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7話 守護騎士の力
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黒い鎧の集団を追い払ったあと、死体を片付けた。
そのあと深夜の襲撃だったので、流石に眠かったので寝る。
起きたのは昼だ。
飯を二人で食べて、深夜に起こったことに関して、ミリアに聞くことにした。
「なあ、あの時お前が使った呪文について聞きたいんだが……その前に……」
「何でしょう?」
「何で俺の膝に座っているんだ?」
ミリアは何故か、俺の膝にちょこんと腰かけていた。
「だめですか? 重いですか?」
「いや、重くもないし、駄目じゃないがな……」
昨日まであんなに邪険にされていたのに、どういうことだろうか。
深夜体を張って助けようとしたから、それで心を開いてくれたのか?
それならいいんだけど。
ただまあ、面と向かっての方が、話しやすくはあるがな。
「それで、あの時、使った呪文について知っていることがあれば、教えてくれ」
「分かりました」
やっぱ素直だな。
「あれはリストさんを、わたしの守護騎士に任命したのです」
「その守護騎士ってのは何だ」
「聖女の力をもつものは、呪文を唱えることで一人だけ守護騎士を任命できるのです。守護騎士に任命されものは、【超回復】や【超人化】など、強力なスキルをえられるらしいです」
【超回復】に【超人化】。
たぶん傷が瞬時に治ったのは、【超回復】で、剣が強力になったのは【超人化】の力だろうな。
などのということは、ほかにも何か得ているスキルがあるかもしれない。
しかし、あれだけの回復力とパワーを得られるスキルを与えるとは、恐ろしいな聖女の力。
狙われる理由も分かる気がする。
「すごい力をえられる代わりに、守護騎士は聖女からはなれられなくなります。一度守護騎士に任命されたものは、死ぬまで守護騎士のままで、やめることはできないそうです」
「離れられなくなる? それってどのくらいの距離以上は離れられなくなるんだ?」
触れ合っておかなければダメと言うわけではない。
今、ミリアは俺の膝に座っているが、ずっと座っているというわけではない。
トイレに行ったりするときなんかは、当然離れる。
たぶん離れられる限界距離があるんだと俺は思った。
「分かりません」
「じゃあ調べてみるか」
「しらべるって?」
「ミリアから俺がどれだけ離れられるか実験だ。膝から降りてくれ」
「嫌です」
「いや、どかないと実験できないんだが……」
「……でも」
よほど俺と離れたくないのか?
さっき黒い騎士が出てきたばかりだから、まだ不安なのかな。
「そんなに長時間離れるわけじゃないから、大丈夫だろ」
「……分かりました。一つじょうけんがあります」
「条件?」
「あたまなでてください」
「何?」
「あたまをなでたら、はなれます」
ミリアは頬を赤く染めて、条件を出してきた。
なんつーか、やけに懐かれちまったな。
まあ悪い気はしない。
俺はミリアの頭を撫でた。
気持ちよさそうに目を細める。
「もういいか?」
「……まだ」
三分くらい撫でさせられた。
満足したのかミリアは俺の膝から降りる。
「よし、じゃあ離れるからな」
ゆっくりと一歩ニ歩と歩く。
なるべく等間隔になるように歩いた。
十歩目で、
「うお!」
見えない壁に行く手を阻まれた。
押したり叩いたりするが、壁は固く壊せそうにない。
ミリアから十歩くらいの距離以上離れられなくなっているようだ。
守護騎士を死ぬまでやめることは出来ないとミリアは言っていたな。
そうなるとミリアを師匠に返すことは出来なくなるというか。
というかこれから日常生活に支障が出てくるような……。
ソロで冒険者をやる気だったが、ダンジョンにミリアを連れていくわけにもいかないし……。
「あの……申し訳ありません。わたしあの方法しか思いつかなくて……、ずっとはなれられないのは、いやですよね……」
俺が悩んでたのを見たミリアが、落ち込んだ表情で言って来た。
「ミリアは俺の命を助けるために俺を守護騎士にしたんだ。謝ることは何もない」
俺はミリアの頭を撫でる。
こうなったからには、俺は守護騎士としてミリアを守ろう。
ああいう敵がこれから、ミリアを狙って来るだろう。
この家の位置もばれているし、早いところ出た方がいいだろうな。
それと聖女というものに対して俺は無知すぎる。
敵が何のか知るには、詳しくなっておいた方がいいだろう。
顔なじみの情報屋がいる。
そいつに聞きに行くとするか。
そのあと深夜の襲撃だったので、流石に眠かったので寝る。
起きたのは昼だ。
飯を二人で食べて、深夜に起こったことに関して、ミリアに聞くことにした。
「なあ、あの時お前が使った呪文について聞きたいんだが……その前に……」
「何でしょう?」
「何で俺の膝に座っているんだ?」
ミリアは何故か、俺の膝にちょこんと腰かけていた。
「だめですか? 重いですか?」
「いや、重くもないし、駄目じゃないがな……」
昨日まであんなに邪険にされていたのに、どういうことだろうか。
深夜体を張って助けようとしたから、それで心を開いてくれたのか?
それならいいんだけど。
ただまあ、面と向かっての方が、話しやすくはあるがな。
「それで、あの時、使った呪文について知っていることがあれば、教えてくれ」
「分かりました」
やっぱ素直だな。
「あれはリストさんを、わたしの守護騎士に任命したのです」
「その守護騎士ってのは何だ」
「聖女の力をもつものは、呪文を唱えることで一人だけ守護騎士を任命できるのです。守護騎士に任命されものは、【超回復】や【超人化】など、強力なスキルをえられるらしいです」
【超回復】に【超人化】。
たぶん傷が瞬時に治ったのは、【超回復】で、剣が強力になったのは【超人化】の力だろうな。
などのということは、ほかにも何か得ているスキルがあるかもしれない。
しかし、あれだけの回復力とパワーを得られるスキルを与えるとは、恐ろしいな聖女の力。
狙われる理由も分かる気がする。
「すごい力をえられる代わりに、守護騎士は聖女からはなれられなくなります。一度守護騎士に任命されたものは、死ぬまで守護騎士のままで、やめることはできないそうです」
「離れられなくなる? それってどのくらいの距離以上は離れられなくなるんだ?」
触れ合っておかなければダメと言うわけではない。
今、ミリアは俺の膝に座っているが、ずっと座っているというわけではない。
トイレに行ったりするときなんかは、当然離れる。
たぶん離れられる限界距離があるんだと俺は思った。
「分かりません」
「じゃあ調べてみるか」
「しらべるって?」
「ミリアから俺がどれだけ離れられるか実験だ。膝から降りてくれ」
「嫌です」
「いや、どかないと実験できないんだが……」
「……でも」
よほど俺と離れたくないのか?
さっき黒い騎士が出てきたばかりだから、まだ不安なのかな。
「そんなに長時間離れるわけじゃないから、大丈夫だろ」
「……分かりました。一つじょうけんがあります」
「条件?」
「あたまなでてください」
「何?」
「あたまをなでたら、はなれます」
ミリアは頬を赤く染めて、条件を出してきた。
なんつーか、やけに懐かれちまったな。
まあ悪い気はしない。
俺はミリアの頭を撫でた。
気持ちよさそうに目を細める。
「もういいか?」
「……まだ」
三分くらい撫でさせられた。
満足したのかミリアは俺の膝から降りる。
「よし、じゃあ離れるからな」
ゆっくりと一歩ニ歩と歩く。
なるべく等間隔になるように歩いた。
十歩目で、
「うお!」
見えない壁に行く手を阻まれた。
押したり叩いたりするが、壁は固く壊せそうにない。
ミリアから十歩くらいの距離以上離れられなくなっているようだ。
守護騎士を死ぬまでやめることは出来ないとミリアは言っていたな。
そうなるとミリアを師匠に返すことは出来なくなるというか。
というかこれから日常生活に支障が出てくるような……。
ソロで冒険者をやる気だったが、ダンジョンにミリアを連れていくわけにもいかないし……。
「あの……申し訳ありません。わたしあの方法しか思いつかなくて……、ずっとはなれられないのは、いやですよね……」
俺が悩んでたのを見たミリアが、落ち込んだ表情で言って来た。
「ミリアは俺の命を助けるために俺を守護騎士にしたんだ。謝ることは何もない」
俺はミリアの頭を撫でる。
こうなったからには、俺は守護騎士としてミリアを守ろう。
ああいう敵がこれから、ミリアを狙って来るだろう。
この家の位置もばれているし、早いところ出た方がいいだろうな。
それと聖女というものに対して俺は無知すぎる。
敵が何のか知るには、詳しくなっておいた方がいいだろう。
顔なじみの情報屋がいる。
そいつに聞きに行くとするか。
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