最弱種族に異世界転生!?小さなモッモの大冒険♪ 〜可愛さしか取り柄が無いけれど、故郷の村を救う為、世界を巡る旅に出ます!〜

玉美-tamami-

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★ピタラス諸島、後日譚★

775:パクリ

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「僕が、本当は何者なのか……。それが今、君が知りたい事なのかい?」

 神様の声が響く。
 その問い掛けに俺は、小さな手でギュッと握り締めているメモ用紙の存在を、はたと思い出した。

 そうだ、俺には、神様に聞かなくちゃいけない事が、他に沢山あるんだ。
 ちゃんと……、ちゃんと聞かなくちゃ!

「おいで。こっちでゆっくり話そう。今日はたっぷりと時間があるからね」

 にこりと笑い、俺に向かって手招きする神様。
 俺はゴクリと生唾を飲み、神様の待つテーブルへと向かった。

 神様が引いてくれた椅子に腰掛けると、目の前のテーブルの上に、パッと、お洒落なティーカップが現れた。
 それと同時に、テーブルにはお洒落なティーポットも現れて、その注ぎ口からは上品な匂いを放つ湯気が漂っている。

 おーのぅ……、いっつぁ、べりーべりー、不思議マジック……
 神様ってば、何でもできちゃうのね、素晴らしい。

 もはや、考えても理解不能なので、ただただ驚きつつも、現状を飲み込むしか無い俺。
 だけども、この状況には、なんだか既視感があって……

 そういや最近、同じように驚いた経験があったな。
 あれは確か……、そう、封魔の塔の最上階にて、謎エルフのプラティック・リバイザデッドと対峙した時の事だ。
 彼も、ノリリアもビックリな摩訶不思議な魔法を使って、あっちこっちに物を……、いや、生き物を出現させていた。
 つまり、神様は彼と同じような事が出来るという事か?
 ……え??
 いやいや、逆に、プラティック・リバイザデッドの方が凄くない???
 神様と同じような事が出来るなんて、あいつこそ何者なんだ????

 と、今はさして重要ではない事を、俺が頭の中で考えていると……
 
「さて……、何から話そうか? モッモ、君は、ここまでの旅で何を知ったんだい?? そして今、何を知りたい???」

 何も話し出さない俺に対し、神様の方から問い掛けてくれた。

「あ……、えと………。あ、ここはいったい……、どこ、なんです?」

 咄嗟に質問する俺。
 だけど……

 いや、違うっ! 
 そんな事を聞きに来たんじゃ無いだろうっ!?

 頭の中の小さな俺が、勝手に喋る無計画な俺を叱責する。
 毎度毎度の事だが、我ながら失笑に絶えない。
 何も考えていないにも程があるってもんだ、ぬ~ん……

 しかしながら神様は、周囲に目を向けつつ、静かに答えてくれた。

「ここは、僕が創り出した、僕だけの為の空間さ。いわば……、そう、精神と時の部屋、だね」

 イタズラに笑う神様に対し、俺は……

 え? 精神と時の部屋って……、えぇ??
 それって、某有名少年漫画、ドラゴンボールのパクリじゃん???
 (作者のやつ、著作権侵害で訴えられるぞっ!?)

 妙な焦りが心の中に生まれて、目をパチクリする俺。
 すると神様は……

「はははっ! 君は本当に面白い反応をするねっ!? やはり、同郷の者を選んで良かったよ!! とても楽しいっ!!!」

 何が楽しいのかはサッパリ分からないが、出会って一番の笑顔で、物凄く楽しそうに笑っているではないか。
 (著作権侵害で作者が逮捕される事の何が、そんなに面白いのだろうか?)

「いや、あの……。神様? それって………、パクリなんじゃ…………??」

 ないんですかね???
 (訂正しろ神様っ! 作者が捕まるぞっ!? 物語が強制的に終わってしまうぞっ!??)

「ははっ、大丈夫大丈夫。物の例えだよ。ここは、僕や君が知っているような、某有名少年漫画に出てくる精神と時の部屋そのものとは、全く性質の異なる空間だからね。その証拠に、ここでは時の流れが止まっている。つまり、時間が経過しないんだよ。というか……、時間という概念そのものが存在しない、といった方が正解かな」

 え~? 何それ~??
 パクリじゃ無いなら良かったけど、その後の説明がちんぷんかんぷん過ぎる~。
 
「この世界で神を名乗る者……、つまり、神力を携えた者達は、自らの居場所を創造する事が出来る。それが神域テリトリー。ほら、君は以前、蛇神じゃしんつくもに出会った事があるだろう? コトコ島に存在する、あの紫色に染まった不思議な泉……、あそこは彼女の神域なのさ。その証拠に、火山噴火という最大級の災害にも影響を受ける事なく、そのまま、その場に在り続けている。ここも、あれと同じ感じだよ」

 は~ん……、なるほど………、そうなんですね。
 今、神様が言った事の九割が意味不明だった俺は、いつも通り、考えるのをやめた。
 つまりここは、神様の不思議部屋、という事だ、うん。

「僕は普段、この場所で、時の流れを見つめている。世界各地に窓を開けて、何か変わった事は無いか、何か出来る事は無いかと、探しているのさ。君も疑問に思っていただろう? 何故僕は、7日に一度しか世界に現れる事が出来ないのか……、そして、いつも急ぐ様にして、世界から去るのか……。それはつまり、歳を取らない為だ。ここを出て、世界に身を置くと、僕自身も時の流れの影響を受ける事になる。そうなると、目的を達成出来無いままに歳を取り、いずれは死んでしまう……」

 ほ~ん……、なるほど………、って、あん?
 神様も、歳をとって、死んでしまう事があるのか??
 それってなんか……、全然神様っぽく無くない???
 神様って、結局……、何者なんだ????

 俺の思考は最初の疑問へと戻るも、神様は……

「さて、話が逸れてしまったね。そろそろ本題に入ろうじゃないか。グレコに急かされてここに来たんだ、ちゃんと答えを持って帰らないと、また怒られてしまうよ?」

 神様の言葉に俺は、ハッとして、グレコのプチ切れ顔を思い出し、ぶるるっと身震いをした。

 そうだ、そうだよっ!
 ちゃんと聞いて帰らないと、またグレコに怒られちゃうっ!!

 そして、きつく握り締めたままだった為に、しわくちゃになってしまったメモ用紙を、そっと机の上に広げた。

 メモ用紙には、神様に質問したい疑問が五つ、書かれている。
 どれもとても重要で、答えが知りたいものばかりだ。
 とりあえず……、上から順番に、聞いていこうかしら?

「実に興味深いな。君はやはり、僕と同じ時代の記憶、同じ知識を持ち合わせているようだ」

「え? 何がですか??」

 独り言にも近い神様の言葉に、俺は問い掛けるも……
 
「いや、いいんだ、こっちの話だから。それよりも……、一番上から順番に、答えていこうか?」

 神様からの提案に、俺はコクンと頷いた。
 そして、メモ用紙に書かれている質問事項、その①を読み上げた。

【 ① この世界の正体は? ここは、地球なのか??】

「神様……、ここは、地球ですか?」

 先程の神様の言葉から推測するに、どうやら神様は俺と同郷らしい。
 つまり、この世界とは別の場所……、俺の前世の記憶の中にある地球の、日本の出身だという事になる。
 だけども、髪の色も瞳の色もそうだけど、その容姿は俺の知っている純日本人とは随分掛け離れている。
 だから神様は……、いや、神様も、もしかすると俺と同じ、転生者……、なのかも知れない。

 話を戻そう。
 俺と同郷の神様ならば、《地球》という言葉の意味も、説明せずとも分かるはずだ。
 そして、ここが本当に、地球なのかどうかも、きっと……、知っているはず!

「そうだよ、ここは地球だ」

 あ~~~~~~!?
 めっちゃあっさり認められたぁ~~~~~~!??

 あまりにも……、あまりにもサラッとそう言われた俺は、どう返事をしていいのか分からずフリーズする。

 え~、地球なんだ?
 いや、まぁ……、最近はね、そうかな~って思っていたし、そうだろうな~って予想はしていたけど……、本当に??
 なんて言うか、こう……、ねぇ???

「でも、あの……。神様? 僕の知っている地球とは、その……、全然違う、というか………??」

 俺の知っている地球と、この世界とが、全く同じものだとは到底思えない。
 何が違うのかって? いやいや、全部違い過ぎるでしょうよ。
 俺は、この世界は、どこか別の……、俺の前世の記憶の中にある地球や日本とは、全く別の場所であって、遠い遠い存在だと思っていたから……
 
 邪滅の書の、クトゥルーやニョグタといった神代の悪霊の説明欄には、《地球外生命体》という言葉が並んでいた。
 それはつまり、ここが地球であって、神代の悪霊はエイリアンである、という事に他ならない。
 だけど正直、半信半疑というか……、そもそもここが、この世界が地球だという証明も、俺には不可能な事だったから、あまり深くは考えていなかったのだけど……

 今、神様は、ここは地球だと明言した。
 その言葉が真実ならば、この世界はどうして、俺の知っている地球とは似ても似つかないのだろう?
 この世界は、俺の知っている地球の、過去??
 それとも、遠い未来の姿なのだろうか???

「そうだね。ここは、僕たちが知っている地球とは、随分と掛け離れた形の世界だ。その理由はね、僕たちが存在していた世界と、この世界とでは、同じ地球であっても、別の時間軸であるから……。つまりここは、《パラレルワールド》なんだよ」

 ぱぁあっ!?
 パラレルッ!!?
 パラレルワールド!!??

 ……………な、何それ?

 その後、俺が用意していた全ての質問に対し、終始にこやかに、穏やかに、神様は答えてくれた。
 それだというのに俺は、脳内メモリーの限界を感じながら、幾度となくフリーズを繰り返すのだった。
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