示す成分が多分にあるだろう冷や汗を寝巻いっぱいにかきながら、その日の朝は始まった。

「どうしたんだい、起床時の生理反応が強いようだけど…」
「すごく、怖い夢を見てしまって…というかその言い回しなんですか」

「始めに言ったけどボっクは生物化科学者だからね――それはともかく、怖いものでも夢は夢だよ、現実じゃないさ。さっさと忘れちゃって楽しいことを考えればいいんだ」
 手に持つカップを置いてキスアの側まで歩み寄り、デハルタはキスアの頭を撫でた。無表情でありながら、何故か優しい心をキスアはその瞳に見た。

「そう、ですよね…?夢は夢、現実じゃないですよね…」
 とてもおぞましい夢。まるで現実と見紛みまごうほどに鮮明で、体を千切られ、砕かれる痛みまで覚えていたが、それでも起きれば別の光景が目に入る。夢で良かった安堵の気持ちと、本当に夢だったのかと疑いたくなる気持ちで、どうにも頭がモヤモヤとする朝を迎えたキスアだった。

――――――――――――――――――――――――――――――

 力源りょくげんいわやから研究所につくともう夕方で、結局山登りも洞窟探索も、クゥちゃんは暇だったので文句を言った。すると、マキーリュイが「だったら、うちに来て少し訓練をしようか」と提案してくれ、翌日にはキスアのアトリエまで送り届けると言ってくれた。

 キスアは感謝し、その申し出をありがたく受けて、クゥちゃんをマキーリュイ達に預けた。

 キスアは一日の予定から大幅に外れた行動を自省しながら、思った以上に疲労がたたっていたので、デハルタに泊まらせてほしいと懇願し、それを彼女は快く了承してくれた。

 翌日、クゥちゃんがトレイル達と訓練している頃キスアは、デハルタが「町まで送るよ」とのことで、共に森を出ることになった。
 ついでに「君の家に転送装置を作る」と言ってはばからない。曰く「時間も縁も大事だ、ボっクの好意もね」と自分が都合よく動く為の口実に聞こえなくもないが、一旦保留とさせてもらいつつ、送り届けることについてはありがたくその申し出を了承するのだった。


 ――――――――――――――――――――――――

「それじゃあ準備はいいかな?ボックはクゥちゃんみたいに担いであげられないんだから、そうならないようにしっかりね?」

「だ、大丈夫ですよぅ!わたしはそんな非力じゃありません!第一昨日だってここまでは負ぶられずに来てるんですから!」

「ならいいけどね…」
「な、何を言いたげな顔してるんですか、もう…」

キスアはデハルタと、彼女の研究所から出立した。


――――――もうじきトレイルたちの家が近くに見えてくるはずの頃、何故だろうか、いくら歩いても建物の影は見えて来ず、そのうえ辺りが次第に暗くなって行く。それは二人も感じる程度にははっきりと、しかしゆるやかな変化だった。

違和感に気付き、デハルタと顔を見合わせた瞬間、何かが二人の間を通った。

「『悪』の印を張りつけた。その標章を指標にして、悪を征伐せいばつする者が現れるだろう。神の定めた悪しきシンボル、罪の証だ。お前たちがそれを所持する限り、断罪者に知らせるだろう」

 女声が聞こえた直後に振り返るが、その人影は景色に溶けて消えてしまった。

「あらら、これは面倒なことになったね。今、断罪者ってやつに狙われる目印を付けられたね。隠すのは難しそうだねぇ…額についてるもんねぇ…」

 デハルタはキスアの額に輝く『罪肉』という文字を見て笑いを堪えおり、キスアにも認識できるように手鏡でその顔を映してあげている。

「なに笑ってるんですか、これどうしたらいいんですか!」
 追われる身となることと、デハルタに笑われたことに憤りながら、悲痛に助けを求める。この世界にない感情がキスアに芽生え、その罪悪感が、ありもしない贖罪を行わせようと、無意識に胸の前で手を組ませていた。

「しかしだねぇ…今は何をすることもできないよ。相手が何者かもわからないじゃないか。どんな組織に追われるのかも不明。あまりにも突然だよ、今これからできることは身を守るために武装をこしらえる準備をするくらいだ。丁度素材もたくさん集まったところじゃないか、それで色々武器を作りなよ、ボっクも少しは手伝うからさ」

 言われた通り、それしか思いつかないキスアは、せっかく集めた素材を武装に使うことを惜しく思いながら、一つ一つ取り出していった。

 ――――――――――――――――――――


 そんなわけでこのマズイ状況を打破するべく取り出した素材たちはこちら。
概念付草がいねんふそうイルアカナマ】
 一般的な雑草、普通の人が見てもその辺に生えている草にしか見えない。

 見た目の特徴は一本の細い葉が地面から直接生えているという表現が近いだろう。群体で集まっていることが多く、そのため草原や道の端にぶわっときれいに敷き詰めたように生えていると割ときれい。

 この雑草に用途を見出すものはキスアのように錬成や研究に力を入れているものくらいである。それも魔法の力を扱えるものでなければこの草の本当の価値はわからないだろう。
 この概念付草イルアカナマは数ある概念付草のうち、自然にある川のように「穏やかで常に流れる」という意味を与えることができる。

【フロギストン】
 生命の危機に陥るほど周囲がとても寒くなる。効果を発揮している範囲は一週間は元の状態には戻らない。

【ウェウリュミナイト】
 「流れ」の事象を生じさせる鉱石。地などに固定されていない物体であれば一定時間魔力を注ぎ続ける限り自身の思うように動かすことができる。一定の同一物質をグループとして一括りにでき、一気に動かすことができる。

【オビセプライト】
 周囲を囲む障壁を作れる。
※注意!湖などで使うな。沈むので浮上するのが困難になる。(キスアはカナヅチ)

【電熱鉱】
 投げて砕けば周囲に爆発と雷を放つ。

【アンバライト】
 力が不安定な琥珀。魔力を込めて衝撃を与えると周囲の無作為の箇所に使用者以外には不可視のネバネバする球体が発生する。粉末にして料理に使うととろみ剤として使用できる。慣れないと食べた際に正体不明の粘り気で吐き気を催すものもいる。大人の味?

【プリズマイト】
 様々な魔法や魔術などの力を反射させる。魔力を受け付けず、虹色に輝いている。それほど硬度は高くないため落とすと割れてしまう。魔力を注ぐと発光する。


至法銀しほうぎんリル
 高密度で加工が難しい金属。人の手では到底変形させることは難しいが、防具として加工ができればとても心強い。
 高密度のため非常に重量があるはずだが、なぜか加工後のものは加工前と比べてとても軽くなる。

それとは別にこの金属には『人の力』となるという不思議な謂れがある。


【無響石むきょうせき】
 音を響かせない特殊な構造をしており、他の石などにぶつけても一切音が生じない鉱石。衝突の力が完全に相殺されるという実は脅威の性質を持っている。硬いとかいう次元ではない。

「うん?至法銀しほうぎんリルじゃないか」
 取り出した鉱石の中から一つ掴み、デハルタは笑みを浮かべた。

「なんだか悪い顔してますけど、その鉱石知ってるんですか?わたしは、とても硬くて加工が難しい金属ってことくらいしか知らないんですけど」

「これね、人間の力を拡大させてくれるんだよ、その者の持つ本質を強化してくれるんだ、素晴らしい…」
 にやにやと怪しげな笑みをしながらうっとりと鉱石を見つめているその顔は、夜に見たら漏らしてしまいそうなほど、怖かった。
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