476 / 801
★寄り道・魔法王国フーガ編★
464:魔法王国フーガ、王都フゲッタ
しおりを挟む
「うぅ……、う~ん?」
「お? 気がついたか?? お~い、モッモ~???」
カービィの声がする。
俺はゆっくりと瞼を上げた。
「ここは……、どこ?」
視界に映るのは、見慣れない白い天井。
重厚感ある焦げ茶色の柱と、品の良い薄水色の小花柄の壁。
むくっと身を起こすと、そこにはカービィと、フーガに帰ったはずのメイクイとメラーニアの姿があった。
「ありゃ? 二人共……、どうしてここにいるの??」
寝ぼけ眼の俺の言葉に、メイクイが苦笑する。
「駄目だこりゃ、完全に記憶飛んでやがるな。まぁ、初めての長距離空間移動の後だとこんなもんですかね?」
メイクイがカービィに目配せする。
「んだ。吐かなかっただけで偉いと思うぞ!」
腕組みをし、何度も深く頷くカービィ。
「あははは! 僕は吐いたからねっ!!」
吐いた事の何が面白いのか……、メラーニアは爆笑している。
あのぉ~、えっとぉ~……
何がどうなったんだっけ?
ぼんやりとする頭で、記憶を遡る俺。
そして思い出す。
「あっ!? そっか!! フーガに来たんだっ!??」
そうだよそうだよ!
ノリリアの付き添いで、星雲のペンダントってやつを使って、魔法王国フーガに飛んだんだ!!
星雲のペンダントの空間移動魔法は、本当に空を飛んで移動するという、かなり荒技な魔法だった。
前世のテレビゲームで、フィールドから町まで一瞬で飛んで移動できる魔法があったように思うが……、リアルだとあんな感じなんだな。
未だに全身の毛並みが後ろへとピシッ! と流れていて、前方から受けていた風がいかに強かったのかが伺い知れる。
正直あれなら、風の精霊リーシェがふざけて俺を運んでた頃と大差ない。
そう考えると、神様がくれた導きの腕輪は、本当に凄い性能だ。
瞬き一つすれば、もう目的の場所にいるんだから。
改めて、神様凄い! と俺は思うのだった。
……で、ここはどこなんだろう?
部屋にあるのは、俺の寝転んでいる大きなベッドと、同じものが隣に一つ。
カービィとメイクイとメラーニアが座っている椅子が三つと、窓が一つ。
……ん? 窓??
不意に視線を向けた先にある窓の外は暗い。
そして、キラキラと七色の光がちらついている。
「今こっちは夜なんだ。時差ってやつだな~」
ヘラヘラと笑うカービィ。
するとメイクイが立ち上がって、その窓を開けてくれた。
「ようこそ。魔法王国フーガの王都、フゲッタへ♪」
ニヤリと笑うメイクイに誘われて、窓の外を見る俺。
そこには……
「う……、うわぁああぁぁ~っ!!!!!」
あまりにも幻想的な街並みが広がっていた。
丸く青い月が輝く夜空の下、星々の煌めきに負けないほどに眩しい七色の光の数々に、俺の顔はほころぶ。
色とりどりの屋根の、煉瓦造りの建物が並ぶこの町は、沢山の光に満ちている。
立ち並ぶ街灯のオレンジ色の眩しい光。
大きな街路樹から放たれる青く淡い光。
それらを反射するのは、整備された石畳の道。
道は、一見するとガラスのようにも見えるが、光沢があるだけであれはきっと石だと思われる。
その石畳も、建物同様様々なパステルカラーで彩られており、町は鮮やかな色で溢れていた。
なんじゃこりゃあっ!?
イッツア、ベリーベリー、ファンタスティック!!!
何あの街灯!?
お洒落すぎじゃねっ!??
ディテールめちゃアンティークで最高っ!!!
それに、木っ!
なにあの木っ!?
なんで光放ってんの!??
蛍? 蛍なの?? 違うよね???
建物すっげぇ綺麗だしっ!
いろんな色で可愛いしっ!!
石畳すら可愛いしっ!!!
てか……、やべぇええぇぇっ!!!!
……まぁ、俺の語彙力はさておきだ。
魔法王国フーガの王都フゲッタは、想像通り……、いや、想像以上に幻想的で、美しい町だった。
建物は、店を開いているものがほとんどで、そこに並べられている品々は、当たり前だが見た事のない物ばかりである。
そして、そこに存在する者達も、見たことの無い姿の種族ばかり。
ただ一つ彼らに共通しているのは、色や形は違えども、魔導師らしきローブを身につけている事。
つまり、今俺の目の前にある光景は、とてつもなくファンタジーな世界だった。
数多の魔導師がひっきりなしに行き交う王都、フゲッタは、空はもう真っ暗だというのに、明るい光と活気に満ち溢れていた。
マジでやべぇ……
俺、本当に来たんだ。
世界一の魔法王国、フーガに。
とうとう来たんだぁあっ!!!
キラキラとした眼差しで、街並みを見つめる俺。
どうやら俺が今いる場所は、比較的高地の建物の二階以上の部屋のようで、美しい王都の街並みがとても遠くまで見通せる。
しばらくの間俺は、窓にかじりついたまま、外を眺めていた。
「ははは! 想像以上に良い反応するなぁ~!! ほんと、モッモは単純だよな!!!」
必死な俺の様子に、メイクイが笑う。
「なははは! おいらも最初にここに来た時にゃ、そんな感じだったよ。世界的に見ても、王都フゲッタほど魅力的な町はねぇ!!」
うんうんと頷くカービィ。
「あはは! 僕も最初は、あまりにも沢山周りに物があるから、世界がひっくり返ったのかと思ったよ!!」
訳の分からない感想を述べるメラーニア。
「ねぇっ!? 外!! 外に行こうよっ!!?」
テンションマックスで、カービィを誘う俺。
しかしながら、その言葉を聞いた途端、今まで笑っていた三人が真顔になる。
「ねぇ! 外にっ!!」
早く街に出たくて、そわそわとする俺。
だけど……
「今は無理だ」
色のない声で、カービィが静止する。
「え!? 無理っ!?? なんでっ!?!? てか……、ここはどこ??」
ふと冷静になり、尋ねる俺。
そういや、ノリリアもいないぞ……?
「ここは、白薔薇の騎士団のギルド本部の宿舎だ。そして、おいらとモッモは今……、この部屋に軟禁されてんだよ」
いつも通りのヘラヘラ顔で、カービィはそう言った。
な……、なん……、軟禁っ!?
ななな、なんで軟禁んんんっ!??
「お? 気がついたか?? お~い、モッモ~???」
カービィの声がする。
俺はゆっくりと瞼を上げた。
「ここは……、どこ?」
視界に映るのは、見慣れない白い天井。
重厚感ある焦げ茶色の柱と、品の良い薄水色の小花柄の壁。
むくっと身を起こすと、そこにはカービィと、フーガに帰ったはずのメイクイとメラーニアの姿があった。
「ありゃ? 二人共……、どうしてここにいるの??」
寝ぼけ眼の俺の言葉に、メイクイが苦笑する。
「駄目だこりゃ、完全に記憶飛んでやがるな。まぁ、初めての長距離空間移動の後だとこんなもんですかね?」
メイクイがカービィに目配せする。
「んだ。吐かなかっただけで偉いと思うぞ!」
腕組みをし、何度も深く頷くカービィ。
「あははは! 僕は吐いたからねっ!!」
吐いた事の何が面白いのか……、メラーニアは爆笑している。
あのぉ~、えっとぉ~……
何がどうなったんだっけ?
ぼんやりとする頭で、記憶を遡る俺。
そして思い出す。
「あっ!? そっか!! フーガに来たんだっ!??」
そうだよそうだよ!
ノリリアの付き添いで、星雲のペンダントってやつを使って、魔法王国フーガに飛んだんだ!!
星雲のペンダントの空間移動魔法は、本当に空を飛んで移動するという、かなり荒技な魔法だった。
前世のテレビゲームで、フィールドから町まで一瞬で飛んで移動できる魔法があったように思うが……、リアルだとあんな感じなんだな。
未だに全身の毛並みが後ろへとピシッ! と流れていて、前方から受けていた風がいかに強かったのかが伺い知れる。
正直あれなら、風の精霊リーシェがふざけて俺を運んでた頃と大差ない。
そう考えると、神様がくれた導きの腕輪は、本当に凄い性能だ。
瞬き一つすれば、もう目的の場所にいるんだから。
改めて、神様凄い! と俺は思うのだった。
……で、ここはどこなんだろう?
部屋にあるのは、俺の寝転んでいる大きなベッドと、同じものが隣に一つ。
カービィとメイクイとメラーニアが座っている椅子が三つと、窓が一つ。
……ん? 窓??
不意に視線を向けた先にある窓の外は暗い。
そして、キラキラと七色の光がちらついている。
「今こっちは夜なんだ。時差ってやつだな~」
ヘラヘラと笑うカービィ。
するとメイクイが立ち上がって、その窓を開けてくれた。
「ようこそ。魔法王国フーガの王都、フゲッタへ♪」
ニヤリと笑うメイクイに誘われて、窓の外を見る俺。
そこには……
「う……、うわぁああぁぁ~っ!!!!!」
あまりにも幻想的な街並みが広がっていた。
丸く青い月が輝く夜空の下、星々の煌めきに負けないほどに眩しい七色の光の数々に、俺の顔はほころぶ。
色とりどりの屋根の、煉瓦造りの建物が並ぶこの町は、沢山の光に満ちている。
立ち並ぶ街灯のオレンジ色の眩しい光。
大きな街路樹から放たれる青く淡い光。
それらを反射するのは、整備された石畳の道。
道は、一見するとガラスのようにも見えるが、光沢があるだけであれはきっと石だと思われる。
その石畳も、建物同様様々なパステルカラーで彩られており、町は鮮やかな色で溢れていた。
なんじゃこりゃあっ!?
イッツア、ベリーベリー、ファンタスティック!!!
何あの街灯!?
お洒落すぎじゃねっ!??
ディテールめちゃアンティークで最高っ!!!
それに、木っ!
なにあの木っ!?
なんで光放ってんの!??
蛍? 蛍なの?? 違うよね???
建物すっげぇ綺麗だしっ!
いろんな色で可愛いしっ!!
石畳すら可愛いしっ!!!
てか……、やべぇええぇぇっ!!!!
……まぁ、俺の語彙力はさておきだ。
魔法王国フーガの王都フゲッタは、想像通り……、いや、想像以上に幻想的で、美しい町だった。
建物は、店を開いているものがほとんどで、そこに並べられている品々は、当たり前だが見た事のない物ばかりである。
そして、そこに存在する者達も、見たことの無い姿の種族ばかり。
ただ一つ彼らに共通しているのは、色や形は違えども、魔導師らしきローブを身につけている事。
つまり、今俺の目の前にある光景は、とてつもなくファンタジーな世界だった。
数多の魔導師がひっきりなしに行き交う王都、フゲッタは、空はもう真っ暗だというのに、明るい光と活気に満ち溢れていた。
マジでやべぇ……
俺、本当に来たんだ。
世界一の魔法王国、フーガに。
とうとう来たんだぁあっ!!!
キラキラとした眼差しで、街並みを見つめる俺。
どうやら俺が今いる場所は、比較的高地の建物の二階以上の部屋のようで、美しい王都の街並みがとても遠くまで見通せる。
しばらくの間俺は、窓にかじりついたまま、外を眺めていた。
「ははは! 想像以上に良い反応するなぁ~!! ほんと、モッモは単純だよな!!!」
必死な俺の様子に、メイクイが笑う。
「なははは! おいらも最初にここに来た時にゃ、そんな感じだったよ。世界的に見ても、王都フゲッタほど魅力的な町はねぇ!!」
うんうんと頷くカービィ。
「あはは! 僕も最初は、あまりにも沢山周りに物があるから、世界がひっくり返ったのかと思ったよ!!」
訳の分からない感想を述べるメラーニア。
「ねぇっ!? 外!! 外に行こうよっ!!?」
テンションマックスで、カービィを誘う俺。
しかしながら、その言葉を聞いた途端、今まで笑っていた三人が真顔になる。
「ねぇ! 外にっ!!」
早く街に出たくて、そわそわとする俺。
だけど……
「今は無理だ」
色のない声で、カービィが静止する。
「え!? 無理っ!?? なんでっ!?!? てか……、ここはどこ??」
ふと冷静になり、尋ねる俺。
そういや、ノリリアもいないぞ……?
「ここは、白薔薇の騎士団のギルド本部の宿舎だ。そして、おいらとモッモは今……、この部屋に軟禁されてんだよ」
いつも通りのヘラヘラ顔で、カービィはそう言った。
な……、なん……、軟禁っ!?
ななな、なんで軟禁んんんっ!??
0
お気に入りに追加
496
あなたにおすすめの小説
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
深遠の先へ ~20XX年の終わりと始まり。その娘、傍若無人なり~
杵築しゅん
ファンタジー
20XX年、本当にその瞬間がやってきた。私は宇宙の管理者に1番目の魂の扉に入るよう指示され、扉を開け一歩踏み出したところで、宇宙の理の渦(深遠)の中に落ちていった。気付けば幼女に・・・これはもう立派な宇宙人として、この新しい星で使命を果たすしかない・・・と思っていたこともありました。だけど使命を果たせるなら、自由に生きてもいいわよね? この知識や経験を役立てられるなら、ちょっとくらい傍若無人でいいってことよね? 暗殺者や陰謀なんて無関係に生きてきたのに、貴族の事情なんて知ったこっちゃないわ。早く産業革命してラブロマンスを書くのよ!
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる