異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞

文字の大きさ
上 下
49 / 66

【フェアリー王国】

しおりを挟む
 フェアリー王国に辿りついた。

 途中結界の張ってある迷いの森があったが、カルラの案内のもと、すんなりと入る事ができた。

 そして入った先の光景はとても神秘的な場所だった。

 空には淡色の青やピンクの綿菓子みたいな大きな丸い雲がフワフワと浮いている。

 また家々は大きな樹木と一体となっており、フェアリー族達は高い所を住居としているようだ。

 そしてその木々の下層には見渡す限りの花々が咲き誇り、カルラと同い年ぐらいの子供達、いや大人なのかもしれないロリやショタを思わす可愛らしいフェアリー達がせっせと美味しそうな果実を成す木々の手入れをしている。

 昔からそうだけど、俺って木に付いてる実を見るとテンション上がるんだよな。

 わ!実がなってる!!すげぇ!!!って感じで。

 別に分かってもらえなくてもいいけど何かの本で、日常に溢れる風景であったり、物でもいいけど、自分の気持ちが一気に高揚する何かを持つ事はとてもメディカル的にいいらしい。

 俺にとっての【実】はソレだ。

 皆んなも是非日常の風景の中で何かに一度目を向けてみるといいかもよ。

 と、まぁこの話は置いといて、その家となった木々や、花々が咲き誇る畑を抜けると一際大きな樹がそびえ立つ。

 その高さを例えるならば20階建ぐらいのマンションぐらいで、その樹からはピンク色の花が満開に咲き誇り感嘆の声を漏らすほどだ。

 ってアレ?これって桜だ。

 馬鹿でかい桜の木だ。

 「ただいま。‥大樹。」

 カルラが懐かしそうに桜を見上げそういうと、フワっとカルラを迎えるかの様に桜の花びらが風で舞ったように見えた。

  何というか神秘的だよな。

 隣を見れば

「わぁ。こんなにも綺麗な光景が、あったなんて‥」モグモグ。

 さっきまでの放心状態は何処へやら、シスカはその光景に高揚し感嘆していた。

「うん。とっても綺麗だ。」モグ。

 俺も目を輝かせ桜を見上げると、シスカが俺を見て頬を染める。

 モグモグモグモグ。

 さっきから後ろ側から聞こえるこの音は何?

 妙な音につられて後ろを振り向くと、プーたんと黒曜丸が果実をガツガツと頬張り取り合っていた。

「あっ!それは俺様のだど!!モグモグ」

「愚か者!!これは我のじゃ!そこらじゅうにあるではないか!!ガツガツ!」

 「ってか何勝手に食ってんの!!お前らのせいで雰囲気が台無しだよ!この光景に何も思わないのかよ!?」

「ふっ、ハルよ!光景では腹は満たされん。」

 顔を片手で覆い隠しキメポーズを取る黒曜丸。

「ほう。珍しく意見が合うど。」

 プーたんも何故かキメポーズを取り、広角をニヤリと上げる。

 何だこいつら?仲良しか!?

 

 そんなこんなで桜の木の下に辿りつくと、大きな蔓が巻き上がって出来た門らしき物の前に幼き男の子が2人立っていた。

 恐らくカルラと同じく子供に見えても立派な大人のフェアリー族で門番なのだろう。

 その証拠にカルラと色は違うが頭から先端に毛玉がついた触覚を生やしている。

 カルラが門番に近づくと、門番2人はカルラを見るなり目がひっくり返る様に慌てて片膝をついた。

「な!?か、カルラ様!!?」

 その慌てようを見ても動じず「やっ!」と、カルラは軽く片手を上げる。

「ちょ、やっ!ではありませんよ!?カルラ様が帰ってくるという言伝は上から聞いていませんでしたよ!?カルラ様どうしてここに!?」

「ちょっと‥ね‥。伝説の4刀の内の一振りを手にした者を連れてきたんだ。」

「な!?なな、なんと!!?それは一大事です!して、その刀を抜いた人物と言うお方はどこに?」

 カルラが俺に視線を向ける。

「ま、まさかこのまだ幼い童が!?」

 童!?まぁ確かにそうだけど、貴方達も人間界じゃ子供にしか見えませんよ?

 驚く門番にカルラが無言で頷くと、門番は慌ててもう1人の門番に言う。

「おい!急ぎ門を開くぞ!」

 1人の門番がそう言うと、もう1人の門番が頷き、2人は左右に設置された水晶に手をかざす。

 するとギギギ、ギギギと植物のツルが動きはじめ、通路が開かれた。

 この世界に来て、一番ファンタジー感溢れる瞬間に俺は目を輝かせた。

そしてその通路を行くと、桜の幹に突き当たる。

 近くにくると、その大きさが更に凄みを増す。

 感想は1つ。

 なんと素晴らしい!!

 そしてそこにも左右対称に水晶がはめ込まれており、門番が触れると根の一部が向き上がり通路を作る。

「では皆様。私達はここで。引き続き門番がありますので。」

 門番の1人が言う。

「カルラ様はご存知ですが、この先は一本道で、抜けると広場があります。そこでまた案内役がおりますので、其奴が誘導します。」

「わかったよ。」

 
 門番達を後にし中に入ると、そこはぼんやりと青白い光が辺りを照らす場所だった。

「ほう。灯り苔か。」

 関心するようにシスカに抱き抱えられたプーたんがそう言う。

「灯り苔?」

 シスカがクビを傾げるとカルラが答える。

「こういった大きな大樹には、聖なる大地のエネルギーが流れてる。そこに生える苔はそのエネルギーを吸うから淡く光る。」

「へぇ。すごーい。」

 
 それからしばらく奥に進むと開けた場所に出た。

 そしてその中央には、先程の灯り苔が沢山ついた半円形の機器的な物が地面擦れ擦れの空中で動きを止めていた。

「あや?カルラじゃぁん!!」



 
しおりを挟む
感想 71

あなたにおすすめの小説

異世界転生したら何でも出来る天才だった。

桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。 だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。 そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。 =========================== 始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

転生貴族の異世界無双生活

guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。 彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。 その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか! ハーレム弱めです。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

処理中です...