1万年生きた不老不死の俺、死ぬ方法を探して旅してたら何故か英雄になってた

未来人A

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四十三話目 知恵の間

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『ようこそ知恵の間へ』

 転送された直後声が聞こえた。
 さっきと同じ声である。

 知恵の間とやらを見てみると、真ん中に六つの椅子と机がある。それぞれに紙と筆記用具が置いてあった。

『ますはそれぞれ席についてもらおう』

 俺たちは六つある席にそれぞれ座った。

『こちらから問題を出す。それぞれその問題に関する答えをその紙に書く。一人でも正解していたら、1ポイント与える。全部で五ポイント取れば試練達成だ』

「全員不正解だったらどうなる」

『三回全員不正解があった場合、失格となり二度と試練に挑む権利を失う』

 だいたい理解した。一人正解したらいいなら、問題ないな。

 メオンとグレースは馬鹿ではないはずだ。

 レミ、ミナ、アイシャの三人は、まあ、普段の言動から察するに、あまり知恵はなさそうだからな……。

 俺の視線に気づいたのか、

「ぺ、ペレス殿! 何か失敬なことを考えているであろう!」

「そうよ! レミは生真面目さ以外能のない女だけど、アタシとミナは違うわよ!」

「うんうん」

「アイシャ。貴様喧嘩を売っているのか?」

「あ、いや、悪いことじゃないから。大事よ生真面目さは。レミは偉いわ」

「目が泳いんでいるんだよ! 目が!」

「あー、喧嘩するな鬱陶しい」

「アホども」

 俺は、喧嘩の仲裁をして、メオンは冷ややかな目で、二人のやり取りを見ていた。

『それでは開始する。第1問』

 いきなり問題が始まり、アイシャとレミも喧嘩を静かになり、問題に耳を傾け始める。

『第一問。顔がそっくりの子供が二人いたが、その親は双子ではないという。なぜ?  制限時間は2分』

 砂時計が目の前に現れ、砂が落ちていく。

 顔がそっくりなのに双子ではない?

 決まっている『その子が分身の魔法を使っているから』である。
 簡単すぎる問題である。
 まさかこれがわからないものがいるわけあるまい。
 というかこれが問題であるのか、疑問なくらいだ。
 俺はすぐに書く。

「これは楽勝じゃな」

 隣の席に座っているメオンもすぐわかったみたいだ。

 ちなみに席順は、俺が左端にいて、その右が、メオン、アイシャ、ミナ、レミ、グレートという並びだ。

 非常に簡単な問題だと思っているのだが、メオンと俺とグレース以外の連中は悩んでいる。
 どこに悩む要素があるのか、疑問だ。

 砂時計が半分くらい下に落ちてから、

「あ、分かったかも!」

 とアイシャが。
 遅れてミナとレミも分かったようだ。

 砂時計が完全に下に落ちる。

『では答えを発表する。答えは、子供たちは三つ子だったからだ。四つ子、五つ子……と人数が多い場合も正解だ』

 は?

『正解者は四人、1ポイント獲得』

 み、三つ子だったから?
 何だそりゃ、おかしいだろ! 間違ってんじゃねーか。

「えー? ペレスさんとメオンちゃん間違えたの?」

 なんと間違えたのは、俺とメオンの二人だけ。
 メオンは俺と同じ答え書いている。

「おいおかしいじゃろ! 三つ子じゃったからは言われてみれば、正解であるが、分身の魔法も正解じゃろ!」

「そうだろ! どこが間違っているんだ!」

「いや、分身の魔法ってそんなん聞いたこともないし。あるの?」

「あるぞ、物凄く珍しい魔法で知っているものは少数じゃがな」

「いやいや、もっと分かりやすい答えじゃないとダメでしょー」

「あっているのはあってるじゃろ!」

「子供は使えないよ普通」

「魔法が苦手な子供とはどこにも書いてねーじゃねーか」

「とにかく間違えは間違えだ」

「ペレスさんって、長く生きているわりには……」

「メオンちゃんも普段は、賢いって感じなのにねー」

 こ、こいつら。
 自分たちだけが正解したと思って、いい気になりやがって。

 隣でメオンも、殺してしまおうか? いやしかしと、殺害を検討するほどイラついているようだ。

 クソ、だが今回は安直に考えすぎて間違えた。

 次は絶対に外さん。



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