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【やっと帰ってきた。】
しおりを挟むあっという間にシャルべ領の門前。
ここで、キリス達とはまたお別れだ。
「この短期間、本来なら僕達がやるべき事まで手伝わせてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいです。本当にすみませんでした。」
キリスが父さんに頭を下げた。
「ははは。構わないさ。君達に依頼して良かったと心から思っているよ。また機会があれば同行してくれ。」
父さんはそう言って笑顔を返すと、キリスは感動したかのように右拳を左手で抑え込み再度頭を下げた。
「有り難きお言葉です!!」
そんな中俺はというと、マロンに捕まっていた。
「あぁん。またハル君と離れ離れになっちゃう。こーなったらぁ。」
え?何をなさるおつもりで?
徐々にタユン、タユンと揺れる柔らかな物が迫り来て、モフモフモフモフモフモフモフモフ~。
「充~電~!!!!」
わぁお!!
重要な事だからもう一度言おう。
わぁお!!!なんとまぁ大胆な!!
俺の顔が柔らかな物に包まれ未知の世界へと誘う。
何て、何て気持ちがいいんだ!!そしてこの匂いまるでタユタユしたお花畑って、うっ!!く、苦しい!!
モフモフモフモフ、ギュウー。
う、ま、‥マジ死ぬ!!と思った時にやっと離してもらえた。
ふぅー。危うく自分を見失ったまま死ぬかと思ったぜ。
安心して額の汗を拭う俺だったが、直ぐに隣にいたプータンがマロンに捕まった。
『な!何をするど!?や、やめろどぉ!!』
ムギュー!!!!
『し、死ぬ!!』
俺はモフモフで気持ちいいかもしれんがプータンにとっては苦痛でしかないらしい。
白目を向いたプータンに手を合わせる。
合掌。
『な!?は、ハル!!助け!』と俺に何か言おうとするがここはテレパシーで言葉を返す。
(誰が助けるかバーカ!お前が一度でも俺を見捨てた事は絶対に忘れないからな!バーカ!ターコ!チービ!)
『な!?てめ!最後のはただの悪口だど!‥ってわぁぁ!』「ぶーチャァン!!!」
バフッ!
『い、息が‥』
ご臨終!!。チーーン!
キリス達と別れた後、直ぐに屋敷へと帰宅する。
門前には母さんとメイド2人にガルダモが出迎えてくれていた。
ランスは学校だろうか?その場に姿はなかった。
ほんの数日だったけど、濃い日々だったなぁ。
なんだか屋敷や母さん達が懐かしく感じるや。
「ハル~!!」
帰るなり早々、母さんが俺を胸の中に押し込んだ。
パフゥ~ン!!!
うん!やはり母さんの胸は別格だ!
だがマロンとテリーネとは違い、自我が飛びそうになる事はなかった。
これは俺が変態ではなく正常である事の証明に繋がったので安心した。
これが母さんにまで変な感情を抱いてしまえば俺はとうとうヤバイ。
そう思って母さんを見上げると母さんは目を瞑り俺に近づいてきていた。
「って待てぃ!!!」
咄嗟に母さんの口に手をあてがい口付けを阻止する。
「あぁん!もうちょっとだったのにぃ~。」
悔しそうな表情をする母さん。
ってか実の息子に何を考えとるか!!やめい!
母さんは口を膨らまし、今度は父さんに抱きついた。
「お帰りぃ~。あ、な、た。」
父さんはそれに対して「あぁ、只今。」と冷静に何時もの笑顔で返し、母さんと口付けをする。
うっ。親が仲のいい事は良い事だけど、子供としてはなんだか恥ずかしいし目を逸らしてしまう。
そして、父さんはすぐにガルダモに目を向けるとガルダモは即座に頭を下げた。
その理由はシャルベ領につくなり、先に使いを走らせガルダモに伝えたのだ。
「今回は私が旅支度をさせて頂いたのにも関わらず、ネイブル様とハル様を危険な目に合わせてしまい誠申し訳ございませんでした。いかような処分でも受けるつもりです。」
額に汗をながし、本当に申し訳なさそうにするガルダモの肩に父さんが手を置く。
「そんな気に止む事は無いよ。今回は僕の油断が原因だ。誰も長年使えてくれていたドルデ君が裏切るとは思わないしね。それに僕は君を信頼している。これからも僕を支えてくれ。頼んだよ。」
父さんが笑顔をガルダモに向けると。ガルダモの目に涙が浮かびあがり、右拳を左手で覆い跪く。
「あ、有り難きお言葉で!!このガルダモ、一生涯ネイブル様にお仕え致しますぞ!!」
「ありがとう。で、さっそくで悪いが、例の件はどうだった?」
例の件?
そういえばここを出る時に父さんが門前で何やらしていた事を思い出す。
「は!勿論でございます。書斎に纏めたものを置いております。直ぐにご覧になりますか?」
「あぁ。直ぐにいく。あとドルデは取り敢えず牢に入れておいてくれ。」
「かしこまりました。では後ほど、」
ガルダモはまた軽く頭を下げ、直ぐにその場を去った。
「なんだか忙しそうねぇ。」
その様子に母さんが父さんにそう言う。
「ごめんね。けどこの件が終わればちょっと落ち着くかな。それまで迷惑かけるかもだけど宜しく頼むよリリス。」
「全然!私は貴方のお嫁さんだもの。大丈夫よ。」
胸元でグッと握り拳を作る母さん。
「ありがとう。じゃぁ僕はさっそく書斎に行くからハルを宜しくね。」
「わかったわ。」
そう言って父さんは書斎へと向かった。
そして母さんの目線は再び俺に向けられたが、俺の足元にいるプータンに視線を移し首をかしげる。
「ところでハル。その可愛らしい生き物はなぁに?」
おっと紹介してなかったな。
俺の足元にいたプータンがヒョコッと顔をだす。
「えーと。此奴はプータン。旅の途中で従魔契約ちたんだ。」
「あらぁ。ハルは本当に何でもできるのねぇ。凄いわぁ。」
母さんが笑顔で俺の頭を撫でる。
ちょっと照れくさいぞ!
だけど、思ったよりも普通の反応だ。
なんだか最近驚かれてばかりだったから変な感じだけど、この反応の方が俺は助かる。
母さんは再びプータンに目線をむけると急にプータンをヒョイと持ち上げた。
『な、何をするど!?』
プータンは慌ててその言葉を発すると母さんは目を見開いた。
「あら?あなたお話できるのね。」
『俺様を誰だと思ってるど!?幻獣ど!』
「まぁ。幻獣になりたいのね。素敵な夢ねぇ~。ハグしてあげる。」
いきなりプータンをハグしだす母さん。
『ぐえ!』
「ん~なかなか気持ちいわね。枕にしたいくらい。」
『な!俺様を枕呼ばわりするんじゃねぇど!』
「まぁ、照れ隠ししてるのね。」
母さんは本当にプータンを可愛い目線で見ているがプータンは『こいつ頭おかしいど』とガチ気味で引いていた。
っつかひたすら噛み合ってないな。と俺も苦笑いした。
===
一方ネイブルの方では。
書斎にてネイブルは椅子に力を抜く様にもたれかかった。
「ふぅ。これで証拠は完璧に掴んだ。後はどうするかだが‥。取り敢えずこの領土の貴族達に召集をかける必要があるな。ガルダモ。」
「はっ!直ぐに呼びかけ致します。日程は如何なさいますか?」と前にいたガルダモが返事を返す。
「そうだな。2日後の昼過ぎから空きがあった筈。」
「かしこまりました。直ぐに手配いたします。」
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