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黒妖国
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なんだかんだ一悶着あってまだギスギスしてる雰囲気の中、会議が始まった。黒妖軍の変わってるのはディスタイザー全員話し合いに出席するところだ。階級はあるものの幹部とかそういうのはないらしく全員に発言権がある。ちなみに全体数は100人くらい。よほどディスタイザーになるのは至難らしい。人口の1パーセントもいないとは…。
「これまで確認された瘴気発生源は全部で3つ。1回目の発生時より2回目、2回目より3回目とだんだん濃度が高くなってる」
「濃度の高い瘴気は吸い込む、触れた場合はいずれも崩れるように…身体が朽ちていったそうだ。くそっ!なんとかならないのか!」
「待てよ。これは人間への害だけじゃねぇ、発生と同時に大規模な自然災害を引き起こしてるのも充分やべぇだろ。」
「ああ。3回目で竜巻が発生して瘴気が発生してない場所へも被害が甚大だ。」
まず、瘴気っていうのはこの前俺の国にこいつらが放出した毒ガスみたいなものらしい。あ、俺の国に放出したものとはちょっと違うらしいけど。なんか瘴気を元に作り変えたとか。そんなもん俺の国に投入すんなよ。めちゃめちゃ文句言いたいとこだけども。
んで、瘴気が去年から五大国中で一度に大量発生するようになったらしい。ただ濃度が強くない限りは吸い込んでも死ぬことはないけれど、少し吸い込んだだけでも心身が自分の意志で動かせなくなる。そんでだんだん濃度も高くなっていくと人間の体が灰のように崩れ始める。でも瘴気を浄化する術は開発済み。問題解決と思いきやそう簡単ではなく。なんと高濃度の瘴気へはその術は全く無効化なんだって。
さらに発生したとき全てで起こる自然災害…。不思議なことに1回目はゲリラ豪雨で洪水や土砂災害発生、2回目は特別寒くない地域で急な猛吹雪で一気に雪国になり、3回目は多数の竜巻が同時発生…と天気予報でもなかなか予測できないぞという異常気象が起こりっぱなしなのである。
というわけで黒妖では被害が大きく次に備えて今日は会議を行っているのであった。
んー、俺は部外者だからただ聞いてるだけなんだけど気になるのが何点かあったなぁ。治療法がないたとかなんとか。俺って一度気になるとそれが解決するまでソワソワしちゃうタイプ。止まってられないの同じ場所に。だから我慢できずに横に座るセルシウスをツンツンと肘でつつきこそっと喋りかけた。
「なぁ、この前の俺の国に放出したガスでもこの国の人間は死ぬ?」
「いや。あれは1回目のものとほぼ同様のものだ。多少動けなくなる程度のもののはず。」
「嘘つけ、俺の国の人達は翼枯れるほどだったけど」
セルシウスはピクリと眉毛を動かして何とも言い難い神妙な顔つきになった。
眉間にはこれでもかというほど皺が寄ってしまって思わず引き伸ばしたくなる。いかん、ここは我慢だ。
「紫灯国の奴らのほうが免疫がないんだと思う。放出した俺が言うことではないがまさかあれ程影響が出るとは思ってなかった。」
「へぇ、枯れさす気はなかったんだ」
まあ、俺の国でガスを放出した件については言いたいことは山ほどあるし拳で語ってやりたいところだけど。
「でも俺ら6代神に効かないってのはわかってたんだよな」
「ああ」
「俺が治せるのは最初から知ってた?」
俺はあの時、枯れかけた翼の治療にあたり完治させられた。朱輝もソンリェンもそうだった。
「薄々。」
「瘴気を何とかして欲しくてこの国に俺を連れてきたのかと思ったんだけど…。朱輝やソンリェンでも良かったはず。何で俺なんだ?」
今日この会議に参加して黒妖は問題を抱えてるってことがわかった。俺がその問題解決に協力はできそうではある。だけど俺だけの力が必要だから俺を連れてきたと思ったのに。もしかして俺じゃなくても朱輝とソンでも良かった系?。一番役職が軽そうな俺だったら連れてきてもいいかなみたいな?。
セルシウスの答えを耳をひそめて待った。セルシウスは言おうか一瞬迷ったみたいで口を開けたり閉じたりしている。
でもそんなのはほんとに一瞬。いつもの冷酷無慈悲の風貌はすぐに戻ってきた。
「言わない。」
予想外の答えで。
「はぁ?」
思わず素っ頓狂な声が出てしまった。それは会議を中断させるには充分響きのある音だったらしい。部屋の全員が俺を見ている。いや睨んでいる。何か言いたいことがあるなら言えと言う表情とさっさと目障りだ失せろという表情が交差している。まるで学校で空気が読めない生徒みたいだ俺。セルシウスの方をチラッと見る。顎をくいっと反らして好戦的な目で俺を見ている。まるで「あいつらに自分を認めさせてみろ」って言ってるみたいに。
まあいいや、気になることもあったし。
そう思って渋々立ち上がる。
「会議を中断させて悪い。だけど気になることがあって…」
「ほー、6代神様自らアドバイスを?」
会議の中心を取り持っていた猫目の男が俺を色のない目で見つめてきた。言葉の端に引っかかりを覚えるけど我慢して頷く。猫目男はどうぞ話してください、と言って自分の席に座ってしまった。
「じゃあ遠慮なく単刀直入に言わせてもらう。俺に瘴気接触者への治療をするのを許可してほしい。あともしかしたら俺なら瘴気を浄化できるかもしれない。」
憎しみの目から少しだけ、目が見開いた。
「なぜ?貴方にとってもこの国は憎いでしょう?それなのに助けようと思うのですか?」
「この国の人と話してみたい、そんだけだ。」
俺の言葉を聞いて何人かが大袈裟に笑った。でも、隣に座るセルシウスだけは俺を真剣なで見つめていて。それだけで不思議と落ち着いていられる。
「それに俺が治してみせる、誰一人として死なせない」
バキンッ
俺の発言に苛ついたのか何人かが呪言を飛ばしてきた。先程と同じように逃げたりしない。ちゃんと受け止める。痛い。痛いけど目の前の人達は大切な人を殺されて敵が目の前にいるのに何もできなくてもっと痛いはず。
「がはっ……」
血を吐いた俺を見ても奴らは全然喜んだりしなかった。ただ苦しそうで行き場のない思いが渦巻いてるようだった。
「そこまで言うならここで自ら証明してもらってもよろしいですか?」
猫目男が薄ら笑いを口に浮かべながらそう言った。
「?」
「ここの実験施設に瘴気を保管してある場所があります。貴方はその場所へ入って頂き、我々の目の前でその瘴気を浄化しきってください。」
「待てよ」
それまで静観していたセルシウスが勢いよく立ち上がった。
「あそこに保管されているのは全て高濃度だ。紫灯国民は低濃度のものでも身体の一部が崩壊し重症となる者もいたと聞いている。今回紫輝には効果なかったけど高濃度状態ではどうなるかはわからない。第一こいつ自体低濃度状態を浄化したことなんてないんだぞ、下手したら…」
「それに何か問題があるかな?セルシウス皇太子」
「っ……水鏡伯爵殿は紫輝を殺す気なのか」
「いやぁ?人聞きの悪い事を言わないでもらえるかなぁ?せっかくご本人が協力したいと言ってくれたのだから提案してみただけさ」
そう言ってまた張り付いた笑顔を俺に向けた。
「貴方にできますかねぇ?」
水鏡と呼ばれた猫目男はその相貌を崩すことなく言った。
「これまで確認された瘴気発生源は全部で3つ。1回目の発生時より2回目、2回目より3回目とだんだん濃度が高くなってる」
「濃度の高い瘴気は吸い込む、触れた場合はいずれも崩れるように…身体が朽ちていったそうだ。くそっ!なんとかならないのか!」
「待てよ。これは人間への害だけじゃねぇ、発生と同時に大規模な自然災害を引き起こしてるのも充分やべぇだろ。」
「ああ。3回目で竜巻が発生して瘴気が発生してない場所へも被害が甚大だ。」
まず、瘴気っていうのはこの前俺の国にこいつらが放出した毒ガスみたいなものらしい。あ、俺の国に放出したものとはちょっと違うらしいけど。なんか瘴気を元に作り変えたとか。そんなもん俺の国に投入すんなよ。めちゃめちゃ文句言いたいとこだけども。
んで、瘴気が去年から五大国中で一度に大量発生するようになったらしい。ただ濃度が強くない限りは吸い込んでも死ぬことはないけれど、少し吸い込んだだけでも心身が自分の意志で動かせなくなる。そんでだんだん濃度も高くなっていくと人間の体が灰のように崩れ始める。でも瘴気を浄化する術は開発済み。問題解決と思いきやそう簡単ではなく。なんと高濃度の瘴気へはその術は全く無効化なんだって。
さらに発生したとき全てで起こる自然災害…。不思議なことに1回目はゲリラ豪雨で洪水や土砂災害発生、2回目は特別寒くない地域で急な猛吹雪で一気に雪国になり、3回目は多数の竜巻が同時発生…と天気予報でもなかなか予測できないぞという異常気象が起こりっぱなしなのである。
というわけで黒妖では被害が大きく次に備えて今日は会議を行っているのであった。
んー、俺は部外者だからただ聞いてるだけなんだけど気になるのが何点かあったなぁ。治療法がないたとかなんとか。俺って一度気になるとそれが解決するまでソワソワしちゃうタイプ。止まってられないの同じ場所に。だから我慢できずに横に座るセルシウスをツンツンと肘でつつきこそっと喋りかけた。
「なぁ、この前の俺の国に放出したガスでもこの国の人間は死ぬ?」
「いや。あれは1回目のものとほぼ同様のものだ。多少動けなくなる程度のもののはず。」
「嘘つけ、俺の国の人達は翼枯れるほどだったけど」
セルシウスはピクリと眉毛を動かして何とも言い難い神妙な顔つきになった。
眉間にはこれでもかというほど皺が寄ってしまって思わず引き伸ばしたくなる。いかん、ここは我慢だ。
「紫灯国の奴らのほうが免疫がないんだと思う。放出した俺が言うことではないがまさかあれ程影響が出るとは思ってなかった。」
「へぇ、枯れさす気はなかったんだ」
まあ、俺の国でガスを放出した件については言いたいことは山ほどあるし拳で語ってやりたいところだけど。
「でも俺ら6代神に効かないってのはわかってたんだよな」
「ああ」
「俺が治せるのは最初から知ってた?」
俺はあの時、枯れかけた翼の治療にあたり完治させられた。朱輝もソンリェンもそうだった。
「薄々。」
「瘴気を何とかして欲しくてこの国に俺を連れてきたのかと思ったんだけど…。朱輝やソンリェンでも良かったはず。何で俺なんだ?」
今日この会議に参加して黒妖は問題を抱えてるってことがわかった。俺がその問題解決に協力はできそうではある。だけど俺だけの力が必要だから俺を連れてきたと思ったのに。もしかして俺じゃなくても朱輝とソンでも良かった系?。一番役職が軽そうな俺だったら連れてきてもいいかなみたいな?。
セルシウスの答えを耳をひそめて待った。セルシウスは言おうか一瞬迷ったみたいで口を開けたり閉じたりしている。
でもそんなのはほんとに一瞬。いつもの冷酷無慈悲の風貌はすぐに戻ってきた。
「言わない。」
予想外の答えで。
「はぁ?」
思わず素っ頓狂な声が出てしまった。それは会議を中断させるには充分響きのある音だったらしい。部屋の全員が俺を見ている。いや睨んでいる。何か言いたいことがあるなら言えと言う表情とさっさと目障りだ失せろという表情が交差している。まるで学校で空気が読めない生徒みたいだ俺。セルシウスの方をチラッと見る。顎をくいっと反らして好戦的な目で俺を見ている。まるで「あいつらに自分を認めさせてみろ」って言ってるみたいに。
まあいいや、気になることもあったし。
そう思って渋々立ち上がる。
「会議を中断させて悪い。だけど気になることがあって…」
「ほー、6代神様自らアドバイスを?」
会議の中心を取り持っていた猫目の男が俺を色のない目で見つめてきた。言葉の端に引っかかりを覚えるけど我慢して頷く。猫目男はどうぞ話してください、と言って自分の席に座ってしまった。
「じゃあ遠慮なく単刀直入に言わせてもらう。俺に瘴気接触者への治療をするのを許可してほしい。あともしかしたら俺なら瘴気を浄化できるかもしれない。」
憎しみの目から少しだけ、目が見開いた。
「なぜ?貴方にとってもこの国は憎いでしょう?それなのに助けようと思うのですか?」
「この国の人と話してみたい、そんだけだ。」
俺の言葉を聞いて何人かが大袈裟に笑った。でも、隣に座るセルシウスだけは俺を真剣なで見つめていて。それだけで不思議と落ち着いていられる。
「それに俺が治してみせる、誰一人として死なせない」
バキンッ
俺の発言に苛ついたのか何人かが呪言を飛ばしてきた。先程と同じように逃げたりしない。ちゃんと受け止める。痛い。痛いけど目の前の人達は大切な人を殺されて敵が目の前にいるのに何もできなくてもっと痛いはず。
「がはっ……」
血を吐いた俺を見ても奴らは全然喜んだりしなかった。ただ苦しそうで行き場のない思いが渦巻いてるようだった。
「そこまで言うならここで自ら証明してもらってもよろしいですか?」
猫目男が薄ら笑いを口に浮かべながらそう言った。
「?」
「ここの実験施設に瘴気を保管してある場所があります。貴方はその場所へ入って頂き、我々の目の前でその瘴気を浄化しきってください。」
「待てよ」
それまで静観していたセルシウスが勢いよく立ち上がった。
「あそこに保管されているのは全て高濃度だ。紫灯国民は低濃度のものでも身体の一部が崩壊し重症となる者もいたと聞いている。今回紫輝には効果なかったけど高濃度状態ではどうなるかはわからない。第一こいつ自体低濃度状態を浄化したことなんてないんだぞ、下手したら…」
「それに何か問題があるかな?セルシウス皇太子」
「っ……水鏡伯爵殿は紫輝を殺す気なのか」
「いやぁ?人聞きの悪い事を言わないでもらえるかなぁ?せっかくご本人が協力したいと言ってくれたのだから提案してみただけさ」
そう言ってまた張り付いた笑顔を俺に向けた。
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