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第15話 ラーモスの遺品
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(ラーモス……)
先ほどまで恐れていただけの存在だったが、複雑な事情があり階層ボスになったようだ。
(俺を襲ってきたのも、ラーモス本人の意志というよりも、ダンジョンの防衛機能が働いたから、ということか)
元々は正義感や義務感の強い、真面目な性格の女性だったようだ。
まだ日記には続きがあったので、読んでみる。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ忘れたくない忘れたくない忘れたくない……
誠司は途中で翻訳するのをやめた。
これが『嫌だ』『忘れたくない』という意味だと覚えるくらい、大量に同じ文字が書かれていた。
記憶が失われる寸前、精神が大きく乱れていたのが伺える。
意識を保った状態で階層ボスとなり、記憶と人間性をどんどん失ってく。
誠司の想像力ではどういう感情になるのか、全ては分からなかった。
ただ、とても辛いだろうということだけは理解した。
(とにかく階層ボスになる前のラーモスのおかげで、希望が出てきた……地下にラーモスを倒すため役に立つアイテムがある……)
誠司は早速城の地下に向かった。
かなり崩れており危ない場所だった。
瓦礫が頭に降ってきたが、頑丈さがかなり上がっているので、あまり痛くなかった。
捜索していると、宝箱を発見した。
この中にラーモスの遺したアイテムがあるのだろうか。
鍵はかかっていない。
開けてみる。
中には漆黒の球体と、紙が一枚入っていた。
その紙には文字が書かれていた。
この球に関する説明をラーモスが書いたのだろうと、誠司は予測する。
翻訳して読んでみる。
この球体はオリハルコン・グラビティストーンと呼ばれる、石だ。
この石に刺激を与えると、オリハルコンという金属のみを引き寄せる効果がある。
オリハルコンは硬度が非常に高いが、かなり重い金属で貴重な金属だ。
私の愛剣『破鋼剣』はオリハルコンと鉄を混ぜた合金で作られている。
引力は非常に強力。
試しに一度、使ってみたが、階層ボスとなった私でも、剣を持ち続けることは出来なかった。
これを使えば、私を武装解除できるはずだ。
記憶を失っているので、このアイテムの存在も忘れているだろう。
・注意1
武装解除しても私は格闘術も修めている。
絶対に油断はしないで戦闘に臨むこと。
・注意2
オリハルコン・グラビティストーンは、再び叩けば引力がなくなるので、破鋼剣を奪い取る事も可能だが、破鋼剣は非常に重い。
常人では使いこなすことが出来ないので、奪っても自分で使ってみようとは思わない方が良い。
オリハルコン・グラビティストーンを再び叩いたりせず、効果を継続させること。
そう書かれていた。
(武装解除か……つっても、前は剣のないラーモスに一方的にボコられたんだけどな……)
武装解除に成功したからと言って、確実に勝利できるとは言い切れない。
だが、剣がある状態よりも勝率が大きく上がったのも事実だ。
(俺には『深紅薬』もある。剣を持ったラーモスなら勝算は薄いが……それにこの破鋼剣ってラーモスが持ってた剣……もしかして俺も使えるんじゃないか?)
いくら重いと言っても元は人間の使っていた剣だ。
愛剣と言っていることから、ラーモスが階層ボスになる前から、破鋼剣を使用していたはず。
筋力を強化して、人外じみたパワーを持っている自分に、持てないということはない。誠司はそう思った。
(使いこなせるかどうかは別だが……どうせ普通の剣も上手くは扱えないし、出来るだけ強い剣を使った方が良い。注意2は無視して、破鋼剣は使わせてもらおう)
誠司はそう決めた後、宝箱からオリハルコン・グラビティストーンを取り出した。
「……ラーモスを倒して、一階層を支配して、ダンジョンから脱出する。ラーモスの願いも叶える……きっと全て上手くいく」
誠司は自分に言い聞かせるようにそう呟き、地下を出た。
ラーモスの日記があった部屋に向かう。
先程気絶させた巨大ゴブリンが、気絶から目覚め起き上がっていた。
「ガアアアアアアア!!」
誠司に向かって襲い掛かってくる。
腰にかけていた剣を引き抜いて、ジャンプして巨大ゴブリンの首を一刀両断した。
巨大ゴブリンが絶命する。
「……来い。ラーモス!!」
先ほどまで恐れていただけの存在だったが、複雑な事情があり階層ボスになったようだ。
(俺を襲ってきたのも、ラーモス本人の意志というよりも、ダンジョンの防衛機能が働いたから、ということか)
元々は正義感や義務感の強い、真面目な性格の女性だったようだ。
まだ日記には続きがあったので、読んでみる。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ忘れたくない忘れたくない忘れたくない……
誠司は途中で翻訳するのをやめた。
これが『嫌だ』『忘れたくない』という意味だと覚えるくらい、大量に同じ文字が書かれていた。
記憶が失われる寸前、精神が大きく乱れていたのが伺える。
意識を保った状態で階層ボスとなり、記憶と人間性をどんどん失ってく。
誠司の想像力ではどういう感情になるのか、全ては分からなかった。
ただ、とても辛いだろうということだけは理解した。
(とにかく階層ボスになる前のラーモスのおかげで、希望が出てきた……地下にラーモスを倒すため役に立つアイテムがある……)
誠司は早速城の地下に向かった。
かなり崩れており危ない場所だった。
瓦礫が頭に降ってきたが、頑丈さがかなり上がっているので、あまり痛くなかった。
捜索していると、宝箱を発見した。
この中にラーモスの遺したアイテムがあるのだろうか。
鍵はかかっていない。
開けてみる。
中には漆黒の球体と、紙が一枚入っていた。
その紙には文字が書かれていた。
この球に関する説明をラーモスが書いたのだろうと、誠司は予測する。
翻訳して読んでみる。
この球体はオリハルコン・グラビティストーンと呼ばれる、石だ。
この石に刺激を与えると、オリハルコンという金属のみを引き寄せる効果がある。
オリハルコンは硬度が非常に高いが、かなり重い金属で貴重な金属だ。
私の愛剣『破鋼剣』はオリハルコンと鉄を混ぜた合金で作られている。
引力は非常に強力。
試しに一度、使ってみたが、階層ボスとなった私でも、剣を持ち続けることは出来なかった。
これを使えば、私を武装解除できるはずだ。
記憶を失っているので、このアイテムの存在も忘れているだろう。
・注意1
武装解除しても私は格闘術も修めている。
絶対に油断はしないで戦闘に臨むこと。
・注意2
オリハルコン・グラビティストーンは、再び叩けば引力がなくなるので、破鋼剣を奪い取る事も可能だが、破鋼剣は非常に重い。
常人では使いこなすことが出来ないので、奪っても自分で使ってみようとは思わない方が良い。
オリハルコン・グラビティストーンを再び叩いたりせず、効果を継続させること。
そう書かれていた。
(武装解除か……つっても、前は剣のないラーモスに一方的にボコられたんだけどな……)
武装解除に成功したからと言って、確実に勝利できるとは言い切れない。
だが、剣がある状態よりも勝率が大きく上がったのも事実だ。
(俺には『深紅薬』もある。剣を持ったラーモスなら勝算は薄いが……それにこの破鋼剣ってラーモスが持ってた剣……もしかして俺も使えるんじゃないか?)
いくら重いと言っても元は人間の使っていた剣だ。
愛剣と言っていることから、ラーモスが階層ボスになる前から、破鋼剣を使用していたはず。
筋力を強化して、人外じみたパワーを持っている自分に、持てないということはない。誠司はそう思った。
(使いこなせるかどうかは別だが……どうせ普通の剣も上手くは扱えないし、出来るだけ強い剣を使った方が良い。注意2は無視して、破鋼剣は使わせてもらおう)
誠司はそう決めた後、宝箱からオリハルコン・グラビティストーンを取り出した。
「……ラーモスを倒して、一階層を支配して、ダンジョンから脱出する。ラーモスの願いも叶える……きっと全て上手くいく」
誠司は自分に言い聞かせるようにそう呟き、地下を出た。
ラーモスの日記があった部屋に向かう。
先程気絶させた巨大ゴブリンが、気絶から目覚め起き上がっていた。
「ガアアアアアアア!!」
誠司に向かって襲い掛かってくる。
腰にかけていた剣を引き抜いて、ジャンプして巨大ゴブリンの首を一刀両断した。
巨大ゴブリンが絶命する。
「……来い。ラーモス!!」
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