異世界強制お引越し 魔力なしでも冒険者

緑ノ深更

文字の大きさ
上 下
28 / 87
1章

28

しおりを挟む
「ん?狩りができないと冒険者になれないってことはないぞ?」
「狩りや戦闘をしない依頼もたくさんあるから問題ない」

えっ?そうなの?

「あ、でも狩りができないとお肉が手に入らないんじゃ…」
「街で買えるよ?誰も居ない土地で暮らすんだったら買い出しがちょっと大変かもしれないけど」
「俺が獲ってくるからどこに暮らしても問題ない」

よくよく聞いてみると街やちょっと大きな規模の村になるとちゃん と商店があって、みんな食材は買うんだそうだ。もちろんお肉屋さんもあって売られているお肉は基本的に処理済みのもの。住人のほとんどは戦闘や狩りをしたことないってことだった。
だからこそ冒険者に依頼するんだな。

「俺、狩りができないと生きていけないと思ってた…」
「別にできないことを無理やりできるようになる必要はないんだぞ」

ははっ。ってルークが肩を叩く。
ギィは俺の頭に自分の頭を乗せたままだ。

「カイトは相手を傷つけることができないと考えればいいか?血を出させるのが?殺すのは問題外だな?」

ヘキが確認してくる。
血は…無理だな。殴るくらいならできるかな…。

「狩りはしないとしても冒険者をするなら最低限の自衛はできないと心配だしな」
「冒険者でなくともカイトの場合は自衛手段がいるだろう」

5人の視線が俺に集まる。
えっ。何?

「剣はやめるとして武器をどうするかだね」
「体術は上達してきているがまずは掴ませないようにしなければな。棒術か」
「タチ殿は棒術も?」
「つかえる。得物を選んではおられん場合もあるからな。ただ殺さぬようにとなると難しくなるな」
「獣に対しては近づく前に追い払うべきだな」
「弓だと刺さった場合傷がつくからな。何か中遠距離に向いた武器を考えなければ」
「持ち運べる結界的な物があれば防御にはなるわよね」

俺そっちのけで5人が話し出す。
えっと…俺はどうすれば…。

「皆さま、カイトは3日ぶりに起きたのですからお話が終わられたのでしたら、次は食事です。相談の続きはまた明日にしてください」

いつの間にか部屋にワゴンを押したハクが来ていた。
タチとヘキと魔王を追い出してテキパキ食事の支度を始める。

「そうだな。カイト、良く休め」
「ちょっと色々道具を考えてみるね。また明日」

タチは、ギィが俺にするように魔王を縦抱っこにして出て行った。
魔王が思いつく道具?を並べ立てている声が廊下を遠ざかっていく。

「ルーク殿とギィ殿もこちらにご用意してよろしかったですか?」
「ありがとうございます」
「頂きます」

俺の前には卵雑炊のような料理。
ルークとギィには魚をメインにした料理が用意される。

「ハク、ありがとう」
「はい。しっかり召し上がってください。お風呂も入れますよ」

お風呂!
にっこりしたハクが天使に見える。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!? メイド、王子って、俺も王子!? おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?! 涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。 1日の話しが長い物語です。 誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。 が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。 そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め── ※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。 ※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。 ※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。 ※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた! どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。 そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?! いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?! 会社員男性と、異世界獣人のお話。 ※6話で完結します。さくっと読めます。

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

処理中です...