溺愛アルファは運命の恋を離さない

リミル

文字の大きさ
25 / 42
【5章】アルファとオメガ

疑い3

しおりを挟む
「借りたものは返しました。それだけで……」
「まさか直接返したんじゃないだろうな? 人に預けて返してもらうなり、できただろ」
「そ、それは。的場さんに失礼だし他の人の迷惑になると思う……」

言葉はだんだんと尻すぼみになっていく。凍てつくような視線に、千歳の呼吸は速くなる。

「別にそこまで非常識なことは言っていないだろ。千歳は俺になら迷惑をかけてもいいと思っているのか? 他のアルファの匂いを振りまいているのを、俺だけが我慢しろと?」

捲し立てるレグルシュに、千歳は反論できなかった。震える声で否定する。そして、千歳のスマホを出すように言った。

「え?」
「疚しいことがなければ、見せられるだろ」

幸いなことに、的場や他の母親達とも連絡は取っていない。レグルシュは千歳の前で、メッセージと通話の履歴を確認する。これで潔白が証明できると千歳は思っていたが、レグルシュの怒りは増すばかりだった。

柚弦ゆずるに連絡を取っていたな? どうせ俺の愚痴でも溢してたんだろ」

ビジネスパートナーであり友人でもある宇野木のことを悪く言われ、さすがに黙っていられない。

「レグ……落ち着いてください。宇野木さんは事情を知らなくて、今朝のレグの様子が気にかかったから、僕に電話をかけてきたんです。もちろん、何があったかは言ってません」

千歳の言葉に、レグルシュは一瞬言葉を止めたが、冷静になるどころか逆に荒々しくなる一方だった。スマホを放り投げられるようにして返され、千歳はそれを受け止めた。

レグルシュは無言で千歳の腕を掴むと、リビングのソファまで引き摺るようにして連れて行った。強く押されて、千歳は背中からソファへ倒れ込む。

「いっ……」

柔らかい材質のおかげで痛みはなく、千歳は突然の衝撃に目を白黒させた。起き上がろうとするも、手足は自由に動いてくれなかった。目尻を吊り上げたレグルシュが、自分の身体に覆い被さっているのに千歳は遅れて気がついた。

──な……何を。

レグルシュの意図が分からず、千歳は困惑して言葉が出てこない。震えて言葉の紡げない千歳の唇を、レグルシュは噛みつくように奪った。

「ん……っ、んん……!」

感情に任せたままの、酷く乱暴なキスだった。発情期でもなく、怒気を発しているアルファの恐怖のせいで、千歳の身体は冷たいままだった。

無理矢理服を剥ぎ取られ、反応を示さない性器を目の当たりにし、レグルシュの悲痛な表情はさらに拡がった。

「レグ……まって。はなしを……」

話し合いをするはずだったのに、どうしてこうなっているのか。両足を広げられて慣らしてもいない奥に、レグルシュは一気に指を二本挿入した。圧迫される痛みに、千歳の目尻は濡れる。

「いたい……レグ」

千歳が訴えても、レグルシュは行為をやめることはなかった。罰を与えるように……他の人の痕跡がないかを探るように、体内で指を探らせた。

痛みしか感じなかった行為に、沸々と熱が生まれてくる。愛情もなく、誰に向けていいのかも分からない感情をただ発露させるだけだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました 2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。 様々な形での応援ありがとうございます!

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

処理中です...