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★オーベリー村、蜥蜴神編★
99:ぷって言っただろ今ぁっ!??
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ううう……、周りからの視線が気になるぅ……
前を歩くギンロの陰に隠れるようにして、村を歩く俺。
結局俺は、先ほどの防具屋で、赤と緑の子供用の武道着を買う羽目になってしまったのだった。
ダサいからいらないと、カービィに言ってみたのだが……
「見た目を気にするのはわかるが、おまいさんのその装備だと余りにも不安だ。いくらおいらが新進気鋭の白魔導師とはいえ、何かあった時の命の保証はできないぞ?」
なんて、脅すもんだから、仕方なく。
防具屋の試着室で着替えてみると、サイズはピッタリだし、ギンロが言うように着心地はかなり良い。
さっきまで着ていた服は、エルフの村であの美しいお姉さま方に仕立てて頂いたとってもお洒落なもので、だからこそ襟首のフリルがこそばかったり、袖口についた綺麗なボタンが何かにつけて引っかかったりと、不便といえば不便だったのだ。
だけど、それにしても……
「やっぱりダサい……」
試着室から出て、カービィ、ギンロ、防具屋のおじさんが見守る中、俺はボソッと本音を言ってしまった。
「いや~、確かに上下が色違いだから見栄えは良くないかも知れないが、森でも目立つだろうから迷子にはならないと思いますよ?」
去年の余り物であるこの服を売ってしまいたいのだろう、おじさんが妙なフォローを入れる。
しかし、その言葉がまるで子どもに向けたようなものだったので、俺は更に不機嫌になる。
「着心地はいいんだろ? なら、今回だけ我慢してくれよ?? 別に、一生その服で過ごしてくれって言ってるわけではないんだしさ……、ぷっ」
言っている事はまともだが、顔が嫌にヘラヘラと笑っているカービィ。
ほら見ろ、お前だって変だと思っているんだろう!?
ぷって言っただろ今ぁっ!??
「モッモよ……。命あってこそのものだ。背に腹はかえられぬぞ。我儘を言うでない」
ううう、ギンロまでぇ……
「わかったよぅ……。でもおじさん、僕にも何かオマケしてよねっ!?」
「もちろんもちろんっ!!」
防具屋のおじさんは、ヘコヘコと頭を下げながら、定価の半額である2500センスでこの子供用武道着を売ってくれた。
おまけにちゃっかり、皮のブーツとグローブも付けてもらった。
着替えるのが面倒だからと、そのまま隠れ身のローブをまとって、店の外へと出たのだが……
ううう……、みんなが俺の事を見て笑ってる気がするぅ……
隠れ身のローブは、その性能こそ神がかっていて超絶スペシャルなのだが、これも見栄えはさして良くない。
どちらかというと、年季の入った、古びたローブなのである。
エルフのお洒落着を中に着ていたおかげで、今まではさほど気にしてなかったが……
中がクリスマスカラーのダサい武道着となると話は別だ。
出来る限り視線を前のみに集中させ、俺は無心で歩くのだった。
「ふふっ、いいじゃない、案外似合っているわよ? ぶふふっ……」
村の食事処で適当に昼食を済ませ、デルグの家に帰った俺たち。
テーブルで、デルグと共に昼食をとっていたグレコは、俺を見るなり「ぶっ!?」と吹き出した。
そして、上のセリフだ……
畜生っ! 俺だって、俺だってなぁっ!!
本当はギンロみたいにカッコいい服が良かったんだぁっ!!!
心の叫びを押し殺し、プルプルと小刻みに震える俺。
「あ~でも、港町ジャネスコにはもっと沢山の種類の防具屋がありますから、また買い換えればいいですよ。どうせ森に行けば汚れるんだし、装備品なんて消耗品ですしね。あのお洒落な服を汚すより、そのどうでもいい服を汚す方が気楽でしょ?」
うん、まぁ、確かにそうだな。
あのエルフのお洒落着がドロドロに汚れるのは嫌だな。
それでなくても、ここまでの旅でかなりくたびれてしまっているし……
デルグの言葉に頷きながら、俺はようやく、羞恥心の渦から抜け出せたのだった。
そして今。
午後からは、デルグの畑だという高原ベリーの収穫をみんなで手伝って、日が落ちてからみんなで晩飯を食べて、デルグの家にある風呂場で男共みんなで水浴びをして……
で、俺たちは寝床についた。
明日からは、迷いの森と呼ばれる恐ろしそうな森を見歩くのだ、今夜はゆっくり休まないとな……
と、思ったのだが……
「ぐご~! ぐご~!! ぴぃ~」
隣で眠るカービィのいびきが、かなり五月蝿い。
そんな中でもグレコとギンロは、さすがというか、図太さ全開でぐっすりと眠っている。
はぁ……、耳が良すぎて眠れない。
体に掛けていた薄っぺらい布団を引きずって、部屋を出る俺。
タンタンタンと、階段を下りて、一階の部屋を覗き見る。
するとそこには、小さなランプの光に照らされて、何やら作業をするデルグの姿があった。
「デルグ?」
「うわぁっ!? なんっ!?? あ、モッモさんか、驚いたぁ~」
心底驚いた表情で、階段の途中にいる俺を見るデルグ。
デルグはいつの間にか、マーゲイ族の姿から普通の人間の姿へと戻っていた。
「ごめん、驚かせちゃったね」
タンタンタンと、階段を下りる俺。
「あ、うん……、僕がビビリなんだよ、こちらこそごめんね」
デルグは、何故だか俺には敬語を使ってくれない。
グレコとギンロには敬語のくせに……
言っておくけど、ギンロと俺は同い年なんだからね?
見た目がちょっとあれだけど……
「何してるの?」
「あ、これ? 明日カービィに持たせようと思って……。マーゲイ族に伝わる、ウェインのお守り」
ほう? 魔法アイテムかな??
「特に何か特別な効能があるわけじゃないんだけど、旅立つ者には持たせる風習が昔からあるんだ。前にあげたやつはさすがにもう持ってないだろうからね、八年も前だし」
なるほど、ただのお守りか。
「本当は僕もついて行きたいんだけど、旅をした事もない僕が行ったところで、お荷物になるだけだからね。ここでみんなの帰りを待つことにしたんだよ」
「そっかぁ……」
けどデルグ、お荷物はここにもいるぞ?
ほら、ここここ、俺もお荷物なんだぞ??
「カービィは、どこまで自分のことを話したのかな?」
「どこまでって……。ここの村出身だとか、魔法王国フーガの魔法学校を首席で卒業したとか……、それくらいかなぁ? ずっとドヤ顔してたよ」
「そっか、ははは、カービィらしいや。けど、これはまだ言ってないんじゃない? カービィの尻尾の話」
尻尾の話? それは聞いていないな……
ていうか、カービィに尻尾って、あったっけ??
前を歩くギンロの陰に隠れるようにして、村を歩く俺。
結局俺は、先ほどの防具屋で、赤と緑の子供用の武道着を買う羽目になってしまったのだった。
ダサいからいらないと、カービィに言ってみたのだが……
「見た目を気にするのはわかるが、おまいさんのその装備だと余りにも不安だ。いくらおいらが新進気鋭の白魔導師とはいえ、何かあった時の命の保証はできないぞ?」
なんて、脅すもんだから、仕方なく。
防具屋の試着室で着替えてみると、サイズはピッタリだし、ギンロが言うように着心地はかなり良い。
さっきまで着ていた服は、エルフの村であの美しいお姉さま方に仕立てて頂いたとってもお洒落なもので、だからこそ襟首のフリルがこそばかったり、袖口についた綺麗なボタンが何かにつけて引っかかったりと、不便といえば不便だったのだ。
だけど、それにしても……
「やっぱりダサい……」
試着室から出て、カービィ、ギンロ、防具屋のおじさんが見守る中、俺はボソッと本音を言ってしまった。
「いや~、確かに上下が色違いだから見栄えは良くないかも知れないが、森でも目立つだろうから迷子にはならないと思いますよ?」
去年の余り物であるこの服を売ってしまいたいのだろう、おじさんが妙なフォローを入れる。
しかし、その言葉がまるで子どもに向けたようなものだったので、俺は更に不機嫌になる。
「着心地はいいんだろ? なら、今回だけ我慢してくれよ?? 別に、一生その服で過ごしてくれって言ってるわけではないんだしさ……、ぷっ」
言っている事はまともだが、顔が嫌にヘラヘラと笑っているカービィ。
ほら見ろ、お前だって変だと思っているんだろう!?
ぷって言っただろ今ぁっ!??
「モッモよ……。命あってこそのものだ。背に腹はかえられぬぞ。我儘を言うでない」
ううう、ギンロまでぇ……
「わかったよぅ……。でもおじさん、僕にも何かオマケしてよねっ!?」
「もちろんもちろんっ!!」
防具屋のおじさんは、ヘコヘコと頭を下げながら、定価の半額である2500センスでこの子供用武道着を売ってくれた。
おまけにちゃっかり、皮のブーツとグローブも付けてもらった。
着替えるのが面倒だからと、そのまま隠れ身のローブをまとって、店の外へと出たのだが……
ううう……、みんなが俺の事を見て笑ってる気がするぅ……
隠れ身のローブは、その性能こそ神がかっていて超絶スペシャルなのだが、これも見栄えはさして良くない。
どちらかというと、年季の入った、古びたローブなのである。
エルフのお洒落着を中に着ていたおかげで、今まではさほど気にしてなかったが……
中がクリスマスカラーのダサい武道着となると話は別だ。
出来る限り視線を前のみに集中させ、俺は無心で歩くのだった。
「ふふっ、いいじゃない、案外似合っているわよ? ぶふふっ……」
村の食事処で適当に昼食を済ませ、デルグの家に帰った俺たち。
テーブルで、デルグと共に昼食をとっていたグレコは、俺を見るなり「ぶっ!?」と吹き出した。
そして、上のセリフだ……
畜生っ! 俺だって、俺だってなぁっ!!
本当はギンロみたいにカッコいい服が良かったんだぁっ!!!
心の叫びを押し殺し、プルプルと小刻みに震える俺。
「あ~でも、港町ジャネスコにはもっと沢山の種類の防具屋がありますから、また買い換えればいいですよ。どうせ森に行けば汚れるんだし、装備品なんて消耗品ですしね。あのお洒落な服を汚すより、そのどうでもいい服を汚す方が気楽でしょ?」
うん、まぁ、確かにそうだな。
あのエルフのお洒落着がドロドロに汚れるのは嫌だな。
それでなくても、ここまでの旅でかなりくたびれてしまっているし……
デルグの言葉に頷きながら、俺はようやく、羞恥心の渦から抜け出せたのだった。
そして今。
午後からは、デルグの畑だという高原ベリーの収穫をみんなで手伝って、日が落ちてからみんなで晩飯を食べて、デルグの家にある風呂場で男共みんなで水浴びをして……
で、俺たちは寝床についた。
明日からは、迷いの森と呼ばれる恐ろしそうな森を見歩くのだ、今夜はゆっくり休まないとな……
と、思ったのだが……
「ぐご~! ぐご~!! ぴぃ~」
隣で眠るカービィのいびきが、かなり五月蝿い。
そんな中でもグレコとギンロは、さすがというか、図太さ全開でぐっすりと眠っている。
はぁ……、耳が良すぎて眠れない。
体に掛けていた薄っぺらい布団を引きずって、部屋を出る俺。
タンタンタンと、階段を下りて、一階の部屋を覗き見る。
するとそこには、小さなランプの光に照らされて、何やら作業をするデルグの姿があった。
「デルグ?」
「うわぁっ!? なんっ!?? あ、モッモさんか、驚いたぁ~」
心底驚いた表情で、階段の途中にいる俺を見るデルグ。
デルグはいつの間にか、マーゲイ族の姿から普通の人間の姿へと戻っていた。
「ごめん、驚かせちゃったね」
タンタンタンと、階段を下りる俺。
「あ、うん……、僕がビビリなんだよ、こちらこそごめんね」
デルグは、何故だか俺には敬語を使ってくれない。
グレコとギンロには敬語のくせに……
言っておくけど、ギンロと俺は同い年なんだからね?
見た目がちょっとあれだけど……
「何してるの?」
「あ、これ? 明日カービィに持たせようと思って……。マーゲイ族に伝わる、ウェインのお守り」
ほう? 魔法アイテムかな??
「特に何か特別な効能があるわけじゃないんだけど、旅立つ者には持たせる風習が昔からあるんだ。前にあげたやつはさすがにもう持ってないだろうからね、八年も前だし」
なるほど、ただのお守りか。
「本当は僕もついて行きたいんだけど、旅をした事もない僕が行ったところで、お荷物になるだけだからね。ここでみんなの帰りを待つことにしたんだよ」
「そっかぁ……」
けどデルグ、お荷物はここにもいるぞ?
ほら、ここここ、俺もお荷物なんだぞ??
「カービィは、どこまで自分のことを話したのかな?」
「どこまでって……。ここの村出身だとか、魔法王国フーガの魔法学校を首席で卒業したとか……、それくらいかなぁ? ずっとドヤ顔してたよ」
「そっか、ははは、カービィらしいや。けど、これはまだ言ってないんじゃない? カービィの尻尾の話」
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