異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞

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【四刀の目覚め。】

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 「オッホン。先程は失礼した。」

 フェアリー族の王カルバンは、立場上頭を下げる事はしなかったが、謝罪の言葉を俺にかけた。

「いえ。収まって何よりです。」

「‥父上の悪い癖。」

 貴方は寝てましたけどね!!

 と、心の中で突っ込んだが、そこは言わないでおこう。

 「さて、用は確か四刀とその持ち主、魔石の件だったかの?」

 王は急に真面目な顔付きへとかわる。

「あ、はい!」

「うむ。何処から話をして良いものやらな。まず四刀は確かにこの地に眠っておる。それから持ち主の件は既にこの世をさってしもうておる。」

「そうですか。」

 やっぱりそう上手くはないよな。と肩を落とした時、「しかしだ。その者は我が父カルメンであり、カルメンの記憶はこの地に眠る。」

 その言葉に一番の反応を示したのはカルラだった。

「お爺ちゃんが!!?お父様それ初耳!」

「フォッホ。確かにカルラには伝説を物語風に伝えたはものの持ち主の事は言っとらんかったの」

「あ、あの王様。記憶が眠るとは?」

「ふむ。言うより実際体験してもらったほうが良いかの。」

 カルバンはそういうと、玉座の手すりに触れて、カチッと音を鳴らす。

 すると、玉座の後ろの床がゴゴゴと音を鳴らし、地下へと続く階段が現れた。

「ついてまいれ。魔石の件にも繋がっておる。」

 カルバンはそう言って先導し、それに続く様に一同も続いた。

  そして開けた場所にたどり着く。

「ほぇー。あたり一面真っ白ど。」

「まるで雲の中みたい!。」

 シスカが言うように、ここはあたり一面が白いスモークに囲われている不思議な空間だった。

 そしてその中央には、思わず見惚れてしまう様なエメラルドグリーンの輝きを神々しいまでに放つ美しい剣が突き刺さっている。

 各々感嘆の声を漏らす。

 「あれが、伝説の四刀だ。」

  「あれが‥」

「綺麗‥。」

「それに触れてみるとよい。」

 そう言われ俺はゆっくりと四刀に近づいていき、四刀に触れる。

 すると魔力がグンと吸い取られた気がした。




〇〇


「沖田ぁぁぁ!!」

 一筋の光の柱が立ち上がり、次第にそれは一つの赤い魔石へと収縮されていく。

 え?ここは何処!?

 見知らぬ荒野で空から舞い落ちる人影を見ていた俺は急加速で、その人影を支え優しく地に下ろす。

 なんだ?どうなってる?と困惑するが直ぐに理解した。

 これは誰かの記憶。


「何故だ!?何故!?」

 記憶の中の人物は、今にもその灯火が消えかけようとする武士らしき人物を見て涙を流す。

「そ、その声。‥カルメンか?」

 男の目はもう白く濁り見えてはいない。

「お、沖田!しっかりしろ!いま!今助けてやるからな!」

 沖田!?これが‥

 カルメンは急ぎ回復魔法をかけようとすると、その手を沖田は止める。

「もう。‥いいよ。」

「ふざけるな!もう言い訳ないだろ!死ぬな!死ぬなよ!」

「む、むりだよ。僕の身体はもう‥」

 カルバンは沖田の身体に目を向けると俯き目をつむる。

 内臓は既に焼け焦がれ、空洞のように貫通している。もはや喋っている事すら不思議な状態であった。

「な、なぁカルメン。」

「なんだ?」

「僕は過ちを犯してしまった。僕は邪神を殺す事が出来なかった。‥解っていたのに」

 沖田は堪えれず涙を流し始めた。

「解っていたのに出来なかったんだ。」

「お前は悪くない!仕方なかったんだ。お前は頑張ったよ!平和だ!平和をお前は勝ち取ったんだよ!」

 カルバンがそう言うと、沖田の顔は少し和らぎを見せた。

「か、カルバン‥。お前は優しいな。これを‥」

 沖田は手に持つ赤い魔石をカルバンに差し出す。

「ぼ、僕の最後の隊長命令。聞いてくれるかな?」

「あ、ああ。勿論だ!」

「これを大樹の幹に封印してくれ。それ‥から。ジークにも。」

「なんだ?」

「妹を守れなくて済まなかった。と」

「あぁ!伝えるぞ!」

「それから、そ、それから‥。あぁ、色々ありすぎてわからなくなってしまう。けどやっぱり最後は、皆んな俺について来てくれて‥あり‥が、とう‥」

 沖田はそのまま動きを止めた。

 カルバンは唇を噛みしめ涙を流した。


 そこでまた視界が変わる。


 今度は何処かの室内にいて、目の前には茶髪で不良チックな青年が白い小刀を見つめてたっていた。

「‥そうか。」

「‥すまん。」

カルメンは頭を下げる。

「頭を上げてくれよカルメン。別にアンタの所為じゃねぇだろ。沖田もよくやったさ。で、あんたはこれからどうすんだよ?」

「沖田に魔石の封印を。頼まれた。」

「何処に?」

「大樹の幹に封印してほしいとの事だ。ジークはこれからどうする?」

「まぁ、そうだな。‥いく所もねえし、お前と同行する事にするよ。」

「いいのか?」

「いいよ。それにここにいちゃ現場にもいやしなかった馬鹿な連中らに英雄だ何だとあげられて相手をしなきゃなんねぇのは面倒だからな。俺は英雄でも何でもねぇ。」

「ふ。お前らしいな。」


また視界が変わる。


〇〇


「ふざけんなぁ!!」

 次に目に映ったのは頭から血を流すジークが赤い刀に炎を纏って振り回す映像だった。

 相手はと、カルメンの目線を通してその姿が映り込む。

 一気に寒気を感じさせ、喉をつまらせる。

       ー【死】ー。

 最初に思い浮かんだのはこの言葉だ。

 人型で漆黒の羽衣を纏い、コウモリのような翼を生やしたその姿は神話にでてくる悪魔を想像させる。また、その悪魔には雑魚には感じえない気品さえ感じさせていた。

 出逢ってはいけない存在。

カルメンの脳裏にも軽音がなりまくっていた。

チュイン!!

悪魔はジークの刀をいとも簡単に手で受け止め、そのままジーク事投げつける。

「ぐぁ!!」

 ころげたジークはフラフラになりながらも再度立ち上がり口の血を拭う。

「てめぇ。何が目的だ。」

「簡単な事。魔石を渡せ。」

「魔石はやらん!ジーク!」

 カルメンは手にもつエメラルドグリーンの刀に魔力を込める。

「力を示せ瑠璃丸!」

 カルメンの魔力に反応し、瑠璃丸が輝きだし、あたりから木々の根が剥きあがり、根が悪魔に襲いかかる。

 だがそれを悪魔は一振りで打ち消した。

「なっ!?」

「無駄な事を。」

 ドスっ!

 気づけば悪魔は側にいて魔石を手にもっていた。

「カルメェン!!!!」

 ジークの叫びが響くなかカルメンの意識から離され、きずくと元の場所にいた。




〇〇

「どうやら見れたようだの。」

「は、はい。」

 先の映像が目に焼き付いて離れない。

 背中が汗でぐっちょりと濡れている。

 何だったんだ彼奴は。死を絵に描いたような存在。

 その様子にプータンは首を傾げる。

「どうかしたどか?」

「え?」

「フォッホ。見れるのは瑠璃丸に触れた者だけだ。ほかの奴には見えてはおらぬよ。」

「何が見えたの?」

 シスカがそういった。

「あ、ああ。もしかしたら俺は‥」

 その様子に王も首を傾げる。

「どうした?魔石のありかは分かったであろう?確か記憶ではジーク様と話をしていた時に大樹の幹に封印すると言っておったであろ?
とは言っても長年探させたが出てこず見つからず終いだがな。」

「魔石‥。ここには無いですね。」

「何!?それはどう言うことだ?ワシの記憶では確かに。」

「その後の記憶は見てないんですか?」

「なっ!?あの後の記憶があったのか?そんな事、父にも聞いたことなど‥」

 どこからともなく声がする

「それについては私が説明いたしましょう。」

 その瞬間、瑠璃丸が輝き、形をかえていく。

「おお!!まさか本当に‥」

「四刀の‥形が変わる」

 そして現れたのはエメラルドグリーンの長い髪を後ろで編み込み、色取り取りの花飾りをつけた綺麗で清楚な大人の女性だった。

「うぉ!!すっげぇ!美人!!」

 肉まんは大はしゃぎだ。

シスカとカルラは目を丸くしている。

 そして俺は‥

 おいおいおいおいおいおーい!!マジかまじかマジかぁぁぁ!!?

 なんじゃあれぇ!!?

 メロンがタップンタップンしておるではないかぁぁ!

 一体何キロあるっていうんだい!?けしからん!ビショーーーーーにけしからん!!

 先程の緊張感は何処へやらと、目が飛び出そうになり、意識が違う方向へいきそうになっていた。

 だがいかんぞ俺!!今はそんなバカな事を言っている場合ではない!

深刻な映像をみせられたんだ!

 もっと緊張感を持て俺!

 だけど、片目だけ薄目を開きメロンを確認してしまう自分が情けないです!!

「お初にお目にかかります。私は伝説の四刀の内の一振り。瑠璃丸と申します。ハル様以後お見知り置きを。そして、久しいですね黒曜丸。」

「うぉ!やっぱりお主もか!!うむうむ!久しいのぉ!とは言ってもこうして話すのは始めてだがの。」

「えぇ。」と、嬉しそうに微笑む瑠璃丸はとても美しく、まるで女神の微笑みにも見えた。

 そして思わず黒曜丸を見る俺。

「なんじゃ?我の美しさに目がくらんだか?」

 残念だ。ひじょーに残念だ。

 「黙ってれば綺麗なのにな。」

「な!?ハルよ心の声が漏れておるぞ!!!」

「えっ?気のせいじゃない?」

 ニッコリ笑顔で流して瑠璃丸に再度視線を向ける。
メロンに目が行かないように真っ直ぐ目を見てだ!!

それから瑠璃丸は記憶についての説明をしてくれた。

「恐らく、記憶の改善が行われたという説が一番近しいかと思われます。」

「根拠は?」

「あの記憶の映像はカルメン様に私がお使いしていた時の記憶。つまり私を通じて見せる事ができた記憶です。ですが、何故か今の今までハル様に見せた最後の映像の記憶を失っていました。」

「何故今になって?」

「それはハル様な魔力の影響かと思われます。」

「そうか。黒曜丸の時みたいに俺の魔力で覚醒し封印の枷が外れたのか。」

 くぅ。できればあんなの見たくなかったなぁ。

 俺あんなのと戦わなきゃいけないの?前世の母さんめちゃくちゃすぎ。

 思わず涙がでてきそうです。

 頭上を見上げているとカルラが近づいてきて俺の服をチョンチョンする。

「ハル‥どんな記憶を見たの」

「えーと。世界の終わり?なんちゃって。」

 言ってもよかったが、何をどう説明すればいいのか?また場の空気を重くするだろうという感情が行き交い話を誤魔化した。

 また一度父さんとレイドクス王に相談した方がいいかもしれない。

 俺は話を逸らすように瑠璃丸に目をむける。

「瑠璃丸のおかげで貴重な情報を手に入れれたよ。ありがとう。」

 そう言って握手を求めると、瑠璃丸もニッコリと俺の手を握った。

 「ふふ。光栄至極でございます。所でハル様に私からお願いがあります。」

「お願い?」

「はい。私もハル様と同行する事を許可くださいませ。誠に勝手ながらであり失礼しましたがハル様の魔力を通じ、私の能力で記憶を少し拝借させて頂きました。ハル様と私の最終目的は同じと思われます。」

 瑠璃丸は真っ直ぐと俺の目を見つめ真剣な表情をしている。

 別に断る理由もない。それに

「元々そのつもりで来たんだ。よろしく頼むよ瑠璃丸。」

「有難き幸せ」

 瑠璃丸は深く頭を下げると、再度俺の目を真っ直ぐ見つめる瑠璃丸。

「では、改めましてまずはハル様の眷属をご紹介下さいませ。ハル様は黒曜をお待ち、ならば私は志しを同じくする眷属の刀となりましょう。刀は持ち主あってこそですので、出来ればハル様よりもやや年上の美少年の眷属を紹介して頂けないですか?」

「はい?」

 疑問が浮かび上がる発言に首を傾げて瑠璃丸を見上げると、瑠璃丸は頬を赤く染め上げ何故か俺の手を両手でサスっていた。

 そして「はぁ‥はぁ‥」と艶めかしい小さな吐息をはいている。

あかーん!!

 手を慌てて離そうとするとガシッと掴まれ逃れられなかった。

「あ、あの離してもらえませんか?」

「ダメです!ハル様に注ぎ込まれたエネルギーの余韻にまだ浸りたいのです!」

 目の中にハートマークを作り俺に迫る瑠璃丸。

 め、目がやべぇ!真面だと思ったけど違ったぁ!!けど‥

「ハ、ル、さ、ま」

 ゴゴーン!と脳天に、雷が貫いた気がした。

 あかん!こいつはいかん!!エロすぎる!危く自分を見失いかけるのを首を振る。

 幸いにも俺の身体は幼児。

 それ故に息子が反応を示さなかったのが救いだ。

 見た目とは真逆でかなりのショタコン系か!ってか本当にこの世界真面な奴と出会う確率少なすぎません!?

 手を離してもらえずパニック状態になっている俺をシスカが物申すように俺を引き離してくれました。

「ちょっと!離しなさいよ!」

 シスカは瑠璃丸を威嚇するように睨みつける。

「ふふ。可愛いお嬢さん。」

 見事な双丘を自慢げに披露する瑠璃丸。

「ぐぬぬ。」と歯をくいしばるシスカは「ハル!見ちゃダメよ!毒よ!あれは毒なの!!」と俺の肩をグイングインと振り回し始める。

「わ、わかったよ。」と頷き目を逸らそうとすると、瑠璃丸は急に乳を無造作に持ち上げタユン、タユン、とさせ始めた。

「ハル様。これからはいつでも‥」ポッ

 おぉ!!

 平常心の表情を作っていたつもりだったが、鼻の下が伸びていたのであろう。シスカがそれに気づく。

「不潔!!!」

ベシッ!!

「ぶべっ!!」

 ってかこのシュチュエーションってこの歳でやるものですか?

頬が熱い!

〇〇

 
「で、とりあえず瑠璃丸を扱えそうな奴を紹介してほしいわけね。」

 「はい。何度も申しますが刀は持ち主あってこそ。これからはハル様の眷属にお使えしたいと思います。本来ならハル様のお側で抱きしめて、添い寝して、あんな事やこんな事をして差し上げたいのですが‥」

うっ。マジか!何をしてくれるっていうんだい!!是非とも!と想像を膨らませようとした所で背後からの殺気に気づき咳払いする俺。

 いやー。「オッホン」シスカさんがいてくれて助かります!

 自分1人だと、この変態の相手は難しいかもです!だって僕男の子だもん!!

 そんな心境はさておき、瑠璃丸のその申し出に名乗りを上げたのはカルラだった。

 「私では‥ダメ?」

 「それは無理です。」

 キッパリと断る瑠璃丸。
 
 え?さっきと態度がちがくね!?

「何故?」

 カルラは食いつくように問いかける。

 だが瑠璃丸の反応は変わらずで首をふる。

「理由を聞かせてもらっても?」

「理由は簡単です。
確かにカルラ様はすでにハル様の眷属となり得るまでの力を持っているようですが、そもそも私の能力との相性がよくありません。それに加えて私は美少年のショタ!が好きなのです。」

 ハッキリいいましたね。私は変態ですと!

 その自信満々な瑠璃丸の発言に皆が残念な表情を浮かべる中、カルラは妙なまでに素直に「そう‥なら仕方ない」と諦めた。

「いいの?」

「相性が悪いなら仕方ない。なら‥次を探せばいい。」

「た、たしかにそうだけど。」

「しかし、困ったな。ハル殿、眷属とやらに心辺りは?」

 カルバンが俺に尋ねる。

「ん~」と俺が思い悩むと、プーたんがアイディアをだす。

「ランスでいいんじゃねぇかど?」

「それだ!!」


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