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2章

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誰かの泣き声が聞こえた気がしてハッと目を開けた。

あれ?寝てた?
宿木の下で野営だ。って携帯食食べて寝る準備をしようとしたとこまでは覚えてる。けど、いつ寝た?
それに…ここ何処だ?
…いや待って。何か知ってる気がする…。

そろそろと体を起こして泣き声の方を向く。

「どこに行ってたんだよぉぉぉ。心配したんだからねぇぇぇ」

激しく泣いてはいるけれど、俺はこの人を知ってるぞ!この人って言うか、この神様?だけど!

「待っててって言ったでしょう!?勝手に移動するなんて、何かあったらどうするつもりだったのさ!
もう、もぅ…うぅぅぅ」

相変わらず年齢性別不詳、容姿すらはっきり認識することも出来ないけれど、どうやら心配させてたみたい?
てっきり放り出されたんだと思ってたからちょっと気まずい。

「えと…あの…ごめんなさい」
「ちょっと周りに挨拶して戻ってきたら居なくなってるし、どこへ行ったかわからないし。今までどうしてたの!」
「その…置いていかれたと思ったから…親切な冒険者の人に魔王領に連れて行ってもらって…そこにいました…」
「親切なって知らない人について行ったらダメでしょ!」

なんとなく正座に座り直す。

「魔王領って…あぁ…あそこか…。あそこは強い奴の縄張りだから見れなかったんだよね…。
で!どうしてたの?!良く見せて!」

強い奴って魔王のことかな。神様も手を出せないくらい強いんだ…。
良く見せて!って言われて、ただ今頭を鷲掴みされてます…。神様って実体あるんだな。とか逃避中。

「ああぁぁ!!だいぶこっちの要素を取り込んじゃってるじゃないか!どうするんだよー。もぅもぅもぅ!」

神様…握力が…どんどん強くなってきてます…。
俺の頭、握りつぶされたりしないよな…。

「はーぁ。僕のやり直し計画はもうぐちゃぐちゃだよ…。もう1回引っ越しする?」
「えぇっ!?嫌です!大丈夫ですから!
俺、ここでちゃんとやっていけます!」

もう1回やり直しとか絶対嫌だ!

「僕の計画ではね、もっと僕が力をつけてからお前を住まわせる予定だったんだよ。その方が僕が護ってあげられるから安全だしね。
こっちの要素を取り込む前だったら今からでも種にして眠らせるんだけど、こんなに取り込んじゃってたらもうそれもできないし…。
まだ僕の力は弱いから護ってあげることすら出来ないんだ。心配だよ」
「俺、一緒にいてくれる人もできたし、勉強もいっぱいして生きていけるように頑張ります。
だからこのまま続けさせてください」

お願いします。って頭を下げる。
ギィもルークもいない所へ行かされるなんて耐えられない。
神様はしばらく考えてたみたいだけど、結局俺の希望を聞いてくれた。

「仕方ない。あっちから連れて来たたった1人の大事な子のお願いだからね。聞いてあげるけど、無茶をしたりしないでよ!?」

ヒトはすぐ消えてしまうから心配だよ…って呟く小さな声に、心が痛む。
だから受け入れちゃったんだよな。魔王に神様からの要求は一度ゆっくり考えてからお返事しますって言わなきゃダメだって言われてたのに。

「今後は見失わないように印を付けさせてね。大丈夫。痛いのは一瞬だけだから。
これで僕も安心してこっちの地盤を作れるよ」

神様が俺の右の鎖骨の下辺りに人差し指を当ててくる。
指先はどんどん熱くなってきて…。
待って待って!めり込んで来てるんだけど!?
第二関節までめり込んだのを見て、あまりの恐怖と痛みに俺は叫び声を上げた。
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