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1章

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「さっきも言ったけどやりたくないことを無理にする必要はないんだ。冒険者をするにしても、街に住んで何か他の職業につくにしても、嫌々やることが続くとは思えないし。
動物を倒すことができなくても冒険者として働くことはできるし。カイトは冒険者になりたいのか?」
「カイトは俺が養うから働かなくても「ギィ、まずはカイトの話を聞け」」

俺はこっちに来てからずっと何ができるかってことを考えてた。
帰れない以上ここでできることを見つけて生きていかなくちゃいけない。
でも圧倒的にできないことの方が多いんだよな。魔力が無いのが一番の問題かもしれないけど、それ以外にも常識も知識も経験もない。突然こっちに来たのだから生まれたての赤ん坊と同じだ。

「冒険者だったら身元がはっきりしてなくてもなれるって聞いたし、色んな仕事ができるかなって思って。やってるうちに好きなこととか向いてることが見つかるかもしれないから、まずは冒険者をやって俺に何ができるのかを見つけたいんだ」

だってさ、考えたってわからないんだ。それならやってみるしかないだろう。
幸い体まで赤ん坊になってしまった訳じゃないし、読み書き計算もコミュニケーションをとることにも問題はない。体を動かすことも得意な方だし!
だからまずは冒険者をやりながら足りない知識や経験を増やすんだ。

「カイトは毎日楽しくやってるだけに見えて意外とちゃんと考えてるんだよな。忘れてたわ」
「意外とってなんだよ!俺はもう16だぞ!」
「そうなんだよなー。16なんだよなー」

あんま見えないけど。ってなんで頭撫でるんだよ!
正面から頭を撫でてくるルークの手を払って、ギィの足の間から出て座り直す。
すかさず腰に腕を回そうとしてくるギィを阻止した。ギィっていっつもすぐくっついて来ようとするんだよな。あんながっしり強そうな感じして実は甘えたなのか?
ルークに対してそんな風にしてるところは見たことないけど、まぁ、同等の友達にはやりにくいかな。俺は拾ったペット的な感じだろうしな。とはいえ俺も16才男子なのでいっつもいっつも抱っこされる訳にはいかない!

「カイトは冒険者っていうのをどう教わったんだ?」
「んー。ギィが教えてくれたのくらいかなあ。セイはあんまり詳しくは知らないのでって言ってたし」

正確には興味がないから知らないって言ってたけど。セイは魔王領以外の人はあんまり好きじゃないみたいなんだよなー。

「あー、俺の話したのは俺がどんなことをしてるかって言う話だったな。あの話だと冒険者は戦うものだということになるな。俺は戦闘向きだからな」

依頼を受けて戦って、妖が出たら戦って。って言ってたから冒険者は戦うものだと思ってた。

「なるほどね。ギィは近接戦闘が得意だから戦う依頼を中心に受けてるな。俺は偵察とか調査とかが得意だから戦う依頼よりも災害の状況確認とか獣の調査とかの依頼を受ける。
冒険者への依頼には他にも鉱物や植物を採取する依頼や行商の護衛、道案内の依頼も多い。街の中の仕事の依頼もあるしな。
ただ、自衛のための戦闘力は必須だぞ。態々倒しに行かなくてもいいが、襲われたときに追い払えるようにはなってないと冒険者はできない。だから今後カイトは近接戦闘じゃなくて中遠距離からの攻撃技術を磨くってことだな!」
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