1万年生きた不老不死の俺、死ぬ方法を探して旅してたら何故か英雄になってた

未来人A

文字の大きさ
上 下
42 / 47

四十二話目 力の試練

しおりを挟む
 『ようこそ力の間へ』

 扉を開けて中に入ったら、いきなり声が聞こえてきた。

『今から試練を受けてもらう。ルートビアの塔に入る資格があるかどうかを確認するための試練だ。力の間で行う力の試練は、強さが試される試練である。魔法生物を次々と召喚するので、それを全て倒したら試練クリアだ』

 声は試練の説明をする。

「試練をクリアしたら、合言葉を教えてくれるのか?」

 答えてくれるかわからないが、俺は質問してみた。

『力の試練をクリアした後は、知恵の間に転送される。そこでは知恵の試練を受けてもらう』

「知恵の試練……」

「力の試練ならペレスさんが入ればできそうだけど、ペレスさんって頭いいの?」

「長く生きているから、知識は豊富だぞ」

 ……まあ、知識量でどうにもならないような問題が出たら弱いけどな。

「お主ら、無駄話をするな。ここの敵は強敵だぞ」

  とグレースは警告する。

「強敵は強敵かもしれないけどねー」

「ペレスさんがいれば、なんの問題もなく終わりそうよね」

 かなり気を抜いている、アイシャとミナ。そのようすを見たレミが、

「お前ら気を抜くんじゃない! そうやってすべてペレス殿に任せるから、役立たずだのと言われるのだぞ!」

「う……」

「そ、その通りね……」

 レミの叱咤で二人はやる気を出す。

『それではあと10秒後、魔法生物が召喚する。ちなみに魔法生物は召喚されるごとに、強くなっていくので、最初に召喚するのは1番弱い魔法生物だ。真ん中に召喚されるので、端っこの方にいた方がいいぞ』

 と声が聞こえてきた。
 真ん中あたりにいた、レミとアイシャが急いで、端っこに移動した。

 声が聞こえてから10秒後、部屋の真ん中に白く光る魔法陣が描かれる。

 描かれた直後、目玉が浮いているという感じの外見の生物が10体召喚された。

「これが魔法生物か」

「初めて見るわね」

 ちなみに魔法生物とはその名の通り、魔法で作成した生物だ。ハイレベルの魔法使いだと、それぞれ独自の魔法生物を作成するため、どんな名前でどんな動きをする魔法生物か、わからないことが多い。
 この目玉の魔法生物も、青の賢者が独自に作成したものだろうから、俺も初めて見るものだ。

 とりあえず、最初に召喚されたこいつは1番弱いという話だし、さっさと倒すか。

 俺がそう思って倒そうとした時、

「はぁ!」

「やぁ!」

「ファイアボール!」

 とレミ、ミナ、アイシャの3人がやる気を出して、魔法生物を倒しにいく。

 グレースも魔法を使って、魔法生物を倒す。メオンは偶然近くに出てきた奴を、ゴミを払うかのような感じで、簡単に倒していた。

 思ったより弱かったのか、俺は何もしない間に全魔法生物が倒された。

「どう!  見直した!」

「我々も結構修行を積んでいるからな。この程度は楽に倒せるのだ」

「私たちは役立たずじゃないのだー」

 なんか妙に勝ち誇ったような表情で、レミとアイシャとミナが言ってきた。

「いや、あの目玉1番雑魚らしいし、そいつら倒したくらいで、勝ち誇られても……」

「む、むむむ!」

「じゃあ、次のやつも倒してやる!」

 再びやる気を出し始める。

『お見事。それでは10秒後、次の魔法生物を召喚する』

 10秒後召喚されたのは……

 かなり巨大な虎のような魔法生物だった。
 人間の何十倍の大きさだ。頭に大きなツノがある。

「「「……」」」

 この虎の魔法生物を見た瞬間、3人は凍りついた。
 そして、

「無理無理無理!」

「た、助けてー」

「ひぃ!」

 同時に叫びながら俺の背中に隠れた。
 どうやら魔法生物の外見に思いっきりびびったみたいだ。

「なんで最初のがあの目玉で、次はあんな化け物なんだ!?」

「おかしいよね!?  難易度調整間違ってない!?」

 いや、知らんがな。相変わらずヘタレな奴らだ。

「相変わらず情けない奴らじゃのう」

 と近くで見ていたメオンが、呆れたような表情でいう。

 すると、メオンに向かって虎が飛びかかってきた。
 メオンは一瞬で呪文を唱え終え、邪術で虎を攻撃。一撃で倒した。

「ほう、あれを一撃で倒すとは」

 その様子を見ていたグレースが感心したように呟く。

「この程度、余裕じゃろ」

 メオンは毅然とした態度で言い放った。

 その後、色々出てきた。

 2体目までは何もしなかった俺だが、3体目からは、俺がとどめを刺すようになった。

 7体目で最後。ドラゴンっぽい魔法生物が出てきたが、それも難なく倒した。

「……お、お主……強そうだと思っていたが、ここまで強いとは……常識を大きく逸脱しておるな」

 あっさりと敵を倒していく俺を見て、グレースが驚いたように呟いた。

『お見事。試練クリアだ。早速、次の試練、知恵の試練を行う知恵の間まで転送しよう』

 その声が聞こえた後、俺たちは地面から発生した光に包まれた。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

ハズレ職〈召喚士〉がS級万能職に化けました〜無能と蔑まれた俺、伝説の召喚獣達に懐かれ力が覚醒したので世界最強です~

ヒツキノドカ
ファンタジー
 全ての冒険者は職業を持ち、その職業によって強さが決まる。  その中でも<召喚士>はハズレ職と蔑まれていた。  召喚の契約を行うには『召喚スポット』を探し当てる必要があるが、召喚スポットはあまりに発見が困難。  そのためほとんどの召喚士は召喚獣の一匹すら持っていない。  そんな召喚士のロイは依頼さえ受けさせてもらえず、冒険者ギルドの雑用としてこき使われる毎日を過ごしていた。  しかし、ある日を境にロイの人生は一変する。  ギルドに命じられたどぶさらいの途中で、ロイは偶然一つの召喚スポットを見つけたのだ。  そこで手に入ったのは――規格外のサーチ能力を持つ最強クラスの召喚武装、『導ノ剣』。  この『導ノ剣』はあらゆるものを見つけ出せる。  たとえそれまでどんな手段でも探知できないとされていた召喚スポットさえも。    ロイは『導ノ剣』の規格外なサーチ能力によって発見困難な召喚スポットをサクサク見つけ、強力な召喚獣や召喚武装と契約し、急激に成長していく。  これは底辺と蔑まれた『召喚士』が、圧倒的な成長速度で成り上がっていく痛快な物語。 ▽ いつも閲覧、感想等ありがとうございます! 執筆のモチベーションになっています! ※2021.4.24追記 更新は毎日12時過ぎにする予定です。調子が良ければ増えるかも? ※2021.4.25追記 お陰様でHOTランキング3位にランクインできました! ご愛読感謝! ※2021.4.25追記 冒頭三話が少し冗長だったので、二話にまとめました。ブクマがずれてしまった方すみません……!

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。 目覚めると彼は真っ白な空間にいた。 動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。 神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。 龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。 六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。 神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。 気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ
ファンタジー
 月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。  だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。  彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

処理中です...