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すれ違いー凛sideー

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平穏な日々が続いていた。

あんなことがあったから吉岡のことを懸念していたが、誰かに口外するなど凛が困るようなことはしていないようだった。

ただ一度、あの出張以来社内で顔を合わせた際に謝罪されたのと、
「権力とカラダで支配されているだけだ」
と再三忠告をされた。
それ以後は凛を避けているのか顔を合わせることもなくなったのだが…

それと同時に顔を合わせていない人がもう1人…
何故か松本も、東條宅に寄らなくなっていた。
今までは在宅で働く凛に何かと世話を焼きにきたり、3人で過ごす夜も多かったのに、
突然はたと姿を見せなくなり、連絡も一切来ない日がもう1ヶ月は続いていた。

ーーー吉岡くん、松本さんに何か言ったのかな…松本さんが困るようなことになってないといいけど…

「凛、箸が止まってるぞ。」
「はっ、、あ、すみません、ぼぉっとしちゃった。」
「はぁ、、あからさまだぞ。松本がいないからってそんな暇そうにしなくても、、」
「そういうわけでは……」

東條も凛を気遣っているし、何不自由なく過ごしてはいるが、松本がいない寂しさを感じない日はない。
東條に抱かれていても、松本の声や手や匂いを求めている自分がいる。
東條もそれをわかっていて、嫉妬心を隠さずに行為に及ぶからハードプレイな日が多く寝不足気味だ。(なぜか東條はすこぶる元気)

「私、何か松本さんの気に触ることしてしまったんでしょうか…会社ではお元気にされてますか…?」
「んー、、元気、ではないかねぇ…」
「吉岡君に何か脅されてるとかじゃないですよね、、、やっぱり私がいけなかったのかな…」

考えても考えても、どうして松本に避けられているのかわからず落ち込む。
心が通じ合ったと思っていたのに、突然声を聞くことすら叶わなくなり、寂しさと悲しさが募っていた。

「はぁぁぁ、、、なんか悔しいけどカッコ悪いおじさんになりたくないから今から英断を下す。」
「へ?なんですか?」

盛大にため息をついて眉間に皺を寄せながら話す東條。

「出かけるから支度しろ。」
「え?今から??どこに??」
「車回してるから下に来なさい」
「ちょ、社長っ、ぇっ?まって、」

不機嫌そうにスタスタと消えていく東條に困惑しながらも、言われた通り急いで着替えて駐車場へ向かった。
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