最弱種族に異世界転生!?小さなモッモの大冒険♪ 〜可愛さしか取り柄が無いけれど、故郷の村を救う為、世界を巡る旅に出ます!〜

玉美-tamami-

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★ピタラス諸島第二、コトコ島編★

339:火山灰

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   翌朝……、世界は灰色になっていた。

   一晩中降り続いた雨は朝方に止んで、噴火による火山灰だけが未だに降り続いている。
   火山灰はそこら中に降り積もって、雨に濡れて固まって、そこにある景色を灰色に染めていた。
   コニーデ火山の火口より溢れ出たマグマは、勢いこそ衰えたものの、まだまだ沢山流れてきている。
   グツグツというマグマが煮えたぎる音が、辺りには響いていた。

「外に出る時はこの防護服を着用するポね。火山灰は体に良くないポ、必ず身につけてポ」

   ノリリアに手渡されたのは、騎士団のトレードマーク入りの、雨ガッパのようにテラテラした真っ白な服。
   上下が繋がっていて、一見すると宇宙服のようだ。
   目元にある大きなレンズの入ったゴーグルが付いている部分意外は、体のほぼ全面が隠れる使用となっている。
   言われた通りにそれを装着すると、体の大きさがさほど変わりない俺とカービィとノリリアは、どれが誰だかわからなくなってしまった。

   それにしても、暑苦しいし息がし辛い。
   火山灰が体に悪いのは分かるけど、これで外を歩くなんて地獄だな。
   ……う~ん、テントに引きこもっていようか?

「衛生班メンバーとカービィちゃんは、怪我した鬼族達の治療に向かってポ。ベンザさんのお家に怪我人が集まっているはずポから、真っ直ぐそこへ向かってポね。レイズンとあたちは、マグマの川の様子を見に行くポ。残りのメンバーは、アイビーの指示に従って、壊れてしまった鬼族達の村の修復に回ってポね。正午には必ずテントに戻って来る事、お昼休憩するポ。それから、もし何かトラブルがあった時は、勝手に行動せずにテントに戻ってポ。テントにはインディゴが残ってくれるポね。何事も、無理は禁物ポ。くれぐれも無茶しないように! それじゃあみんな、行動開始ポ!!」

「おーーーーーーっ!!!」

   皆さん、とっても元気な掛け声ですね。
   テキパキと出かける用意をしてらっしゃって、やる気に満ち満ちてますね。
   そんな彼らのそばに立つ俺はというと……
   防護服のせいで既に軽く酸欠状態。
   ほら見て? ゴーグルの内側が白く曇ってますよ??
   こんな状態で外に出るの? ほんとに??
   軽く死ねる……

「ん? あ~、なはは! モッモおまい、通気口が塞がってるぞ~??」

   カービィがそう言って、背中側にある何かをポンッ! と外した。
   すると、プシューという音と共に、みるみるうちに防護服の中の空気が新鮮になって、ゴーグルの曇りも消えた。

   なんてこった!?
   使用方法を間違えてたのかよ俺ってば!!?

   スー……、ハァアァァ~~~。
   うん、問題ない!
   正常に息が出来ますねっ!!

「ありがとう、カービィ!」

「おうよ! そいで……、おまいはどうするんだ? 復興の手伝いったって、おまいじゃ何処行っても足手まといだろう?? 足手まといどころか、邪魔者扱いされやしねぇか???」

「うっ……、それは……。そうかも知れないけど、もうちょっと違う言い方ないの?」

「なっはっはっ! 遠回しに言われた方が傷つくだろうが?」

   それもそうだけどさ。
   邪魔者て……
   仮にも、村を救った一人でもあるんだぞ俺は!?  
   邪魔者てぇっ!!!

「モッモ、私と一緒に姫巫女様のところに行かない?」

   防護服に身を包んだグレコが話しかけて来た。

「え? 桃子のとこに?? ……まぁ確かに、これからどうするのかとか、ちょっと気になるな。志垣の事も心配だし……。でもいいの? グレコは復興のお手伝いしなくて」

「まぁ、モッモほどじゃないけど、私も足手まといになりそうだしね。ほら、私って非力でしょ? ピグモルの村じゃ活躍できても、ここでの土木作業には、私の力なんて不必要よ。それに、今のうちに会いに行っておかないと、たぶんもう二度と、姫巫女様に会えないわよ? ノリリアの話だと、明日の昼にはここを発つんでしょ?? だったら、ゆっくりお別れが言えるのも、今日しかないわ」

   ふむ、なるほど、一理あるな。
   ……しかしながらグレコよ、モッモほどじゃないって、これまた失礼だな。
   昨日からちょいちょい、俺に対して酷い事言ってるよね君。
   緊張が解けたから、通常運転に戻ったって感じかしらね?
   ……でも出来ればさ、もうちょい俺に優しくしてくれな~い??
   
「わかった。じゃあ、ノリリアにはおいらから伝えておくよ。ギンロにはここで安静にしておくように言ってあるから……、ていうか、さすがにまだ動けねぇだろうしな。二人とも、気をつけて行って来いよ~」

「うん、カービィも気をつけてね」

「また後で!」

   カービィにその場を任せて、俺たちは騎士団の皆さんより一足先に、テントを後にした。





   火山灰がパラパラと降り積もる道を、防護服に包まれた俺とグレコが歩く。
   なんだか、人類が初めて月面着陸したような絵面だな……、見た事ないけどね、ははは。

   紫族の東の村に着くと、村の風景は一変していた。
   無理もないな、前日の戦いで荒れ果て、火山の噴火による地響きで家が崩れて、その上に火山灰が降り積もっているんだもの。
   まるで別の場所のように思える。

   鬼族達は、既に復興作業を始めていた。
   彼らの様子が少し違って見えるのは、火山灰から身を守る為に、村の周りに生えている木々の大きな葉でつばの深い帽子を作り、口元に布を巻いているからだろう。
   なんだか、どっかの盗賊団みたい……

   そんな彼らは、俺とグレコを見てギョッとした。
   ……そりゃそうか、俺たちの格好の方がかなり異質だよね。
   だけど、さすがというべきか、自分のしている格好の事なんて全く気にしてないグレコが、ヒラヒラと手を振りながら堂々と歩いて行くもんだから、鬼達もこちらが誰だか分かったようで、襲ってくる事はなかった。

   灰だらけの村の中をずんずんと歩き、俺とグレコは姫巫女様のお住まいへと辿り着いた。
   そこにあったのは……

「えっ!? えぇ~!?? あ、そうか、アメコのせいで……?」

「これはまた……。酷いわね」

   見る影もなく崩れ落ち、ただの木材の山となった、神社仏閣風の建物の残骸だった。
      
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