2 / 22
1.敏腕悪女は2回目の婚約も失敗した
しおりを挟む
「だから悪女だなんて言われるんですよ!?」
本来は婚約破棄なんてされたらメソメソ泣いているか喚いているか。とにかくお嬢様の心など晴れたものではない。面目は丸潰れであるし、行く先が不安で気を揉む。しかしながら、数刻前に婚約破棄されたお嬢さまの部屋ではかれこれ1時間ほど使用人のお説教が響き渡っていた。当人は平然とした面持ちでその説教を聞いている。
『本当に悪女』にえらく引っかかった鏡花は、帰り際に男性の使用人を1人とっ捕まえて言葉の真相を聞きだした。その使用人は鏡花の気迫にびくびくしながら――少し嬉しそうにもしながら――鏡花が性悪の悪女であるという噂を優雅が真に受けていたと話した。その噂は以前から鏡花の耳にも届いてはいた。しかし対話術にちょっとばかり長けていて、値切るのが上手くて、ほんのすこーし、守銭奴であることに尾ひれがついているだけなのだ。まさか5年以上婚約していた婚約者がそんな噂を真に受けているとは。
「かよ。でもね、私がその着物を着るのはなめられないようにだといつも言っているでしょう?」
「うう、そうはおっしゃいますが……」
かよは長年鏡花のお世話をしてくれている使用人だ。鏡花とは使用人の枠を超えた友人である。そんなかよが先ほどから「これが婚約破棄されてしまった原因なのでは」と見せているのは深紅の着物。いわゆる勝負服である。
経営をする以上、相手と接する機会が必ずある。しかしまだ女性がバリバリ働くのはあまり理解されない。よって必要以上にモダンな女性で攻め入らなければならない。なめられないようにだ。
かよが持っている深紅の着物は最近のお気に入りだ。大きな花柄がモダンだ。ここにぴしっと白色の帯を合わせる。さらに黒色の飾り紐やレース手袋、パンプスなどを揃えると一気に引き締まる。強そうな女の完成だ。たしかにこの見た目が悪女要素を増長させていると言われれば、まあそうかもしれないけれど。
「ですが、優雅さまと会うときはこれに似たお着物を着ているではないですか! それって優雅さまにはお嬢さまの素を見せていないということですよね!」
「だって彼とは仕事のパートナーであって、それ以上でも以下でもなかったから……仕事のパートナーというのも微妙だけれどね」
「もう! 優雅さまがお可哀想!」
ツンと顔を背けた鏡花にかよはわざとらしく泣いてみせる。実際かよが優雅を可哀想と思っているかは定かではないが、雰囲気的にはおふざけである。鏡花もそれが分かっていて「ええ、あんな男こっちから願い下げよ」と噂通りの悪女っぷりの笑みを浮かべてみせた。
「でも、お嬢さまがお家ではこんな可愛い袴姿で過ごしていることも、実は乙女なことも、素敵なものに目がないことも知らないなんて、損な方ですね」
「……彼も私には興味なかっただろうし、いいんじゃない?」
鏡花が自分の藍紫の袴に視線を落とすと、かよは小さく溜息をついた。
鏡花は実際噂とは打って違って乙女なのだ。部屋もおしゃれにまとめてはあるがくまのぬいぐるみやピンクの小物が置いてあったりする。しかし鏡花はそれをあまり知られたくはないようだった。優雅が白羽家を訪れたときもぬいぐるみは仕舞い込んでいたくらいだ。
「はあ、そんな可愛らしいお嬢さまが今から旦那さまに怒られてへちょへちょになるなんて……」
「…………要件はなるべく早く伝えなさいよ」
鏡花はじとりとかよを見る。おそらく鏡花を呼んでくるよう言われたことをすっかり忘れていたのだろう。ぺろっと舌を出したかよを横目に鏡花は部屋を出たのだった。
静まった部屋に父と向かい合わせに座る。数刻前のデジャブのようだわ、と鏡花は乾いた笑みを浮かべる。表情からして父は怒っているわけではなさそうだった。鏡花がけろっとしていたのは父が婚約が破談になったところで怒るような人間ではないことが分かっていたからだ。
「ずいぶんとその、けろっとしてるな」
「ええ、だって好きじゃなかったもの。それに交易ルートはもう手に入れたんだから婚約している必要なんてなかったでしょう? それに、家同士の婚約を勝手に破棄してきたのはあちら。私には何の落ち度もないわ」
「そうだが……もうちょっと落ち込んでいてもいいんじゃないか」
鏡花は父の言うことが理解できず首を傾げた。婚約が無しになったことをどう悲しめというのだろう。白羽家は婚約が破談になったところで落ちぶれるような家ではない。よって鏡花は行く先を案じる必要がなかった。
もともと優雅とは城森家が保有する交易ルートを白羽家が得るための政略結婚だ。向こうから婚約破棄したとなれば無理に白羽家に返還を要求してくることもないだろう。それに帝都有数の商家である白羽家との縁談が無しになったことに打撃を食らうのは城森家の方だ。へちょへちょに怒られているのは優雅の方。しかも白羽家の損失はほぼゼロなのだから。父がわざとらしい大きな溜息をつくのを見て鏡花は顔をしかめる。
「私は娘のお前が心配なんだよ。早く嫁に行って幸せになってほしい……孫も見たいし」
「お父さまには優雅さんとの婚約が私にとって幸せである、とそう思っていたのね?」
「…………そう言われると微妙だな」
父が考えるように腕を組んだ。それを見て今このタイミングなら、と鏡花はかねてより考えていたことを口に出そうとする――が。父の動きの方が一足早かった。突如机の上に並べられた写真たちが縁談用のものであることに気がつくと鏡花は露骨に顔を歪めた。
「そう嫌がるな。鏡花には嫁いで早く幸せになってもらいたいんだ」
「でも……!」
「白羽家を継ぐのは兄の深月なのだから。もちろん鏡花の腕の良さは認めているよ」
父に褒められると、なんだか強く出れなくなってしまう。おそらく本当に娘の幸せを願っての行動なのだろう。この際相手は誰でもいいから、というように写真に映る男性たちを紹介し始める。婚約破棄されて数時間でもうこれだけの縁談の数。気が滅入りそうな鏡花だったが、それだけ白羽家は周囲に与える影響が大きい家なのである。
おまけに鏡花はものすごい美人だ。本人があまり気にしていないだけなのだ。悪女の噂が出回っているのも鏡花にすごまれるのは迫力があるからなのだろう。強いて残念な点を上げるとすれば背が低いことくらいだろうか。おかげさまで鏡花は高いヒールのある靴が手放せない。
鏡花は仕方なしに写真に目を向ける。どれも太眉でやたらとキリッとした目つきの男たちばかり。軍上がりの者もいれば、同じような商家の息子もいる。興味はそそられない。その中で唯一、目を引く写真があった。モノトーンでも分かる整った顔立ち。肌はおそらく真っ白なのだろう。ほりが深いのか、眉下には影が落ちている。
「この方は?」
「その方は碧澄家の次期当主だよ。彼、なかなかいい男だろう」
「ええ。お父さま、私この方に致しますわ」
「おお、よしよし……可愛い孫が生まれるだろうな」
さっそく取り決めようとテキパキ動き出した父をにこにこ見守りながら鏡花はもう一度写真に視線を落とした。
碧澄家は最近めきめきと成長している宝石商である。そして鏡花がこの家を選んだのにはわけがある。
それは――百貨店を開くという夢があるから。
白羽家は父の言う通り兄の深月が継ぐことになっている。最初は鏡花も悔しがったが兄もなかなかに優秀なのである。そこで思いついたのが百貨店を開くこと。白羽家はさまざまな家との繋がりがある。和菓子職人や、高級呉服屋など。しかしどうしても宝石商との繋がりだけが持てなかった。百貨店に宝石を使ったアクセサリーは必須。さらに鏡花はアクセサリーが大好きなのだ。
それもこれも宝石商である碧澄家の次期当主と婚約すれば、叶う。
***
……そんな欲でいっぱいだったからだろうか。
まさか2回目の婚約相手も失敗するとは思わなかった。
「今、なんて?」
聞き返したのはまだ彼の澄ました表情とその口から飛び出た言葉よりも自分の耳を疑いたかったからだ。彼は溜息を小さくつくと「今度は理解してくれ」と言わんばかりにもう一度、しかも今度ははっきりと「貴女には」と強調して告げた。
「俺の宝石たちとの時間を邪魔しないでいただきたい」
今度こそ聞き間違いではない。鏡花は理解できない言葉にフリーズしてしまったのだった。
本来は婚約破棄なんてされたらメソメソ泣いているか喚いているか。とにかくお嬢様の心など晴れたものではない。面目は丸潰れであるし、行く先が不安で気を揉む。しかしながら、数刻前に婚約破棄されたお嬢さまの部屋ではかれこれ1時間ほど使用人のお説教が響き渡っていた。当人は平然とした面持ちでその説教を聞いている。
『本当に悪女』にえらく引っかかった鏡花は、帰り際に男性の使用人を1人とっ捕まえて言葉の真相を聞きだした。その使用人は鏡花の気迫にびくびくしながら――少し嬉しそうにもしながら――鏡花が性悪の悪女であるという噂を優雅が真に受けていたと話した。その噂は以前から鏡花の耳にも届いてはいた。しかし対話術にちょっとばかり長けていて、値切るのが上手くて、ほんのすこーし、守銭奴であることに尾ひれがついているだけなのだ。まさか5年以上婚約していた婚約者がそんな噂を真に受けているとは。
「かよ。でもね、私がその着物を着るのはなめられないようにだといつも言っているでしょう?」
「うう、そうはおっしゃいますが……」
かよは長年鏡花のお世話をしてくれている使用人だ。鏡花とは使用人の枠を超えた友人である。そんなかよが先ほどから「これが婚約破棄されてしまった原因なのでは」と見せているのは深紅の着物。いわゆる勝負服である。
経営をする以上、相手と接する機会が必ずある。しかしまだ女性がバリバリ働くのはあまり理解されない。よって必要以上にモダンな女性で攻め入らなければならない。なめられないようにだ。
かよが持っている深紅の着物は最近のお気に入りだ。大きな花柄がモダンだ。ここにぴしっと白色の帯を合わせる。さらに黒色の飾り紐やレース手袋、パンプスなどを揃えると一気に引き締まる。強そうな女の完成だ。たしかにこの見た目が悪女要素を増長させていると言われれば、まあそうかもしれないけれど。
「ですが、優雅さまと会うときはこれに似たお着物を着ているではないですか! それって優雅さまにはお嬢さまの素を見せていないということですよね!」
「だって彼とは仕事のパートナーであって、それ以上でも以下でもなかったから……仕事のパートナーというのも微妙だけれどね」
「もう! 優雅さまがお可哀想!」
ツンと顔を背けた鏡花にかよはわざとらしく泣いてみせる。実際かよが優雅を可哀想と思っているかは定かではないが、雰囲気的にはおふざけである。鏡花もそれが分かっていて「ええ、あんな男こっちから願い下げよ」と噂通りの悪女っぷりの笑みを浮かべてみせた。
「でも、お嬢さまがお家ではこんな可愛い袴姿で過ごしていることも、実は乙女なことも、素敵なものに目がないことも知らないなんて、損な方ですね」
「……彼も私には興味なかっただろうし、いいんじゃない?」
鏡花が自分の藍紫の袴に視線を落とすと、かよは小さく溜息をついた。
鏡花は実際噂とは打って違って乙女なのだ。部屋もおしゃれにまとめてはあるがくまのぬいぐるみやピンクの小物が置いてあったりする。しかし鏡花はそれをあまり知られたくはないようだった。優雅が白羽家を訪れたときもぬいぐるみは仕舞い込んでいたくらいだ。
「はあ、そんな可愛らしいお嬢さまが今から旦那さまに怒られてへちょへちょになるなんて……」
「…………要件はなるべく早く伝えなさいよ」
鏡花はじとりとかよを見る。おそらく鏡花を呼んでくるよう言われたことをすっかり忘れていたのだろう。ぺろっと舌を出したかよを横目に鏡花は部屋を出たのだった。
静まった部屋に父と向かい合わせに座る。数刻前のデジャブのようだわ、と鏡花は乾いた笑みを浮かべる。表情からして父は怒っているわけではなさそうだった。鏡花がけろっとしていたのは父が婚約が破談になったところで怒るような人間ではないことが分かっていたからだ。
「ずいぶんとその、けろっとしてるな」
「ええ、だって好きじゃなかったもの。それに交易ルートはもう手に入れたんだから婚約している必要なんてなかったでしょう? それに、家同士の婚約を勝手に破棄してきたのはあちら。私には何の落ち度もないわ」
「そうだが……もうちょっと落ち込んでいてもいいんじゃないか」
鏡花は父の言うことが理解できず首を傾げた。婚約が無しになったことをどう悲しめというのだろう。白羽家は婚約が破談になったところで落ちぶれるような家ではない。よって鏡花は行く先を案じる必要がなかった。
もともと優雅とは城森家が保有する交易ルートを白羽家が得るための政略結婚だ。向こうから婚約破棄したとなれば無理に白羽家に返還を要求してくることもないだろう。それに帝都有数の商家である白羽家との縁談が無しになったことに打撃を食らうのは城森家の方だ。へちょへちょに怒られているのは優雅の方。しかも白羽家の損失はほぼゼロなのだから。父がわざとらしい大きな溜息をつくのを見て鏡花は顔をしかめる。
「私は娘のお前が心配なんだよ。早く嫁に行って幸せになってほしい……孫も見たいし」
「お父さまには優雅さんとの婚約が私にとって幸せである、とそう思っていたのね?」
「…………そう言われると微妙だな」
父が考えるように腕を組んだ。それを見て今このタイミングなら、と鏡花はかねてより考えていたことを口に出そうとする――が。父の動きの方が一足早かった。突如机の上に並べられた写真たちが縁談用のものであることに気がつくと鏡花は露骨に顔を歪めた。
「そう嫌がるな。鏡花には嫁いで早く幸せになってもらいたいんだ」
「でも……!」
「白羽家を継ぐのは兄の深月なのだから。もちろん鏡花の腕の良さは認めているよ」
父に褒められると、なんだか強く出れなくなってしまう。おそらく本当に娘の幸せを願っての行動なのだろう。この際相手は誰でもいいから、というように写真に映る男性たちを紹介し始める。婚約破棄されて数時間でもうこれだけの縁談の数。気が滅入りそうな鏡花だったが、それだけ白羽家は周囲に与える影響が大きい家なのである。
おまけに鏡花はものすごい美人だ。本人があまり気にしていないだけなのだ。悪女の噂が出回っているのも鏡花にすごまれるのは迫力があるからなのだろう。強いて残念な点を上げるとすれば背が低いことくらいだろうか。おかげさまで鏡花は高いヒールのある靴が手放せない。
鏡花は仕方なしに写真に目を向ける。どれも太眉でやたらとキリッとした目つきの男たちばかり。軍上がりの者もいれば、同じような商家の息子もいる。興味はそそられない。その中で唯一、目を引く写真があった。モノトーンでも分かる整った顔立ち。肌はおそらく真っ白なのだろう。ほりが深いのか、眉下には影が落ちている。
「この方は?」
「その方は碧澄家の次期当主だよ。彼、なかなかいい男だろう」
「ええ。お父さま、私この方に致しますわ」
「おお、よしよし……可愛い孫が生まれるだろうな」
さっそく取り決めようとテキパキ動き出した父をにこにこ見守りながら鏡花はもう一度写真に視線を落とした。
碧澄家は最近めきめきと成長している宝石商である。そして鏡花がこの家を選んだのにはわけがある。
それは――百貨店を開くという夢があるから。
白羽家は父の言う通り兄の深月が継ぐことになっている。最初は鏡花も悔しがったが兄もなかなかに優秀なのである。そこで思いついたのが百貨店を開くこと。白羽家はさまざまな家との繋がりがある。和菓子職人や、高級呉服屋など。しかしどうしても宝石商との繋がりだけが持てなかった。百貨店に宝石を使ったアクセサリーは必須。さらに鏡花はアクセサリーが大好きなのだ。
それもこれも宝石商である碧澄家の次期当主と婚約すれば、叶う。
***
……そんな欲でいっぱいだったからだろうか。
まさか2回目の婚約相手も失敗するとは思わなかった。
「今、なんて?」
聞き返したのはまだ彼の澄ました表情とその口から飛び出た言葉よりも自分の耳を疑いたかったからだ。彼は溜息を小さくつくと「今度は理解してくれ」と言わんばかりにもう一度、しかも今度ははっきりと「貴女には」と強調して告げた。
「俺の宝石たちとの時間を邪魔しないでいただきたい」
今度こそ聞き間違いではない。鏡花は理解できない言葉にフリーズしてしまったのだった。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
生贄巫女はあやかし旦那様を溺愛します
桜桃-サクランボ-
恋愛
人身御供(ひとみごくう)は、人間を神への生贄とすること。
天魔神社の跡取り巫女の私、天魔華鈴(てんまかりん)は、今年の人身御供の生贄に選ばれた。
昔から続く儀式を、どうせ、いない神に対して行う。
私で最後、そうなるだろう。
親戚達も信じていない、神のために、私は命をささげる。
人身御供と言う口実で、厄介払いをされる。そのために。
親に捨てられ、親戚に捨てられて。
もう、誰も私を求めてはいない。
そう思っていたのに――……
『ぬし、一つ、我の願いを叶えてはくれぬか?』
『え、九尾の狐の、願い?』
『そうだ。ぬし、我の嫁となれ』
もう、全てを諦めた私目の前に現れたのは、顔を黒く、四角い布で顔を隠した、一人の九尾の狐でした。
※カクヨム・なろうでも公開中!
※表紙、挿絵:あニキさん

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
【第一部・完結】七龍国物語〜冷涼な青龍さまも嫁御寮には甘く情熱的〜
四片霞彩
恋愛
七体の龍が守護する国・七龍国(しちりゅうこく)。
その内の一体である青龍の伴侶に選ばれた和華(わか)の身代わりとして、青龍の元に嫁ぐことになった海音(みおん)だったが、輿入れの道中に嫁入り道具を持ち逃げされた挙句、青龍が住まう山中に置き去りにされてしまう。
日が暮れても輿入れ先に到着しない海音は、とうとう山に住まう獣たちの餌食になることを覚悟する。しかしそんな海音を心配して迎えに来てくれたのは、和華を伴侶に望んだ青龍にして、巷では「人嫌いな冷涼者」として有名な蛍流(ほたる)であった。
冷酷無慈悲の噂まである蛍流だったが、怪我を負っていた海音を心配すると、自ら背負って輿入れ先まで運んでくれる。
身代わりがバレないまま話は進んでいき、身代わりの花嫁として役目を達成するという時、喉元に突き付けられたのは海音と和華の入れ替わりを見破った蛍流の刃であった。
「和華ではないな。お前、何者だ?」
疑いの眼差しを向ける蛍流。そんな蛍流に海音は正直に身の内を打ち明けるのだった。
「信じてもらえないかもしれませんが、私は今から三日前、こことは違う世界――『日本』からやって来ました……」
現代日本から転移したという海音を信じる蛍流の誘いでしばらく身を寄せることになるが、生活を共にする中で知るのは、蛍流と先代青龍との師弟関係、蛍流と兄弟同然に育った兄の存在。
そして、蛍流自身の誰にも打ち明けられない秘められた過去と噂の真相。
その過去を知った海音は決意する。
たとえ伴侶になれなくても、蛍流の心を救いたいと。
その結果、この身がどうなったとしても――。
転移先で身代わりの花嫁となった少女ד青龍”に選ばれて国を守護する人嫌い青年。
これは、遠い過去に願い事を分かち合った2人の「再会」から始まる「約束」された恋の物語。
「人嫌い」と噂の国の守護龍に嫁いだ身代わり娘に、冷涼な青龍さまは甘雨よりも甘く熱い愛を注ぐ。
┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁┈┈┈┈┈┈┈┈
第一部完結しました。最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
第二部開始まで今しばらくお待ちください。
┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁┈┈┈┈┈┈┈┈
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
鉄格子のゆりかご
永久(時永)めぐる
恋愛
下働きとして雇われた千代は、座敷牢の主である朝霧の世話を任される。
お互いを気遣い合う穏やかな日々。
それはずっと続くと思っていたのに……。
※五話完結。
※2015年8月に発行した同人誌に収録した短編を加筆修正のうえ投稿しました。
※小説家になろうさん、魔法のiらんどさんにも投稿しています。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる