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四十一話目 遺跡へ

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 グレースの案内で俺達はビルサ砂漠まで向かった。
 砂漠の近くに町があり、そのままの装備で砂漠を歩くのは不可能と、グレースが言ったので、俺以外の奴らは砂漠を歩く用の装備に変更していた。

「いや、お主も装備を着替えぬか!」

「いや、俺は良いだろ」

「あのな。砂漠は予想以上に厳しい環境なのだぞ。甘く見ておれば死ぬぞ」

「死ねればいいんだけどな……あいにく、俺は砂漠だろうが毒沼だろうが火山の中だろうが、このままで行ってもまったく問題ないんだ……」

「……お主、一体、何で出来ておるのだ」

 グレースが呆れたような表情を浮かべる。

「まあ、ペレス殿ならそのままの装備でもまったく問題ないだろうな」

 レミがフォローをする。

「ま、こいつが砂漠程度で死んでおったら、我の苦労は何だったのかという話じゃしな」

 メオンがそう言った。メオンも砂漠を歩く用の装備に服装を切り替えている。

「では、行くとするか」

「そういや、歩くのは砂漠だが本当にちゃんと場所は分かっているのか?」

「それは任せておけ」

 グレースが、杖を掲げる。
 すると、青い一筋の光が発生し、その光が砂漠の方へ一直線に伸びていく。

「この光の方向へ進めば、遺跡がある」

「なるほどね」

 その後、俺達は光を辿って砂漠を歩いていった。

 ○

 俺達は砂漠を歩く。一面が砂だらけで日差しが強い。俺は体温調整をする必要がないので温度を感じないようになっているのだが、ほかの連中は暑い暑いといいながら歩いているので、だいぶ暑いのだろう。

「そういえば、お主はなぜルートビアの塔に行きたいのだ?」

 グレースがそう尋ねてきた。

「青の賢者に会って、話を聞くためだ」

「……青の賢者に会いにか……なるほど」

「…………」

「わしが何故ルートビアの塔に登りたいのかお主は聞かんのか?」

「ん? 別に興味ないし」

「なんと冷たいやつだ。まあ、聞かれても教えられんがな」

「なんだよそれ」

 だったら言うなよ。変なじじいだな。

 それからしばらく歩き続けて、

「もうすぐつくぞ」

 グレースがそう言った。

「ぜー……はー……やっと、やっとつくのか」

「疲れた……」

「砂漠歩くのしんどい」

 レミ、ミナ、アイシャの三人はかなり疲れているようで、肩で息をしながら歩いている。

 俺は当然、疲れなどない。メオンと、グレースも疲れていない。疲れているのは三人だけ。

「情けない奴らだな。修行が足らんぞ」

「まったく疲れていないペレス殿がおかしい!」

「その元気を分けて欲しい……」

「いや、俺だけじゃなく、メオンもグレースも平気そうだぞ」

「「「う……」」」

 3人は返答に詰まる。

「やはりお前らの鍛え方が足りないようだな」

「ち、違うわ。ペレスさんと、メオンちゃんと、グレースさんがおかしいのよ!」

「そうだそうだ!」

 3人は怒り出した。まあ、怒る元気があるんだから、そこまで疲れているわけではないかもしれない。

 そこからしばらく歩き、

「ついたぞ」

 グレースがそう言った。

 だが、周りには何もない。砂が一面に広がっているだけだ。

「なにもないんだが」

「少し待ってろ」

 グレースが呪文を唱え始める。

 すると、目の前に砂の渦が発生した。

「この中に飛び込めば、遺跡だ」

「へー」

 変な仕掛けがしてあるのか。これ自分の力で探そうとしていたら、思ったより時間がかかったかもしれないな。

「ちょ、ちょっと待ってくれ。飛び込むのか? この中に」

「そうだ」

 怯えながら尋ねるレミに、グレースが返答する。

「え、え~。怖いんだけど~……」

「特に危険はないから大丈夫だ」

「ほ、本当……?」

 砂の渦に飛び込む事に抵抗を感じているみたいだ。

「ビビる必要はない。わしが行って見せよう」

 グレースが一足先に砂の渦に飛び込んだ。
 渦に飲まれ一瞬で姿が消える。

「えー……」

「余計怖くなったんだけど」

 3人は顔を青ざめさせる。

「別に怖がる必要など無いだろう」

「ペレスさんは不老不死だからそんなこと言えるのよ!」

「グレースも入っていったんだがな。ま、一足先に行っておく」

 俺はそう言って、さっさと渦に飛び込んだ。

 一瞬で渦に飲まれ落下する。

 下は薄暗い遺跡になっていた。
 俺が落ちた直後、メオンが来る。

 それから少し時間を空けて、レミ、ミナ、アイシャの三人が、落ちてきた。

「全員来たか。ついて来い」

 グレースがそう言って、歩き出す。
 先には大きな扉があった。

 扉には何か書いてある。

「力の間……だってさ」

「この先に魔法生物がおる。気を引き締めろ」

 この爺さんなんで遺跡にこんなに詳しいのか疑問に思う。前に来たことあるのだろうか?
 まあ、わざわざ聞くほど気になるわけでもないので、俺は理由を尋ねなかった。

「では入るぞ」

 俺達は力の間に入った。
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