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1章

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しばらく進むと開けた場所に建物が見えてきた。
見たことある様な和風っぽい建物。神社の社殿みたいな感じというか、戦国時代くらいの屋敷っぽい建物がぽつんと一軒だけ建ってる。

建物の前には金髪の男と白い髪の子ども。
2人の前で駱が止まったので自分で降りようとしたのに、先に降りたギィに脇の下に手を差し込まれて持ち上げられ、自然な感じでそのまま縦抱っこされた。

今までずっと移動中はその姿勢だったから普通に落ち着いてしまって、こっちを見てる金髪と目が合ってハッとした。

なぜ抱っこ!

「おーだいぶ打ち解けてるねー。ずるいなー」

ルークの声!
金髪がルークなのか!
こいつもイケメンだったんだ!
母さんが好きそうな細マッチョ王子系。金髪に青い目で王子っぽい。

ギィの無言の抵抗にさらに抵抗して無理矢理抱っこから降りてルークを見上げる。

「あの…大丈夫だった?」

追いつくって言ってたのに来なかったから実はちょっと気になってた。

「カイトは優しいねー。大丈夫大丈夫。
魔王に連絡したらすぐに迎えが来て先にこっちに来たんだよ。
その布どう?見えてるのかな?流石魔王だな」

野営続きの移動大変だったろ?
って言いながら頭ぽんぽんされた。
抱っこ移動でほとんど歩いてないんです…って言いにくい…。黙っとこ…。

「お庭でお待ちです」

駱の手綱を受け取った子どもがニコッとしながらこちらに声をかけてきた。
白い髪に灰色の目。髪は長いけど男の子だ。

男の子は駱を連れて歩いていき、俺たちはセイについて建物の横手にまわった。
ギィが抱っこ移動をさせて来ようとしてきたが、断固拒否だ!見えるんだから抱っこの必要はない!
しょんぼりして見せても拒否!

花の咲く庭の池の側に壁のない小さな建物があって、中のベンチに男と女の子が座ってた。
2人とも黒髪だ。親子だろうか。
魔王は娘がいるのか?
男の足の間に座ってもたれるようにしていた女の子はこちらに気がつくと小さく手を振ってきた。

「おかえりなさい。
その様子だとうまくいった?」
「はい。ご想像通りでしたよ。
それにすごく微笑ましいものも見れまして、お迎えのお役目をいただけて楽しいひと時が過ごせました」

セイがちらっとギィを見ながら女の子に答える。

女の子は立ち上がってこちらに近づいて来た。
黒髪黒目の見慣れた色合い。こっちに来てから外国人ぽい?色合いばかりだったからちょっとほっとする。
着てる物はちょっと変わった和風な感じ。立襟のブラウスに袴みたいなのを穿いて上着を何枚か重ねて羽織ってる。
年は俺と同じくらいかもう少し下かも?

ギィとルークが建物に入らずに入り口の外で跪いて頭を下げたので俺も慌てて同じように跪く。

「ギィ、久しぶり。活躍の程は聞き及んでるわ。変わりないようでよかった」
「魔王におかれましてもお変わりなきようで何よりです。この度は急な来訪をお許しくださいましてありがとうございます」
「ずっとここにいるから面白そうなお客様は大歓迎よ。ルークから話しを聞いて楽しみにしてたの!
あなたがカイトよね?その布、うまくいってる?」

えっと、この子が魔王ってことなのか?
奥の怖そうな男じゃなくて?
答えていいのかな?
頭は上げない方がいい?

「お茶を飲みながらにしませんか?」

正解がわからずに俯いたまま反応できずにいるところに後ろから声がかけられた。

「あーごめんなさい。まずは座ってゆっくりしないとね。入って入って。ハクのお茶美味しいわよ」
「ギィ殿、ルーク殿、カイト殿もこちらへどうぞ」

セイからも声がかかって、横にいたギィとルークが立ち上がるのが横目に見えた。
ギィが跪く俺の背中に手をあてて立ち上がるように促してくる。
恐る恐る顔を上げてギィを見ると小さく頷かれた。
ゆっくり立ち上がるとそのまま背中にギィの手が添えられてベンチに導かれる。
ルークが後ろをまわって横に座ってきた。
顔を上げてルークを見ると、なんかニヤニヤしてる?
前を見るとニコニコしてるセイ、ニヤニヤしながらギィを見てる女の子、無表情の男が座ってて、その横にお盆を持ったさっきの男の子がいた。
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