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1章
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「何にせよ、先触れは出しておかなければ辿り着けん。
ルークは村へ行って先触れを出してくれ。俺とカイトはここから魔王領へ向かう。
村で先触れを出してから魔王領に向かっても、お前の足なら追いつくだろう?」
「まぁ、役割的にはそうなるんだろうし、追いつくこともできそうだけどさぁ。
ギィがカイトと2人になりたいだけなんじゃないか。って思えるのは、なんでだろうね!?」
「お前の方が移動速度は速いし、この森程度なら俺1人でもカイトを安全に連れていける。
少しでも早い方がカイトのためになるだろう?」
「…くそー。珍しく理論武装しやがって。
仕方ない、行ってくるよ」
ルークはすぐ出発するらしい。
今から村に向かえば明日の昼には村に着く。って、夜通し移動前提に驚いた。
ルークは夜目が効くし、冒険者は2日くらい寝なくても問題ないから大丈夫。って、それ大丈夫なのか!?
早く行って早く魔王領に着けばその分だけカイトの目の原因が早くわかるかもしれないしね。って、後ろから頭をぽんぽんされながら言われたら、反対することもできず。
せめて感謝の気持ちを込めて見送ろうと、目隠しをずらしてルークの光を見る。
薄目なんで凄い顔になってるとは思うが許してほしい。
手を振ったらしきルークはあっという間に森の中に消えて行った。
1人減っただけでギィは側にいるのに何か心細くなってくる。
魔王領までは真っ直ぐ辿り着けたとして5日程かかるらしい。
湧き上がってくる不安を見ないふりして、明日からの移動に備えて寝ることにした。
座ったまま寝ると朝にはお尻が痛くてしばらく碌に歩けないのは、今朝体験済みだ。
とはいえ横になって寝るのはテントがある訳でもない森の中では無防備過ぎる気もする。
どちらかしかないなら座って寝るか。と、できるだけお尻に負担をかけないようにしようとゴソゴソしていると、横に座ったギィに突然ヒョイと抱え上げられて心臓が飛び出そうになった。
「うわっ!びっくりした!
いきなり何するんだよ。
気配ないんだから一言言ってからにしろよ。
びっくりして心臓止まるだろ!」
「悪かった。
次からは声をかけてからにするから、怒っておらずにもう寝ろ」
驚きのあまり素の口調で文句を言いながら抵抗する俺を物ともせず胡座の上に横向きに座らせたギィは、そのまま着ていたマントを俺の上にかけて抱え込む。
「ちょっと!
なんで!1人で寝れる!」
16の男だぞ!と怒ると、16の男だから何だ?と、返される。
「今日は宿木の下ではないから夜露で濡れる。
カイトの服は薄いから風邪を引くぞ。
寝るんだから目を瞑るし眩しいこともないだろ?
明日も移動だから早く寝ろ」
反論する隙も無く強引に抱き込まれて、頭を胸にもたれかからせるように引き寄せられる。
やめろ。背中とんとんするな!
堅いけど大きくて暖かい体は心細さを追いやって、往生際悪く抵抗していた俺は、あっという間に睡魔に負けた。
ルークは村へ行って先触れを出してくれ。俺とカイトはここから魔王領へ向かう。
村で先触れを出してから魔王領に向かっても、お前の足なら追いつくだろう?」
「まぁ、役割的にはそうなるんだろうし、追いつくこともできそうだけどさぁ。
ギィがカイトと2人になりたいだけなんじゃないか。って思えるのは、なんでだろうね!?」
「お前の方が移動速度は速いし、この森程度なら俺1人でもカイトを安全に連れていける。
少しでも早い方がカイトのためになるだろう?」
「…くそー。珍しく理論武装しやがって。
仕方ない、行ってくるよ」
ルークはすぐ出発するらしい。
今から村に向かえば明日の昼には村に着く。って、夜通し移動前提に驚いた。
ルークは夜目が効くし、冒険者は2日くらい寝なくても問題ないから大丈夫。って、それ大丈夫なのか!?
早く行って早く魔王領に着けばその分だけカイトの目の原因が早くわかるかもしれないしね。って、後ろから頭をぽんぽんされながら言われたら、反対することもできず。
せめて感謝の気持ちを込めて見送ろうと、目隠しをずらしてルークの光を見る。
薄目なんで凄い顔になってるとは思うが許してほしい。
手を振ったらしきルークはあっという間に森の中に消えて行った。
1人減っただけでギィは側にいるのに何か心細くなってくる。
魔王領までは真っ直ぐ辿り着けたとして5日程かかるらしい。
湧き上がってくる不安を見ないふりして、明日からの移動に備えて寝ることにした。
座ったまま寝ると朝にはお尻が痛くてしばらく碌に歩けないのは、今朝体験済みだ。
とはいえ横になって寝るのはテントがある訳でもない森の中では無防備過ぎる気もする。
どちらかしかないなら座って寝るか。と、できるだけお尻に負担をかけないようにしようとゴソゴソしていると、横に座ったギィに突然ヒョイと抱え上げられて心臓が飛び出そうになった。
「うわっ!びっくりした!
いきなり何するんだよ。
気配ないんだから一言言ってからにしろよ。
びっくりして心臓止まるだろ!」
「悪かった。
次からは声をかけてからにするから、怒っておらずにもう寝ろ」
驚きのあまり素の口調で文句を言いながら抵抗する俺を物ともせず胡座の上に横向きに座らせたギィは、そのまま着ていたマントを俺の上にかけて抱え込む。
「ちょっと!
なんで!1人で寝れる!」
16の男だぞ!と怒ると、16の男だから何だ?と、返される。
「今日は宿木の下ではないから夜露で濡れる。
カイトの服は薄いから風邪を引くぞ。
寝るんだから目を瞑るし眩しいこともないだろ?
明日も移動だから早く寝ろ」
反論する隙も無く強引に抱き込まれて、頭を胸にもたれかからせるように引き寄せられる。
やめろ。背中とんとんするな!
堅いけど大きくて暖かい体は心細さを追いやって、往生際悪く抵抗していた俺は、あっという間に睡魔に負けた。
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