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【お便り】

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「‥と言う訳じゃ。」

 ジジイが言うには、こうだ。

まだ10年と先だが、近い将来に邪神が復活する兆しがでているらしく、その討伐を神々との条件に俺を復活させたのだそうだ。
 
 邪神とは、もともと神々の世界にいた遊戯神で、神々の中でも創造神、もといジジイと同等の力を持ち、同等の権力を持っていた神だったらしい。
 だがいつの日か遊戯神は心の闇に飲まれ創造神のジジイと対立し邪神となりて神界に歴史的大戦争を引き起こす事となる。
 
 その戦争により神界は多くの犠牲を生み、多大なる被害を受けたが、現創造神であるジジイと他の神々、計12神が力を合わせる事で戦争は幕を閉じ、邪神は滅ぼされたかと思った。

 だが邪神は滅ぼされる直前に自分の魂の半分を魔石に封じ、他世界へと転移し逃げ込んだ。

  神々は直ぐに邪神の魔石を見つけだす事はできた。

 だが見つけた場所は他でも無く、まだ人が存在せぬ俺が今いる世界だった。

 見つかったんなら回収は済んでいるのでは?俺とどう関係する?と当たり前の様に俺は返したが、俺のいる世界は初め、まだ未熟ともいえる世界で、邪神の影響により変革してしまったそうだ。

 それ故に神々が直接関与出来なくなっているらしい。

 だからその魔石を危険因子と分かりつつも手を出す事も、その世界に入り探すこともできなかった。

 それ以来俺が今存在する世界は神々の監視下に置かれる事となるのだが、邪神の魔石でこれといった事件や動きもなく、神の持つ枝別れした未来予知ですら読み取る事もできず時は何千年と行き過ぎた。

 だが俺が生まれる300年前。
 このまま何も起こらないのでは無いかと思った邪神の魔石の動きがついに未来予知にて現れたのだ。

   それは"邪神の復活"である。

 今まで見えなかった筈の未来が急に見え出した事に神々は訝しむが、神の予知する兆しが今まで外れる事は無かった。

 邪神は魔石になり、その器となり得る存在が自分を手にするまで何千年とその時を待っていたのだ。

 恐らくその器を得た事と、なんらかの影響により未来に現れたのではないかと神々は予想する。
 
 神々もその対処役として、その同時期に異世界の人間を召喚させ、力を与え成長させた。

 召喚者はみるみる力をつけ、見事邪神よりも強者といえる存在となった。

 だが結果は

 瀕死の邪神に対し、召喚者も瀕死状態となり、最後の力を振り絞り唯一出来たのが邪神の魂をもう一度魔石に封じこめることだけだった。

「っつかやっぱりトバッチリじゃにゃいか!!何で俺がしょんな事ちなくちゃならん?」

 当然の意見だろう。
 だって何度も言うけどこのジジイが原因で俺死んだのよ?何で条件つけられて俺がそんな危ない橋を渡らねばならん?
 
「むぅ。聞き分けのない奴じゃの。」

 「は?お前が言うにゃよジジイ!!」

 また胸倉を掴んでやった。

 きっと俺の額には青筋がバキバキとなっていることだろう。

「な、なな何と口の悪い奴じゃ。何度も言うがワシは創造神じゃぞ!!」

 ペシコン!!頭をもう一度叩いてやった。

 っつかこのアホ。マジでムカつく!!
 老人大切にとか言うけど俺は生憎メチャクチャ優しいできた人間では無い。

  ましてや普通の老人なら許す所でも、やってる張本人は神だと抜かすクソジジイだ。

 怒り震える俺の拳で一度このタコ坊主をタコ殴りしてやろうかと思い、拳を振りかぶった所で手が誰かに止められる。

 え?と思い、俺は止められた誰かに顔を向ける。

 そこにはとても美しい大人の女性が俺の手を握っていたのだ。

 年齢でいえば30過ぎぐらいだろうか?ブロンドの腰まである長い髪を後ろで編み込む様に束ね、服は今にもはだけそうなローブを巻き、しっかりとした括れにお胸も見た事がない程の爆乳であった。
 
 ってか神々しいとはこの事だろうか?この女性の背後には眩い光が見える気がして思わず平伏しそうになる。

 だが今はそんな場合ではない。

「誰?」

 俺がそう言うと女性は頭を下げる。

「主人がご迷惑をおかけします。私の名はヘラ。この創造神の妻です。」

 うそん!!!!?

 稲妻が頭に突き刺さる様な強烈的衝撃である。

 これが嫁!!!?このチンチクリンジジイの!!?むしろショック!!
 
 思わず目が飛び出そうなほど驚き、それと同時にとてつもない敗北感を感じた俺を他所に「おぉ!ヘラよ!よくぞきたぁ!」とジジイは満面の笑みでいきなりヘラに飛びつこうとした。

 だがヘラはそれを上から手で叩き落とし、問答無用でジジイの頭を踏みつける。

 ブチッ!!「ぐぉ!!」

 あまりの惨さにタコ殴りしてやろうとと思ったジジイでも同情し顔を引攣らす俺。

「貴方が先日浮気をしていた事。私知っていますのよ。近寄らないで下さいまし、穢らわしい。」

 ヘラはとても旦那に向けてるとは思えないほど蔑んだ表情をする。

「な、何故それを‥」

「貴方のやる事は全て監視下ですから当たり前です。いい加減学習なさいまし。そんな事よりハル君。貴方にはとても迷惑な使命を与えてしまい、夫、神々に代わり謝罪致しますわ。」

 ヘラはそう言って本当に申し訳なさそうに俺へ頭を下げた。

 うっ。こんな素直に謝られると俺だって鬼じゃない。
  だけど、邪神を倒すなんて死ねと言われている様な物だ。
 断るに越した事は無い。
 代わりだっているかもしれないだろ?
 
 ん?

 そうじゃん!代わりがいるじゃないか!
 
 代わりを探してもらえば!‥と思ってヘラに頼み込もうとすると、ヘラは俺に契約書っぽい妙に光る紙を俺に見せた。

「大変申し訳ないのですが、貴方の母君から許可は得ていますの。」

 ヘラは涙を拭うような素振りをしながら俺に契約書らしき物を渡し、俺はそれに目を向けると契約書の確認欄の所に見慣れた文字で名前が書いてあった。

【遠藤 五月】

「母たんの字!!?うちょだろ!?」

 「本当です。信用できなければ手紙も受け取っていますのでどうぞ。」

 ヘラは胸の谷間から手紙を取り出した。
 
 何故そこから!?ってどうでもいい!
 
 すぐにその手紙を受け取り目を通す。
   間違いなく母の達筆な字で書かれている。

  そして書かれていた文章は‥

「ミツル。お久しぶりです。元気にしていますか?無事、転生したと聞きました。色々と条件を付けられて戸惑っている事でしょうが貴方は私の子供です。きっとどんな困難も乗り越えてくれると信じています。人の為頑張るのよ。サインは私が代わりにしときます。だって私の子供だもの。また会える事を楽しみにしています。母より。ーーー追伸。貴方の為に貯めたお金は貴方の世界のレートに合わせて"創造神__クソジジイ__にアイテムボックスへと入金させましたので心置きなく使いなさい。」

 ってかアホかぁ!!!!!

 でたよ母さんの正義感!!昔から勝手に決め事して余計な事に首つっこんで俺を巻き込む癖はあったけどコレはヤバイ!っつか私の息子関係ある!?勝手にサインすんじゃねぇよ!!!

「ご理解頂けましたか?」

 ヘラが俺に言う。

「お、俺が書いてはにゃいのだけど‥」と抗おうとするがそれに被せる様にヘラが言う。

「神界のこの契約書にはそんな事はかいておりませんのよ。」

「あぁ。‥そう‥でしゅか。因みに破った場合は?」

「破った場合は罰則として、お母様の魂を拘束し、100年間の地獄牢獄に送ることになります。また、貴方には母を地獄に送った罪により地獄行きが決まります。」

 此奴らは悪魔?

ってか母さん何してんだ馬鹿やろー!!どっちにしろ積んでんじゃんかよぉ!!!

チーン!!カンカン!!
 
 ゲームセット!!
  
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