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2章

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仕事終わりに今日の一杯。朝に飲んでも同じミルクなはずなのに、すごく美味しい気がするんだよなぁ。染み渡る!って感じ。
依頼を終えて食堂でお酒飲んでワイワイしてる冒険者達も同じ感じなんだろなー。わかるぜ!その解放感!

晩御飯には早い時間だけどカウンター横のテーブルでお酒片手に盛り上がってる3人組が楽しそう。見かけない人達だからエリカで依頼完了して打ち上げって感じかな。おつかれさまです!


「ダスさん、子ども攫うのってリスクの方が高くない?」

俺は今日の疑問をミルクを持ってきてくれたダスさんに尋ねる。毎日その日わからなかったことをダスさんに教えてもらってるんだ。

「そりゃリスクは高い。だが手に入りにくいからこそ成功したときのリターンもでかい。攫った奴らが子どもを必要としている訳ではなく、子どもを手に入れたい奴が高い報酬を出して実行役を雇ってるんだ。だから被害者は1人じゃ済まない」

どっちにしろクソ野郎だがな。って吐き捨てる。

「難しいのは実行役だけを捕まえても被害を完全に無くすことはできないってことだ。欲しがって報酬を出してる雇い主も見つけ出さないとダメだ」

うーん。難しいなー。俺には生け捕りとか無理だしなー。

「カイトの場合は深追いせずにすぐギルドに知らせることだな」
「わかった」

ヨシヨシって頭ポンポンしてダスさんは注文を聞きに行った。
俺はもし人攫いを見つけたらどうするかを考えてみる。
後をつけてアジトを見つける。とか?後で場所がわかるように目印があるといいかなぁ。パチンコの玉を目立つ色に変えて一粒ずつ落としていくとか!?
いやいや…うーん…

「なあ、お前さ、戻ったらアイツと暮らすのか?待ってろって言って来たんだろ?」
「いやぁ、こないだの村でさ、もっと相性いい子が見つかったからもうアイツはいいかなーって」
「なんだそれ、ひっでぇなぁー」

カウンター横の3人組。
ギャハハって笑う声はかなり酔っ払ってる。けど…

「アイツはアイツでいいんだぜ?好みのタイプだったし」
「あんなに追いかけ回してたのに、お前はそんなんばっかりだな!」
「相性ってあるだろうよ!もっと上には上があってだな「あ、あの!」」
「ん?」

気になる。たぶんこの人は好きな人がいたけどもっと好きな人を見つけたってことだよな?

「相性って何ですか?」
「ぉっ。恋のハンターの俺様の武勇伝が聞きたいってか?」
「いえ…あの、相性っていうので好きになる人が変わるんですか?」
「あー、お前、コイツの言うこと信じちゃダメだから」
「なんでだよ、お前の方がモテないだろうが」
「相性ってどうやってわかるんですか?」

ギィも俺よりあの人の方が相性が良いってことに気づいたのかな?

「んー?確かめてみるか?」

俺との相性。って言いながら武勇伝持ちの人が俺の右手を握ってくる。
手相みたいなこと?でもなー。

「いえ、あなたとの相性は別にいらないんで…」
「なんでだよ。確かめてみたらいいかもよ?俺の勘はばっちりだって言ってるぜ?」

手の甲を親指でスリスリされてるけど、特にいいようには思えないけどな。

「ほら、もう止めろって。お前酔い過ぎなんだよ。こんな子どもに何してんだよ」
「君もこんなのに声かけちゃダメだ「俺、子どもじゃないです!」…いやいやいや、何言ってんのもう」
「ほら、子どもじゃないって言ってるぜ。2人だけで場所替えてお話ししようかー」
「え?場所はここでいいです。あの、だから相性ってどう「オイ、お前ら、コレは奢りだ」」
「「「ヒッ」」」

突然ダスさんが俺達の間に入って来て、3人組はピキッて固まった。

ダスさん、何を怒ってるんだろう。煩くしすぎたかな。

「ほら、早くその手を離してコレを受け取れや」

持って来たお酒のコップを顎で指すダスさんに、3人組は無言で何度も頷いて両手でコップを押し戴いた。
俺の右手も解放されたけど、何だったんだろ。結局手相ではなさそうだよな。

「お前も暗くなる前に帰るんだろ。早く行け」
「はい。煩くしてごめんなさい。帰ります」

お騒がせしました。って3人組にも謝って食堂を出る。

相性か…。
嫌いなところがあるか確認しろ。って前にギィも言ってたし、そういう感じかな。俺のどこかがギィは気に入らなくて、あの人には気に入らないところがないとか、かな?
どこが嫌だったのかって聞いてもいいのかな。今さら。ってなるかな…。


「お前ら、エリカに初めて来たんだろうがな、アイツには絶対にちょっかいを出すな。いいな。次はないぞ」

俺が帰った後の食堂で、すっかり酔いの覚めた3人組にダスさんがそんな忠告風の脅迫してたなんて、俺、全然知らなかった。
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