ダンジョン都市を作ろう! 〜異世界で弱小領主になった俺、領地にあったダンジョンを強化していたら、最強領地が出来てた〜

未来人A

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第7話 食料

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 鳥との戦いに誠司は勝利する。

(いたた……)

 鳥のクチバシが当たった場所が、ズキズキと痛み出す。
 戦闘中はアドレナリンが出ていたのか、痛みが軽減されていたが、終わってから痛みが強くなり始めた。
 あざになっていそうな感覚がある。

(腹減ったし、痛いし……くそ、散々だ……)

 痛んだ箇所をさすりながら、自分の不幸を嘆く。

(そうだ。こいつ鳥だし食べられるだろ。結構でかいし、腹の足しにはなるはずだ)

 ゴブリンを食べるのは抵抗があるが、鳥なら特に抵抗を感じずに食べられる。

 サイズも大型犬くらいはある。全て食べれば、腹は満たせるだろう。

(問題は調理方法だが……生で食べるわけにもいかない……火を起こす方法なんて知らないし……クラフトするしかないけど)

 今は魔力を消耗して、空腹状態になっている。
 これ以上魔法を使用して大丈夫なのか、という不安があった。

(まあ、でも一回くらいなら大丈夫そうだな……)

 今よりさらに腹は減るが、それでも一回使ったくらいで餓死するということはないと誠司は判断した。

 どの道、何も食べないと餓死してしまう。

 調理しなくて食べられるものが見つかる保証もない。
 ここは鳥をクラフトして食べるしかないと、誠司は思った。

「クラフト!!」

 鳥が丸焼きになっている絵を想像し、誠司は魔法を使用した。

 白い湯気を出している、熱々の丸焼きが目の前に出現した。
 羽毛やクチバシなど、食べられない部位は、自動的に破棄されている。

 魔法を使った影響で、誠司はさらに強い空腹を感じていた。
 美味しそうな鳥の丸焼きを目の当たりにして、我慢できるはずはない。

 早速食らいついた。

 味は微妙、というほかなかった。

 肉は硬い。
 油も少ない。

 歯ごたえは良い。
 うまく味付けをすれば、美味しいかもしれないが、今回作ったのはただ焼いただけの鳥である。

 決して美味しくはなかったが、空腹だったので、食べ続けた。

 半分ほど食べて満腹になった。
 流石に全部食べるには量が多すぎた。

 残った肉は切り分けて、リュックに入れる。
 今後も魔法を使うなら、食糧はすぐ消費する。
 いくら持っていても足りないくらいだろう。

 食料をリュックに入れたあと、誠司は探索を再開した。

(はぁ……しかし、本当に出口なんてあるのかな? なかったら一生ここでサバイバル生活せろってことか?)

 歩きながらネガティブな考えが、誠司の頭に浮かんでくる。

(闇雲に歩いても……なんか手がかりとかないかな……そういえば、ここって、ぶっ壊れた建物とかがあるよな。この建物の中を調べれば、何か手がかりがあるかもしれない)

 古びて苔だらけになっているが、人間が作ったとしか思えない、建造物が所々にあった。
 もしかすると、過去に人が来ていて、手がかりを残している可能性がある。

 誠司は近くにあった建物中に入ってみた。

 建物中は荒れ果てていた。
 樽や壺など、収納するための道具が置いてある。

 中を調べてみる。

 空だ。

 ほかに手がかりとなるものはなさそうだった。

 諦めて誠司は外に出る。

 付近にほかの建物はない。
 歩いて探すことにした。

 しばらく、ピ、ピ、ピとダウジングの音が、頭の中に鳴り響いてきた。

 どうやら付近に、レアな素材があるようだ。

 手がかりを探すのも必要なことだが、素材を集めて探索をやりやすくするのも重要である。

 誠司はダウジングの音を頼りに、素材探しを始める。

 音が大きくなる方角を掴んだ。
 その方角へ進んでいく。

 巨大な木を発見。
 根元に真っ赤なキノコが5本生えていた。
 形はエリンギに近い。
 毒キノコにしか見えない。
 キノコに近づくと、音が大きくなる。
 どうやら、このキノコがレアな素材のようだ。

(これが素材……? 毒薬作る素材とか? 下手に触れるのは危険だな……)

 素材を収集するのか、誠司は悩む。
 アプレイザルは、収集する前の素材にも使う事が可能だ。

 誠司は赤いキノコにアプレイザルを使った。

『パワー・マッシュ レア度B 水と調合することで、筋力を上げるポーションを作ることが出来る。軽い毒がある。そのまま食べると、舌が数日間麻痺する)

 そう説明が聞こえてきた。

(筋力を上げるポーション……飲めば攻撃力が上がったりするのか? 毒はあるみたいだが、ポーションにすればなくなるのかな? まあでも、舌が痺れるくらいなら問題ないか)

 かなり重要な素材だと思った誠司は、迷うことなくレッド・マッシュを採取した。

 水は持っていない。
 先ほど頑丈強化ポーションを作成した水場から、だいぶ歩いてきた。
 目印になるものが少なく、戻るのは困難だ。

(こんなことなら、木に印でも付けておけばよかった)

 近場にないか調べてみる。

 しばらく探すと、川のせせらぎ聞こえてきた。

 近くに川ががる。

 誠司は、音のする方向へと歩いた。

 1分ほど歩き、綺麗な水質の川を発見した。

 飲み水にも使用はできそうだ。
 だが、先ほど頑丈強化ポーションを飲んだため、喉はあまり乾いていない。
 ポーションは普通の水と同じよう、喉を潤す効果もあるようだ。

 先ほど作成したコップに水を注ぎ、レッド・マッシュを持ち、

「クラフト!」

 と唱えた。

 コップの中の水が赤く染まっていく。

 まるで血のような、真っ赤な液体になった。
 ぱっと見、飲みたくなる色ではなかった。

 アプレイザルで一応調べてみる。

『筋力強化ポーション レア度B 筋力が100mlに1上がる』

 頑丈強化ポーションと似たような説明が聴こてきた。

 誠司はポーションを飲んだ。
 辛味がした。
 飲めないほどの辛さではない。
 というか、辛いの好きな誠司にとっては、美味しく感じた。

 すぐに飲み干す。

「結構美味しいなこれ」

 残りのキノコもポーションに変えた。

 五杯で約1000ml飲んだため、10筋力が上がった。

「体が軽い……」

 頑丈強化ポーションを飲んだ時とは違い、飲んだら効果をすぐに感じた。

 リュックの重みを一切感じなくなった。

 筋力がついた証拠だろう。

 試しに近くにあった岩を持ち上げてみる。
 子供くらいの大きさだ。
 筋肉に自信があるものにしか、持ち上げられない重さだろう。

 誠司はあまり力を込めることなく、あっさりと岩を持ち上げることに成功した。

「か、軽っ……これさっきのフェザーストーンじゃないよな……?」

 そう疑うほどの軽く感じた。
 フェザーストーンだったら、ダウジングが反応していたはずだ。
 色も灰色で違う。
 通常の石で間違いないだろう。

(これ、体変わったんじゃないのか?)

 服を脱いで筋肉を確認するも、見た目は前と変わらなかった。
 平凡な筋肉だった。

 マッチョまでとは言わないまでも、筋肉のついた引き締まった体には憧れがあったの、誠司は少し残念に思った。
 服を着る。

(さて、探索を……)

 そう思って動き出そうとした、次の瞬間。

 水の中から大きな蛇が飛びかかってきた。



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