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働いてみないかい?
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「君、大丈夫かい?」
青年の言葉に、放心していたスピーは我に返る。
「あ……、は、はいっ! えと……、ありがとうございましたっ!」
深く深く、地面に額が付きそうなほどに深いお辞儀をするスピー。
「……君、ちょっと顔を上げてくれるかい?」
青年に言われて、何だろう? と思いつつも、スピーはバッ! と顔を上げる。
すると青年は膝を折り、スピーと同じ目線まで姿勢を低くして、黒い皮の手袋をしている右手の掌を、スピーに向けた。
「レドモ・ニトモ」
青年が聞き慣れない言葉を口にすると……
「え……、えっ!? わぁあっ!?」
スピーの手の中にあった三つの青い石のボタンが、フワッと宙に浮いたかと思うと、スピーの服に残ったほつけている糸と上手に絡まって、元通りの場所へと戻ったのだ。
「よし、これでいい。同業者が迷惑をかけたね、済まなかった」
申し訳ない、という気持ちが伝わる優しい表情で、青年はそう言った。
しかし、スピーはその言葉を完全に聞いていない。
「まっ!? いっ!? 魔法!? 魔法ですかっ!? 今のっ!?」
かなり興奮した様子のスピーは、大きな目を更に大きく見開いてキラキラと輝かせ、全身を小刻みに震わせながら尋ねた。
「あ……、うん、魔法だね。魔法を見るのは初めてかい?」
「わぁあぁっ! やっぱり魔法なんだっ! 凄いっ! 凄いぞっ!!」
まるで話を聞いていないスピーに対し、青年は苦笑いしつつも気付いた。
この目の前にいる小さな生き物は、もしかして……?
「君……、ピグモル族かい?」
「えっ!? ピグモルを知っているんですかっ!?」
更に表情を明るくして、驚くスピー。
「あぁ勿論。……いや、生きている者を見るのは初めてだね」
「うわぁっ! 白薔薇の騎士団の皆さん以外に、ピグモルを知っている人がいるなんて、驚きですっ!」
「あ、やっぱり……。じゃあ、あれかい? 村外研修とかいうやつでこの国へ来ているのかい?」
「おぉっ!? そこまで知っているんですね!」
魔法が使えて、尚且つ様々な事を知っていそうな青年に対し、スピーは羨望の眼差しを向ける。
……悲しい哉、ピグモルは相手を疑う事を知らない生き物である。
即ち、今現在スピーは、目の前の青年が何故そのような白薔薇の騎士団の内部事情を知っているのか、などという事は、全く疑問に思っていない。
そして青年は、そんな事を知ってか知らずか、スピーにこう告げた。
「良かったら……、そこの喫茶店でお茶でもどうだい?」
「えっ!? お茶!? 僕とっ!? わぁ~! 行きます行きます!!」
二つ返事で了承したスピーは、この出会って間もない、名前も知らない青年の後に、嬉々として付いていくのであった。
はむはむはむはむ……、ごっくん!
「美味しいっ! これっ! とっても美味しいですっ!!」
「そうかい、それは良かった♪」
甘い蜂蜜がたっぷりとかかったパンケーキを頬張るスピーを見ながら、青年は満足そうに笑って、口元に珈琲を運んだ。
「それで……、スピー君は、魔法を間近で見たくて、魔導師ギルドでの研修を希望しているんだね?」
「そうなんれす! れも、なかなか受け入れへもらへなくへ!」
口一杯にパンケーキを詰め込んだせいか、スピーの言葉は、青年には少々聞き取り辛いだろう。
それでも、心優しい青年は、なるほどね~と小さく呟いた。
喫茶店に到着したスピーは、初めての喫茶店、初めてのお茶、という事で、テンションがマックスまで上がっていた。
そして、初めてのパンケーキを注文し、手元に運ばれてくるまでの短時間で、これまでの経緯をペラペラと、青年に話して聞かせたのだった。
「でも……、じゃあ、もし明日中に研修先が見つからなかったら、どうなるんだい?」
青年の問い掛けに、それまでニコニコしながらパンケーキを食べていたスピーの動きが止まった。
そして、とても悲しそうな声で……
「研修先が、見つからなかったら……。一度村に戻って、研修場所を別の国にするか、もしくは、村外研修自体を辞めるか……、になりますね」
しょんぼりと肩を落とし、口をへの字に曲げるスピー。
さっきまではあんなに美味しかったはずのパンケーキも、今の一瞬で、口に運ぶ気力すら無くしてしまったようだ。
そんなスピーの様子を、青年は複雑な心境で見つめていた。
彼のその、複雑な心境の内容を説明すると……
目の前で落ち込むスピーが可愛い、とんでもなく可愛い、だからもっと虐めてみたい、しかしパンケーキを嬉しそうに食べるスピーも可愛かった、あの笑顔をもう一度見たい、あぁ、だけどやっぱり、落ち込んでるスピーの方が……、といった感じだ。
どうやらこの青年、見た目の平凡さとは裏腹に、その中身はなかなかにこんがらがっているらしい。
そして青年は思い付いた。
我ながら、なかなかに良い案だとニンマリする。
そしてその案に、必ずスピーがYESと言う事も、青年は確信していた。
「ねぇスピー。相談があるんだ」
「相談? 何ですか?」
「うん。実はね、僕はこの王都で小さな店を開いているんだけど、従業員が足りなくてね。普通に誰かを雇うにもお金がいるし、困ってたんだ。けど君の場合、賃金はそんなにもいらないんだろう? 村外研修の目的は、お金を稼ぐ事よりも、外の世界の文化を学んで、故郷の村へと持ち帰る事。だから……。スピー、僕の店で、働いてみないかい?」
にっこりと笑ってそう言った青年を前に、スピーはコキーン! と固まった。
本当に、氷水の中に入ったかのごとく、カチカチに固まった。
「……ん? え? スピー? お~い? 大丈夫かい?」
スピーの異変に気付き、その可愛らしい顔の前でヒラヒラと手を振る青年。
彼は内心、固まっているのなら、このまま連れて帰ってしまおうか、とかなり物騒な事を考えている。
「あ、はっ!? えっ!? えぇえっ!? ぼ、ぼぼぼぼ……、僕を雇ってくれるんですかぁっ!?」
我に返ったスピーは、驚嘆の声を上げる。
「うん。魔導師ギルドではないけれど、魔法の行使は日常茶飯事だからね。毎日飽きるほどに魔法を見られるよ。それに、僕も一端の魔導師だからね。職業認定証も持っているし、君の保護者になる許可も降りるはずだ。店はまぁ、小さいけれど、空き部屋はいくつかあるから安心して。住み込みで、朝昼夕の三食付き。お給料は月末払いで、1ヶ月につき20000センスでどうかな?」
「20000センス!? そんなにっ!?」
「驚く事はないよ。それくらいしか払えないから、逆に申し訳ないくらいだ。それでも良ければ僕は、是非君に、僕の店で働いてもらいたいな♪」
「わぁあああぁっ!!!」
青年の、とんでもなく爽やかで、全く害が感じられない好意的な笑顔に対し、スピーは目を輝かせる事しか出来なかった。
住む所も、ご飯の心配もせずに、魔法が毎日見られてお給料も沢山貰えるなんて……、なんて幸運なんだ僕はっ! と、心の中で叫んでいた。
「是非っ! 是非僕を、働かせてくださいっ!!」
「よし、決まりだね! じゃあ早速この後、白薔薇の騎士団の本部に出向いて、保護者申請をする事にしよう。さぁ、残りのパンケーキを食べるといいよ♪」
青年の笑顔にスピーは、自分がこの世で一番の幸せ者になったかのような、幸福に満ち満ちた表情になる。
「はいっ! ありがとうございますっ! よろしくお願いしますっ!! ……あ、ごめんなさい。お名前をまだ聞いてなかったですね」
「あぁ、そうだったね。僕の名前はスズキヒロト。ヒロトって呼んでね♪」
「ヒロトさん! はいっ! 改めて、よろしくお願いしますっ!!」
ぺこりと頭を下げたスピーは、今まで生きてきた中で一番の充実感、安堵感を抱きながら、パンケーキの残りを口に運んだ。
このスズキヒロトという名前の青年との出会いが、今後のスピーの人生……、もとい、ピグモル生を、大きく大きく変えた事を、スピー自身が知るのは、もっとずっと先の事であった。
青年の言葉に、放心していたスピーは我に返る。
「あ……、は、はいっ! えと……、ありがとうございましたっ!」
深く深く、地面に額が付きそうなほどに深いお辞儀をするスピー。
「……君、ちょっと顔を上げてくれるかい?」
青年に言われて、何だろう? と思いつつも、スピーはバッ! と顔を上げる。
すると青年は膝を折り、スピーと同じ目線まで姿勢を低くして、黒い皮の手袋をしている右手の掌を、スピーに向けた。
「レドモ・ニトモ」
青年が聞き慣れない言葉を口にすると……
「え……、えっ!? わぁあっ!?」
スピーの手の中にあった三つの青い石のボタンが、フワッと宙に浮いたかと思うと、スピーの服に残ったほつけている糸と上手に絡まって、元通りの場所へと戻ったのだ。
「よし、これでいい。同業者が迷惑をかけたね、済まなかった」
申し訳ない、という気持ちが伝わる優しい表情で、青年はそう言った。
しかし、スピーはその言葉を完全に聞いていない。
「まっ!? いっ!? 魔法!? 魔法ですかっ!? 今のっ!?」
かなり興奮した様子のスピーは、大きな目を更に大きく見開いてキラキラと輝かせ、全身を小刻みに震わせながら尋ねた。
「あ……、うん、魔法だね。魔法を見るのは初めてかい?」
「わぁあぁっ! やっぱり魔法なんだっ! 凄いっ! 凄いぞっ!!」
まるで話を聞いていないスピーに対し、青年は苦笑いしつつも気付いた。
この目の前にいる小さな生き物は、もしかして……?
「君……、ピグモル族かい?」
「えっ!? ピグモルを知っているんですかっ!?」
更に表情を明るくして、驚くスピー。
「あぁ勿論。……いや、生きている者を見るのは初めてだね」
「うわぁっ! 白薔薇の騎士団の皆さん以外に、ピグモルを知っている人がいるなんて、驚きですっ!」
「あ、やっぱり……。じゃあ、あれかい? 村外研修とかいうやつでこの国へ来ているのかい?」
「おぉっ!? そこまで知っているんですね!」
魔法が使えて、尚且つ様々な事を知っていそうな青年に対し、スピーは羨望の眼差しを向ける。
……悲しい哉、ピグモルは相手を疑う事を知らない生き物である。
即ち、今現在スピーは、目の前の青年が何故そのような白薔薇の騎士団の内部事情を知っているのか、などという事は、全く疑問に思っていない。
そして青年は、そんな事を知ってか知らずか、スピーにこう告げた。
「良かったら……、そこの喫茶店でお茶でもどうだい?」
「えっ!? お茶!? 僕とっ!? わぁ~! 行きます行きます!!」
二つ返事で了承したスピーは、この出会って間もない、名前も知らない青年の後に、嬉々として付いていくのであった。
はむはむはむはむ……、ごっくん!
「美味しいっ! これっ! とっても美味しいですっ!!」
「そうかい、それは良かった♪」
甘い蜂蜜がたっぷりとかかったパンケーキを頬張るスピーを見ながら、青年は満足そうに笑って、口元に珈琲を運んだ。
「それで……、スピー君は、魔法を間近で見たくて、魔導師ギルドでの研修を希望しているんだね?」
「そうなんれす! れも、なかなか受け入れへもらへなくへ!」
口一杯にパンケーキを詰め込んだせいか、スピーの言葉は、青年には少々聞き取り辛いだろう。
それでも、心優しい青年は、なるほどね~と小さく呟いた。
喫茶店に到着したスピーは、初めての喫茶店、初めてのお茶、という事で、テンションがマックスまで上がっていた。
そして、初めてのパンケーキを注文し、手元に運ばれてくるまでの短時間で、これまでの経緯をペラペラと、青年に話して聞かせたのだった。
「でも……、じゃあ、もし明日中に研修先が見つからなかったら、どうなるんだい?」
青年の問い掛けに、それまでニコニコしながらパンケーキを食べていたスピーの動きが止まった。
そして、とても悲しそうな声で……
「研修先が、見つからなかったら……。一度村に戻って、研修場所を別の国にするか、もしくは、村外研修自体を辞めるか……、になりますね」
しょんぼりと肩を落とし、口をへの字に曲げるスピー。
さっきまではあんなに美味しかったはずのパンケーキも、今の一瞬で、口に運ぶ気力すら無くしてしまったようだ。
そんなスピーの様子を、青年は複雑な心境で見つめていた。
彼のその、複雑な心境の内容を説明すると……
目の前で落ち込むスピーが可愛い、とんでもなく可愛い、だからもっと虐めてみたい、しかしパンケーキを嬉しそうに食べるスピーも可愛かった、あの笑顔をもう一度見たい、あぁ、だけどやっぱり、落ち込んでるスピーの方が……、といった感じだ。
どうやらこの青年、見た目の平凡さとは裏腹に、その中身はなかなかにこんがらがっているらしい。
そして青年は思い付いた。
我ながら、なかなかに良い案だとニンマリする。
そしてその案に、必ずスピーがYESと言う事も、青年は確信していた。
「ねぇスピー。相談があるんだ」
「相談? 何ですか?」
「うん。実はね、僕はこの王都で小さな店を開いているんだけど、従業員が足りなくてね。普通に誰かを雇うにもお金がいるし、困ってたんだ。けど君の場合、賃金はそんなにもいらないんだろう? 村外研修の目的は、お金を稼ぐ事よりも、外の世界の文化を学んで、故郷の村へと持ち帰る事。だから……。スピー、僕の店で、働いてみないかい?」
にっこりと笑ってそう言った青年を前に、スピーはコキーン! と固まった。
本当に、氷水の中に入ったかのごとく、カチカチに固まった。
「……ん? え? スピー? お~い? 大丈夫かい?」
スピーの異変に気付き、その可愛らしい顔の前でヒラヒラと手を振る青年。
彼は内心、固まっているのなら、このまま連れて帰ってしまおうか、とかなり物騒な事を考えている。
「あ、はっ!? えっ!? えぇえっ!? ぼ、ぼぼぼぼ……、僕を雇ってくれるんですかぁっ!?」
我に返ったスピーは、驚嘆の声を上げる。
「うん。魔導師ギルドではないけれど、魔法の行使は日常茶飯事だからね。毎日飽きるほどに魔法を見られるよ。それに、僕も一端の魔導師だからね。職業認定証も持っているし、君の保護者になる許可も降りるはずだ。店はまぁ、小さいけれど、空き部屋はいくつかあるから安心して。住み込みで、朝昼夕の三食付き。お給料は月末払いで、1ヶ月につき20000センスでどうかな?」
「20000センス!? そんなにっ!?」
「驚く事はないよ。それくらいしか払えないから、逆に申し訳ないくらいだ。それでも良ければ僕は、是非君に、僕の店で働いてもらいたいな♪」
「わぁあああぁっ!!!」
青年の、とんでもなく爽やかで、全く害が感じられない好意的な笑顔に対し、スピーは目を輝かせる事しか出来なかった。
住む所も、ご飯の心配もせずに、魔法が毎日見られてお給料も沢山貰えるなんて……、なんて幸運なんだ僕はっ! と、心の中で叫んでいた。
「是非っ! 是非僕を、働かせてくださいっ!!」
「よし、決まりだね! じゃあ早速この後、白薔薇の騎士団の本部に出向いて、保護者申請をする事にしよう。さぁ、残りのパンケーキを食べるといいよ♪」
青年の笑顔にスピーは、自分がこの世で一番の幸せ者になったかのような、幸福に満ち満ちた表情になる。
「はいっ! ありがとうございますっ! よろしくお願いしますっ!! ……あ、ごめんなさい。お名前をまだ聞いてなかったですね」
「あぁ、そうだったね。僕の名前はスズキヒロト。ヒロトって呼んでね♪」
「ヒロトさん! はいっ! 改めて、よろしくお願いしますっ!!」
ぺこりと頭を下げたスピーは、今まで生きてきた中で一番の充実感、安堵感を抱きながら、パンケーキの残りを口に運んだ。
このスズキヒロトという名前の青年との出会いが、今後のスピーの人生……、もとい、ピグモル生を、大きく大きく変えた事を、スピー自身が知るのは、もっとずっと先の事であった。
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