最弱種族に異世界転生!?小さなモッモの大冒険♪ 〜可愛さしか取り柄が無いけれど、故郷の村を救う為、世界を巡る旅に出ます!〜

玉美-tamami-

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★オーベリー村、蜥蜴神編★

103:バーバー族

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「リーシェ~!?」

   空に向かって、叫ぶ俺。

『は~い♪』

   すぐさまリーシェが飛んできた、のだが……
   あれ?   君は、リーシェ、……なの??

『モッモちゃん、 久しぶりっ♪   キャハハ♪』

   声と喋り方はリーシェなのだが、なんだかこう、成長した???

「リーシェ、なんか……、変わったね?」

『うふっ、わかる?   こないだヘマしちゃったからね、特訓したのよ♪』

   わぉ!   そうだったのね~。

   リーシェのピンクがかった半透明な体は、以前に比べて少し、大きくなっていた。
   なんかこう、小学校低学年だったのが、高学年になった感じ。
   背が伸びて、体つきも少し大人に近づいて、顔つきも以前よりシャキッとしている。

『それで、御用は何かしら?』

「あ、うん、グレコとギンロを迎えに行って欲しいんだ。たぶん、そう遠くない場所にいるんだけど」

『了解!  ちょっと探すから、モッモちゃんはここで待っててねん♪』

   ウィンクをして、リーシェは空へと飛んで行った。

   よし、これでグレコとギンロは大丈夫だ。
   あとは、カービィに説明を……

「ん?   カービィ、それ、何??」

   離れた場所に立っているカービィは、その片目に、何やら見慣れぬ金属製の物を当てている。
   真ん中にレンズのあるそれは、強いて言えば、短い望遠鏡のようだ。
   ただ、作りが複雑なのだろう、至る所にピントを調整するような出っ張りがある。
   
「モッモさん、おまい……。召喚師サマナーだったのか?」

   ……え?   なんて??   サウナ???





「召喚師っていうのは主に三つ種類があって、モッモさんのように精霊を呼ぶ精霊召喚師、悪魔を呼ぶ悪魔召喚師、魔物と契約を結んで時空転送を可能とする魔物召喚師。悪魔召喚師と魔物召喚師は一緒くたにされる事もあるけど、とりあえず、おいらはそう習った。さっきモッモさんが呼んでいたのは、風の精霊だろ?」

「うん、そう」

「は~ん……。ただの従魔じゃなさそうだとは思っていたけど……。SSSランクの生物で、さらには召喚師ってなると、もはや伝説級の存在ですな」

「……はい?」

   カービィは、何やら眉間に皺を寄せて、非常に難しそうな顔をして俺を見ている。

   エスエスエス……、ランク?
   何それ知らない、美味しいの??

   なんだかもう、いろいろと隠しているのが面倒臭く感じる俺。
   この際だ、ハッキリキッパリ言ってしまおう!

「実は僕、神様の」

   ガサガサガサッ!!!

「ひっ!?   何っ!??」

   背後で草が擦れる音がして、驚いて飛び退く俺。
   しかし、そこにいたのは、小さなトカゲだ。

「あ、なんだ、トカゲかぁ……、ビックリした」

「え?   トカゲ??」

「あ、うん、ここに……」

   俺が指差す先にいるのは、俺の体の半分ほどしかない小さなトカゲ。
   海のように真っ青なツルンとした体に、頭には黒い縦縞模様が入っている。
   大きな大きな爬虫類の目と、長い尻尾が特徴的だ。
   まぁ、トカゲにしちゃあ、ちょっと大きいな……

「おまえ、なにもの、?」

   ……え?   トカゲが喋った。

「モッモさん、離れろっ!」

   カービィが叫ぶ。
   と、同時に、俺の足に何かが引っかかって……

「ぎゃんっ!?」

   足が上へと引っ張り上げられ、俺はそのまま逆さまに吊し上げられた。
   ぶらんぶらんと宙に浮き、何が起きたのかと辺りを見回す。
   すると、どこからともなく現れた十数匹の青いトカゲの群れが、カービィを取り囲んだ。

「出たなっ!   バーバー族っ!!」

   バーバー族っ!?   こいつらがっ!??

   すかさずカービィは魔導書を取り出して開き、腰からスティックを抜き出し構える。
   ジリジリと迫る、小さなバーバー族たち。

「おまえ、そとのもの、ここ、いてはいけない」

   片言で話すバーバー族。
   そして、十数匹のバーバー族たちは、カービィ目掛けて一斉に飛びかかった!

   カービィっ!??

熟睡ヒュプノス!」

   何かの呪文を唱えたカービィの、スティックの先端がピカッ!   と輝いたかと思うと……

「ん?   あれ??   なんだか、眠、い……」

   俺は、逆さ吊りで宙に浮いたまま、深い眠りへと落ちていった。





「……モッモ、……モッモ!」

「う、う~ん?   もう朝ぁ~??」

「朝じゃないわよ!   もうすぐお昼っ!!」

「え~、そんなに寝てたの僕~。ん~、ん?   ここ、どこ??」

   寝惚け眼をこすり、目に映った景色にハッとする俺。
   なんだここ?   どこだ??   どこの森だっ!??

「もぉ~、しっかりしなさいよっ!」

   目の前には、真っ金金のグレコと、ギンロと、ピンクの……、あ、カービィか。

「えっとぉ……、そっか、確か……、迷いの森に行くって言って……」

   まだ頭がぼんやりしている俺は、なかなか現状が把握できない。
   見ると、すぐそばに、小さなトカゲが十数匹、縄に縛られた格好でスヤスヤと眠っている。

「モッモ、カービィと一緒に崖から落ちて、私たちが合流する直前にそこのバーバー族たちに襲われたのよ。カービィが眠りの魔法を行使してくれたから助かったけど、あなたも魔法にかかって寝ちゃったってわけ」

   あ~、そっかぁ~。
   うん、なんだかそうだった気がする~。

「悪いな、おいらの魔法、なかなか強力で」

   ヘラヘラと笑いながら謝るカービィ。
   ……謝る時は、笑わない方がいいぞ?

「リーシェが来てくれたから助かったけど……。さすがは迷いの森ね、進んでも進んでも、すぐに元いた場所に戻されたわ」

   あ、そうだったのか……

「もうすぐ真昼となる。太陽が西に向かえば、ここは薄暗くなるだろう。そうなる前に見つかって良かった」

   ギンロがニコリと笑う。
   ……その装備、いいな、カッコいいな。

「バーバー族も捕まえられたし、あとはこいつらが目を覚まして、槍の在り処を聞けば目的達成ね」

   お、おお~、なんか上手い具合に事が運んでいるようだな!

「じゃあとりあえず……、昼飯にしないか?   おいら、魔法使ったから、腹ペコで」

「そうね、とりあえずお昼にしましょうか」

「うむ。モッモよ、鞄を頼む」

「あ、はいはい」

   こうして俺たちは、無事、迷いの森で合流し、目的のバーバー族を捕らえ、和やかに昼食をとるのであった。

   しかし、ここから先に、あんな事が待っているなんて……
   この時は誰も、知る由もなかった。
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