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第十一話 ループの終わり
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目が覚めると午前10時だった。最近はずっとアラームの音で起きていたから、久しぶりに自然と目が覚めるまで寝ることが出来た。
つまり今日は土曜日だ。やっとループが終わったというのに達成感はなく、昨日の放課後の余韻が抜けない。それだけ充実していたということだろう。
しばらく何もやる気が起きず、ベットの上で意味もなくスマホを眺めていた。気がつくと時刻は11時半になっていて、流石にそろそろ動かないとやばい。
僕は階段を下りてキッチンへと向かう。妹は母と一緒に部活、父はゴルフの打ちっぱなしだろうな。
適当に昼ごはんを作って食べた。その後も特にやることはなくリビングで時間だけが過ぎていった。
見ていたわけではないけれど、音がないと寂しいと思って付けていたテレビに公園が映った。そういえば、あの人とはあれ以来会っていないな。
僕は服を着替えてあの公園へと足を運ぶ。何となく、いるんじゃないかって気がしていた。会えたとしても彼女は僕のことは知らないし、お礼を伝えても何のことか分からず困惑してしまうだろう。それでも、一言だけお礼が言いたかった。
土曜日の昼間だというのに、あの日と同じように静かだった。誰もいない、車も今日は通っていない。まるでこの世界には僕しかいないんじゃないかと思うくらいに。
「やあ少年、そんなところに突っ立っていたら子どもたちの邪魔になってしまうぞ」
いきなり後ろから話しかけられたのに、驚きはしなかった。何となく、話しかけられるんじゃないかと思っていたから。
「こんにちは。子どもたちはいないようですけど」
僕が変わろうと決意したあの日以来、初めての再開となる。
僕たちは自然とベンチに腰を掛けた。
「また会ったね少年、元気かい?」
「ええおかげさまで。やっぱり覚えていたんですね」
「さあ何のことだろうね。私にはさっぱりだよ」
わざとらしい笑みが少し懐かしい。そういえば前もからかわれたっけ。
「何であなたも覚えているんですか? 家族もクラスメイトもループしているとは誰も気づきませんでしたけど」
「実際何でなのかは分からない。だから確かめさせてもらうが、君は私以外にループの事を話したりしたかい?」
「いいえ、誰にも話してないです」
「なるほど。もしかしたら私は君にループのことを聞いたから自覚出来たのかもしれない」
それなら納得できる。誰にも信じてもらえないと思って話していなかったけど、素直に話しても良かったかもしれない。
「いや、そうでもないさ。もし話してしまったらまだループは終わっていないかもしれない。君はクラスメイト達との関係を以前より近く出来たからループは終えることが出来のだろう? 勿論これはたらればの話であるから確信はないがな」
結果良ければ全て良し。終わったことをこれ以上考えても意味はないな。
「それで少年、学校は楽しいかい?」
楽しい、か。そんなの決まってる。
「楽しいですよ。こんなに楽しいなら、もっと早くから勇気出して他人と関われば良かったなって思います」
「それは良かったよ。遅くなんて無いから安心したまえ、大人になっても勇気を出せない人もいる。私の持論だけど、挑戦も失敗も早い方がいい。若いうちにたくさん挑戦して失敗して、成長したまえ。無鉄砲なくらいがちょうどいい」
彼女は遠くを見て、少し寂しそうな顔をしていた。もしかしたら彼女は、何か後悔しているのかもしれない。それを今聞ける無鉄砲さは僕にはないけど、いつか彼女の体験談を聞いてみたいと思った。
彼女のおかげで僕は成長できたし、ループを終わらせることが出来た。そういえば、僕は一番大事なことを聞き忘れていた。
「名前聞いてもいいですか?」
彼女は待ってましたと言わんばかりの顔をしていた。
「零崎 麗奈」
つまり今日は土曜日だ。やっとループが終わったというのに達成感はなく、昨日の放課後の余韻が抜けない。それだけ充実していたということだろう。
しばらく何もやる気が起きず、ベットの上で意味もなくスマホを眺めていた。気がつくと時刻は11時半になっていて、流石にそろそろ動かないとやばい。
僕は階段を下りてキッチンへと向かう。妹は母と一緒に部活、父はゴルフの打ちっぱなしだろうな。
適当に昼ごはんを作って食べた。その後も特にやることはなくリビングで時間だけが過ぎていった。
見ていたわけではないけれど、音がないと寂しいと思って付けていたテレビに公園が映った。そういえば、あの人とはあれ以来会っていないな。
僕は服を着替えてあの公園へと足を運ぶ。何となく、いるんじゃないかって気がしていた。会えたとしても彼女は僕のことは知らないし、お礼を伝えても何のことか分からず困惑してしまうだろう。それでも、一言だけお礼が言いたかった。
土曜日の昼間だというのに、あの日と同じように静かだった。誰もいない、車も今日は通っていない。まるでこの世界には僕しかいないんじゃないかと思うくらいに。
「やあ少年、そんなところに突っ立っていたら子どもたちの邪魔になってしまうぞ」
いきなり後ろから話しかけられたのに、驚きはしなかった。何となく、話しかけられるんじゃないかと思っていたから。
「こんにちは。子どもたちはいないようですけど」
僕が変わろうと決意したあの日以来、初めての再開となる。
僕たちは自然とベンチに腰を掛けた。
「また会ったね少年、元気かい?」
「ええおかげさまで。やっぱり覚えていたんですね」
「さあ何のことだろうね。私にはさっぱりだよ」
わざとらしい笑みが少し懐かしい。そういえば前もからかわれたっけ。
「何であなたも覚えているんですか? 家族もクラスメイトもループしているとは誰も気づきませんでしたけど」
「実際何でなのかは分からない。だから確かめさせてもらうが、君は私以外にループの事を話したりしたかい?」
「いいえ、誰にも話してないです」
「なるほど。もしかしたら私は君にループのことを聞いたから自覚出来たのかもしれない」
それなら納得できる。誰にも信じてもらえないと思って話していなかったけど、素直に話しても良かったかもしれない。
「いや、そうでもないさ。もし話してしまったらまだループは終わっていないかもしれない。君はクラスメイト達との関係を以前より近く出来たからループは終えることが出来のだろう? 勿論これはたらればの話であるから確信はないがな」
結果良ければ全て良し。終わったことをこれ以上考えても意味はないな。
「それで少年、学校は楽しいかい?」
楽しい、か。そんなの決まってる。
「楽しいですよ。こんなに楽しいなら、もっと早くから勇気出して他人と関われば良かったなって思います」
「それは良かったよ。遅くなんて無いから安心したまえ、大人になっても勇気を出せない人もいる。私の持論だけど、挑戦も失敗も早い方がいい。若いうちにたくさん挑戦して失敗して、成長したまえ。無鉄砲なくらいがちょうどいい」
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彼女のおかげで僕は成長できたし、ループを終わらせることが出来た。そういえば、僕は一番大事なことを聞き忘れていた。
「名前聞いてもいいですか?」
彼女は待ってましたと言わんばかりの顔をしていた。
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