異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞

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【屋敷の中は大騒動。】

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あの後、俺は直ぐに屋敷へと戻ると、既に父さん達にかけたプータン特性のスリープの効果は切れており大騒動となっていた。

 貴族達はデビルススネークが何処に姿を消した?という事にも困惑はしていたのだろうが、話を聞くと違う別件で騒動になっていた。

「い、先程の爆破音はいったい何だったのですか!?」

「まるで何かが空から降って地に落ちたような‥」

 困惑する会議室に慌ただしく扉を開け入ってきたのはシャルべ領に使える兵士だった。

 兵士は父さんの前に駆け寄り、手を抑え片膝をつく。

「ネイブル卿!!!緊急報告です!!近隣の草原地に巨大隕石が2つ飛来し、巨大なキノコ雲が出現しました!!」

「なんだと!?ではあの音はそれだったか。それによる被害は?」

「幸いにも落ちた場所が、大分と離れた場所で同じ付近に落ちた為、その衝撃による民間被害は出ておりませんが、それでも落ちた場所の被害は壮大かと。」

 その報告で更に会議室は慌ただしく騒めくが、父さんは少し胸を撫で下ろしていた。

「被害がなければとありあえずは良しだ。直ぐに兵士に調査へと向かわせ、詳しい情報を得よ。」

「は!畏まりました!」

 兵士は父さんにもう一度頭をさげ、すぐに会議室から退室した。

 ターニアが父さんに歩み寄る。

「一度に何が何やら困惑いたしますな。いったいどうなっているのでしょうか?」

「僕にも分からない。いや‥もしかて‥」

 父さんは何かに気づく様に会議室を見渡し、俺が会議室の扉側で半身になり覗き見ているのを見つけられた。

 父さんが俺を見てジト目で見つめる。

 え?うわー、めっちゃ見てる。かなり見ちゃってるよ。

 ゆっくりと目を逸らす俺。

 その様子にターニアが首をかしげる。

「ネイブル卿、何か思い当たる節が?」

「いや、此方の話だ。そんな事より今は済んだ事を気にしていてもしかたない。ガルダモ。」

 父さんは近くに立つガルダモに視線を向けると、ガルダモは父さんが言わんとする事を察知したのか「はっ!」と軽く頭を下げ、ドサクサに紛れて逃げようとするドルデの行く道を防ぐ。

「な!?」

「何処に行かれるのですかな?」

そしてドルデは捕らえられた。

え?はやっ!!

 恐るべしガルダモ!只者じゃねー

 ガルダモは直ぐにドルデを牢に戻すよう騎士に指示し、直ぐに会議室から出てメイドにもパキパキと指揮を飛ばしはじめた。

  それから父さんは両手をパンパンパンと強く鳴らし、慌ただしい会議室にいる貴族達の注目を集める。

「皆さん!!今の一瞬で何かと起こり過ぎて困惑しているとは思いますが、とりあえず今は先程のデビルススネークは居なくなり、危機は去りました。また隕石の飛来についても今は被害は出ていないそうなので、御心配なく。なので気持ちを切り替えて、食事を用意させてありますので、大ホールの方へ移動をお願いします。既に皆様の親族方は移動し初めてもらいました。」

 ザワザワとまだ騒めいてはいるものの、皆が会議室から退室する中、2名の貴族だけが兵士に止められる。

「な!?」

 困惑する2人の貴族の一人には見覚えがある。

 シャルべ領を出る前に獣人の女の子を蹴っていたクソボケだ。

「ネイブル卿、これはいったい!?」

 クソボケはしらを切るが、もう一人の方は観念する様な表情をし、クソボケに言う。

「ポスタ卿、もうやめましょう。私達の完敗ですよ。」

「は!何を言う!?私は違うぞ!!ガルバドス卿が勝手にやった事だ!」

 この後に及んで往生際が悪い。

 父さんはユックリとポスタに歩み寄る。

「残念ながら、貴方の情報も調べさせて頂いています。貴方はガルバドスに協力もそうですが、多種族拷問の罪がかかっています。領地外に地下洞窟を作り多種族拷問の悪趣味をお持ちのようで。」

「な!?」

「念のため其処の見張りに付けた冒険者達を一層し、捕らえられた多種族の方々も保護させて頂きました。しっかりと罰を受けてもらいますので悪しからず。」

「く、ぐぐ‥。」

 ポスタは悔しそうな顔をしたが、直ぐに力が抜けるかの様に膝を落とした。

「この者達を牢にご案内を頼む。」

 父さんが兵士告げると兵士は敬礼する。

「畏まりました。」

 ポスタともう一人の男は兵士に手枷をつけられ、連れていかれるのを俺は見送り、一件落着かと一息ついて後ろに振り返ると、いつの間にか父さんが立っていた。

「うわ!!な、何?」

 父さんの表情はニコニコとしているが笑ってはいない。

「何?じゃないだろ?皆んなが寝てしまっていた事から恐らくプータンのスリープだよね?」

「え?‥えーと。」と俺が話を誤魔化そうとすると、隣にいたプータンが父さんの質問に答える。

『まさしくオデのスリープだど。』

「わぁ!!何故に言う!?」

 慌ててプータンの口を塞いだが、既に遅し。

「後からじっくり書斎で話を聞かせてもらうからね。」

 父さんはメガネを光らせ俺に言った。

 

〇〇〇〇

 あれから数時間後。

 書斎にて、


「えーと。規格外過ぎて頭の整理が追いつかない。つまり、デビルススネークを倒す為に覚えたての古代魔法を使ったら隕石が降ってきたって事でいいのかい?」

「えーと。そんな感じでしゅ。」

 そう答えを返すと父さんはフラフラと書斎の椅子にへたり込んだ。

「規格外とは分かっていたものの、古代魔法まで使えるなんて。ってよりも王もなぜ古代魔法書なんてものをハルに?」

 父さんは頭をかかえこむ。

 むぅ。俺自身こんな大事になるとは思わなかったしなぁ。

 ここは素直に謝ろう。

「ご、ごめんなしゃい。」

 俺がそう言うと父さんはニッコリと笑顔を返す。

「あぁ、それはもういいよ。何にせよ、あの時にハルが行動しなきゃ、もう二、三人はデビルススネークに食べられていたかも知れないからね。お手柄っちゃお手柄だ。けどね、ハルはまだ子供なんだ。こう言う無理をして親を心配させる様な事はしないでくれ。分かったね?」

  そう言われるとなんとも返しずらいが、今は頷いておこう。

「分かったよ。ごめんなしゃい。」

「よし。分かったならいいさ。」

 父さんはニッコリと笑顔を返したので、ホッと胸をなで下ろすと、父さんは付け加えるように俺に言う。

「しかし!この事は国王に説明はしないといけないだろうから、また後日王都に同行してもらうからね。」

「ですよねー。」

 〇〇

一方、ランスとプリスは屋敷の庭にいた。

「なんですのさっきの音は!?次から次に何ですの!?ハル様はいったい何者ですの!?どうなってますの!?」

「落ち着いてプリス!。とりあえず、皆んなホールに集まるみたいだしいこうよ。」








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