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初めてのデートー松本sideー

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翌朝、二人で駐車場に向かい愛車に乗り込む。
「わぁ、素敵な車ですね。シートが気持ちいい。」
「気に入ってもらえてよかった。さて、行こうか。」
「はい!運転、よろしくお願いします!しゅっぱーつ!」

ベージュのノースリーブワンピースにネイビーのブルゾンを合わせたスタイルは大人っぽいが、無邪気にはしゃぐ姿は会社にいる時より幾分も幼く見えて可愛らしい。

「音楽、好きなジャンルはありますか?アーティストとか!」

テキパキとスマホとBluetoothを繋いでプレイリストを確認する姿に感心する。

「あんまり詳しくないけど、J-POPも聞くし、ジャズも好きだよ。凛さんが普段聞いている曲を聴きたいな。」
「んー、どうしよう…じゃあ横浜行くし、サザンで!」
「おぉ、渋いね」

まだ都内の下道だというのに早速歌い始める凛に自然と笑みが溢れる。

「あんまりはしゃぐと疲れちゃいますよ。」
「平気ですよ。はぁ、松本さんの好きな曲が知りたかったのになぁ、、」

ぶつぶつと文句を言いながらもその表情は楽しげだ。

彼女とのデートは、とても刺激的で、とても幸せで、とにかく全てが愛おしかった。

ーーー

「これも美味しそうっ、あとこれと、これも。あっ、これも!松本さんは、どれがいいですかっ?」

凛が行きたがっていた中華街にあるパン屋にて。
トレーいっぱいに美味しそうなパンを乗せて上機嫌な彼女。

「り、凛さん、こんなに食べれるの?」
「ふふ、わたし、結構いっぱい食べるんです。あ、これも美味しいですよ!松本さんには、これと、これと…あ、カレーパンお好きですか?きっと私よりもたくさん食べますよね、、?」

ぶつぶつと呟きながら真剣な表情で選ぶ凛を止めることもできず、今日はパン祭りになるなと腹を括った。

ーーー

「松本さん、これは?可愛い?」
「うん、可愛いですよ」

「これはどう?ちょっと子供っぽいかしら?」
「ううん、素敵です。よく似合ってますよ」

「これは?この靴も素敵なの!」
「うん、それもいいね、凛さんは何でも似合う」

アパレルショップに移動すると、次々に試着しては、くるくると回って俺に笑顔で問いかける彼女。
小柄なのにメリハリのある体で手脚は長いから、どんな服もよく着こなしている。

「どれにしようかな。松本さんはどれがお好みでした?」
「ん?もう全部買ってあるよ。」
「え、え?!全部?買ったんですか?」
「うん、全部よく似合ってたから。今日は何でも好きなものねだって下さいね。」
「そ、そんなことできませんよっ」
「御礼の気持ちだから。それに社長にも言われてるんだ、必要なものは全部与えろと。大して買わずに帰ったら僕がケチったと思わる。」
「そ、そんなこと言われたら困ってしまいます、、、」
「利益還元祭だと思って。僕を困らせるくらいわがまましたらいいよ。」
「し、知りませんからねっ!破産させちゃうかもしれませんよっ!」
「それは楽しみだな。…ビルは1、2棟で勘弁してくださいね。」
「ビっ、、、?!!!」

絶句する彼女の手を引いて次の店へと向かう。
ーーー

服やカバン、靴などをたくさん買った後、行きたがっていたジェラート屋さんでアイスを二つ買って車に戻る。

「ん~っ、美味しいっ、松本さんも、はいっ」

スプーンで差し出されたチョコレートのアイスに一瞬戸惑うけど、口を開けてそのまま口に運んでもらう。

「ん、甘い、美味しいね。」
「ふふっ。凛にもそれもくださいっ、」

ニコニコと小さな口を開けて待つ彼女に、キウイ味のジェラートを運ぶと、美味しいと悶えて喜ぶ。

「ぁ、私今自分のこと凛っていいましたよね、、忘れてください、、」
「なんで?可愛いよ。普段はそうなの?」
「気が緩むとつい、、こういうところは甘えん坊次女っ子なんです、お恥ずかしい…」
「もっと聞きたいなぁ。」
「もう言いませんもんっ」
「もんっていうのがまた可愛いよね」
「か、からかわないでください!意地悪なんだからっ、、」

ぷりぷりと怒りながら、買ったパンをびっくりする勢いで食べ進める彼女に驚きを隠せない。
本人が言っていたように、この小さな体のどこに入っていくのだろうと驚くほど彼女はよく食べた。
松本が食べなかった分までぺろりと平らげて、ようやく一息ついている。

「ほ、本当にたくさん食べるんだね」
「ふふ、ここのパンは格別です……んん、、たくさん食べたら眠くなってきちゃいました…ちょっとだけ、ここで眠ってもいいですか?」
「ここでもいいけど、夕飯まで時間もあるし、ゆっくり休もうか。近くに使える部屋があるから。」
「おへや、、?はい、、じゃあお言葉に甘えて…」

既にうとうとし始めている彼女の頭を撫でてから車を出すと、目的地へと走り出した。
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