世にも微妙な喪の語り〜2024春の特別編〜

家頁愛造(やこうあいぞう)

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2024春の特別編

オープニング〜2024春の特別編〜

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 真っ暗な空間に一箇所だけスポットライトが照らされている。

 その光の中心に立つ黒いサングラスをかけた黒いスーツ姿の細身で小柄な中年。
 伸ばした髪をオールバックにしてボリュームを誤魔化しているが、密度が圧倒的に足りず額が広く『かなり薄いな』ということが見て取れる。
 
 この正体不明のミステリアスなどことなく胡散臭い男はこちらを向き口を開く。

 「みなさん、微妙な世界へようこそ。ストーリーテラーの喪田です。これから始まるのはうっかり微妙な世界へのドアを開いてしまった者たちの物語です」

 喪田の背後上部にタレントオーラのない微妙なルックスの誰が誰なのか分からない人々の大きな映像が、映画シーンの切り抜きのように順番に浮かび上がっては消えてゆく。
 
 「それではイッてみましょう」
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