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18話 潔白
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「おお、捕らえましたか。よくやってくれました」
大聖堂に到着すると、エメルテアがいる部屋まで運ばれた。
こいつの命令で、俺たちは捕らえられたのか。
「その者たちはギャレク教の信者で、何らかの目的があって私に近づいた可能性があります。徹底的に調べ上げてください」
エメルテアが命令するように言った。
聖女に命令するというのに若干違和感を覚えたが、まあこいつらの内情はよく分からないからな。
とにかくここは自身の潔白をきちんと証明しないといけない。
「俺はそのギャレク教とやらに何の関わりもない。さっき初めて聞いたくらいだ」
「嘘ですね。あなたに現れた紋章が、忠義の聖女だったことを考えれば、あなたがギャレク教に何の関わりもないということは、ありえないことでしょう」
「言っていることがまったく分からん。俺がこの子の守護騎士になったのは、師匠に預かってから成り行きでなっただけだ。ギャレク教とやらは、まったく関係ない」
「あくまでしらをきる気ですか」
エメルテアは俺の言葉を信じる気は毛頭ないみたいだ。
「大司教。最初から疑ってかかるのも、だめですわ。もう少しちゃんと調べてみないと」
イリーナがそう言った。
「二人が白だとでも?」
「ええ、私の勘では二人はギャレク教に関わりはないと思いますわ」
「ふむ……あなたの勘は結構鋭いですからね」
エメルテアは考え込む。
「まあ、確かに最初から百パーセント黒だと決めてかかるのも、間違っているかもしれませんね。あれを使って調べてみますか」
あれとは何だ?
よく分からないが、何か調べる方法でもあるのだろうか。
エメルテアが、パン! と一度手を叩いた。
叩いてからしばらくすると、騎士たちが部屋に何かを運んできた。
大きな白い半透明の球体だ。
「何だこれは」
「お二人ともこの球に手で触れてください」
エメルテアが指示をしてきた。
俺とミリアは、少し戸惑いながら球に触れる。
「これは真実球。この球に触れている状態で嘘をつくことは出来ません。これから私の質問に、正直に答えてください」
何だよそれ。
そんなもんあるなら、最初から使っておけよ。そしたら俺がギャレク教とやらと何の関係もないことがすぐ証明できていたのに。
「さて質問します。あなたたちはギャレク教の信者ですか?」
「違う」
「ちがいます」
エメルテアの質問を否定する。
俺たちが質問に答えると、エメルテアは注意深く真実球を観察する。
見る限りでは、何の反応もない。
「ふむ……。あなたたちが、私に近づいた目的はなんですか?」
「守護騎士になったが、どういうものかよくわからないので、情報を得たかったからだ」
「……え、えーと……リストさんが行ったから、わたしもついていきました」
反応はない。
「ふむ……。これはちゃんと作動しているのでしょうか? 試しに嘘をついてみてください。質問に答えるのは守護騎士だけで結構ですよ。あなたは男ですか?」
疑い深い奴だな。
わざと嘘をつけって事だな。
「違う」
そう答えた瞬間、球が赤色になる。
突然の事で少しびっくりする。
数秒後元に戻った。
「正常ですかね。あなた女ではないですよね」
「どこからどう見ても男だろうが!」
「うーん…………、念のため、もう一度嘘をついてみてください。あなたは目が三つ以上ありますか?」
「ある」
もう一度、球が赤く染まった。
「あなた目が背中にあったりしませんよね」
「ねーよ! 俺は普通の人間だ」
「ですよね……。やっぱり正常ですか。もう一度聞きますが、あなたたちはギャレク教には何のかかわりもないのですね?」
「ない」
「ありません」
真実球は赤く染まらず、白いままだ。
「どうやら嘘はついていないようですね」
俺たちの潔白が証明されたようだ。
大聖堂に到着すると、エメルテアがいる部屋まで運ばれた。
こいつの命令で、俺たちは捕らえられたのか。
「その者たちはギャレク教の信者で、何らかの目的があって私に近づいた可能性があります。徹底的に調べ上げてください」
エメルテアが命令するように言った。
聖女に命令するというのに若干違和感を覚えたが、まあこいつらの内情はよく分からないからな。
とにかくここは自身の潔白をきちんと証明しないといけない。
「俺はそのギャレク教とやらに何の関わりもない。さっき初めて聞いたくらいだ」
「嘘ですね。あなたに現れた紋章が、忠義の聖女だったことを考えれば、あなたがギャレク教に何の関わりもないということは、ありえないことでしょう」
「言っていることがまったく分からん。俺がこの子の守護騎士になったのは、師匠に預かってから成り行きでなっただけだ。ギャレク教とやらは、まったく関係ない」
「あくまでしらをきる気ですか」
エメルテアは俺の言葉を信じる気は毛頭ないみたいだ。
「大司教。最初から疑ってかかるのも、だめですわ。もう少しちゃんと調べてみないと」
イリーナがそう言った。
「二人が白だとでも?」
「ええ、私の勘では二人はギャレク教に関わりはないと思いますわ」
「ふむ……あなたの勘は結構鋭いですからね」
エメルテアは考え込む。
「まあ、確かに最初から百パーセント黒だと決めてかかるのも、間違っているかもしれませんね。あれを使って調べてみますか」
あれとは何だ?
よく分からないが、何か調べる方法でもあるのだろうか。
エメルテアが、パン! と一度手を叩いた。
叩いてからしばらくすると、騎士たちが部屋に何かを運んできた。
大きな白い半透明の球体だ。
「何だこれは」
「お二人ともこの球に手で触れてください」
エメルテアが指示をしてきた。
俺とミリアは、少し戸惑いながら球に触れる。
「これは真実球。この球に触れている状態で嘘をつくことは出来ません。これから私の質問に、正直に答えてください」
何だよそれ。
そんなもんあるなら、最初から使っておけよ。そしたら俺がギャレク教とやらと何の関係もないことがすぐ証明できていたのに。
「さて質問します。あなたたちはギャレク教の信者ですか?」
「違う」
「ちがいます」
エメルテアの質問を否定する。
俺たちが質問に答えると、エメルテアは注意深く真実球を観察する。
見る限りでは、何の反応もない。
「ふむ……。あなたたちが、私に近づいた目的はなんですか?」
「守護騎士になったが、どういうものかよくわからないので、情報を得たかったからだ」
「……え、えーと……リストさんが行ったから、わたしもついていきました」
反応はない。
「ふむ……。これはちゃんと作動しているのでしょうか? 試しに嘘をついてみてください。質問に答えるのは守護騎士だけで結構ですよ。あなたは男ですか?」
疑い深い奴だな。
わざと嘘をつけって事だな。
「違う」
そう答えた瞬間、球が赤色になる。
突然の事で少しびっくりする。
数秒後元に戻った。
「正常ですかね。あなた女ではないですよね」
「どこからどう見ても男だろうが!」
「うーん…………、念のため、もう一度嘘をついてみてください。あなたは目が三つ以上ありますか?」
「ある」
もう一度、球が赤く染まった。
「あなた目が背中にあったりしませんよね」
「ねーよ! 俺は普通の人間だ」
「ですよね……。やっぱり正常ですか。もう一度聞きますが、あなたたちはギャレク教には何のかかわりもないのですね?」
「ない」
「ありません」
真実球は赤く染まらず、白いままだ。
「どうやら嘘はついていないようですね」
俺たちの潔白が証明されたようだ。
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