異世界強制お引越し 魔力なしでも冒険者

緑ノ深更

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1章

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ハクはここの料理とか掃除とか内向きの事を担当してるらしい。
魔王の家なんだからたくさんの使用人がいるんだろうと思ってたけど、家に常にいるのはタチ、セイ、ハクと今は外出中のヘキって言う人の4人プラス魔王だけ。だから屋敷もそんなに大きくないんですよ。とニコニコ笑いながらハクは俺の泊まる部屋に案内してくれた。

お風呂は部屋に付いてるんだって!
高級旅館っぽい!

部屋はかなり広かった。奥にお姫様のみたいな布に囲われたベッドがあって、手前にソファセット。横の扉を開けた先が水回り。

でお風呂なんだけど、湯船の周りにシャワーカーテンみたいに布が下がってた。
この布、魔力を通しにくい布だそうだ。寝台の周りの布も俺の目に被せている布も、一番初めにセイが被っていた布も同じ物。
魔王作。
これで囲っていると空気中の粒々はほとんど見えなくなるから、目隠し取っても大丈夫だろうって!
やった!
見えても目隠しずっとしてるのはストレスだったから、外せる場所があるのは嬉しい!
お風呂の水は光って見えるけど、眩しいほどではないから夜だとかえって灯りなしでお風呂入れる感じで良いかもしれない。

ひと通りの使い方を教えてもらったら早速入浴。
お風呂の後は晩御飯まで部屋でゆっくりしていてくださいってことだったので、思う存分長湯ができる!
水道やシャワーはボタン式で、本来は魔力を流して作動させるけど、魔力が出せない俺でも使える物が設置されてた。モバイルバッテリーみたいに魔力を溜めておける装置が付いてるらしい。
これも魔王作。さすが魔王。

そんな訳で久々のお風呂を堪能してます。
お湯に浸かるとちょっとピリピリするかな?って感じで温泉感。
たぶん今魔力を皮膚から吸収してるんだろうなー。
そのうち魔法が使えちゃったりするのかなー。

湯船のヘリに頭を乗せて、空気中に一粒浮いてる光をぼんやり眺める。

あの日神様に連れて来られて置いていかれて、ギィとルークに拾ってもらって今魔王の家でお風呂に入ってる。
この先のことを考えると不安しかないけどでも俺がギブアップしたら弟か妹が替わりに連れて来られてしまうかもしれない。最近生意気になってイラッとさせられる時もあった2人だけど、可愛くて大事な兄弟だ。俺がこっちにいることであいつらが今まで通りいられるなら俺は頑張れる。
ここまでは何とかやって来れた。今のところ魔王ともうまくいけてると思う。
この調子でこっちの世界で生きていけるように頑張ろう!

まずはギィとルークに拾ってくれてありがとうってちゃんと言うところから始めよう!
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