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悲劇
しおりを挟む「…紫輝…きっと…本等の意味で…人と人とが
手を取り合える日が来るから…忘れないで…
私…達はずっとあなたのことを見てる…人を…信じれない人に…なら…な…い…で……」
ああ…こんな時なのに、この人の目が俺を映すのが最後なのに、俺の目に映るこの人も最後なのに…。視界がぼやけてぼやけてぼやけて。
見えない。見たいのに。
「泣か…ないで…。」
微かにその人が笑った。
「嫌だっ。ずっと一緒にいようって、この目で世界を見て回ろうって約束したじゃないか!何でっ…」
違う。こんな…こんな駄々をこねるようなこと言いたいんじゃないのに。
「ごめん…ね。」
違う。謝らせたいんじゃない。困らせたいんじゃない。
「ずっと…見て…るから…。」
抱きしめているのに、だんだん冷たくなるこの人の体温、温もり、優しさ、。
駄目だ。目をそらしちゃ。しっかり見なきゃ…。見えない。にじんでにじんでにじんで。
不意に視界がクリアになった。
眼の前には微かに笑っている俺の大好きなきれいな笑顔……あなたの笑顔。
拭ってくれたのだと気づく。
そして、それが最後の力だったのだということにも…。
伝えなきゃいけないことがまだたくさんあるのに…。
この人は動かなくなった。
俺の涙を拭った手が力なく落ちていくのを
俺は………。
~~
##年##月##日
紫灯国の英雄6人のうち
相原 李杏(18)
イ ジュハ(18)
ユノ・アルフィ(18)
3名が死亡した。
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