3 / 22
2.この際とことん利用してやりましょう
しおりを挟む
「初めまして。俺は碧澄玲と申します」
挨拶をした鏡花の新しい婚約者はとても爽やかで美しくて。絹のようにサラサラな黒髪と青いサファイアのような瞳に一気に引き込まれた。端正な顔立ちに、品のある佇まい。スーツを着こなすスタイルの良さ。
両家交えての茶会は碧澄家の別邸で行われていた。楽しげに話す父たちの会話の中で「この別邸は2人のものに」なんて言っていたからここにこれから住むことになるのだろう。別邸にある調度品はどれも質の良いものばかりで、センスが良い。洋風のデザインが純和風の白羽家とはまた違って魅力的だ。
玲は丁寧な所作に鏡花から見ても、次期当主として申し分ない雰囲気だった。おまけに初対面である鏡花や娘の婚約がよっぽど嬉しいのかギャグを言いまくって盛大に滑っている父にすら優しく接してくれる。
こんな素敵な方と結婚できるなら私も嬉しいわ。
――なんて考えてニコニコしていた数時間前の私。全て幻想だから。よく見なさい、この現実を。
親が「後はお若いの2人で」などとある種のお約束的言葉を言い出し、にやにやしながら部屋を出て行った瞬間の、あの言葉である。鏡花はぐりぐりと眉間をを抑えながら「つまり」と声を上げた。
「玲さんは私とは婚約するけれど、その、宝石が大好きだから私より宝石を優先したいと、そういうわけですね?」
「まあそういうことだ。話が早くて助かる。ああ、大好きという言葉では形容しがたいが」
「ええ、面倒くさ……」
鏡花は最早笑顔を取り繕うのを諦めた。
この男、碧澄玲はそもそも結婚に興味がないのだろう。だが次期当主として結婚を決めかねていたところへ、帝都有数の商家、白羽家からの婚約の話が舞い込んできた。めきめき成長中のエリート宝石商として、この申し込みはまさに突如転がってきた幸運。断る選択肢はなかっただろう。
「宝石が大好き……ああそれ以上の愛情でしたか、はどのように? お仕事が大好きという意味? それとも文字通りもうずっと見つめていたいくらい?」
鏡花は息を呑んで返答を待つ。これで「仕事だから」と答えてくれればまだましだと、そう思ったからだ。
「いや、後者だな」
鏡花は心の中で崩れ落ちた。理解できないを飛び越えて、この澄まし顔に苛つきさえ覚えてきた。どうりで、婚約者がいないわけだ。こんなに綺麗なひとが21になってもなお売れ残っているのはとんだ奇跡だと思っていたというのに。やはりそんな旨い話などあるわけがないのだ。鏡花は目の前の欲望にいつもの冷静な判断ができていなかったことを後悔した。
つまり、玲は宝石が大好きな、いわゆる宝石まにあというやつで。大好き以上の行動が果たしてどれぐらいのものか、想像したくもなかったが、とりあえず面倒くさいことは間違いない。鏡花は深くうなだれる。しかし、ここであることに気がつく。両親たちの前で紳士を貫いていたということは、玲は婚約者としての最低限の責務は果たしてくれる、というわけだ。ならば家で何をしていようが、鏡花と仲が悪かろうが関係ないのではないか……と。
「玲さんは私とは仲良くする気はあります? それとももうまったく関わりたくない? 白羽家からの婚約の話を断りきれなかっただけ?」
確認と、もし断りきれなかっただけならば父を説得してなかったことにしますよ、という意味を込めて尋ねる。玲は少し考える仕草を取る。顎に手を添えて思考している姿は本当に綺麗なのに。
「ないわけではない。もともと婚約には興味がなく、全ての縁談を断っていたくらいだ。だが白羽家は俺の家が断ることができるほど小さな家ではないからな。それに貴女も婚約破棄されたばかりだと聞いたから、良い距離感で生活できるかもしれないと思ったのだが」
「ええと、では私とはそれなりに婚約者としてやっていただけるということですね?」
「まあ、そういうことだ」
ふむ、と鏡花は思考を巡らせた。こちらもまた美しい表情なのだが、考えていることはいかにこの婚約を通して利益を得るか、この一点である。正直、『婚約破棄されたから良い距離感で』というのはさっぱり理解不能ではある。これは心身ともに弱っている女はこの無礼に対して反論しない、と踏んだととっていいのだとしたら極めて失礼な男である。だが、彼は自分の無礼な態度を踏まえつつ『婚約者として最低限のことはする』と告げた。鏡花は弱みと言質をとったわけだ。でもとりあえず、今の発言は解せない。
「……あなたは女性だから、と蔑むような方なのですか?」
「貴女の言っていることが仕事面で、なのだとしたら俺は仕事に性別は関係ないと思っている」
きょとんと、それも当たり前のように言ってのけた玲に鏡花は面食らった。
「では、今の発言はどういう意味ですか?」
「貴女がとても経営や金銭のことに関して長けていたおかげで婚約破棄されたのだと話題になっているからだが」
「デリカシーってものがあなたにはないのね……」
それにしても噂が回るのは早い。特に情報が勝敗を分けるこの界隈では楽しいいわゆるスキャンダルはあっという間に帝都中の商人の間を駆け巡る。聞くのは楽しいがやられるのは最悪だ。先ほどの発言は、玲自身が婚約に興味がないため、利益を一番に考える鏡花も自分同様婚約を利益と割り切っていると考えた上での発言だった。しかしながら、鏡花はそれ以上に先ほどから顔色一つ変えずになんでも言ってしまうこの男を内心恐ろしく思っていた。馬鹿正直というべきか、はたまた宝石のことしか考えていないのか――こんなんでよくこの帝都で生き残ってきたなと呆れを通り越していっそ尊敬した。
「ところで、ずっと聞きたかったのだが」
突然話題の方向転換を試みたらしい玲に、鏡花は目の前の男を蔑むのをやめる。
「なんですか?」
「その耳飾りに使用しているルビー。素晴らしい、鳩の血のような色だな」
「はい?」
その表現を不快に思い、鏡花は顔を歪めた。ルビーの耳飾りは、今日の薄黒色のストライプ模様の着物に合うようアクセントで着けてきたお気に入りのものだ。そんな怪訝そうな鏡花を見て、玲は焦ったように説明をし始める。
「あ、いや、決して不快にさせるつもりはなくて。“鳩の血”はルビーにおける最高の褒め言葉なんだ」
「そうなの?」
「ああ。ルビーの良し悪しは色で決まるから。1番美しい鮮やかな赤色のルビーのことを鳩の血だと表現するんだ」
そう言われると急に見せびらかしたくなるような気持ちになる。最高の赤が耳についていると考えると嬉しくなって顔が綻んだ。
「さすが、碧澄家次期当主ですね。それに心なしか饒舌でしたわ」
「こんなの当たり前だ。だが鳩の血はなかなかお目にかかれない。さすが帝都有数の商家だな」
お互い素直に褒めあって、謎の照れくささに包まれる。居た堪れない。そう鏡花が感じていると、ピンチヒッターというべきか、両親たちがほくほくした笑顔で部屋に戻ってきた。その瞬間の紳士モードへの切り替えの速さは見ていて呆れたくなるほどだったが、鏡花の中である一つの結論に行き着いていた。
両親たちが帰宅し、鏡花と玲は案の定2人きりで取り残された。急なことであるためか、荷物や使用人などは遅れて到着するらしく、あと数時間は2人きりで過ごさなければならないらしい。自室となる部屋でぼーっとしながらも自然と頭は思い付いた最高の計画でいっぱいになっていた。
宝石に酔狂している婚約者は非常に面倒くさい。しかし婚約者としてはとても優秀で、さらに宝石商である彼を逃すのは惜しい。幸い、彼は馬鹿正直かつ宝石のことで頭がいっぱいのお花畑の頭のようだから、たぶん今後何かあっても気にしないはずだ。
――じゃあこの際、とことん利用させてもらいましょう。
今まで狂ったことのない鏡花の完璧な経営センスがそう告げていた。
計画はこうだ。
まず、玲と過ごしている間に宝石に関する知識をごっそりいただく。そのあと、百貨店を開く準備をする。父を説得するのは骨が折れるだろうから、無理矢理にでも納得させるべく白羽家よりの上位の商家を味方につける、かつ百貨店を開いている商家に掛け合うなどする必要がある。無論、人脈は今よりも広くしなければならない。無事百貨店を開くことができたら、婚約破棄でもなんでもしてしまえばいい。おそらくあの性格ならば玲は怒らないだろうし、仮に文句を言ってきたら宝石を与えておけばいい。そもそもこの失礼な婚約関係を提案してきたのはあちらだ。それに玲の顔面であれば女性たちがすぐに寄ってくるに違いない。鏡花はおおまかな展望を繰り広げた。
「まずは、じゃああの宝石まにあと仲良くならなくっちゃね。善は急げよ」
鏡花はるんるんと足取り軽く部屋を飛び出した。
挨拶をした鏡花の新しい婚約者はとても爽やかで美しくて。絹のようにサラサラな黒髪と青いサファイアのような瞳に一気に引き込まれた。端正な顔立ちに、品のある佇まい。スーツを着こなすスタイルの良さ。
両家交えての茶会は碧澄家の別邸で行われていた。楽しげに話す父たちの会話の中で「この別邸は2人のものに」なんて言っていたからここにこれから住むことになるのだろう。別邸にある調度品はどれも質の良いものばかりで、センスが良い。洋風のデザインが純和風の白羽家とはまた違って魅力的だ。
玲は丁寧な所作に鏡花から見ても、次期当主として申し分ない雰囲気だった。おまけに初対面である鏡花や娘の婚約がよっぽど嬉しいのかギャグを言いまくって盛大に滑っている父にすら優しく接してくれる。
こんな素敵な方と結婚できるなら私も嬉しいわ。
――なんて考えてニコニコしていた数時間前の私。全て幻想だから。よく見なさい、この現実を。
親が「後はお若いの2人で」などとある種のお約束的言葉を言い出し、にやにやしながら部屋を出て行った瞬間の、あの言葉である。鏡花はぐりぐりと眉間をを抑えながら「つまり」と声を上げた。
「玲さんは私とは婚約するけれど、その、宝石が大好きだから私より宝石を優先したいと、そういうわけですね?」
「まあそういうことだ。話が早くて助かる。ああ、大好きという言葉では形容しがたいが」
「ええ、面倒くさ……」
鏡花は最早笑顔を取り繕うのを諦めた。
この男、碧澄玲はそもそも結婚に興味がないのだろう。だが次期当主として結婚を決めかねていたところへ、帝都有数の商家、白羽家からの婚約の話が舞い込んできた。めきめき成長中のエリート宝石商として、この申し込みはまさに突如転がってきた幸運。断る選択肢はなかっただろう。
「宝石が大好き……ああそれ以上の愛情でしたか、はどのように? お仕事が大好きという意味? それとも文字通りもうずっと見つめていたいくらい?」
鏡花は息を呑んで返答を待つ。これで「仕事だから」と答えてくれればまだましだと、そう思ったからだ。
「いや、後者だな」
鏡花は心の中で崩れ落ちた。理解できないを飛び越えて、この澄まし顔に苛つきさえ覚えてきた。どうりで、婚約者がいないわけだ。こんなに綺麗なひとが21になってもなお売れ残っているのはとんだ奇跡だと思っていたというのに。やはりそんな旨い話などあるわけがないのだ。鏡花は目の前の欲望にいつもの冷静な判断ができていなかったことを後悔した。
つまり、玲は宝石が大好きな、いわゆる宝石まにあというやつで。大好き以上の行動が果たしてどれぐらいのものか、想像したくもなかったが、とりあえず面倒くさいことは間違いない。鏡花は深くうなだれる。しかし、ここであることに気がつく。両親たちの前で紳士を貫いていたということは、玲は婚約者としての最低限の責務は果たしてくれる、というわけだ。ならば家で何をしていようが、鏡花と仲が悪かろうが関係ないのではないか……と。
「玲さんは私とは仲良くする気はあります? それとももうまったく関わりたくない? 白羽家からの婚約の話を断りきれなかっただけ?」
確認と、もし断りきれなかっただけならば父を説得してなかったことにしますよ、という意味を込めて尋ねる。玲は少し考える仕草を取る。顎に手を添えて思考している姿は本当に綺麗なのに。
「ないわけではない。もともと婚約には興味がなく、全ての縁談を断っていたくらいだ。だが白羽家は俺の家が断ることができるほど小さな家ではないからな。それに貴女も婚約破棄されたばかりだと聞いたから、良い距離感で生活できるかもしれないと思ったのだが」
「ええと、では私とはそれなりに婚約者としてやっていただけるということですね?」
「まあ、そういうことだ」
ふむ、と鏡花は思考を巡らせた。こちらもまた美しい表情なのだが、考えていることはいかにこの婚約を通して利益を得るか、この一点である。正直、『婚約破棄されたから良い距離感で』というのはさっぱり理解不能ではある。これは心身ともに弱っている女はこの無礼に対して反論しない、と踏んだととっていいのだとしたら極めて失礼な男である。だが、彼は自分の無礼な態度を踏まえつつ『婚約者として最低限のことはする』と告げた。鏡花は弱みと言質をとったわけだ。でもとりあえず、今の発言は解せない。
「……あなたは女性だから、と蔑むような方なのですか?」
「貴女の言っていることが仕事面で、なのだとしたら俺は仕事に性別は関係ないと思っている」
きょとんと、それも当たり前のように言ってのけた玲に鏡花は面食らった。
「では、今の発言はどういう意味ですか?」
「貴女がとても経営や金銭のことに関して長けていたおかげで婚約破棄されたのだと話題になっているからだが」
「デリカシーってものがあなたにはないのね……」
それにしても噂が回るのは早い。特に情報が勝敗を分けるこの界隈では楽しいいわゆるスキャンダルはあっという間に帝都中の商人の間を駆け巡る。聞くのは楽しいがやられるのは最悪だ。先ほどの発言は、玲自身が婚約に興味がないため、利益を一番に考える鏡花も自分同様婚約を利益と割り切っていると考えた上での発言だった。しかしながら、鏡花はそれ以上に先ほどから顔色一つ変えずになんでも言ってしまうこの男を内心恐ろしく思っていた。馬鹿正直というべきか、はたまた宝石のことしか考えていないのか――こんなんでよくこの帝都で生き残ってきたなと呆れを通り越していっそ尊敬した。
「ところで、ずっと聞きたかったのだが」
突然話題の方向転換を試みたらしい玲に、鏡花は目の前の男を蔑むのをやめる。
「なんですか?」
「その耳飾りに使用しているルビー。素晴らしい、鳩の血のような色だな」
「はい?」
その表現を不快に思い、鏡花は顔を歪めた。ルビーの耳飾りは、今日の薄黒色のストライプ模様の着物に合うようアクセントで着けてきたお気に入りのものだ。そんな怪訝そうな鏡花を見て、玲は焦ったように説明をし始める。
「あ、いや、決して不快にさせるつもりはなくて。“鳩の血”はルビーにおける最高の褒め言葉なんだ」
「そうなの?」
「ああ。ルビーの良し悪しは色で決まるから。1番美しい鮮やかな赤色のルビーのことを鳩の血だと表現するんだ」
そう言われると急に見せびらかしたくなるような気持ちになる。最高の赤が耳についていると考えると嬉しくなって顔が綻んだ。
「さすが、碧澄家次期当主ですね。それに心なしか饒舌でしたわ」
「こんなの当たり前だ。だが鳩の血はなかなかお目にかかれない。さすが帝都有数の商家だな」
お互い素直に褒めあって、謎の照れくささに包まれる。居た堪れない。そう鏡花が感じていると、ピンチヒッターというべきか、両親たちがほくほくした笑顔で部屋に戻ってきた。その瞬間の紳士モードへの切り替えの速さは見ていて呆れたくなるほどだったが、鏡花の中である一つの結論に行き着いていた。
両親たちが帰宅し、鏡花と玲は案の定2人きりで取り残された。急なことであるためか、荷物や使用人などは遅れて到着するらしく、あと数時間は2人きりで過ごさなければならないらしい。自室となる部屋でぼーっとしながらも自然と頭は思い付いた最高の計画でいっぱいになっていた。
宝石に酔狂している婚約者は非常に面倒くさい。しかし婚約者としてはとても優秀で、さらに宝石商である彼を逃すのは惜しい。幸い、彼は馬鹿正直かつ宝石のことで頭がいっぱいのお花畑の頭のようだから、たぶん今後何かあっても気にしないはずだ。
――じゃあこの際、とことん利用させてもらいましょう。
今まで狂ったことのない鏡花の完璧な経営センスがそう告げていた。
計画はこうだ。
まず、玲と過ごしている間に宝石に関する知識をごっそりいただく。そのあと、百貨店を開く準備をする。父を説得するのは骨が折れるだろうから、無理矢理にでも納得させるべく白羽家よりの上位の商家を味方につける、かつ百貨店を開いている商家に掛け合うなどする必要がある。無論、人脈は今よりも広くしなければならない。無事百貨店を開くことができたら、婚約破棄でもなんでもしてしまえばいい。おそらくあの性格ならば玲は怒らないだろうし、仮に文句を言ってきたら宝石を与えておけばいい。そもそもこの失礼な婚約関係を提案してきたのはあちらだ。それに玲の顔面であれば女性たちがすぐに寄ってくるに違いない。鏡花はおおまかな展望を繰り広げた。
「まずは、じゃああの宝石まにあと仲良くならなくっちゃね。善は急げよ」
鏡花はるんるんと足取り軽く部屋を飛び出した。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
生贄巫女はあやかし旦那様を溺愛します
桜桃-サクランボ-
恋愛
人身御供(ひとみごくう)は、人間を神への生贄とすること。
天魔神社の跡取り巫女の私、天魔華鈴(てんまかりん)は、今年の人身御供の生贄に選ばれた。
昔から続く儀式を、どうせ、いない神に対して行う。
私で最後、そうなるだろう。
親戚達も信じていない、神のために、私は命をささげる。
人身御供と言う口実で、厄介払いをされる。そのために。
親に捨てられ、親戚に捨てられて。
もう、誰も私を求めてはいない。
そう思っていたのに――……
『ぬし、一つ、我の願いを叶えてはくれぬか?』
『え、九尾の狐の、願い?』
『そうだ。ぬし、我の嫁となれ』
もう、全てを諦めた私目の前に現れたのは、顔を黒く、四角い布で顔を隠した、一人の九尾の狐でした。
※カクヨム・なろうでも公開中!
※表紙、挿絵:あニキさん

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
【第一部・完結】七龍国物語〜冷涼な青龍さまも嫁御寮には甘く情熱的〜
四片霞彩
恋愛
七体の龍が守護する国・七龍国(しちりゅうこく)。
その内の一体である青龍の伴侶に選ばれた和華(わか)の身代わりとして、青龍の元に嫁ぐことになった海音(みおん)だったが、輿入れの道中に嫁入り道具を持ち逃げされた挙句、青龍が住まう山中に置き去りにされてしまう。
日が暮れても輿入れ先に到着しない海音は、とうとう山に住まう獣たちの餌食になることを覚悟する。しかしそんな海音を心配して迎えに来てくれたのは、和華を伴侶に望んだ青龍にして、巷では「人嫌いな冷涼者」として有名な蛍流(ほたる)であった。
冷酷無慈悲の噂まである蛍流だったが、怪我を負っていた海音を心配すると、自ら背負って輿入れ先まで運んでくれる。
身代わりがバレないまま話は進んでいき、身代わりの花嫁として役目を達成するという時、喉元に突き付けられたのは海音と和華の入れ替わりを見破った蛍流の刃であった。
「和華ではないな。お前、何者だ?」
疑いの眼差しを向ける蛍流。そんな蛍流に海音は正直に身の内を打ち明けるのだった。
「信じてもらえないかもしれませんが、私は今から三日前、こことは違う世界――『日本』からやって来ました……」
現代日本から転移したという海音を信じる蛍流の誘いでしばらく身を寄せることになるが、生活を共にする中で知るのは、蛍流と先代青龍との師弟関係、蛍流と兄弟同然に育った兄の存在。
そして、蛍流自身の誰にも打ち明けられない秘められた過去と噂の真相。
その過去を知った海音は決意する。
たとえ伴侶になれなくても、蛍流の心を救いたいと。
その結果、この身がどうなったとしても――。
転移先で身代わりの花嫁となった少女ד青龍”に選ばれて国を守護する人嫌い青年。
これは、遠い過去に願い事を分かち合った2人の「再会」から始まる「約束」された恋の物語。
「人嫌い」と噂の国の守護龍に嫁いだ身代わり娘に、冷涼な青龍さまは甘雨よりも甘く熱い愛を注ぐ。
┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁┈┈┈┈┈┈┈┈
第一部完結しました。最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
第二部開始まで今しばらくお待ちください。
┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁┈┈┈┈┈┈┈┈
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
鉄格子のゆりかご
永久(時永)めぐる
恋愛
下働きとして雇われた千代は、座敷牢の主である朝霧の世話を任される。
お互いを気遣い合う穏やかな日々。
それはずっと続くと思っていたのに……。
※五話完結。
※2015年8月に発行した同人誌に収録した短編を加筆修正のうえ投稿しました。
※小説家になろうさん、魔法のiらんどさんにも投稿しています。
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる