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1章

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女の子が魔王だった。
魔王の名前はチヤというらしい。

「カイトはチヤちゃんって呼んでいいよ」

って言われたので、チヤちゃんと呼ぶことになった。年下っぽいからいいのかな。俺は呼び捨てされるようだけど。

無表情男はタチ。男の子はハク。セイと合わせて3人とも一応部下っていうか手下っていうかそんな感じ?仲良さそうだけど。

出されたお茶とお菓子も和風だった。湯呑みっぽいコップと月餅っぽいお菓子。ここの建物も服も和風入ってるし、どうなってるんだろう。
これまでの期間でここが日本じゃないのは確定してた。海外の森かもって可能性を捨てきれてなかったけど、もう誤魔化せなくなってる。絶対地球じゃないよな…。

誰も話し出さないままお茶を飲んでる。
俺は手を付けずにこのお茶とお菓子も食べたら熱いのかどうか考えてた。移動中に食べた物から考えると、光ってたら熱い。熱いから体がどうにかなるってことも今のところないんだけど気になる。
目隠しを下げて見ればすぐわかるけど、出されたものを疑ってるみたいで感じ悪いよな?
ここは食べて確認するしかないか?

「カイト、食べられないものだった?」
ルークが横からそっと聞いてくる。
お菓子を眺めてた視線を上げると、ギィもルークも食べ終わって2杯目のお茶が注がれてるとこだった。

ん?食べないとダメな感じなのか?
食べ終わらないと話せないとか?

みんなの皿を確認している俺と目が合った魔王はニコッとして
「お行儀を気にするのはここまででいいでしょう。家でくらい普通にしたいわ」
と嬉しそうに宣言した。

その後、魔王はハクから大きなマグカップに入ったお茶を受け取ってお菓子のお代わりもお皿に積み上げた。

「ギィ殿、ルーク殿もお楽になさってください」

やれやれという様子のセイとニコニコしながら違う種類のお菓子を出すハク。無表情は変わらないけど真っ直ぐ座っていた姿勢を崩して魔王の背もたれの位置に座り直すタチ。
ギィとルークも少し普段の感じになった?

「ギィ、さっきのはギィとルークに対する敬意の表明よ?
カイトを試そうとしたんじゃないんだから、そんなムスッとしないでよ」

お菓子を食べながら魔王が言う。

「カイト、それ食べても大丈夫だと思うよ。あんまり光ってないはずだから」

続けて言われた言葉に驚いて顔を上げた俺に、魔王はまたニコッとした。

「わたし、カイトと同郷の人に会ったことあるの」
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