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第13話 日記①
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(ダンジョン攻略日記……このダンジョンを攻略を試みた人の日記か!)
これは手がかりがありそうだ。
誠司は急いでページをめくり、中を読んだ。
ダンジョン攻略日記1日目。
今日、私〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇は、ダンジョン攻略部隊に配属された。
騎士という職業に生まれ、王国騎士団への加入を目指し、見事試験に合格はしたが、ダンジョン攻略部隊に配属されるということは、はっきり言って想定外だった。
名前の部分だけ文字が掠れており、翻訳できなかった。
ダンジョンが発見されたのは、今より20年ほど前らしい。
遺跡に残された文献を頼りに探し出され、四つのダンジョンが王国内で見つかった。
ダンジョンは『ゲート』と呼ばれる、扉を通ることで入ることができる場所だ。
扉を通ると、異空間に転移。
その異空間には、多種多様な魔物が生息している。極めて危険な場所だ。
しかし、レアな素材があったり、宝箱があったりと、人間にとって有用な物もある。
王国はダンジョン攻略を国をあげて行うと決め、王国騎士団、王国魔術師団など精鋭を集めた強力な部隊に、ダンジョン攻略を命じた。
私の配属されたダンジョンは、四つの中で一番難しいとされているダンジョンである。
南の方にあるので、南のダンジョン、と呼ばれている。
王国がダンジョン攻略に乗り出したのは、金、資源、戦力のためだ。
ダンジョンは1階層、2階層……というふうに階層が分かれている(最終階層が何階かは定かではない)
各階層には階層ボスと呼ばれている、ボスが存在する。
その階層ボスは死ぬことはなく、討伐しても復活する。
復活後は討伐した者に従う。
階層ボスを従えた者は、階層の支配権を得る。
支配権を得ることで、階層にあるレアな素材を安定して配給できるほか、支配した階層で誕生した魔物を一定数従えることが出来るようにもなる。
ほかにも様々なメリットがあるようだ。
(いつの話か分からないけど、ダンジョンを国を挙げて攻略しようとしていたんだな。でも、現状を見る限りだと、失敗して封印したのだろうか? でも、一階層ボスを倒したらその階層を支配できるってことだから、流石に最初の階層も支配できなかってことはないよな。このダンジョンにある建造物は、人間がダンジョンを支配したときに建てられたものなのか。それが何らかの形で支配を維持できなくなり、滅んでしまったと)
誠司は日記を見てそう推測した。
続きを読む。
配属初日に私が訪れた場所は、ダンジョンの中ではなく、ゲート付近に建築された城であった。
ダンジョンは重要な資源でもある。
他国や犯罪者も狙っているため、それを守る必要がある。
王国はゲート付近に城を建築し、完全に防備をしていた。城の名『ゲート城』と言う。単純だ。
さらにゲート城付近の要所にも支城を建築している。絶対に突破されないように、厳重に守りを固めていた。
それだけ王国にとってダンジョンは大事な場所なようだ。
ゲート城には大勢の一般市民も住んでいた。
支配した階層から、素材を回収する人や、回収した素材を加工してアイテムを作り出す職人、さらに王国に雇われてダンジョン攻略に協力することになった冒険者など、ダンジョン近くでしか出来ないよな仕事が多くあった。
ダンジョン近くの土地は肥沃な土地だったので、農地の開墾も進められた。
ダンジョン攻略をする上で、食糧の配給は重要だ。
外部から届けるより現地調達した方が手っ取り早い。
多くの仕事を生み出し、それに従事するものがたくさんダンジョン付近に住み着いた。
『ダンジョン都市』と世間では呼ばれている。
(『ダンジョン都市』か……かなり発展してたみたいだけど、今じゃ見る影もなかった)
ダンジョン入り口付近は、かなり栄えていたようだが、誠司がもらった領地のタールトン村はど田舎だった。
ダンジョンも封印され、需要もなくなり寂れてしまったのだろう。
配属初日である今日は、ダンジョンに入ることはなく、ゲート城の中を案内されたり、城主に挨拶したり、自分の部屋を見たりして終わった。
すでに先輩の騎士たちは、ダンジョンの中に入っているようだった。
現在支配している階層は三階層のようで、現在は安全な三階層にてたいきしているらしい。
明後日、四階層の攻略を行うようなので、その前に合流せよとの指示があった。
支配している場所の移動は比較的楽で、三階層まで行くのに、そう時間はかからないらしい。
ダンジョンに入るのは明日からとなった。
初めてダンジョンに入る。
私の磨き上げた技術を王国の役に立てる時が遂に来た。胸が躍っている。
もう夜も更けてきた。
そろそろ寝るとする。
初日の日記はここで終わっていた。
ダンジョンが何なのかについて、ある程度判明してきた。
しかし、脱出の手がかりについては書かれていない。
誠司は続きを読み進める。
ダンジョン攻略日記2日目
早朝。
私はダンジョンに入った。
同行するものは数名いる。
私と同じく騎士である者たちと、新入りの王国魔術士、それから冒険者数名だ。
ダンジョン攻略には魔術士は必須の存在だ。
戦力としても重要であるが、それ以外にも重要な役目がある。
それはダンジョンからの脱出だ。
ダンジョンは一度入ると簡単に脱出できなくなる。
階層を支配すれば、一つ上の階に転移するゲートが出現する(1階層の場合、ダンジョンの外に転移する)
しかし、支配しなければ出口は存在しない。
魔術士の転移魔法を使うことでのみ、脱出が可能だ。
(マ、マジか……俺は生産魔術士だから、転移する魔法なんて使えないぞ……)
日記に書いてあることを読む限りでは、現状階層ボスを倒し、この階層を支配しなければ、出られないようだ。
そして、おそらく階層ボスはあのラーモス。
(やはりラーモスに勝つしかないってのか……)
一度の敗北で植え付けられた恐怖は大きかった。
勝つしか脱出方法がないとなると、絶望的な気持ちになる。
素材を集めてもっと自分を強化すれば、勝ち目も出てくるが、能力強化の素材はレアなだけにそこら中に生えているいうわけではない。
探索しまくったので、もうほとんどダンジョン内にある素材は採取しただろう。
時間経過で素材が再び発生するかもしれないが、それがいつになるかは分からない。
時間がかかるとなると、それまで肉を摂取せず過ごさないといけない。
食糧的な不安も大きい。
そもそも、採った素材が再び生えてくるという保証もない。
階層ボスのラーモスが、何か仕掛けをすることで、生えさせなくすることだって考えられる。
さらに誠司は素手のラーモスに圧倒されていたが、倒すとなると剣を持ったラーモスを相手にしないといけない。
素手より剣を持った状態の方が、間違いなく強いだろう。
悪い考えはいくらでも湧いてきた。
(勝てないと決まったわけじゃない……奥の手もある……)
嫌な想像を何とか打ち払うように、そう考えた。
(脱出方法がについては分かったけど、もっとダンジョンについては知っておいた方がいい。続きを読もう)
誠司は日記の続きを読む。
その後は、少し欠けたところなどもあってちゃんと読み取れない箇所も多かったが、ダンジョン攻略での出来事が書かれていた。
この日記を書いた騎士は、かなり実力に自信があったようだが、騎士団の隊長は凄まじい実力者で、自信を失ったようだ。
そこから努力を重ね、実力を上げていき、攻略隊の中でも頼られる存在なったようである。
ページを読み進めるごとに、読めない箇所が増えてきて、全く内容が理解できなくなってきた。
それでも誠司は一応最後まで確認してみようと、ページをめくり続ける。
そして後半になって、文字が全て読めるページがあった。
誠司はそのページを読み始めた。
ダンジョン十層攻略1日目
忙しくて長い間日記を書くのをやめてしまっていた。
久しぶりに書きたいと思う。
我々ダンジョン攻略隊は九層を攻略し、遂に十層の攻略へと入った。
もしかすると、きりの良い十層が最下層かもしれないと、騎士団の皆は期待している。
ダンジョン攻略は非常に危険だ。その上、精神力も体力も削られていく。
私も死にそうな目に何度もあった。
死んでいった仲間も何人もいた。
もちろん、騎士になった以上、危険は覚悟の上だ。
しかし、それを加味しても、限界に近かった。
終わってくれるなら早く終わってほしい。
出来れば、王都の守護任務に就きたい。ダンジョンでの生活に比べれば、平和そのものだろう。
期待に溢れて私たちは十層の攻略を始めた。
十層攻略初日は滞りなく終わった。
このまま何事もなく進んで、階層ボスを倒せれば良いのだが。
書き主は途中で日記を書くのをやめていたようで、かなり時間が経過しているようだ。
十層の攻略にすでに入っている。
誠司はページをめくる。
読めないページが3ページ続き、4ページは読めた。
ダンジョン十層攻略10日目
とんでもないことになった。
この階層ボス。奴は異常だ。
我々はもうダメかもしれない。
そのページにはそれだけの内容が書かれていた。
これは手がかりがありそうだ。
誠司は急いでページをめくり、中を読んだ。
ダンジョン攻略日記1日目。
今日、私〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇は、ダンジョン攻略部隊に配属された。
騎士という職業に生まれ、王国騎士団への加入を目指し、見事試験に合格はしたが、ダンジョン攻略部隊に配属されるということは、はっきり言って想定外だった。
名前の部分だけ文字が掠れており、翻訳できなかった。
ダンジョンが発見されたのは、今より20年ほど前らしい。
遺跡に残された文献を頼りに探し出され、四つのダンジョンが王国内で見つかった。
ダンジョンは『ゲート』と呼ばれる、扉を通ることで入ることができる場所だ。
扉を通ると、異空間に転移。
その異空間には、多種多様な魔物が生息している。極めて危険な場所だ。
しかし、レアな素材があったり、宝箱があったりと、人間にとって有用な物もある。
王国はダンジョン攻略を国をあげて行うと決め、王国騎士団、王国魔術師団など精鋭を集めた強力な部隊に、ダンジョン攻略を命じた。
私の配属されたダンジョンは、四つの中で一番難しいとされているダンジョンである。
南の方にあるので、南のダンジョン、と呼ばれている。
王国がダンジョン攻略に乗り出したのは、金、資源、戦力のためだ。
ダンジョンは1階層、2階層……というふうに階層が分かれている(最終階層が何階かは定かではない)
各階層には階層ボスと呼ばれている、ボスが存在する。
その階層ボスは死ぬことはなく、討伐しても復活する。
復活後は討伐した者に従う。
階層ボスを従えた者は、階層の支配権を得る。
支配権を得ることで、階層にあるレアな素材を安定して配給できるほか、支配した階層で誕生した魔物を一定数従えることが出来るようにもなる。
ほかにも様々なメリットがあるようだ。
(いつの話か分からないけど、ダンジョンを国を挙げて攻略しようとしていたんだな。でも、現状を見る限りだと、失敗して封印したのだろうか? でも、一階層ボスを倒したらその階層を支配できるってことだから、流石に最初の階層も支配できなかってことはないよな。このダンジョンにある建造物は、人間がダンジョンを支配したときに建てられたものなのか。それが何らかの形で支配を維持できなくなり、滅んでしまったと)
誠司は日記を見てそう推測した。
続きを読む。
配属初日に私が訪れた場所は、ダンジョンの中ではなく、ゲート付近に建築された城であった。
ダンジョンは重要な資源でもある。
他国や犯罪者も狙っているため、それを守る必要がある。
王国はゲート付近に城を建築し、完全に防備をしていた。城の名『ゲート城』と言う。単純だ。
さらにゲート城付近の要所にも支城を建築している。絶対に突破されないように、厳重に守りを固めていた。
それだけ王国にとってダンジョンは大事な場所なようだ。
ゲート城には大勢の一般市民も住んでいた。
支配した階層から、素材を回収する人や、回収した素材を加工してアイテムを作り出す職人、さらに王国に雇われてダンジョン攻略に協力することになった冒険者など、ダンジョン近くでしか出来ないよな仕事が多くあった。
ダンジョン近くの土地は肥沃な土地だったので、農地の開墾も進められた。
ダンジョン攻略をする上で、食糧の配給は重要だ。
外部から届けるより現地調達した方が手っ取り早い。
多くの仕事を生み出し、それに従事するものがたくさんダンジョン付近に住み着いた。
『ダンジョン都市』と世間では呼ばれている。
(『ダンジョン都市』か……かなり発展してたみたいだけど、今じゃ見る影もなかった)
ダンジョン入り口付近は、かなり栄えていたようだが、誠司がもらった領地のタールトン村はど田舎だった。
ダンジョンも封印され、需要もなくなり寂れてしまったのだろう。
配属初日である今日は、ダンジョンに入ることはなく、ゲート城の中を案内されたり、城主に挨拶したり、自分の部屋を見たりして終わった。
すでに先輩の騎士たちは、ダンジョンの中に入っているようだった。
現在支配している階層は三階層のようで、現在は安全な三階層にてたいきしているらしい。
明後日、四階層の攻略を行うようなので、その前に合流せよとの指示があった。
支配している場所の移動は比較的楽で、三階層まで行くのに、そう時間はかからないらしい。
ダンジョンに入るのは明日からとなった。
初めてダンジョンに入る。
私の磨き上げた技術を王国の役に立てる時が遂に来た。胸が躍っている。
もう夜も更けてきた。
そろそろ寝るとする。
初日の日記はここで終わっていた。
ダンジョンが何なのかについて、ある程度判明してきた。
しかし、脱出の手がかりについては書かれていない。
誠司は続きを読み進める。
ダンジョン攻略日記2日目
早朝。
私はダンジョンに入った。
同行するものは数名いる。
私と同じく騎士である者たちと、新入りの王国魔術士、それから冒険者数名だ。
ダンジョン攻略には魔術士は必須の存在だ。
戦力としても重要であるが、それ以外にも重要な役目がある。
それはダンジョンからの脱出だ。
ダンジョンは一度入ると簡単に脱出できなくなる。
階層を支配すれば、一つ上の階に転移するゲートが出現する(1階層の場合、ダンジョンの外に転移する)
しかし、支配しなければ出口は存在しない。
魔術士の転移魔法を使うことでのみ、脱出が可能だ。
(マ、マジか……俺は生産魔術士だから、転移する魔法なんて使えないぞ……)
日記に書いてあることを読む限りでは、現状階層ボスを倒し、この階層を支配しなければ、出られないようだ。
そして、おそらく階層ボスはあのラーモス。
(やはりラーモスに勝つしかないってのか……)
一度の敗北で植え付けられた恐怖は大きかった。
勝つしか脱出方法がないとなると、絶望的な気持ちになる。
素材を集めてもっと自分を強化すれば、勝ち目も出てくるが、能力強化の素材はレアなだけにそこら中に生えているいうわけではない。
探索しまくったので、もうほとんどダンジョン内にある素材は採取しただろう。
時間経過で素材が再び発生するかもしれないが、それがいつになるかは分からない。
時間がかかるとなると、それまで肉を摂取せず過ごさないといけない。
食糧的な不安も大きい。
そもそも、採った素材が再び生えてくるという保証もない。
階層ボスのラーモスが、何か仕掛けをすることで、生えさせなくすることだって考えられる。
さらに誠司は素手のラーモスに圧倒されていたが、倒すとなると剣を持ったラーモスを相手にしないといけない。
素手より剣を持った状態の方が、間違いなく強いだろう。
悪い考えはいくらでも湧いてきた。
(勝てないと決まったわけじゃない……奥の手もある……)
嫌な想像を何とか打ち払うように、そう考えた。
(脱出方法がについては分かったけど、もっとダンジョンについては知っておいた方がいい。続きを読もう)
誠司は日記の続きを読む。
その後は、少し欠けたところなどもあってちゃんと読み取れない箇所も多かったが、ダンジョン攻略での出来事が書かれていた。
この日記を書いた騎士は、かなり実力に自信があったようだが、騎士団の隊長は凄まじい実力者で、自信を失ったようだ。
そこから努力を重ね、実力を上げていき、攻略隊の中でも頼られる存在なったようである。
ページを読み進めるごとに、読めない箇所が増えてきて、全く内容が理解できなくなってきた。
それでも誠司は一応最後まで確認してみようと、ページをめくり続ける。
そして後半になって、文字が全て読めるページがあった。
誠司はそのページを読み始めた。
ダンジョン十層攻略1日目
忙しくて長い間日記を書くのをやめてしまっていた。
久しぶりに書きたいと思う。
我々ダンジョン攻略隊は九層を攻略し、遂に十層の攻略へと入った。
もしかすると、きりの良い十層が最下層かもしれないと、騎士団の皆は期待している。
ダンジョン攻略は非常に危険だ。その上、精神力も体力も削られていく。
私も死にそうな目に何度もあった。
死んでいった仲間も何人もいた。
もちろん、騎士になった以上、危険は覚悟の上だ。
しかし、それを加味しても、限界に近かった。
終わってくれるなら早く終わってほしい。
出来れば、王都の守護任務に就きたい。ダンジョンでの生活に比べれば、平和そのものだろう。
期待に溢れて私たちは十層の攻略を始めた。
十層攻略初日は滞りなく終わった。
このまま何事もなく進んで、階層ボスを倒せれば良いのだが。
書き主は途中で日記を書くのをやめていたようで、かなり時間が経過しているようだ。
十層の攻略にすでに入っている。
誠司はページをめくる。
読めないページが3ページ続き、4ページは読めた。
ダンジョン十層攻略10日目
とんでもないことになった。
この階層ボス。奴は異常だ。
我々はもうダメかもしれない。
そのページにはそれだけの内容が書かれていた。
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