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第22話 レイス討伐

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「あ、あいつがレイスよ!」

 シミアが叫んだ。
 こいつがレイス……!
 足元に黒いモヤのようなものがあることに気づいた。
 それ以外はゴーストと変わらないので、あれがレイスの特徴なのだろうか。

 見ていると本能的な恐怖心を感じる。殺気察知スキルで感じる感覚とは違う感覚だ。
 ゴーストを見ても、こんな感覚を感じることはない。

 シミアが逃げ出したくなった気持ちも分かる。てか、俺も今すぐ逃げたい。

 だが、俺と同じ恐怖を感じているはずの、ミラとクロ、ネズオは逃げる気はなく戦う構えを見せていた。

 ここで俺が逃げるわけにはいかない。

 戦う構えを見せる。

「ほ、本当にやるのね……仕方ない……アイスエッジ!」

 腹を括ったのか、シミアが最初に魔法を使う。

 5本の氷の刃がレイスの頭と胸の辺りに向かって飛んでいく。

 レイスは一切避ける素振りは見せない。

 直撃した。
 間違いなく辺りはしたが、あまりダメージがあるようには見えない。

「や、やっぱり効かない!」

 シミアは動揺する。
 生きている人間の攻撃も効きにくいようだが、俺たちゴーストが攻撃しても別に効きやすくなったりはしないようだ。

 半霊ということは、半分は実体ということなので、攻撃が効きにくいという事もおかしい話ではない。

 でも、流石にノーダメージじゃないよな……?
 ダメージが全く与えられないのであれば、倒しようがない。
 効いている素振りがないだけで、多少はダメージが入っている……はず……てかそうであって欲しい。

「ラアアアアァアアア!!」

 レイスは斧を振り回してきた。
 効きづらいかもしれないが、それでも黙って受けるわけにはいかない。後ろに下がって回避した。
 斧は大きく振りも大きいので、油断しなければ当たる事はなさそうだ。
 それにあまり攻撃から理性は感じられない。
 ゴーストと同じく正気は失っているようだな。

 これなら攻撃を当てることは容易そうだ。
 俺は背後に回り込んで、レイスの横腹に回し蹴りをする。

 当たった感触はあった。

「ウ……」

 レイスは少しよろめく。
 全く効いていないという感じではなさそうだ。

 俺に続くようにクロが爪でレイスの肩の辺りを引っかく。
 クロの爪がレイスの肩に当たった瞬間、黒い靄の様なものが飛び散った。

 ミラもレイスの腹の辺りを連続で斬る。
 剣術に長けているミラは、流れるように華麗な動きでレイスを斬る。ほれぼれするような動きだ。

 斬られるたびにレイスからは黒い靄が飛び散る。
 これは効いてるから飛び散っていると見ていいのか?
 レイスの少し怯んでるように見えるし。

「何か私の魔法以外効いてて、複雑な気持ちなんですけど」
「魔法が特別効きにくいんじゃないか? そういうスキルでも持ってるかも」
「そ、そんなスキルあったんじゃ、私役立たずじゃない! あ、そうか、氷属性が効きにくいのかも! ブレイズ!」

 シミアがそう言うと、炎の球がレイスに飛んでいき、当たった瞬間爆発した。

 あまりダメージを受けているようすはない。

「な、何でよ、もうー!!」

 涙目になるシミア。
 やはり氷属性だけでなく、魔法自体が効きにくいようだ。

 俺たちはレイスを攻撃し続ける。

 斧を避けながら、俺、ミラ、クロ、ネズオで、四方から一斉に攻撃をした。

 シミアの言葉どおりかなり頑丈で、耐久力があるようだったが、それでも攻撃が全く効かないというわけではない。

 持久戦にはなったが、こちらはいくら攻撃しても疲れないし、それも問題ない。

「グゥウウウ……」

 レイスはだいぶ弱ってきた。
 一方こちらはとくに消耗はない。
 相手の斧は動きが読みやすく、避けるのは容易い。動きが少し鈍いネズオは何回か食らってしまったようだが、耐久力はあるようで、平気そうにしている。

 これなら勝てそうだ。

「はああああ!」

 ミラが剣を両手で構えて、渾身の力でレイスの頭めがけて振り下ろした。

 当たった瞬間、黒い靄が大量に噴き出す。

「ぐがあああああ!!」

 と苦しそうに大声を上げながら、黒い靄を噴き出し続ける。

 しばらくすると、黒い靄も出なくなり、ばったりと地面に倒れ伏した。

 これでレイスも配下に出来た、と思ったが、

『条件を満たしていないため、グランド・バードルを配下に出来ませんでした』

 と声が聞こえてきた。

 じょ、条件? 
 何だそれ?
 グランド・バードルってのは、このレイスの生前の名前か?

 その後、レイスは光の粒子となって俺の体に吸収された。

『グランド・バードルを倒しました。レベルが4に上昇します』 


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